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レース展望

 89年12月に地方の競輪場の活性化を目的に第1回大会が開催されたふるさとダービーが、誕生の地・広島競輪場でいよいよ最後の戦いを迎えることになった。山崎芳仁と佐藤友和の2大先行を擁する北日本勢が中心となるが、銅メダリストの永井清史や武田豊樹らの抵抗も侮れず、有終の美を飾るにふさわしい激戦が繰り広げられるだろう。

ふるさとダービー誕生の地で最後の戦いが始まる
伏見俊昭を中心に北日本旋風が再び吹き荒れる

 山崎芳仁と佐藤友和の2大先行型を擁する北日本勢が強力で、北日本の番手が指定席の伏見俊昭が優勝に一番近い男といえる。
  山崎と佐藤以外にも北日本には渡邉一成や飯野祐太らの機動力型が揃っているので、勝ち上がり戦で伏見が目標に困る心配はまずない。一宮オールスターでは初日ドリームこそ関東勢の後塵を拝してしまったが、予選2は渡邉の番手、準決勝は佐藤の番手、そして決勝戦では山崎の番手からの3連勝で4年ぶりのGⅠ制覇を達成している。
  仮に目標が不発の展開になっても、伏見自身が機動力を発揮して勝機を掴んでくるはずで、司令塔・伏見を中心に広島の地で再び北日本旋風が吹き荒れそうだ。
  もちろん王者・山崎の堂々の押し切りもあるだろうし、佐藤のビッグレース初優勝も十分に狙える。佐藤は落車による左肩脱臼で長期欠場を余儀なくされたが、7月に戦線復帰してからは順調な回復ぶりを見せ、9月・函館FⅠ優勝、オールスターで優出と本来のリズムを取り戻してきた。
  今回も決勝進出が期待できるし、組み合わせによっては山崎との別線勝負もありうる。オールスターでは山崎の先行に対して何も出来ずに終わったが、同じ轍を何度も踏むわけにはいかず、山崎との再戦が実現すれば攻めの走りで一発を狙ってくるだろう。
  北日本勢に真っ向勝負を挑むのは武田豊樹だ。武田は寛仁親王牌、サマーナイトフェスティバルと立て続けに落車してリズムを崩したが、8月・四日市記念、9月・向日町記念で連続優出を果たして急速な回復ぶり見せていた。
  そしてオールスターでは準決勝Aで惜しくも4着と敗れたが、次場所の取手記念では地元ファンの期待にきっちり応えて2度目の地元記念優勝を飾っており、体調面での不安は完全に払拭された。
  武田はまだビッグレースでの優勝がないが、連係実績豊富な神山雄一郎や手島慶介らの援護を受けながら、優勝の2文字に向けて執念の走りを見せてくれるだろう。
 
伏見俊昭選手
伏見俊昭 福島・75期
 
山崎芳仁選手
山崎芳仁 福島・88期
 
武田豊樹選手
武田豊樹 茨城・88期
永井清史が銅メダリストのスピードを見せつける
快進撃の続く渡部哲男がビッグ初優勝を狙う

 北京五輪のケイリンで銅メダルを獲得した永井清史がパワーアップして帰ってきた。
 復帰戦のオールスターでは準決勝Bで敗れたが、予選1は7番手からの豪快な捲りを決め1着、予選2は逃げて3着に粘り加藤慎平の1着に貢献と、北京五輪に向けての厳しいトレーニングが競輪でもしっかりと実を結んでいるのは確かだ。今回の中部勢はやや手薄だが、永井がグングン引っ張っていけば台風の目になる可能性は十分にある。
  中部では柴崎淳も好調だ。8月・奈良FⅠで完全優勝を達成すると、次場所の四日市記念で初優出を決め、決勝戦は山口幸二の絶妙なアシストを受けて中団を確保し、武田豊樹の先行を捲って記念初優勝を達成している。9月・富山FⅠも完全優勝と乗りに乗っており、寛仁親王牌に続く2度目のビッグレース出場となる今回も、勢いに乗っての大活躍が期待できる。
  地元・中国勢の頑張りにも注目したい。前反祐一郎は近況は勝ち星に恵まれず低調だったが、9月・広島FⅠでは石丸寛之の捲りをきっちり差して今年初優勝を飾っている。準決勝はバック6番手で内に詰まる苦しい展開だったが、インを突いての直線強襲で2着に届いており、今回も地元3割増しの好走が十分にありそうだ。
  石丸寛之は相変わらずの鋭い捲りで安定した成績を維持しており、8月・高知FⅠで今年3度目の優勝を飾っている。捲りのスピードに関してはトップクラスに匹敵するものを持っているものの、ビッグレースではどうしても準決勝の壁を突破できず、いまひとつ殻を破れないでいた。しかし、今年は2月・西王座戦で優出、サマーナイトフェスティバルでも決勝進出を決めており、地元地区でのビッグレースで今度も決勝への勝ち上がりが狙えそうだ。
  四国勢では渡部哲男が完全復活を遂げている。長らく不振にあえいでいた渡部だが、寛仁親王牌で優出して決勝3着で表彰台に上がり、7月・小松島記念では山崎芳仁、金子貴志を捲りで撃破して優勝している。
  8月・松山FⅠが完全優勝、オールスターでは準決勝Aで敗れたが、予選1が2着、予選1が1着の成績で、今年前半の不振ぶりが嘘のような快進撃が続いている。この勢いは当分止まりそうになく、今回も山崎や武田を敗ってのビッグレース初優勝が十分に期待できる。
 
永井清史選手
永井清史 岐阜・88期
 

前反祐一郎選手
前反祐一郎 広島・81期
 
渡部哲男選手
渡部哲男 愛媛・84期

北津留翼が積極果敢な走りで九州勢を引っ張る
再び上昇気流に乗った紫原政文が鋭脚を発揮

 九州勢ではやはり荒井崇博の一発が侮れない。近況は仕掛け切れず大敗が多くて成績は安定していないが、オールスターのオリオン賞は捲って2着、5日目優秀は石橋慎太郎の捲りを差して1着と調子自体は悪くない。それを裏づけるように積極的な先行策も増えてきており、9月・取手記念の二次予選Aでは松尾淳や小埜正義の若手を相手に主導権を取り切って2着に粘っている。今回も九州勢を連れての一気の飛び出しが十分にありそうだ。
  北津留翼の走りにも注目が集まる。北京五輪のスプリントでは不本意な結果に終わったが、伏見俊昭や永井清史と同様に復帰戦となったオールスターでは力強い走りを見せていた。準決勝Bでは小嶋敬二や平原康多を相手に果敢に先行して8着に敗れたが、予選2は逃げ切りで小野俊之とワンツーを決め、5日目特選でも逃げ切っている。次場所の小倉FⅠでの落車の影響がやや気になるが、今回も積極的な走りで九州勢を引っ張っていくだろう。
  荒井や北津留が積極策なら紫原政文にチャンス到来だ。今年は年頭から絶好調だった紫原も夏場に入ってやや勢いをなくしていたが、オールスターでは5年ぶりのGⅠ優出を果たし、しかも九州勢からただひとりの決勝進出ながら準優勝と健闘した。予選2では勝負どころで目標の中川誠一郎と連結が外れてしまったが、バック6番手から奥の手の捲りを放って1着に突き抜けており、今回も順調な勝ち上がりが期待できる。
  渡邉晴智も軽視できない存在だ。GⅠ連覇をした頃の勢いと比べると物足りないところもあるが、近況も高いレベルで安定した成績を維持しており大崩れは少ない。今回の南関東勢は機動力の面でやや苦戦を強いられそうだが、吉川誠や和田健太郎らの若手積極型を目標に活路を見出してくるだろうし、目標不在のレースでも強気の捌きで勝機を掴んでくるだろう。  
北津留翼選手
北津留翼 福岡・90期
 
紫原政文選手
紫原政文 福岡・61期




小橋正義の捲りに乗った井上茂徳が初優勝
 1989年に広島で第1回大会が開催されたふるさとダービーは当初は3日制だったが、1990年に再び広島で開催された第3回大会から当時としては珍しい4日制となり、小橋正義の捲りに乗った井上茂徳が1カ月前の競輪祭で全冠制覇を達成したばかりの滝澤正光を敗って初優勝を飾った。決勝戦は滝澤正光-高橋武-福田匡史、山田裕仁-武田清彦、小橋正義-井上茂徳、新田義男-中野浩一の4分戦で、九州勢の中野と井上は初手は別線となった。しかし、残り2周の赤板から小橋が上昇、続いて新田も上がっていったが中野はこれを追わず、西日本勢は新田-小橋-井上-中野の並びとなり、新田が最終ホームから先行態勢に入る。バック手前の8番手から山田が捲るが、それに合わせて小橋が番手捲りを打ち、小橋の番手から抜け出した井上が1着、中野が2着、小橋が3着だった。






直線が長めで、遅めの捲り追い込みが有効
重く好タイムが出にくく、先行選手は苦しい

 クセのない走りやすいバンクだが、重くて好タイムが出にくく、直線が長めなので先行選手は苦しい。
  カントはきつめで、直線では外寄りのコースがよく伸びるので捲りは決まりやすい。とくに3角過ぎからの遅めの捲り追い込みが有効で、トップスピードのまま真ん中のコースを通って4角をうまく乗り切れれば山おろしをかけられるので、直線で一気に突き抜けることができる。
  03年11月に開催された共同通信社杯の結果を見てみると、全47レースのうち1着は逃げが5回、捲りが21回、差しが21回。2着は逃げが3回、捲りが8回、差しが19回、マークが16回となっている。
  やはり先行は苦しく、捲りがよく決まっている。ビッグレースでは通常よりも捲りが決まりやすくなるものだが、それでも1着の決まり手では差しのほうが多くなるのが普通で、捲りと差しが同数というのはかなり珍しい。
  ちなみに、先手ラインの選手が1着になったレースは19回で、スジで決着したレースは21回だった。

周長は400m、最大カントは30度47分34秒、見なし直線距離は57.9m。バック向かい風が多く、時間帯で強弱が変化しやすい。とくに冬場は瀬戸内海から吹きよせる海風が冷たく、バンクが重くなる。直線では最内コースを突いての一気の抜け出しというケースは少なく、オーソドックスな決着が多くなっている。


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