『第68回日本選手権競輪(GI)レポート』 4日目編

配信日:3月20日
 第68回日本選手権競輪は後半戦となる4日目に突入した。二次予選の残り2個レースにゴールデンレーサー賞をメーンに熱戦が繰り広げられた。ゴールデンレーサー賞は新田祐大が鮮やかなまくりを決めて快勝した。明日は佳境の準決勝3番勝負。ベストナインの座を巡って激しい戦いが繰り広げられる。また9レースにはガールズケイリンコレクション京王閣ステージが争われる。
 明日5日目はずんのお笑いライブにケラケラのライブ、さらにガールズケイリンの高木真備選手と競艇の富樫麗加選手のトークショーが予定されています。ぜひ京王閣競輪場でお楽しみください。

指定練習をするガールズレーサー
指定練習をするガールズレーサー
決戦を前に笑顔で集合
決戦を前に笑顔で集合
ゴールデンレーサー賞 レース経過
 けん制気味のスタートから浅井康太が出て前受け。浅井には金子貴志が続き、以下は新田祐大―成清貴之、平原康多―武田豊樹―木暮安由、川村晃司―大塚健一郎で周回を重ねる。
 赤板周回を迎え、川村が上昇を開始。川村は中団外で平原を警戒の後、2角からスパート。合わせて踏み出す浅井を打鐘3角で叩いて先制する。浅井は下げ、川村ラインを追ってきた平原と3番手が併走となりかけるが、平原は位置を取りにはいかずホーム手前から発進。一気に加速した平原は2角で川村を叩き切るが、武田は踏み出しで口が空きかけた上に、大塚のブロックを受けて離れてしまう。武田はすぐに立て直し、独走状態の平原を懸命に追ったが、関東勢の動きに機敏に反応して続いた新田が2角まくりで飛んでくる。バックで並びかけてきた新田を、武田が止めに行く。しかし、これを問題にしなかった新田は2センターで平原を捕まえた。このまま新田が押し切り快勝。追いすがった武田―木暮が2、3着に。


ゴール
ゴール
新田祐大選手
新田祐大選手
<1R>
筒井敦史選手
筒井敦史選手
 赤板過ぎに前を押さえた矢野昌彦が主導権。6番手に下げた稲毛健太が最終ホームからカマすと、合わせて筒井敦史(写真)がまくる。3コーナーで矢野を捕らえると、後続の追撃を振り切って1着。検車場に戻ってくると「奇跡が起きた(笑)」と満足そうに振り返った。
「出切っていっぱいいっぱい。直線に入る前からきつかった。稲毛が先手を取ったら番手にいこうと思ったけど、まくりと両面で考えていました。あれで行かれれば、稲毛のまくりに飛び付くしかなかったですね。押し切れると思わなかった。ワンツーではなかったけど、(三宅)達さんも入ってくれてよかった」
 三宅達也は3コーナーで兵藤一也にからまれて3着。岡山ワンツーを逃し悔しそう。
「2着になれなかったのは、僕が未熟だった。ああいうところを付いていかないといけない。(筒井が)あれだけ行ってくれたのにもったいないです。いろいろ変えてるんでこれから研究していきます」

<2R>
吉田敏洋選手
吉田敏洋選手
 前受けした濱田浩司が上原龍を突っ張り、両者でもがき合う展開に。こうなっては展開は中部勢のもの。吉田敏洋(写真)が間合いをはかってスパートすると、スピード良くひとまくり。ラインで上位を独占した。
「上原君に蓋されたけど、前がもつれたんでね。ああなったんで構えて。もう1回走れるの? よかった。3走しかできないのは悲しいからね。よかったです」
 笠松信幸は最後、濱口高彰に詰め寄られるも辛うじて2着を確保した。
「(2日目に)落車したけどそれは大丈夫です。前回(玉野記念)はよかったけど、今回1走目のスピードが違い過ぎて(竹内雄作に最後離れた)。あれで何だか全てが狂ってしまった感じです。何とか2着でよかった」
 濱口高彰は外を迫ったが3着に。
「笠松君は離れ気味だったけど、3人で決まったんでよかったね。浦川(尊明)君がもってきたんでちょっと構えてしまった。抜けなかったのは仕方ない」

<3R>
明田春喜選手
明田春喜選手
 水谷好宏が打鐘前で早めに押さえると、後方からの反撃はなくそのまま先行態勢へ。すると、車間を詰める勢いで柴崎淳が後方7番手からスパート。柴崎が迫ると、番手の伊藤保文がけん制に行ったが、止まらぬと判断すると番手まくりを敢行。伊藤はそのままゴールを目指したが、バックで内へ斬り込んだ明田春喜(写真)が伊藤の後ろにスイッチし、ゴール寸前で差し切った。明田は嬉しいG1初勝利。
「コースが空いてちょうどすんなり入れて上手く切り替えられた。流れも全部上手くいった。(2走目に落車したが)体は問題なかったです。G1で1勝したいと思ってたんで1着取れたのは自信にはなります。また頑張れる気がしてきます」
 伊藤保文は直線で明田に差され、悔しそうにレースを振り返る。
「(感触は)見ての通り、抜かれちゃったし。ライン2車なら番手の仕事に専念だけど、(後ろに前田がいたので)流れの中で出ちゃった」
 シンガリ負けに終わった水谷好宏だが、積極的な競走に終始した。
「自分から動いて形にすることはできました。着こそ悪かったんですけど、(次に)繋がると思います」

<4R>
香川雄介選手
香川雄介選手
 後ろ攻めから田中晴基が押さえて先頭に立つと、巻き返した相川永伍を突っ張ってもがき合う展開に。これを見た山田英明がタイミングをとってホームからスパートすると、前団をひとまくり。最後は香川雄介(写真)が抜け出して1着を手にした。
「前の方は見えなかったけど、もがき合ってる感じがしたので。待っても良い展開だったけど、山田君はホームからすかさず行ってくれたね。最後はちょっとタレたけど、柏野(智典)君も3番手に付いてるし、(山田も)3着に残る感じだったので踏ませてもらいました。(1走目の)落車はちょっとひどくて影響があるけど、昨日よりはだいぶ良くなったんで。あと1走頑張ります」
 山田英明は絶好の展開でまくったが、ゴール寸前で末を欠いて3着に。
「初日も展開が良かったし、2日目も良かったけど…。今回は調子が今ひとつですね。出切るまでがキツかった。ラインで決まったのが救いです。でも、それでも仕掛けるところではしっかり行かないといけない。負け戦でも1着を取らないとと思いながら。必死です」

<5R>
服部克久選手
服部克久選手
 打鐘で斬った五十嵐力を中村一将が押さえて主導権。後続を1本棒にして軽快に逃げる。7番手からまくった坂本健太郎は不発。最終2センターで内に進路を取った服部克久(写真)が直線で中コースを鮮やかに突き抜けた。
「緊張しました。中村さんがすごいかかってました。本当は(坂本に)付いて外にいかないとダメなんですけどね。健太郎には悪いことをしました。これがG1初勝利です。最近は戦法に迷いがあったけど、合志(正臣)さんとか九州の先輩にアドバイスを頂いて、もう少し前で自力で頑張ろうという気持ちになりました。今日は健太郎の番手だったんですが、そういう気持ちが結果につながったと思います」
 先制した中近コンビの3番手から直線で中を割った池田良は3着。
「一将さんが躊躇なく行ってくれたので、いい展開になりました。とりあえず3着に入れて良かったです。3走の中では今日が一番感触が良かったです」

<6R>
坂本亮馬選手
坂本亮馬選手
 赤板から上昇した高久保雄介が前の飯野祐太を押さえに行くが、飯野も譲らず突っ張って抵抗。一度は引いた高久保だが、最終ホーム前から再度叩きに行くも、飯野はこれも出させず。すると、この攻防を見ていた松岡貴久が2コーナー前からスパート。齊藤努に番手を取られた坂本亮馬(写真)だったが、その3番手に乗って直線外を突き抜けた。
「前に任せた結果です。後ろも前も(同地区の)先輩でガムシャラに踏んだ感じ。G1で大外伸びてるんで調子は良いです。道中は脚使わずにいけたのが大きかった。(シリーズ初勝利も)負け戦の勝ちなんでそんなに意識してなかったです。(10年の)優参に比べたら全然」
 結果、坂本とワンツーとなった松岡貴久だが、反省点が多かったようだ。
「サッと出てサッとまくれればよかったんだけど。(飯野は)突っ張るんじゃないかと思ってました。(高久保が)飛ぶのか飛ばないか分からなかったんで、行けるところから行かないとと思って。ちょっとしたことに気付けるか気付けないか。自転車とのマッチがイマイチなんで、レースで高めて修正していければ」
 高久保を突っ張りそのまま押し切るかに思えた飯野祐太だったが、直線でタレて5着に沈んだ。
「高久保が来たから突っ張っただけ。あとは自分の力不足です」

<7R>
小埜正義選手
小埜正義選手
 番手が競り合いになるなか山田久徳が後ろ攻めから早めに押さえると、後ろを警戒しながら最終ホームから本格的に踏み上げて主導権を握る。山田が軽快に逃げる一方、番手を守った坂口晃輔、中団から先まくりを放った芦澤大輔、さらに7番手から巻き返した松谷秀幸らがゴール前に殺到。横一線となったが、松谷に乗った小埜正義(写真)が直線外を伸びて1着を手にした。
「松谷君がすごく強かった。僕は最後にスピードを貰えたので。調子自体は良く分からないけど、連日前に助けられてますね」
 松谷秀幸が芦澤に付いていく形から、外を追い込んで2着に入る。
「打鐘のところで芦澤君に入られたのがよくなかったですね。僕も前を追おうとしたんですけど、うまく追い上げられてしまって。芦澤君も(番手の競り合いに)参戦するかと思ってたし、ちょっと思ってた展開と違いました。(山田久徳に)ペースで駆けられてる感じだったので、タイミングが取れなかったしキツかったですね」

<8R>
園田匠選手
園田匠選手
 古性優作と郡司浩平で打鐘から激しい主導権争いとなった。後方でじっくり脚を溜めた野田源一が最終2コーナーから前団の混戦をひとまくり。乗った園田匠(写真)が直線で鋭く差し切り、連勝を飾った。
「連日、8番手なんですけど、(野田)源さんは必ず仕掛けてくれますからね。スピードをもらえたので勝つことができました。源さんのおかげです。初日がもったいなかったけど、今回はやっぱり仕上がっている。残りも全部勝つつもりです」
 野田源一は圧巻のスピードで前団をひと飲み。九州コンビで連を独占した。
「こういう展開なら僕にも出番はありますからね。福田(知也)君が先にまくったんで、合わされたかと思いました。でも、サラ脚だったので、何とか乗り越えられました。あとは(園田)匠といい勝負だと思ったんですけどね。匠は仕上がってますね」

<9R>
三谷竜生選手
三谷竜生選手
 中団の天田裕輝が先に動いて前を押さえると、打鐘で外を脇本雄太が叩き、さらに石丸寛之が内を抜けていく。すると、今度は高橋陽介もカマして行き、主導権を握った。受けた脇本は3番手を確保し、5番手に石丸、人気を集めた天田は7番手に置かれ最終ホームを通過。高橋が必死で逃げるなか2コーナーから脇本がまくると、スピードの違いを見せ付けた。最後は番手絶好から三谷竜生(写真)が差し切って1着。
「脇本君に付いて行っただけです。(番手戦は)2回目なんでだいぶ緊張しましたけど。(G1の準決は)2回目です。調子自体は良いんで、明日もしっかりいけるように頑張りたいです」
 脇本雄太はゴール直前でタレるも3着に踏み止まり、準決勝進出を果たした。
「今日は(最後)タレちゃいました。上手く天田さんを後方に追いやって中団取れました。ギアは先行だけ考えるなら小さい方がいい。最後は抜かされましたけど」
 近畿コンビの後を取った石丸寛之が、三谷に続いて2着で準決勝へ。
「打鐘のところの動きがすべて。流れの中で近畿の後ろを取れたらいいなと思ってたんで。でもワッキー(脇本)はやっぱり強いね。(自分も)体も動いてるし、反応は抜群に良い。久しぶりのG1の準優なんで嬉しい」
 5着に敗れた神山雄一郎はさばさばとした表情だった。
「ああいう展開になってしまったので仕方ない。感触自体は良いので、また明日頑張ります」
 主導権を握った高橋陽介だったがシンガリ負けに終わった。
「イチかバチかのカマシ勝負だったけど、結果ペースを上げ過ぎた。しょうがないです、やるだけやりました」

<10R>
磯田旭選手
磯田旭選手
 後ろ攻めの小川勇介が押さえて前に出ると、引いた深谷知広が打鐘過ぎから一気にカマして主導権を握る展開に。小川が飛び付いて番手がもつれると、バックでは牛山貴広がまくり出て大混戦に。深谷は懸命にゴールを目指したが、牛山の3番手の磯田旭(写真)が直線外を突き抜けた。
「牛山さんが良いところまで連れて行ってくれたおかげです。今日は3着だとダメなんで、集中して走りました。G1の準決勝は初めてなので、明日はしっかり考えながら走りたいと思います」
 飯嶋則之がトリッキーな動きを見せて2着に。牛山のスピードが鈍るとバックから内に斬り込み、番手を奪った小川の内を抜けて準決勝進出。
「牛山君のおかげですよ。無理矢理でも行ってくれたし。僕は初日の方が感じは良かったかな。でも、悪くない方に近いと思いますよ(笑)」
 深谷知広は3着で準決勝行きを決めたが、ラインを連れ込めず「出し切ったけど力不足です」と言葉少な。
「今日は疲れました。粘りがないですね。初日よりは良いけど。自転車を調整しているけどしっくりきてないです」
 牛山貴広は力負けの9着に終わる。
「深谷君が駆けたらまくれないと分かってはいても、ああいう展開になってしまって…。無理矢理行ったけどダメでした」
 小川勇介は強気な攻めでチャンスを呼び込んだが、最後にツメを欠き4着で敗退。
「番手を狙っていた訳ではないです。前へ前へと思っていた結果、タイミングであの展開に。番手は取れたけど、(飯嶋が)内から来てしまい…。油断してました」

<11R>
武田豊樹選手
武田豊樹選手
 打鐘過ぎに浅井康太を制して前に出た川村晃司に平原康多がすかさず襲いかかる。平原の先行となったが、番手の武田豊樹は大塚健一郎のブロックで遅れてしまう。2コーナーから新田祐大が強烈なまくりを放つと、武田も懸命に止めに行くが、スピードの違いで乗り越える。そのまま先頭でゴール板を駆け抜け、ゴールデンレーサー賞を制した。
「(初手は)どの位置になっても主導権取るか、なるべく前の方に行っていい位置を取ろうと思ってました。平原さんのかかりがすごかったですね。武田さんがヨコもできるし、タテにも踏めるんで、ガムシャラに踏みました。ゴール前は必死でしたね。今日はこういうレースになったけど、明日はまた違うレースになるので。自分が1着を取るような走りで、ラインでワンツースリー決められるようにしたい。気を引き締めて自分の仕事をします」
 人気の武田豊樹(写真)は新田のまくりに対応できず2着。大塚の強烈なブロックが効いた。
「平原のスピードも良かったけど、大塚のブロックで遅れてしまった。新田を止めたかったけど、スピードが違った」
 関東ライン3番手の木暮安由が3着に続いた。
「前2人のおかげです。2日間休めたんで軽く感じました。(準決勝は)平原さんに付かせてもらいます」
 最終ホーム前からカマした平原康多だったが、新田にまくられ7着に沈んだ。
「あそこから無理やり行ってどこまで持つか。結果、新田にまくられたし、残れなかったのは自分の力不足ですね」

<5日目 9R ガールズケイリンコレクション>
小林優香選手
小林優香選手
石井寛子選手
石井寛子選手
 5日目の9レースはガールズケイリンコレクション2015京王閣ステージが争われる。豪華な顔ぶれだが、主役は小林優香(写真)だろう。2度目のガールズケイリンコレクション制覇へ準備は万端だ。
「しっかりここに向けて練習してきましたし、良いイメージを持って練習しようと思ってたので、男子選手ともがいたりだとかいつも通りやってきました。思いっきりやるだけだと思っています。私に有利なバンクだなと思いますし、とても良いイメージがついてるバンクです。強い人たちばかりですが自分の走りだけに集中します」
 石井寛子(写真)は地元の大一番に照準を合わせ、抜かりなく仕上げてきた。
「グランプリ終わってすぐにここに向けて目標を決めて3カ月やってきました。いつも3日目の決勝に良くなるように調整しているので、初日にピークを持ってくるのが難しかったんですが、今回はうまくいきました。仕上がっていると思います。初手の位置取りは難しいけど、中団にはいたいですね」
 梶田舞は昨年末のガールズグランプリの覇者。絶好の1番枠を生かして攻める。
「(前回静岡から)あまり時間もなかったんですけど、練習はしっかり積んでこの場に立ちたいと思ってやってきました。こんな大きいコレクションで1番車をいただいたことが初めてなので、絶対車番を生かして自分の競走をして優勝したいと思います」
 奥井迪は2月防府から12連勝で4場所連続の完全V。初の大舞台でも徹底先行の競走スタイルは崩さない。
「(前回静岡の優勝は)実力というか、運も味方しました。こういう強い肩書きの舞台は初めてなので、ここに出れるっていう喜びは大きかったですね。相手に関係なく、やることはひとつですから。気持ちは強く持ってレースを作っていきたい。迷わずに先行します」
 ガールズ1期生からただひとりの参戦となった加瀬加奈子は意地を見せたい。
「16日目までナショナルの中距離合宿があったので、調整が難しかったんですが、しっかり体のケアはしてきました。1期生が1人なのはちょっと寂しいですね。ギアは3.71に上げて、力を出し切ります」
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