『第1回女子オールスター競輪(GI)レポート』 初日編

配信日:8月9日

 ナイター開催で実施のガールズGI「第1回女子オールスター競輪」が宇都宮競輪場で8月8日に始まった。ファン投票上位の選手によって争われたガールズドリームレースは、児玉碧衣の先行をまくった佐藤水菜が太田りゆの追撃も許さず完勝。一次予選5個レースでは力の違いを見せ付けた梅川風子、仲澤春香らが勝ち名乗りを挙げていった。3日間の短期決戦だけに、9日は早くもシリーズ佳境。ファイナリスト7名を決する準決3個レースが行なわれる。
 シリーズは開催中毎日、餃子実演販売、ガールズケイリン×G系麺GGグルメフェス、選手会栃木支部ブース、選手応援団ブース、未確定抽選会、当たり付車券抽選会、体験型ジェットコースター、SPEEDチャンネルレース展望会&トークショー、地元選手トークショーとイベント盛りだくさん。また、9日には「りんごちゃん」ものまねライブ、ジャズライブ、選手会チャリティーオークションも予定されています。宇都宮競輪場では、みなさまのご来場をお待ちしております。また、テレビ、インターネット中継などでの観戦もお楽しみください。

第1回女子オールスター競輪 開会式
第1回女子オールスター競輪 開会式
出場選手を代表して意気込みを語る、ファン投票1位の児玉碧衣選手
出場選手を代表して意気込みを語る、
ファン投票1位の児玉碧衣選手
敢闘宣言をする荒牧聖未選手
敢闘宣言をする荒牧聖未選手

ガールズドリームレース レース経過

 見合ったスタートから大外枠の河内桜雪が押し出される形となる。道中は、河内、久米詩、石井寛子、児玉碧衣、太田りゆ、荒川ひかり、佐藤水菜の順で隊列が一度落ち着いたが、赤板手前のホームストレッチ付近から佐藤が上昇し3番手に入り、石井が4番手に車を下げる。
 打鐘2センター付近では2番手の久米、3番手の佐藤がそれぞれ前との車間を空けて後方の動きを警戒すると、石井が1車前に出て、その動きに乗る形から児玉が動いて最終ホームで先頭に立つ。児玉の動きに久米が続き、3番手が内に河内、外に石井で併走となるが、5番手の佐藤が1コーナーで一気にスパート。バックストレッチで逃げる児玉をとらえると、佐藤の仕掛けにピタリと続いた太田も出切る。先頭に立った佐藤のカカリが良く、2センター過ぎから2番手の太田が車を外に持ち出すも、4コーナーから踏み直した佐藤が太田の追撃を振り切り、ドリームレースを制した。2着は太田。先行した児玉を直線半ばで交わした久米が3着。

<7R>

小林莉子選手
小林莉子選手
 3番手の奥井迪が、前と車間を取りつつ後ろの出方をうかがう。5番手の山原さくらが、最終ホーム過ぎに仕掛ける素振りを見せると、奥井は1コーナーからスパートする。奥井が吉川美穂を叩き切り、小林莉子(写真)が追走。まくった山原は、3コーナーの山を越えられずにいっぱい。逃げる奥井を番手から追い込んだ小林が、直線で抜け出した。
 「500バンクだけど、仕掛け所はいつもの400バンクより短いので、後方にはならないようにと。(奥井の後ろは)いい位置が取れたなと。内に詰まらないように早めに踏んだけど、奥井さんが踏み上がっていってヤバいなと。直前2場所はもう少し手応えが欲しかったけど、今回は気持ち良く入れた。今節に関してはあまりセッティングは考えないようにして、今できることを精一杯やろうと思う」
 周回中に2番手の永禮美瑠は、奥井に上を行かれて4番手。前の吉川が2センターで内を踏むと、永禮は反対に外を踏んで2着まで車を伸ばした。
 「車番も悪かったし、本当は後ろの方でもと思っていたけど、奥井さんが前団の方だったので、それなら前の方がいいかなと。ジャン、ホームと後ろで奥井さんが車間を空けていたのはわかったので、一気に来るだろうなと思って準備はしていた。3コーナーの切り替えとか判断自体は悪くなかった。自分らしいレースはできたかなと。一旦この結果を喜んで、2日目も気持ちを切り替えて走りたい」

<8R>

松本詩乃選手
松本詩乃選手
 最終ホームで誘導が退避して、先頭は石井貴子。6番手から動きを見せた坂口楓華だが、一車追い上げた位置でストップ。石井はペースを緩めたままで後続は詰まり、坂口は内に差し込んでしまう。石井は2コーナーから本格的にペースを上げて、2番手は松本詩乃(写真)が追走。そのまま内々を踏んでいこうとした坂口はコースが詰まって踏み場がない。石井と若干間合いを取った松本が、詰める勢いで2センターから前に踏み込み、直線で抜け出して1着。GI初出場で、大番狂わせを演じた。
 「6番車でしたし、後方になるのはきついんで、スタートは前にいたいなと思って出ました。いつでも切り替えられるように、車間は少し空けながらでした。(感じは)悪くはなかったと思います。でも、フワフワしてました。いつも通り練習をやったけど、2日間だけ梅川(楓子)さんと一緒に練習させてもらったのが良かったんだと思います。500バンクはずっと苦手だったけど、今年はたくさん走らせてもらっているので、ちょっとつかめたのかなって思います」
 吉村早耶香は、1センターの詰まったタイミングで内を進出。3番手を確保し、直線は松本の外を迫ったが2着。
 「動く人の後ろが欲しいと思ってたんですけど、取れなかった。坂口さんと、(石井)貴子さんの動きを意識していたんですけど、みんなけん制し合って内が空いたので、そこを行きました。前が強かったし、自分の力と技術がなくて1着までいけなかった。力んで進みが良くなかったんで、もうちょっと落ち着いて走りたい。良い位置だったので、もっと楽に回せていれば」

<9R>

仲澤春香選手
仲澤春香選手
 1番車の仲澤春香(写真)はスタートを出ず、6番手からの組み立て。仲澤は、最終ホームで誘導が退避するやいなや一気にスパートする。合わせて踏み上げる青木美保を叩き切って、仲澤は2コーナーでハナに立つ。バックも先頭で通過し、後続の反撃はない。圧巻のスピードを見せつけた仲澤が、他を寄せ付けずに逃げ切った。
 「1番車だったけど、位置を上げて被るのは嫌だった。最近は6番手とか後方からの組み立てになることも多かったので、その組み立てをしていこうと。やっぱり500バンクに慣れていないので、1コーナーを上る感じですんなり叩けなかった。出切ってからは軽かったし、直線が長かったけど踏み直せる感じだった。準決勝は一つの鬼門になると思う。臆せず自分のレースをしていきたい」
 前を取った青木美保は、仲澤の番手に飛び付く。石井貴子との並走に内で踏み勝って、2着を確保した。
 「7番車なので前か後ろになるし、それなら前かなと。(仲澤が)前回のレースで早めに仕掛けていたので、今回も早めに来てくれたらなと。あとは頑張って飛び付けたらいいなと。前回もS取りからの組み立てをしていたので、それが自信になった。しっかりここに向けて調整はできていたので、いい状態で走れている。ここは優勝したこともあるし得意なバンクです」

<10R>

梅川風子選手
梅川風子選手
 3番手で前と車間を切った畠山ひすいが、最終1コーナーから仕掛ける。それを追いかけた熊谷芽緯は、畠山が前に出切ったところで間髪入れずに仕掛けて2コーナー過ぎに前に出る。熊谷を追走した梅川風子(写真)は、まくる熊谷のさらに上を豪快にまくり上げる。次元の違うスピードで先頭に躍り出た梅川は、そのまま2着以下を引き離して圧勝した。
 「(周回中は)良い位置が取れたかなと。動きたい(熊谷と、畠山の)2人が前にいたんで、悪くなかったと思います。2人がいきたい感じが出ていたので、落ち着いてスピードをもらって出られた。500バンクで仕掛けが遅くなってうまくいった試しがないので、(仕掛けの)ポイントは意識していました。疲れがある感じはしているけど、その中でもまあまあの走りができたと思います」
 那須萌美は周回中から梅川の後ろを確保。追いかけての2着だったが、悔しそうにレースを振り返る。
 「前半のレースを見て、梅川さんがまくりに構えたら厳しいのかなって思ったんですけど、それでも梅川さんの後ろからいこうと思った。もうあの位置になったら梅川さん頼りになっちゃう。(梅川は)ギアが2段も3段も上がって行ったし、多分もう1段ある。レースを走ってこんなに力の差を感じたことがないので、ショックです。バックから必死すぎて踏み方もガチャガチャになったんで、感覚としては分からないです」

<11R>

太田美穂選手
太田美穂選手
 周回中に3番手の尾方真生が、最終1センターからカマして出る。先頭の太田美穂(写真)は合わせて踏むが、尾方が出切って主導権を握る。太田は尾方と車間が空きつつも、外の永塚祐子を合わせ切って2番手に飛び付く。人気の尾崎睦は後方となって、バックは外を回すが前との距離がなかなか縮まらない。徐々に車間を詰めていった太田は、2センターで追いついたままの勢いで尾方を抜き去って、1着を手にした。
 「尾方さんよりは先に仕掛けようと思っていたけど、踏み遅れてしまった。でも、そこからはしっかり追い付けたので良かった。(尾方は)いいダッシュだったけど、差せて良かったです。4コーナー勝負というよりも先に踏めたので、そこも良かったです。応援も多くて、すごい力になりました。500バンク、特に宇都宮バンクは得意なバンク。2日目こそ踏み遅れないようにしたい」
 周回中に6番手となった尾崎睦は、なかなか後方のポジションから抜け出せない。バックから踏み上げて位置を上げると、2センターはわずかな隙間を踏んで内に進路を取る。ゴール前は太田と、尾方の間を踏んで2着にリカバリーした。
 「位置が悪かったので、(最終ホームで)動けなかったというか動かなかったというか。(尾方)真生がカマしてきていて、永塚さんが離れていたので、これは難しいなと。(苦しい展開になったが)来る前に師匠(渡邊秀明)から、500バンクはどんな展開でも巻き返しがきくと言われていたので、その言葉を信じて絶対に届くという気持ちで踏んだ。体の状態的にはよくこれているし、あとはどう気持ちを入れられるか。しっかり体と心のケアをして準決に臨みたい」

<12R>

佐藤水菜選手
佐藤水菜選手
 スタートは最後方だった佐藤水菜(写真)が、赤板で上昇して3番手に収まる。佐藤が前を車間を取ってタイミングを計るなか、5番手の児玉碧衣が、打鐘4コーナーから踏んで最終ホームで前に出る。久米詩、石井寛子が追い上げて、流れに乗った佐藤は、1センターから巻き返す。バック手前でまくり切った佐藤を、太田りゆが追走。余力を残していた佐藤は、太田の追い込みに合わせて踏み直す。鋭い加速と、強靭な末脚を見せつけた佐藤が、ガールズドリームレースを制した。
 「前方から好きなタイミングで仕掛けようかなって思ってた。7番手から上がっていこうか迷ったんですけど、結果的に思っていたような展開になりました。(仕掛けたのは)行きたくなかったけど、行くタイミングだった。バンクもギアも軽くて、もつか微妙な感じだった。でも、全力以上の力が出せたのは、ファンの方々や、いつも一緒に練習している人のおかげだと思います」
 太田りゆは、最終ホームで仕掛けを自重して佐藤の後位を確保。直線での追い込みにかけたが、佐藤との差は詰らなかった。
 「落ち着いたレースを心掛けていました。500バンクなので、ある程度のスピード域には対応できるっていう自信があるなかで、どう1着を取るかだった。(佐藤の後ろに入って)落ち着いてレースをすることができたと思います。車間を切って追い込む態勢を整えたんですけど、差し切れなかった。悔しい2着ですね。内容としても悔しいです」
 追い上げて児玉後位に飛び付いた久米詩が、児玉を交わして3着。
 「基本的に前々の方が自分のレーススタイルなので、やりやすいかなと思った。前回は(体の)コンディションが悪かったので、そこからどこまで疲れが取れているか一走してから確かめようと思っていた。余裕を感じたし、踏めている感じはあったので、状態は良いと思う。(準決は)自在選手がかなり多いし、位置取りをシビアにやって力を出し切りたい」