『被災地支援競輪第70回日本選手権競輪(GI)レポート』 4日目編

配信日:5月3日
 静岡競輪場で開催されている今年2度目のダービー「被災地支援競輪第70回日本選手権競輪(G1)」は、シリーズも後半に突入。5月3日に4日目が行われた。V戦線を占う意味でも見逃せないメーンの「ゴールデンレーサー賞」では、原田研太朗が追い込みで勝ち星を挙げ、手に汗握る攻防にスタンドも沸いた。また、二次予選では地元の渡邉晴智が期待に応える力走から1着で準決進出を遂げた。5月4日の5日目にはファイナルのキップをかけて、準決の3個レースで熾烈な高速バトルが繰り広げられる。
 本場では開催中の毎日、「早朝予想会」、「日本競輪選手会静岡支部ブース」、「競輪自転車体験ブース(4日目~最終日まではサイクルスピリッツ)」など、様々なファンサービスとイベントでお客様をお待ちしています。また、5月4日の5日目には、「柏原芳恵」のミニライブショー、オートレースの森且行選手による公営競技トークショーなども予定されています。ぜひ、静岡競輪場へ足をお運びください。
早朝予想会で競輪談議
早朝予想会で競輪談議
諸星和己 トークショー&ミニライブ
諸星和己 トークショー&ミニライブ
日本競輪選手会静岡支部 選手トークショー
日本競輪選手会静岡支部 選手トークショー
ゴールデンレーサー賞 出場選手紹介
ゴールデンレーサー賞 出場選手紹介
ゴールデンレーサー賞 レース経過
 号砲が鳴ると、単騎の新田祐大が飛び出して正攻法に構える。初手の並びは新田、深谷知広―金子貴志―近藤龍徳、原田研太朗―大塚健一郎、稲垣裕之―園田匠、平原康多で周回を重ねる。
 青板2センターから上昇した稲垣はまずは深谷に蓋をする。単騎の平原が続き、原田もこの動きに乗っていくと、稲垣は赤板2コーナーから誘導員を下ろして主導権を握る。前受けの新田は無理せず6番手まで下げ、深谷は7番手で最終ホームを通過。稲垣が一本棒にして逃げていく中、後方が仕掛ける前に単騎の平原が最終2コーナー3番手からまくっていく。平原は好回転でまくっていくと、園田のけん制も乗り越え3コーナーで稲垣を飲み込む。だが、平原は末脚の粘りを欠き、平原を追った原田があっさり平原をとらえ、続いた大塚とワンツーを決めた。3コーナーから踏み込んだ新田が3着。深谷は仕掛けが遅く5着に終わった。

ゴール
ゴール
原田研太朗選手
原田研太朗選手
<1R>
池田良選手
池田良選手
 主導権を握った山田久徳がペースを落とすと、5番手の松谷秀幸が打鐘の2センターでカマシ気味に追い上げる。山田も合わせて踏んで逃げるが、黒田淳がようやく本来のスピードを発揮して、得意のまくりを披露。追走した池田良(写真)がゴール寸前で交わして中国ワンツーを決めた。
 「やっと展開が向きましたね。作戦は全然違ったんですけどね。黒田さんが(山田の番手に)飛び付くか、松谷さんが飛び付けばカマしに行くって作戦でした。でも、うまくまくってくれたのでよかった」
 黒田淳がようやくらしさを出して2着。
 「少しだけスカッとしました。松谷さんが打鐘で引いてきたのでヤバいと思ったんですけどね。タイミング良くいけたしラインで決まってよかった」
 3番手をキメると今度は黒木誠一をすくった松谷秀幸が、3着を悔しそうに振り返る。
 「ショックですね…。カマシにいったときに黒木さんに張られてペダルが前輪に入って…。失速した。(前回落車している)影響もあるんですかね」

<2R>
藤木裕選手
藤木裕選手
 後ろ攻めの畑段嵐士が赤板から前に出ると、徐々にピッチを上げて逃げる。前受けから8番手まで引いた河端朋之は、打鐘の2センターから反撃を開始。持ち前のスーパーダッシュで畑段をねじ伏せるも、三宅達也が離れてしまう。すると、畑段マークの藤木裕(写真)が、河端を追いかけるように自力発進。開いた河端との車間をジワジワ縮め、2センターで河端をとらえて白星を手にした。
 「初日のこともあったと思うし、畑段の頑張りのおかげです。(今シリーズは)調子は悪くなかったけど、技術的な面が不足している。近畿の若手はいっぱいいて、狙われるだろうし、今後も防げるように」
 天田裕輝は最終2コーナーから踏み上げていくも、前団をまくり切れず3着まで。
 「(河端は)出切ってすぐにタレていましたね。でも、畑段があんなに行くとは思わなかった。今回は不甲斐ない結果になって迷惑をかけたけど、気持ちを切り替えてまた頑張りたい。(状態も)落ち着いてきたと思ったけど、まだまだだった。コンディションと体調を整えて次に」

<3R>
北津留翼選手
北津留翼選手
 北津留翼(写真)を押えた筒井裕哉が岩本俊介ラインを受けて4番手。先行態勢の岩本が、腹を固めて最終ホーム手前からグングンと踏み上げる。一本棒の7番手に置かれた北津留は、じっくりとタイミングを見極め2コーナーからのまくりで前団を仕留めた。
 「前受けだったんで(筒井が)切って、(岩本が)切ったところにすかさずスイッチしたかった。だけど、誘導が残っていたりして、引くのが遅れてしまった。ホームでは風が向かっていたから、逆にあれでも良かったですね。あとはバックでスピードに乗せようと。今日は硬めのフレームに戻したんで、それもよかった気がします」
 橋本強が北津留に遅れ気味。4番手キープの筒井裕哉は、北津留を追うように車を外に持ち出し2着に追い込んだ。
 「北津留に合わせて出ようかと思ったんですけど、完ぺき遅れました。(北津留ひとりだったんで)それに救われました」

<4R>
北野武史選手
北野武史選手
 後ろ攻めから上昇した野口大誠が誘導の後ろに収まると、打鐘4コーナーから踏み込んで最終ホームは全開。うまく好位をキープした柴崎淳がまくりを決めて野口を飲み込み、最後は番手の北野武史(写真)がゴール寸前で柴崎を差し切った。
 「野口君がすんなり駆けたんで、(柴崎)淳が行けなかった時には内へと思っていたけど。行っちゃったんでね。今の(調子良い)僕で今のアイツ(柴崎)なら抜けるかなと。淳が本調子なら差せることはないから(笑)」
 まくり切って抜け出した柴崎淳だが、2着に笑顔はない。
 「車の出も良くなかったし、いい位置取れたから助かっただけ。思った以上に小指が(良くない)。練習の感じはいいけどレースになると…。力が入ってないんでしょうね。(途中帰郷は)久しぶり。悔しいし自分にイライラします」

<5R>
松岡健介選手
松岡健介選手
 荒井崇博が切った上を田中晴基が叩き打鐘を迎えるも、その上を叩いた佐川翔吾がそのまま一気にペースアップ。8番手から巻き返しを図った池田勇人だが車の進みはイマイチで、外に浮かされる苦しい展開に。佐川の番手を生かした松岡健介(写真)が有利に抜け出して今シリーズ初白星。
 「(佐川が)田中君を叩く展開が一番嫌だって言っていたけど、意外とスンナリ出させてくれましたね。(佐川は)先行でここまで上がってきた選手だしすごかった。もう少し車間を空けたかったけど、風が強かった。(内を)空けたつもりはないけど、(佐藤に)入ってこられましたね。佐藤君が入って来られるなら、他の選手も入って来れると思うので勉強になりました」
 「最後は突き抜ける勢いだったのに…」と、田中晴基マークから突っ込んで2着の佐藤龍二が悔しそうに振り返る。
 「田中さんが外を踏むのを待ってから踏んだけど、脚はめっちゃ仕上がってますよ」

<6R>
高久保雄介選手
高久保雄介選手
 高久保雄介(写真)が力強い走りでG1初勝利を挙げた。レースは高久保が赤板で押さえて前に出る。中団は内をすくった早坂秀悟、小埜正義で併走に。スローペースで打鐘を迎えると、小埜が踏み上げて先行策に出る。早坂が最終ホーム前から巻き返すが不発。2コーナーからアタックした高久保が、逃げる小埜をまくり切った。
 「(早坂を警戒していたが)違うラインが飛んできたのは予想外でした。でも、展開も(向いたし)ラインの味方(坂口晃輔)も頑張ってくれました。1着でうれしいです。良くなっているのは確実だし、ここでホンマにキッカケをつかめれば」
 単騎の松浦悠士は中近勢を追走。最後は直線で中を割って2着に入る。
 「小埜さんがいく気配は感じたので、脚に余裕を持つために目いっぱいは踏まず追走しました。中を割ったんですけど、最内(コース)でもよかったのかな。待ったぶん届かなかったです。坂口さんがうまかったし、高久保さんが強かった」

<7R>
伏見俊昭選手
伏見俊昭選手
 ハナに立っていた桐山敬太郎に、打鐘の3コーナーから中村一将が襲い掛かり、北日本コンビにとっては思惑通りの流れ。中村が叩き切ると、桐山が番手に飛び付いて前団の隊列が凝縮。最終1コーナーからまくり上げた永澤剛が前団を沈めて、伏見俊昭(写真)が余裕を持って差し切った。
 「桐山が突っ張り切るか、出られたとしても絶対に引く選手じゃないですから。そうなれば永澤に。(永澤は)1コーナーくらいから踏んで、行った瞬間行き切れるなっていうのはあった。自分も余裕があって、周りも見えていました。脚の方は一走目から問題はないです」
 「もう十分っす」とは、1番人気の車単に応えるロングまくりを披露した永澤剛
 「展開が向いた。自分はホーム線くらいから(まくりに)行ってる。そこをちゅうちょしちゃうと、行けなくなっちゃうから。もう出切っていっぱいです。伏見さんは脚に余裕がありますね。伏見さんが前を回った方がいいんじゃないですか(笑)」
 逃げる中村の番手を取り切った時にはすでに北日本勢に横を通過されていた桐山敬太郎は、切り替え3着がいっぱい。
 「あのままペースで、(中村が)来たら番手でと。自分のレースはできたけど、(番手を)取り切るのに時間が掛かってしまいました」

<8R>
三谷将太選手
三谷将太選手
 赤板前から隊列が目まぐるしく入れ替わったが、最終的に打鐘で叩いた松坂洋平が主導権を握った。高橋陽介をすくった小川勇介が好位を取ると、今度は8番手から森川大輔がまくり発進。これを中村浩士が好ブロックしたが、森川に付けた三谷将太(写真)が中村をすくって松坂後位へ潜り込む。そしてゴール前で松坂をとらえて白星を奪取した。
 「今日は目標がいたんで楽でした。うまく反応もできたと思います。松坂さんには(13年の)サマーナイトで付けたことがあったので、最後はいい具合に抜けました(笑)。ただ、競走中の接触でシューズがつぶれてしまって…。それがツラいです」
 松坂洋平は果敢に風を切って、2着に逃げ粘った。
 「後ろで中村さんも仕事をしてくれたし、僕も自分の仕事ができた。2人で確定板にのれてよかったです。(始動が)ちょっと早かったけど、最後までしっかり踏み切れました」

<9R>
渡邉晴智選手
渡邉晴智選手
 地元の渡邉晴智(写真)を軸に、南関ラインが別線に勝る強い絆を示した。インを進出して中団取りに出た阿竹智史と接触した小松崎大地が赤板の2コーナーで落車のアクシデント。先行態勢の根田空史は、落ち着いて残り1周手前から一気にペースアップ。自力に転じた山崎芳仁や中団を確保した阿竹智史の巻き返しを許さず、根田の番手から渡邉が追い込み、松坂英司が続いて南関で連独占を果たした。
 「根田と(松坂)英司が自分を強くしてくれた。本当にラインのおかげ。(緊張は)してましたね。応援もすごかった。(最後も)どうやって4コーナーを回ってきたのか…、久々にそんな感じでした。前後のおかげですね。自分の持っている以上の力を出させてくれた。あと2走頑張ります」
 「緊張しましたね。鳥肌が立ちましたよ」と、渡邉に続いて2着の松坂英司も興奮気味に汗をぬぐう。
 「余計なことをしすぎないようにとは思ってたけど、半分(渡邉の)番手という気持ちで自分の仕事をしました。小松崎君のラインにも、気持ちで勝てましたね」
 惜しくもゴール前で失速した根田空史だが、先行力でアピールして渡邉と松坂の準決進出に大きく貢献した。
 「(最後は)いっぱいになっちゃいましたね。(後ろの状況は)わからなかったですね。余裕がなかった。緊張もかなりしていたので。脚がなかったです」
 阿竹ラインの3番手から鋭く追い込んだ友定祐己が3着に入線した。
 「岩津(裕介)君が踏まないコースを行こうと思ってました。(岩津が)内に一瞬行きかけたけど外を踏んだので。あのコースしかなかったですね」

<10R>
山田英明選手
山田英明選手
 郡司浩平、佐藤友和が切った上を三谷竜生が叩いて先行策。郡司は山田英明(写真)に内をすくわれると、打鐘の2センターから巻き返す。片寄雄己が離れ単騎で力勝負を挑んだが、村上義弘のブロックもあって不発に終わる。すると、今度は後方で戦況を見極めていた山田が、最終2コーナーからまくり上げる。抜群のスピードで前団に迫り、逃げる三谷を直線半ばでとらえて1着。
 「今日は中団の組み立てから仕掛けようと。相手は村上さんなので難しかったですね。郡司君と三谷君の仕掛けでどう動くか。なるべく、出番がくるような組み立てにしようと思ったら、その通りになりましたね。(名古屋ダービーは優出を逃したので)リベンジしないと」
 小岩大介がきっちり続いて2着。初のG1準決勝進出に笑顔がこぼれる。
 「(山田が)もつれたところをすかさず行きましたね。ヒデ(英明)さんのスピードが良かったし、付いていけて良かったです。郡司君が仕掛けてくれたのも助かりました。西武園(記念)から状態も良いし、自転車のセッティングも出て気持ちも伴っています」
 三谷竜生は粘り込んで3着。しかし、勝ち上がりの選考規定により、準決勝へは進めず。
 「しんどかったですね。(準決に進めなかったのは)仕方ないです。調子は良いので、しっかりまた頑張ります」
 「難しいですね」と、レースを振り返るのは郡司浩平
 「一番仕掛けやすいとこで三谷さんを出させてしまいました。一回、(佐藤を)突っ張った方がいいのか悩みましたね。しゃくられて、位置がなくなったので、力勝負をしました」

<11R>
新田祐大選手
新田祐大選手
 赤板で深谷知広に併せ込んだ稲垣裕之が、単騎の平原康多、原田研太朗らの切り替えを誘って主導権。稲垣がレースの流れを支配する。7番手の深谷の動向を確認しながら、ペースを上げて逃げる。稲垣の掛かりもいいが、平原が後続の動きを待つことなく最終2コーナーからまくりを放つ。平原を追った原田にとっては願ってもない流れ。まくり切った平原を早めの追い込みで抜き去った原田が1着。
 「残り1周くらいから(平原が)行きそうな感じがあったんで、8割方は平原さんに任せていました(笑)。僕は深谷さんにかぶったら嫌なんで、そこだけ見ていたら、もう(平原が)行っていました。早めに抜きにいけば、大塚(健一郎)さんにもチャンスがあるし、直線に入ってからは結構踏めた感じがある。脚を使ってなかったぶん出ましたね」
 「強かった」と、原田に1車身半遅れて流れ込んだ大塚健一郎。レース後は準決に向けて、自転車のセッティングに余念がない。
 「自分はハンドルだけいじって、セッティングを変えたんですけど。あんまり良くなかった。いつものことだけど、もうちょっと煮詰めていきたい」
 前受けの新田祐大(写真)は稲垣が押えて出ると、ズルズルと下げて平原、原田、大塚まで入れての6番手。原田ラインを追って3着の新田の思惑は何だったのか…。
 「自分も引いた方がいいと。どこでも良かったんですけど。ある程度引いて、タイミングを作ってと思っていました。自分が原田君(ラインの)後ろまで引いた時点で、深谷君が行くと思ったんですけど…。人任せの結果になってしまった」
 さすがの立ち回りで難なく3番手を手に入れた平原康多は、先まくりを後続に交わされての4着。しかしながら、レース内容としては悪くない。
 「(先行が稲垣とは)決めつけてはいなかった。後ろ攻めのラインにと思っていた。あとは(一走目に)バックを踏んでたんで、今日は行けても行けなくてもぶっちぎろうと。稲垣さんは掛かっていた。あれじゃ深谷君は来れないと思います」
 特選に続く先行策で深谷をクギづけにした稲垣裕之は、クールダウンを終えると言葉を選びながら振り返る。
 「先行基本の組み立てで、自分も粘るつもりで駆けた。でも、平原君の加速がすごかったし、自分も合わせるつもりで目いっぱい踏んだ。あの加速を体感できたんで、(準決に向けて)修正をしてきたい」
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