名古屋競輪場を舞台に開催された輪界でもっとも権威のあるタイトル「第79回日本選手権競輪(GI)」は、5月4日に最終日が行われた。S級S班4人をはじめ日本一を決めるにふさわしいトップ9による決勝は、激しいバトルが繰り広げられた。レースは、北日本勢の主導権。5番手からまくった眞杉匠に付けた吉田拓矢が、眞杉を差し切ってV。初タイトルとなった21年11月の競輪祭以来、2度目のGI制覇で優勝賞金9400万円(副賞含む)を獲得。年末に平塚で行われる「KEIRINグランプリ2025(GP)」の出場権を手に入れた。

決勝出場選手特別紹介

決勝1番車、古性優作選手

決勝2番車、新山響平選手

決勝3番車、眞杉匠選手

決勝4番車、浅井康太選手

決勝5番車、岩本俊介選手

決勝6番車、阿部力也選手

決勝7番車、松井宏祐選手

決勝8番車、菅田壱道選手

決勝9番車、吉田拓矢選手
決勝戦 レース経過
号砲が鳴ると古性優作、眞杉匠、阿部力也、菅田壱道が飛び出し、菅田が誘導員の後ろに付いた。初手は新山響平-菅田-阿部、古性、眞杉-吉田拓矢、浅井康太、松井宏佑-岩本俊介の並び。
青板周回の2コーナーで早々と松井が上昇をはじめる。松井は新山に並びかけたが、突っ張る気満々の新山も応戦。赤板で誘導員が退避すると同時に、新山が松井を突っ張り切って主導権を握る。松井はズルズルと後退し、新山-菅田-阿部、古性、眞杉-吉田、浅井、松井-岩本の一本棒でジャンを通過した。ミドルペースで駆けていた新山に対し、後続からの仕掛けはなかったが、最終ホームを迎えると、新山はぐんとペースを上げて本格的に先行態勢に入った。新山は快調なペースで先行していて、なかなか一本棒の態勢が崩れなかったが、最終バックで5番手の眞杉がスパート。眞杉は素晴らしい加速でぐんぐんと前団に迫り、直線の入り口で新山をとらえると、菅田が眞杉の後輪に接触して落車するアクシデントが発生。眞杉にきっちり続いていた吉田が、ゴール前で眞杉を差し切って日本選手権初Vを達成。眞杉が2着に粘り栃茨コンビで連独占。3着には古性が入った。








青板周回の2コーナーで早々と松井が上昇をはじめる。松井は新山に並びかけたが、突っ張る気満々の新山も応戦。赤板で誘導員が退避すると同時に、新山が松井を突っ張り切って主導権を握る。松井はズルズルと後退し、新山-菅田-阿部、古性、眞杉-吉田、浅井、松井-岩本の一本棒でジャンを通過した。ミドルペースで駆けていた新山に対し、後続からの仕掛けはなかったが、最終ホームを迎えると、新山はぐんとペースを上げて本格的に先行態勢に入った。新山は快調なペースで先行していて、なかなか一本棒の態勢が崩れなかったが、最終バックで5番手の眞杉がスパート。眞杉は素晴らしい加速でぐんぐんと前団に迫り、直線の入り口で新山をとらえると、菅田が眞杉の後輪に接触して落車するアクシデントが発生。眞杉にきっちり続いていた吉田が、ゴール前で眞杉を差し切って日本選手権初Vを達成。眞杉が2着に粘り栃茨コンビで連独占。3着には古性が入った。








<4R>

佐藤慎太郎選手
中四国勢が、前団に構える。山岸佳太の上昇を阻んで、町田太我が突っ張る。そこを三谷竜生が踏み込むも、町田は赤板2コーナーでペースを上げて主導権。三谷が番手に入るが、小川真太郎がインから追い上げて、町田後位が併走になる。前団の隊列が短くなり、最終ホーム手前で6番手の山岸が仕掛ける。1センター過ぎに出切った山岸に佐藤慎太郎(写真)の追走。山岸ラインを目標に伊藤旭がバックからまくるが、佐藤がブロック。ゴール寸前で佐藤が差し切った。
「今開催のなかで自分が一番弱いと思っていた。山岸がいいレースをしてくれて、お客さんが声援をくれてグッときましたよ。まだ頑張らないといけないって。応援してくれる人が、応援したいって思えるモチベーションになってもらえるように。脚力はゼロに近いね。前の状態に戻すのに、どれくらいかかるかわからないけど1つずつやっていきたい。出力が下がっていて、自分の力が落ちていると感じた開催でしたね。(脚力ではなく)山岸の気持ちと、自分の気持ちで勝てました」
赤板過ぎに町田に突っ張られた山岸佳太だったが、立て直して最終ホーム手前から再度アタック。佐藤とのゴール勝負に持ち込んで2着に粘り込んだ。
「行けるチャンスを逃さないように走っていました。ホームの向かい風で重く感じたけど、1走目の感じで脚は、悪くないと思っていた。(佐藤の応援が)すごいですね、自分の応援はなかったけど(笑)。(佐藤)慎太郎さんの応援を自分の応援だと思って、顔見せから体験したことのないくらいの(応援の)なかで走った。タイミングが合って駆ければ、今日(最終日)みたいに残れる脚はあるけど、レベルが上がっているので自分も上げていかないと。点数と脚力を上げていきたい」
「今開催のなかで自分が一番弱いと思っていた。山岸がいいレースをしてくれて、お客さんが声援をくれてグッときましたよ。まだ頑張らないといけないって。応援してくれる人が、応援したいって思えるモチベーションになってもらえるように。脚力はゼロに近いね。前の状態に戻すのに、どれくらいかかるかわからないけど1つずつやっていきたい。出力が下がっていて、自分の力が落ちていると感じた開催でしたね。(脚力ではなく)山岸の気持ちと、自分の気持ちで勝てました」
赤板過ぎに町田に突っ張られた山岸佳太だったが、立て直して最終ホーム手前から再度アタック。佐藤とのゴール勝負に持ち込んで2着に粘り込んだ。
「行けるチャンスを逃さないように走っていました。ホームの向かい風で重く感じたけど、1走目の感じで脚は、悪くないと思っていた。(佐藤の応援が)すごいですね、自分の応援はなかったけど(笑)。(佐藤)慎太郎さんの応援を自分の応援だと思って、顔見せから体験したことのないくらいの(応援の)なかで走った。タイミングが合って駆ければ、今日(最終日)みたいに残れる脚はあるけど、レベルが上がっているので自分も上げていかないと。点数と脚力を上げていきたい」
<6R>

山田庸平選手
赤板過ぎに窓場千加頼が切りに出るが、前受けの佐々木悠葵が内から盛り返す。そこを山田庸平(写真)で出て、2コーナーから村田祐樹が仕掛ける。村田が3コーナーで主導権を握り、村田ラインを受けた山田が3番手に飛び付く。6番手になった佐々木悠は、最終ホーム手前から発進。佐々木悠は一息で、詰める勢いで山田がまくりを打つ。岩津裕介は付け切れず、山田が2センターで逃げる村田をとらえて1着。
「自分か窓場君が位置を取って、村田君の先行かなと。そこを佐々木(悠)君がカマシっていう流れかなと思っていました。そしたら(窓場と佐々木悠が)踏み合ってくれたんで、展開有利に運べました。ただ、昨日(5日目)もそうだけど、最近、自力を出してないからキツかった。(村田の)掛かりも良かったけど、GIの(最終日の)特選でしっかりと仕掛けて、いまの力を試したいっていうのがありました。二次予選での失敗もそうですけど、最近はそういうのが多い。大事なところで勝ち上がれていない。脚力が落ちている。(次は地元の武雄でGIIIだけど)ミッドナイトで7車立てですからね。2、3日目の体のリズムが読めないところもあります」
山田のまくりは止められずも、佐々木龍は最終2センターで佐々木悠を弾いて2着に追い込んだ。
「村田君がいいタイミングで出られればチャンスがあるかなと。(山田)庸平さんが切って、出やすい展開になった。それにしても(村田が)強い。(まくった山田は)外を回られたし、そこを追いかけちゃうと内が空いてしまうなと。(今シリーズは)前回からの調子で言うと、あまり自信がもてなかった。(落車明けで)体をケアしてきたけど、万全ではなかった。でも、来たからには言い訳にはできない」
「自分か窓場君が位置を取って、村田君の先行かなと。そこを佐々木(悠)君がカマシっていう流れかなと思っていました。そしたら(窓場と佐々木悠が)踏み合ってくれたんで、展開有利に運べました。ただ、昨日(5日目)もそうだけど、最近、自力を出してないからキツかった。(村田の)掛かりも良かったけど、GIの(最終日の)特選でしっかりと仕掛けて、いまの力を試したいっていうのがありました。二次予選での失敗もそうですけど、最近はそういうのが多い。大事なところで勝ち上がれていない。脚力が落ちている。(次は地元の武雄でGIIIだけど)ミッドナイトで7車立てですからね。2、3日目の体のリズムが読めないところもあります」
山田のまくりは止められずも、佐々木龍は最終2センターで佐々木悠を弾いて2着に追い込んだ。
「村田君がいいタイミングで出られればチャンスがあるかなと。(山田)庸平さんが切って、出やすい展開になった。それにしても(村田が)強い。(まくった山田は)外を回られたし、そこを追いかけちゃうと内が空いてしまうなと。(今シリーズは)前回からの調子で言うと、あまり自信がもてなかった。(落車明けで)体をケアしてきたけど、万全ではなかった。でも、来たからには言い訳にはできない」
<8R>

山口拳矢選手
赤板1コーナーで石原颯が先頭に立ち、その上を出た山崎賢人が打鐘手前で主導権を握る。単騎の山口拳矢(写真)が3番手に続いて、石原は4番手。内に詰まっていた寺崎浩平は、結局、一本棒の8番手に置かれる。4番手の石原は前との車間が空いて最終周回。山口は後続の仕掛けを待つことなく、2コーナー手前から仕掛ける。山崎賢の先行をあっさりとらえた山口が、石原を振り切って連勝でシリーズを締めた。
「みんな積極的に動く選手だったので、中団から考えていた。打鐘で山崎(賢)さんが行ってくれて、粘る選手もいなかった。あとは自分がどこから行くかでした。感じは相変わらず悪いけど、押し切れているし仕掛ける気持ちをもてたので良かった。(右)鎖骨が折れて周りがまだ痛いし、変な動きになっています。もっと体の連動性を高めていきたい」
4番手の石原颯は、同期の山口のまくりに車間が空きながらも吸い込まれるように2着に入った。
「押さえていってからでしたけど、山崎(賢)さんが来るのは早かったですね。車間を詰めてそのまま行ければ良かったけど、詰まらなかった。そうしたら(山口)拳矢さんが行った。拳矢さんよりも先に仕掛けられれば良かったんですけどね。今回はいい経験になりました」
「みんな積極的に動く選手だったので、中団から考えていた。打鐘で山崎(賢)さんが行ってくれて、粘る選手もいなかった。あとは自分がどこから行くかでした。感じは相変わらず悪いけど、押し切れているし仕掛ける気持ちをもてたので良かった。(右)鎖骨が折れて周りがまだ痛いし、変な動きになっています。もっと体の連動性を高めていきたい」
4番手の石原颯は、同期の山口のまくりに車間が空きながらも吸い込まれるように2着に入った。
「押さえていってからでしたけど、山崎(賢)さんが来るのは早かったですね。車間を詰めてそのまま行ければ良かったけど、詰まらなかった。そうしたら(山口)拳矢さんが行った。拳矢さんよりも先に仕掛けられれば良かったんですけどね。今回はいい経験になりました」
<9R>

小原太樹選手
前受けの中野慎詞も赤板を目がけて全開で踏むが、そこを制して太田海也が出る。遅れ気味の松浦悠士を渡部幸訓が張る。中野が番手に入るが、2コーナーから松浦が意地で追い上げる。8番手の吉澤純平が打鐘3コーナーから仕掛けて、中野は3番手に下げて立て直す。最終1センター過ぎに吉澤が出切り、平原康多。5番手から中野が2コーナー手前で踏み出して、中野、渡部に小原太樹(写真)が続く。中野が直線の入り口でまくり切り、北日本勢の外を踏んだ小原が突き抜けた。
「北日本の動きがわからなくて、ギリギリまで悩んだ。(自分の作戦は中野と太田に)やり合ってもらう方向でした。風がめちゃくちゃ強くて、ちょうど2センターから4コーナーが向かい風なんで、そこはなるべく脚をためようと。(最終)4コーナーでおそらく詰まるんで、そこを我慢して踏めれば。(このメンバーでの1着は)正直、うれしい。うまく思い通りの展開になった。(今シリーズは)取りこぼしとかもあったけど、最終日の1着は次につながると思います」
渡部幸訓は二次予選で中野ライン3番手で連結を外していただけに、こう振り返る。
「(中野)慎詞が頑張ってくれたし、気持ち的に負けてなかった。やり合いは覚悟していたけど、慎詞が強かった。自分はそれなりのサポートはできた。あれで(中野と)ワンツーなら100点でしたね。(中野は脚を消耗していたけど競技では)世界で戦っている選手なので、ほかの選手と比べてもまだ余裕が残っていた。自分は二次予選で(中野の3番手で)口が空いて、さばかれていたんで不安はあった。ただ、今日(最終日)は番手でしっかりと考えて追走できて、勝負ができるのがわかった。そこはプラスにとらえたい」
「北日本の動きがわからなくて、ギリギリまで悩んだ。(自分の作戦は中野と太田に)やり合ってもらう方向でした。風がめちゃくちゃ強くて、ちょうど2センターから4コーナーが向かい風なんで、そこはなるべく脚をためようと。(最終)4コーナーでおそらく詰まるんで、そこを我慢して踏めれば。(このメンバーでの1着は)正直、うれしい。うまく思い通りの展開になった。(今シリーズは)取りこぼしとかもあったけど、最終日の1着は次につながると思います」
渡部幸訓は二次予選で中野ライン3番手で連結を外していただけに、こう振り返る。
「(中野)慎詞が頑張ってくれたし、気持ち的に負けてなかった。やり合いは覚悟していたけど、慎詞が強かった。自分はそれなりのサポートはできた。あれで(中野と)ワンツーなら100点でしたね。(中野は脚を消耗していたけど競技では)世界で戦っている選手なので、ほかの選手と比べてもまだ余裕が残っていた。自分は二次予選で(中野の3番手で)口が空いて、さばかれていたんで不安はあった。ただ、今日(最終日)は番手でしっかりと考えて追走できて、勝負ができるのがわかった。そこはプラスにとらえたい」
<10R>

坂井洋選手
犬伏湧也を叩いた小林泰正が、打鐘過ぎに主導権を握る。犬伏が4番手に下げると同時に、後方から郡司浩平が踏み込む。小林が合わせてペースを上げて、郡司は最終ホーム過ぎに空いた4番手に入り小休止、2コーナーから再び仕掛ける。坂井洋(写真)は、郡司に合わせて番手まくり。武藤龍生が2センターで郡司を張り、空いた中のコースを成田和也が追い込む。が、坂井が振り切った。
「本当は(小林を)サポートできれば良かったんですけど。スピード差もありましたし、ギリギリだったので番手から出る形になりました。今回はハンドルステムを換えて、アップから良かった。(今シリーズを振り返って)力のなさを感じましたし、(準決の)甘い判断だったりも。そういうのを続けているとどんどん悪くなってしまう。1走、1走ミスをしないようにしたい」
郡司マークの深谷知広は外に持ち出す。成田和也は内よりのコースを探して、武藤が張って空いたコースを伸びた。
「郡司君はいつでも仕掛けていいんだろうなっていう感じでした。前は見えていなかったんですけど、(中団で)1回止まった。でも、また加速していくんだろうなって思って付いていました。郡司君がブロックされて、深谷君はその上を踏んでいった。自分は内がガラ空きだったので、先に降りました。ちょっと待ったんですけどね。あの展開なら前(坂井)をとらえてもよさそうですけど、脚がなかったですね。脚力が進化していくのは難しいと思うんですけど、スキルの方で進化していければ。総合的に」
「本当は(小林を)サポートできれば良かったんですけど。スピード差もありましたし、ギリギリだったので番手から出る形になりました。今回はハンドルステムを換えて、アップから良かった。(今シリーズを振り返って)力のなさを感じましたし、(準決の)甘い判断だったりも。そういうのを続けているとどんどん悪くなってしまう。1走、1走ミスをしないようにしたい」
郡司マークの深谷知広は外に持ち出す。成田和也は内よりのコースを探して、武藤が張って空いたコースを伸びた。
「郡司君はいつでも仕掛けていいんだろうなっていう感じでした。前は見えていなかったんですけど、(中団で)1回止まった。でも、また加速していくんだろうなって思って付いていました。郡司君がブロックされて、深谷君はその上を踏んでいった。自分は内がガラ空きだったので、先に降りました。ちょっと待ったんですけどね。あの展開なら前(坂井)をとらえてもよさそうですけど、脚がなかったですね。脚力が進化していくのは難しいと思うんですけど、スキルの方で進化していければ。総合的に」
<11R>

吉田拓矢選手
「まだ実感がわかないですね、眞杉(匠)に感謝しかない、本当に」
単騎で初めてタイトルを獲得した21年11月の競輪祭から、3年半の歳月が過ぎていた。107期として15年にデビュー。若手として関東を引っ張ってきた吉田拓矢(写真)だったが、気がつけば30歳の節目のバースデーを3日後に控えるまでになっていた。一昨年のオールスターでは、眞杉をタイトルホルダーに導く積極策も、暴走により失格。ペナルティとして4カ月の戦線離脱の苦汁もなめた。
「(一昨年のオールスターの)あれから眞杉もずっと僕のことを気にかけてくれていた」
その年は、オールスターに次いで、競輪祭も奪取した眞杉にも、どこかスッキリしない気持ちがあった。それだけにGIファイナルで初めてのワンツー劇は、互いに胸のつかえが取れた思いだろう。
レースは、北日本勢が前団を占めて、新山響平が突っ張り先行。単騎の古性優作が4番手を確保して、眞杉は5番手で前との間合いを取る。先行態勢の新山は、最終ホームからペースを上げて駆ける。
「スタートも全部、眞杉がやってくれた。自分は付いていくだけだった。(新山は)すごいピッチだった。でも、眞杉が車間を空けていたので、これは一気に行くんだろうなと。そこだけ離れないように集中して、(眞杉の)車輪だけを見ていました」
詰める勢いで、眞杉が最終バック付近から前団に襲い掛かる。3コーナー過ぎに古性の横を通過した吉田は冷静だった。
「(眞杉は)結構、空けていて、これは行けるのかなって思ったんですけど、強かったですね。自分は3コーナーの登りだったんで、なるべく外を踏んだ。掛かりがすごかったんで、そんなにみんな横に動く雰囲気でもなかった」
直線の入口で前団をのみ込んだ眞杉だったが、後輪が菅田壱道と接触。吉田が眞杉を交わして2人で上位入線も、菅田の落車で眞杉は審議対象。自身のGI制覇よりも、盟友のことが気がかりだった。
「眞杉が締めているのがわかった。落車があって眞杉が失格だったら、また(自分が失格した)オールスターの時みたいな感じになっちゃうと。それだけは嫌だと思って、自分の確定より眞杉が失格してないかが気になりました」
セーフ判定で眞杉とのワンツーが結実。これ以上ない2度目のGI優勝になった。
「(競輪祭を獲った)前回は忘れちゃいました(笑)。(眞杉は)全日本選抜も頑張ってくれたし、今日(決勝)も勝負権があるところまで連れていってくれた。仲間に助けられて勝った。うれしいですね」
単騎だったGI初優勝を忘れるはずもなく、吉田はこう振り返った。眞杉は2月全日本選抜の決勝でも、吉田を連れて先行策。その気持ちに結果で応えることはできなかったが、関係性はより深まっていった。
「(眞杉とは)本当に、上下関係がないような。向こうもなんでも話してくれるし、そういう間柄ですね。今回、獲らせてもらったんで、こういう前後で走れるように、僕がもっと強くならないといけない。自信をもって眞杉の前を回れるようにならないといけない」
かつての平原康多、武田豊樹がそうであったように。2人が流れを受け継いで、関東を盛り上げていく。
5番手まくりの眞杉匠は、菅田との接触でスピードが鈍ったが2着。
「(接触して)ブレーキがかかりました。(吉田との)ワンツーはうれしいけど、あの展開をモノにできずに悔しい。あれで一気に止まってしまった。でも、本当に(吉田)拓矢さんに獲らせてもらったから、いまがあるんで、そこは良かった」
すんなり4番手の古性優作だったが、仕掛けられず最後はアクシデントを避けて3着。「めっちゃ迷いました」と、言うように、逡巡しながらのレースになった。
「ジャンで菅田さんのところに追い上げるか。(阿部)力也さんとハウス(接触)して、新山君が駆けていった。それで口が空いて結構、脚にきた。ふさわしくないっすね。日本選手権に。力不足です。年々、キツくなってきています。まだまだ3歩、4歩、5歩、ちょっとじゃない差がある」
単騎で初めてタイトルを獲得した21年11月の競輪祭から、3年半の歳月が過ぎていた。107期として15年にデビュー。若手として関東を引っ張ってきた吉田拓矢(写真)だったが、気がつけば30歳の節目のバースデーを3日後に控えるまでになっていた。一昨年のオールスターでは、眞杉をタイトルホルダーに導く積極策も、暴走により失格。ペナルティとして4カ月の戦線離脱の苦汁もなめた。
「(一昨年のオールスターの)あれから眞杉もずっと僕のことを気にかけてくれていた」
その年は、オールスターに次いで、競輪祭も奪取した眞杉にも、どこかスッキリしない気持ちがあった。それだけにGIファイナルで初めてのワンツー劇は、互いに胸のつかえが取れた思いだろう。
レースは、北日本勢が前団を占めて、新山響平が突っ張り先行。単騎の古性優作が4番手を確保して、眞杉は5番手で前との間合いを取る。先行態勢の新山は、最終ホームからペースを上げて駆ける。
「スタートも全部、眞杉がやってくれた。自分は付いていくだけだった。(新山は)すごいピッチだった。でも、眞杉が車間を空けていたので、これは一気に行くんだろうなと。そこだけ離れないように集中して、(眞杉の)車輪だけを見ていました」
詰める勢いで、眞杉が最終バック付近から前団に襲い掛かる。3コーナー過ぎに古性の横を通過した吉田は冷静だった。
「(眞杉は)結構、空けていて、これは行けるのかなって思ったんですけど、強かったですね。自分は3コーナーの登りだったんで、なるべく外を踏んだ。掛かりがすごかったんで、そんなにみんな横に動く雰囲気でもなかった」
直線の入口で前団をのみ込んだ眞杉だったが、後輪が菅田壱道と接触。吉田が眞杉を交わして2人で上位入線も、菅田の落車で眞杉は審議対象。自身のGI制覇よりも、盟友のことが気がかりだった。
「眞杉が締めているのがわかった。落車があって眞杉が失格だったら、また(自分が失格した)オールスターの時みたいな感じになっちゃうと。それだけは嫌だと思って、自分の確定より眞杉が失格してないかが気になりました」
セーフ判定で眞杉とのワンツーが結実。これ以上ない2度目のGI優勝になった。
「(競輪祭を獲った)前回は忘れちゃいました(笑)。(眞杉は)全日本選抜も頑張ってくれたし、今日(決勝)も勝負権があるところまで連れていってくれた。仲間に助けられて勝った。うれしいですね」
単騎だったGI初優勝を忘れるはずもなく、吉田はこう振り返った。眞杉は2月全日本選抜の決勝でも、吉田を連れて先行策。その気持ちに結果で応えることはできなかったが、関係性はより深まっていった。
「(眞杉とは)本当に、上下関係がないような。向こうもなんでも話してくれるし、そういう間柄ですね。今回、獲らせてもらったんで、こういう前後で走れるように、僕がもっと強くならないといけない。自信をもって眞杉の前を回れるようにならないといけない」
かつての平原康多、武田豊樹がそうであったように。2人が流れを受け継いで、関東を盛り上げていく。
5番手まくりの眞杉匠は、菅田との接触でスピードが鈍ったが2着。
「(接触して)ブレーキがかかりました。(吉田との)ワンツーはうれしいけど、あの展開をモノにできずに悔しい。あれで一気に止まってしまった。でも、本当に(吉田)拓矢さんに獲らせてもらったから、いまがあるんで、そこは良かった」
すんなり4番手の古性優作だったが、仕掛けられず最後はアクシデントを避けて3着。「めっちゃ迷いました」と、言うように、逡巡しながらのレースになった。
「ジャンで菅田さんのところに追い上げるか。(阿部)力也さんとハウス(接触)して、新山君が駆けていった。それで口が空いて結構、脚にきた。ふさわしくないっすね。日本選手権に。力不足です。年々、キツくなってきています。まだまだ3歩、4歩、5歩、ちょっとじゃない差がある」
次回のグレードレースは、開設75周年平塚記念「湘南ダービー」が5月10日~13日の日程でナイターシリーズとして実施されます。
注目のV争いは南関勢が質量ともに圧倒的にリード。エースの郡司浩平を軸に、和田真久留、松井宏佑とそろった地元勢から優勝者が出る可能性が高いとみるのが順当と言えるでしょう。阻止するなら新SS班らしい走りを披露している犬伏湧也が一番手となりそうですが、果たしてどうなるでしょうか?
4月25日時点の出場予定選手データを分析した、平塚競輪「湘南ダービー」の主力メンバー及び狙い目選手を紹介する「プロスポーツ号外版」は以下をクリックしてください。
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注目のV争いは南関勢が質量ともに圧倒的にリード。エースの郡司浩平を軸に、和田真久留、松井宏佑とそろった地元勢から優勝者が出る可能性が高いとみるのが順当と言えるでしょう。阻止するなら新SS班らしい走りを披露している犬伏湧也が一番手となりそうですが、果たしてどうなるでしょうか?
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