『第62回日本選手権競輪(GI)レポート』 3日目編
 
配信日:3月5日


 第62回日本選手権競輪は3日目にしてようやく晴天に恵まれた。今日は7レースからの二次予選5個レースで、準決勝への勝ち上がりを争ったが、レースは波乱の連続。小嶋敬二、佐藤友和に山田裕仁ら錚々たる顔ぶれが準決勝進出を逃した。明日は二次予選残りの2レースに、ゴールデンレーサー賞で準決勝進出の27名が決まる。
 日替わりでゲストを招いてBBイベントステージで開催中のタレントゲストステージ。明日(6日)は近藤昭仁氏、有田修三氏と伊藤克信氏を招いて、8レース発売中に行われます。シリーズをとおしてのイベントも引き続き開催されます。明日もぜひ岸和田競輪場へお越しください。


<1R>
伊藤正樹選手
伊藤正樹選手
   負ければ帰郷のピンチに立たされるレースで伊藤正樹(写真)が魅せた。中団の友定祐己の先まくりで、目標の金子貴志の巻き返しは不発。それでも直線では出色のスピードでゴール線を駆け抜けた。
 「スピードをもらえたし、金子のおかげです。引いたときにそのまま行かれたら(キツい)と思ったけどね。昨日も軽く走れたし悪くなかった。今日は1着しかないと思って走ってたから、これで最終日までいられるかな」
 先まくりを打った友定祐己だが「後ろに差されるのはしょうがないけど、ワンツーは決めたかった。出切ったスピードは良かったけど、そこからがイマイチですね」。3着に敗れてしまった。


<2R>
中川誠一郎選手
中川誠一郎選手
   矢口啓一郎、菊地圭尚、中川誠一郎の自力型3車の激突は、中団を取った中川誠一郎(写真)が落ち着いてまくり追い込み、シリーズ3走目にして白星を手にした。
 「初手は前を取りたかったし、後ろ攻めは予想していなかったけど巧く中団を取れました。バックで出ようとも思ったけど、矢口君のかかりも良かったので行けなかった。菊地君が来ていたら無理矢理でも出たけど誰もきていなかったんで、落ち着いて自分のタイミングで仕掛けました。最後は前がタレたんで1着に届いた感じです」
 矢口の三番手から戸邉裕将が差し脚を伸ばして2着に入る。
 「矢口君は掛かっていたし、後ろから誰もこなかったね。自分は三番手だから内を締めることに専念していた。外を踏むと後ろから割られるから、前には悪いけど自分が中を割るしかなかった。十文字君は前を残し気味に踏んでいたんで自分が伸びました」


<3R>
荻原尚人選手
荻原尚人選手
   後ろ攻めから一度三番手に入った飯野祐太が濱田浩司の動きを上手く封じてまくりを決めた。
 「作戦どおりですね。昨日は見すぎて失敗したけど、気持ちを切らさずに走れました。3人で決まれば一番良かったけど、僕の感じは悪くない。次も頑張ります」
 山崎充央のけん制をしのいで飯野を追った荻原尚人(写真)が2着。しかし、レース後は反省の弁ばかりが口を突く。
 「飯野は脚があるし、スピードが落ちなかった。2センターで山崎さんに振られたのを見ながらだったけど、まずはしっかり付いて行ってればワンツースリーまで決まったと思う。自分のことばかり考えすぎた。ちょっと甘いですね」


<4R>
小林大介選手
小林大介選手
   七番手まくりを打った松岡健介の番手に飛び付きを狙った小林大介(写真)が、松岡をブロックした高木隆弘のインコースをすかさず突いて頭まで突き抜けた。
 「内に入ったのも初めてですから。みんなに『ニュー大ちゃんだね』って言われました。松岡君の番手に飛びついたら、ブロックした高木さんが僕の前まで来たので吸い込まれるように内に入りました。今回は来る前にヒザを痛めて勝てるわけがないと思ってた。早く帰りたいなってくらいの気持ちだったけど、一走してから稲村(成浩)さんに『こういうところで活躍するから面白いんだ』って言われて、できるだけ長くいたいって気持ちになった。でなきゃ昨日も9着してたと思うし、やっぱり気持ちは大事ですね」
 一次予選敗退で気落ちもあった松岡健介だが、一番人気に推された責任感で力強いまくりを見せた。
 「気落ちはあるけど、人気になってたから敗者戦でもしっかり走らないとと思ってました。栗田くんがもっと駆けると思ったら、流してるからどんどんタイミングが狂ってしまった。もっと早めに踏んでればライン3人で決まったのに。高木さんのブロックを気にしてもの凄い外を走ってしんどかったけど、状態は悪くない」


<5R>
内藤宣彦選手
内藤宣彦選手
   主導権は柴崎淳…との予想が大半だったが、駆けたのは市田佳寿浩。緩急を付けるテクニックで3着に粘り込んだ。
 「(渡辺)十夢とは一緒に練習しているし、今日同じレースになったので二人で頑張ろうと話していたんですけどね。走る前に『今日はやるぞ』と(十夢に)声を掛けたんです。だから、先行は覚悟の上でしたよ。彼が失格したのは残念だけど、2コーナーで入られたのが失敗だったね」
 1着入線は内藤宣彦(写真)だった。齋藤登志信後位から踏み込んでの快勝。
 「走る前は(アタマは)厳しいと思ってたんで、まさか勝てるとはね。1着を取って言うのも何ですけど、今回は本調子からはほど遠い状態ですから。何とか最終日まで残れるようなので、それが何よりです」
 木村貴宏は好展開を生かせず思わず苦笑い。
 「いやあ、バック番手の展開なんだから、勝たないとダメですね。湊さんは緩んだら行くと言ってくれてたし、いい勢いで踏んでくれたんですが…。なかなかG1では勝てないなぁ。まだ1勝しかしてないんですよ」


<6R>
石毛克幸選手
石毛克幸選手
   6レースは石毛克幸(写真)がイン粘りを敢行。稲垣裕之の番手を奪うと直線で抜け出して村本大輔と南関ワン・ツーを決めた。
 「今回は調子が良いんで横をやる予定はなかったけど、実質二分戦でこの組み合わせですからね。誘導のペースが上がるから前が取れてよかった。一旦押さえてから飛び付くのはキツいですからね。稲垣が踏んだと思ったらすぐに流したから、一旦は横まで行ってしまった。でも、取り切ってからも脚に余裕がありましたよ。最後に村本さんが間を割ってきたのが見えたからコースを空けながら前に踏みました」
 稲垣裕之はペースに持ち込んだが末を欠いて3着に終わる。
 「粘られた中でもしっかりと結果を出さないとね。もう少し他の走り方もあったと思うけども…」


<7R>
神山雄一郎選手
神山雄一郎選手
   ここからが二次予選。このレースは藤田竜矢が先行すると、浅井康太のまくりを神山雄一郎(写真)が強烈にブロック。後続の追撃を振り切って1着でゴール線を駆け抜けた。
 「余裕はあったけど、浅井がけっこう遠くを踏んでたので(ブロックするのが)難しかったですね。藤田が頑張ってくれると僕も気合が入るし、後ろも小橋さんだからやることはやらないと。僕と藤田と小橋さんと3対1で何とか浅井をまくらせなかった。まあ勝ったから言えるんだけどね」
 浅井ライン三番手からコースを縫った村上博幸が2着に食い込んだ。
 「走る前に何通りか考えてたけど、神山さんは山田さんを持ってくかな? と思って、その辺が狂いましたね。でも、近畿は一人だったし、最後は気持ちで突っ込めた。気持ちやタイムも戻ってきたかなと思うし、準優も頑張って何とか決勝に上がりたい」
 好スピードでまくり上げた浅井康太だったが、神山のブロックの前に不発に終わった。
 「イケるなってスピードだったけど、一発で仕留められた。悔しいですけど、まだまだですね」
 3着の小橋正義は「内に差したから、しょうがないです」。これで準決勝進出は厳しくなった。


<8R>
岡部芳幸選手
岡部芳幸選手
   先行態勢に入った永井清史をホームから新田祐大が一気に叩く。内で永井の抵抗を受けながらも新田の番手から直線鋭く抜け出した岡部芳幸(写真)が1着で準決勝進出を決めた。
 「祐大が積極的に頑張ってくれた。永井も出させるつもりはないからあの展開になるのはしょうがないね。最近は成績が一息だけど、やることをやって結果を出すしかない。初日も感触は悪くなかったし、競輪祭よりは戦える状態にあると思う。準決勝は祐大の分まで頑張ります」
 最終バックではどん尻に置かれた新井秀明だったが、巧みなコース取りで2着態勢だった山口富生を1/8輪捕らえた。
 「ゴチャついてくれればと思ってたけど、ほんとにそんな展開になりましたね。3着じゃダメなのは知ってたし、できれば2着までに入りたいと思ってました。武井(大介)は後手を踏まない選手だし、安心して付いてたけど展開が向いてますね」
 新田に出切られながらも内で必死に抵抗した永井清史だが、4着で準決勝進出を逃す。
 「ホームで見えてから踏んだけど、ダッシュ系が相手だとあそこは踏んどかないとダメですね。内にいてももっと伸びて行ければよかったけど」


<9R>
山内卓也選手
山内卓也選手
   吉田敏洋が初日に続き堂々の逃げ切り勝ち。ジャン過ぎに先頭に立つと、ペースで敵陣をかく乱。格上の佐藤友和を不発にさせた。
 「誘導のペースが上がるし、初手で中団が取れたことで気持ち的に楽になりましたね。連日、自分の力以上のものが出せている。ここ数年は二次予選突破が難しくなっていたけど、気持ちだけは切らさないようにと頑張ってきた甲斐がありました。最近、急に状態が良くなってきたし、この良い流れを準決勝で切らさないようにしたいですね」
 山内卓也(写真)は交わせず2着。
 「吉田は強いよ。今日はいつも通り駆ける作戦だった。どんどん掛かっていく感じで、2コーナーでもうまくられないと思ったから、余裕を持って遅めに抜きに行ったら吉田に強烈に踏み直された。あれだったら思いっきり踏んでおけばよかったね。でも、二人でワン・ツーが決まってよかった。ダービーは1着、3着とかで準決勝はいつもダメだったから、準決に行けて嬉しい」
 佐藤友和は後方不発に終わる。
 「良い展開ではなかったけど想定内でした。ただ、(荒井崇博が)誘導を早めに斬るとは思わなかったけどね。だた今日は展開云々ではなく、ギア(3.67)が俺の脚質に合っていなかったし選択ミス。流れてはいるけど、自分で踏み上げている感じがしない。次は変更します。今回はお客さんには迷惑をかけたけど、落車後だし、ギア、セッティングと色々試していかないといけないので。明日以降も微調整していきます」


<10R>
紫原政文選手
紫原政文選手
   小嶋敬二が不発に終わる最悪の展開となってしまった加藤慎平だが、すぐさま番手に斬り込み、返す刀で突き抜け1着。まさに面目躍如のレースとなった。
 「桐山のかかりが良かったので、小嶋さんのパワーが生かし切れませんでしたね。中村さんも脚があるから、良い感じで止められちゃいました。ただ、その瞬間に体が反応した。特別の勝ち上がりなんで、危ないコースだとは分かっていたんですけど行かせてもらいました。今日は冷静に走れました。小嶋さんが残念でしたけど、坂上先輩はよく突っ込んでくれました。状態としては、納得はできないんだけど車が伸びてくれるって感じです。腰が痛いのは毎年のことですからね。西王座を勝って、なぜか嬉しさよりも、まだここではないと思ったので、それがモチベーションになっています」
 紫原政文(写真)もまた苦境を乗り越えた。
 「(北津留)翼もふわっと浮いたところでしたから、何とかしないととは思ったんですが、慎平が斬り込んでいったのが見えたんで、内は考えてませんでした。とにかく外で力を出し切るだけだったね。普段から自力の練習をしているのが出ました。3着と4着じゃまったく違いますから。嬉しいですよ」


<11R>
五十嵐力選手
五十嵐力選手
   五十嵐力(写真)が山崎芳仁をまくる大金星を挙げた。レースは菅原晃が流した所を山崎が叩いて先行。菅原が飛び付いてもつれた外を五十嵐力がまくり、直線で山崎を捕らえて1着となる。
 「山崎が叩く前に菅原が先行すると思ったんだけどね。ああなったらとりあえず自分も仕掛けるしかないでしょう。山崎は後半になると掛かってくるタイプだからまくれるとは思わなかったし、とりあえず行ける所まで行こうと思っていた。(鈴木)誠さんとワン・ツーが決まってよかったし、山崎をまくれて自信になりました」
 五十嵐マークの鈴木誠が2着に入る。
 「五十嵐も強いけど、逃げているのが山崎でしょう。2センターくらいで止まると思ってたし、内に下りる準備をしていたら行ってしまった。すんなり付いていけば交わせていたかも」
 山崎芳仁はまくられたが3着に踏み止まり、準決へ首の皮一枚つながった。
 「本当だったらニュートラルに入れて回していくんだけど、後ろがゴチャついたのが分かったんで、後ろを見てから一旦バックを踏んで、有坂さんが付いたのを確認してからもう一回踏み上げていく感じだったからスピードに乗せ切れなかった。後ろに気を遣った分、カマしたスピードを殺してしまった。調子自体は悪くない」

↑ページTOPへ

 
情報提供:日刊プロスポーツ新聞社
写真撮影:日刊プロスポーツ新聞社 Takuto Nakamura
COPYRIGHT(C) JKA, All Rights Reserved.