『第64回日本選手権競輪(GI)レポート』 最終日編
配信日:3月6日
ついに6日間の長丁場が決着した。名古屋競輪場で開催されていた第64回日本選手権競輪は圧倒的な強さを見せていた長塚智広、90期勢の台頭、そして市田佳寿浩が前回りとなった近畿勢ががっぷり組み合う激しい決勝戦となった。残り2周で市田が落車するハプニングがあったものの、冷静に組み立てを変更した村上義弘が平成15年オールスター競輪以来となるG1タイトルを獲得。詰めかけたファンの大歓声を浴びた。
決勝戦ダイジェスト
最内枠の山口幸二がスタートを制して近畿勢を迎え入れる。市田佳寿浩-村上義弘-山口。中団に長塚智広-兵藤一也-太田真一が構え、鈴木謙太郎-山内卓也に松岡貴久が続き周回を重ねる。
青板3コーナー過ぎから鈴木は上昇を始め、赤板手前で誘導員を下ろす。鈴木-山内、松岡と出切るが、4番手に下げた市田を長塚が外から押し込んで市田は赤板で落車。目標を失った村上は2コーナーから長塚ラインをすくって内を進出。打鐘前には山内の横まで行くが一車下げる。単騎の松岡は車を引き代わって長塚が外を追い上げるが、村上が長塚をけん制し3番手キープ。鈴木の先行で最終回へ。
主導権を握った鈴木に山内が追走。村上-山口が続き後ろは切り替えた太田と長塚で併走となり、兵藤、松岡。太田は長塚にキメられ後退。2コーナーで松岡が最後方からまくりを打つと、村上も3番手から発進し最終バックを通過。
山内は止められずまくった村上-山口が逃げる鈴木を4コーナー手前でとらえる。村上ラインに続いた長塚は、松岡を弾きながら外に持ち出し直線へ。山口は追走いっぱいで、村上がスピード保ちゴールを駆け抜け優勝。2着に山口、長塚に離れ気味だった兵藤が、追いつきざま中を伸び3着。
表彰式
胴上げ
ゴール
<1R>
ダービー初挑戦の藤木裕が連日の主導権取り。中団キープに成功した
五十嵐力
が最終バックからまくり発進。望月永悟、村本大輔まで引き連れてライン決着を決めた。
「最終日に勝ててホッとしました。今回は静岡記念、高松記念と続いて日程がハードで練習不足でしたね。練習の貯金がなくなってきました。自分は練習をしないと結果が出ませんから。この後は少し日程が空くのでしっかり乗り込んできます」
<2R>
川村晃司選手
川村晃司(写真)
の表情に生気が戻った。中団3番手を冷静に確保し、鮮やかなまくりで後続を引き離す。
「今日は2車のラインだったら出させるつもりでした。成績が上がってから初めて迎えるダービーだったので、もう少し頑張れると思ったんですが、初日は本当に悔しかった。完全に組み立て失敗でしたね。気を取り直して次に向かって気持ちを切り替えます」
<3R>
藤原憲征選手
藤原憲征(写真)
が執拗なレース運びで勝った。桐山敬太郎の先制にまずは中団確保。カマした菅原晃にはインから3番手へ割り込み、最後はまくり追い込みで前団を飲み込んだ。
「中川(誠一郎)君が内に差し込んで、少しは楽になった。菅原君はカマす形で有利。自分は平面ダッシュになったから苦しかった。先行も覚悟した上でのレース。負け戦で心底は喜べないけど、次もしっかりと戦えそう」
山田裕仁
は桐山マークで共倒れに終わってしまった。
「ホームで菅原君に飛びつくかなと思った。ズルズル一緒に下がった時点で、今日は苦しくなった。ダービーを振り返って? 2次予選が全て。戦いづらいメンバーだった。カマすラインに乗っていこうか、色々と展開を想定したけど、一瞬の判断ミスで負けた。競輪祭の9着続きでリズムが崩れたけど、4月からは良い流れで戦える。岐阜でオールスターがあるし気持ちを切替える」
<4R>
濱口高彰選手
脇本雄太が打鐘から積極的に駆けて、佐藤友和のカマシを許さず。しかし近畿勢を追走した安東宏高がバックからまくりを打ち前団がもつれると、金子貴志の仕掛けに乗った
濱口高彰(写真)
が中コースを踏んで1着締め。「動きの早いレースの中で自分が一番脚を溜める事が出来ました。若い人たちは慣れない6日制で疲れていたみたいだけど、自分は最終日が一番楽でした」と笑顔で振り返る。
石毛克幸
は後方で脚を溜めてまくりに賭けたが、頭までは届かず2着。「6日制は疲れますね。展開が良かったからモノにしたかったけど…」。
バックでまくりを見せた
安東宏高
は5着に終わったが見せ場を作り満足気だ。
「あのまま3番手にいてもつまらない。被って終わるのは嫌だから仕掛けました。ただちょっと踏む距離が長かったですね」
<5R>
東口善朋選手
近畿コンビが主導権を握ると後続の反撃を許さず。
東口善朋(写真)
が渾身の差しで最終日を白星で飾った。
「2走目の落車は擦過傷程度でした。痛みはあるけど、気持ちでカバーできた。走って良かったですね。それにしても中村さんはさすがですね。ここというタイミングで仕掛けてくれた。小嶋さんのまくり追い込みが怖かったけど、止まっている気配があったので、うまく張りながら踏めました」
<6R>
永井清史選手
西川親幸
がゴール前で鮮やかに大外を突き抜けた。2次予選を除きシリーズ3度目の連対は、眼前で展開された永井清史を巡っての競りに、冷静に対処した結果。最終2センターで4番手通過から、志智俊夫に競り勝った小野大介の外へコースを求めて、「脚がいっぱいで余裕はないけど、集中だけは出来ていた。要所で反応が遅れて、それが逆に良かったかも。次は玉野記念。間隔は少しだけど、しっかりと調整して臨みます」。
永井清史(写真)
は未勝利でシリーズを終えた。押さえ先行で石丸寛之のまくりを封じたが、2着と僅かに末脚を欠いて「直前の練習中と、名古屋に来て練習して少し踏み応えが違っていた。それで、セッティングをいじったのが裏目に。毎日いじっていじって、それが最終日の今日にやっと少し当たりが出てきた。ダメだった原因は分かっている。次までには何とか…」。
<7R>
阿部康雄選手
地元ダービーを未勝利のまま終われない吉田敏洋が打鐘で前に出るが、坂本健太郎が叩く激しい流れになる。混戦を見据えた木暮安由が早めにまくり出て、木暮マークの
阿部康雄(写真)
がチョイ差しを決めた。「終始木暮に離れ気味。最後の最後で追いついて何とか交わした感じ。木暮が良いタイミングで仕掛けてくれたのが勝因ですね」。
木暮安由
は「良いタイミングで仕掛ける事が出来たけど、ちょっと距離が長かったですね。押し切れないのは仕方ないし、練習してきます」
4・08のギア倍数を実戦初投入した
坂本健太郎
は「重くはなかったけど、まだ踏み方がイマイチ。久し振りに先行したけどキツかったですね。でも中部を代表する吉田(敏洋)さんを叩いている訳だし悪くないですね」
<8R>
岡部芳幸選手
目標の渡邉一成がまくられる苦しい展開となったが、瞬時に自力を繰り出した
岡部芳幸(写真)
が快勝。
「今年これが初勝利ですよ。渡邉一成君が頑張ってくれたけど、後ろで見ていて苦しそうだったし、渡邉晴智君にも任されていたので、何とかしようと必死で踏みました。勝てたけど苦しかったですね。もう少し脚をつけてこないと勝負にならない」
諸橋愛
が3着に突っ込む。
「今日は朝から体が重くて大変でした。昨日の疲れが抜けなくて、アップの段階ではやばい感じでした。何だかんだで3回も確定板に乗れたのは評価できると思います。これからは地元の親王牌に向けて体を作っていきたいですね」
<9R>
海老根恵太選手
海老根恵太(写真)
が一昨年MVP男の貫禄を示した。逃げた松坂洋平にマーク。巻き返した深谷知広のインへ差し込み、最終2角から力強く踏み込んだ。僅差で深谷に先着し「勝つには勝ったけど、今日は対応が難しかった。松坂君のスピードが上がり切る前に深谷君が巻き返してきたから、オレは苦しかった。あっちは、山降ろしも効いていたでしょ。今シリーズ、調子は悪くなかったけど、準決勝はダメなレース。1周ぐらい逃げられるぐらいの脚を作ってこないと良い勝負が出来ない、強気に攻めようと思えなかったし。岸和田記念まで間隔が空くし、しっかり練習してきます」。
決勝進出を逃した地元の
深谷知広
だが、最終日にしっかりと力を出し切った。
「中団に入って立て直そうと思ったが、神山(拓弥)さんにすくわれるのも嫌なので仕掛けました。松坂(洋平)さんは叩けたけど2着では…。2月の配分が止まった影響で先行の仕方が下手になっていた。今月はあと2本走るので、感覚を取り戻して、次のビッグに備えたいです」
<10R>
平原康多選手
山崎芳仁が押さえ先行に出ると、前で受けた武井大介が飛び付き策。隊列が短くなった所を坂本亮馬がまくり、更にその上をまくった
平原康多(写真)
が1着でシリーズ不発のうっ憤を晴らした。
「準決の後、ハンドルをいじったら感じが良くなりました。流れる感じもある。亮馬がまくった上をまくっている訳だし良くなった。今シリーズはずっとモヤモヤしていたけど、最終日に勝てた事で、ホッとしました」
2着の
園田匠
は「亮馬のまくりが良いタイミングだし、2人で決まると思った。まさかその外を行かれるとは…。平原が強かったですね」。
最終日は7着に終わったもののシリーズを大いに盛り上げたのは
白戸淳太郎
だろう。
「2月の大宮からシューズを換えて、すぐ結果が出たけど、F1だし自信も持てなかった。けどG1の舞台で2勝出来た事で確信を持てました。これからはレースに行くのが楽しみです」
<11R>
山口幸二選手
鈴木謙太郎選手
村上義弘の7年ぶりタイトル獲得に沸いた決勝戦。2着の
山口幸二(写真)
は実の弟のように可愛がる村上義弘の優勝を素直に喜んだ。
「村上はさすがだね。普通の選手なら、目標の市田(佳寿浩)が落車した時点で構えてしまう。そこで考える事なく前々に踏んでいく姿勢が凄い。そのお陰で3番手も取れたし、良いタイミングで仕掛けてくれた。(まくりは)凄いスピードだったね。差せる感じは全くなかった。今年はスタートの小倉でいきなり落車だったけど、ダービーで結果が出てよかったです」
3着には長塚智広の内を突いた
兵藤一也
が飛び込んだ。「3着じゃダメなんだよな…。コースも見えていたしチャンスだと思ったけど。残念です」。
4着の
松岡貴久
は「長塚さんが邪魔になってしまった感じです。ダービー決勝の雰囲気はいいですね。お客さんが多くて、動物園のパンダになったみたい。この経験を来年の熊本ダービーで生かしたい。それまでにしっかり練習するだけです」。
最終バックのハコ展開を生かせず5着に終わった
山内卓也
は「バックでは夢を見ました。この経験が次のビックで生きる筈だし、諦めないで頑張っていきます」。
赤板からレースを動かした
鈴木謙太郎(写真)
は6着。レースを振り返り「準決みたいな展開に持っていきたかったけど…。マイペースで駆けられたし、2センターまで持った。この経験は絶対に生きてくるはず。来年は得意な九州地区の熊本ダービー。そこを目標に練習するだけです」。
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情報提供:日刊プロスポーツ新聞社
写真撮影:日刊プロスポーツ新聞社 Takuto Nakamura
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