『KEIRINグランプリ2020シリーズレポート』 2日目編

配信日:12月29日

 “ヒトは、強い。”。平塚競輪場を舞台に開催されている輪界最大のイベント「KEIRINグランプリ2020シリーズ(歳末チャリティー協賛)」は、29日に2日目が行われた。メインの113、115期による「ヤンググランプリ2020(GII)」は、地元の松井宏佑がまくりでV。昨年3着の雪辱を遂げて、優勝賞金508万円(副賞含む)を獲得した。また、「第13回寺内大吉記念杯(FI)」の準決も熾烈を極め、ファイナル進出の9人が決まった。シリーズもいよいよ大詰め、30日の最終日には優勝賞金1億340万円(副賞含む)をかけたドリームマッチ「KEIRINグランプリ2020(GP)」の発走を16時30分に迎える。
 「KEIRINグランプリ2020シリーズ(歳末チャリティー協賛)」の開催中、平塚競輪場の入場は、新型コロナウイルス感染症拡大防止の観点から、神奈川県在住の方を対象とした事前申し込みの抽選に当選した2000人に限定させていただいています。神奈川県以外にお住まい方、抽選に当選しなかった方々は、テレビ、インターネット中継などでの観戦をお楽しみください。

ヤンググランプリ出場選手特別紹介
ヤンググランプリ出場選手特別紹介
グランプリ出場選手公開練習
グランプリ出場選手公開練習

ヤンググランプリ2020 レース経過

 小林泰正も前取りを狙うが、内枠の2人がスタート争いを制して、松井宏佑が正攻法。松井-宮本隼輔-小原佑太-高橋晋也-坂井洋-小林-黒沢征治-森田優弥-河合佑弥の並びで周回を重ねる。
 青板バックから上昇を開始した黒沢は小原にフタをしてから1センターで松井を押さえる。そこをすかさず坂井が叩いて前に出るが、8番手になった小原が打鐘からカマしてラスト1周をハイピッチで飛ばす。小原に合わせて踏み込んだ黒沢は坂井を叩けなかったが、口が空いた小林に代わって坂井後位に収まる。単騎の河合とからみながらも森田が6番手を取り切ると、2コーナー、8番手から松井が一気のまくり。離れた3番手で前を追いかける坂井や小原マークから踏み込む高橋を好回転で次々ととらえて地元開催のヤンググランプリを制した。周回中から松井後位を回っていた宮本が松井に続いて2着。松井の仕掛けを追うように2センターから持ち出した森田がゴール寸前で高橋をとらえて3着に入った。








<6R>

加倉正義選手
加倉正義選手
 赤板過ぎに引地正人を突っ張った菅原大也を林大悟が押さえて打鐘を迎える。林のペースかに思われたが、4番手から菅原が反撃に出て先行争い。最終1コーナーの入り口では菅原に出られた林だったが、コーナーで盛り返して合わせ切り主導権は渡さない。番手の加倉正義(写真)が、ゴール寸前で林を交わして1着。
 「ジャン前に叩き切ったんで、(林)大悟も少し油断していたところがあったのかもしれない。でも、全部、任せてたんで。勢い的には(菅原に)出られそうな感じだった。3番手をどかして入れてやらないとって思ってたら突っ張り切った。出切った時に大悟の息づかいが聞こえて、どうやって残すかって思ってたけど。大悟はしっかりと踏み直してましたね」
 菅原を合わせて福岡ワンツーをメイクした林大悟だが、一瞬、菅原に出られてヒヤリとするシーンもあった。
 「(菅原が叩きに来て)ちょっと慌てました。自分のペースと思ってたんで。出脚がかみ合ったんで良かった。ただ、自分もゴールまで踏めてるなかで、きっちりと1着の加倉さんは強いですね」

<7R>

才迫開選手
才迫開選手
 後ろ攻めから押さえて出た近藤隆司が打鐘で叩きにきた才迫開(写真)を突っ張って逃げる。正攻法の荻原尚人は南関ラインの3番手に飛び付いて柴田功一郎をさばく。7番手に下げて態勢を立て直した才迫が、最終2コーナーから抜群のスピードでまくって快勝した。
 「踏み合いになる感じになったので、すぐに切り替えて下げてまくりと思って。状態はいいと思う。2分戦みたいなレースは苦手ですけど形は作れたかな」
 近藤の番手で車間を空けていた福田知也だが、才迫にのみ込まれて2着。
 「内に来られるかもしれないから締めっ切りでキツかったですね。セッティングが昨日(初日)、今日(2日目)といじりながらですけど、まだ出ていない感じです。できれば1着を取りたかった」

<8R>

稲毛健太選手
稲毛健太選手
 正攻法に構えていた川口聖二が、赤板で上昇してきた鈴木庸之を突っ張る。3番手の位置を中西大と鈴木で取り合う。併走を嫌った稲毛健太(写真)は中西との連結を外して後方に車を下げる。川口がそのままピッチを上げて主導権。番手の柴崎淳が車間を空けて間合いを取っていたが、稲毛が最終1センターからまくって前団をのみ込んだ。
 「中西が内へ行ってしまったのでどうしようって…。鈴木さんは引かないだろうし難しかった。本当は付いていかないといけないけど、慣れていないので下げました」
 腰椎骨折の大怪我に苦しんでいた柴崎淳は、今シリーズが復帰戦。川口を目標に決勝進出を決めた。
 「(川口が)突っ張るとは思っていなかったですね。後ろからの仕掛けには気づかず張りながらでした。自分の感覚としては車が出てないです。変に力んでしまっているし、踏んだ感じは以前とはまったく別物ですね」

<9R>

桑原大志選手
桑原大志選手
 押さえて先頭に立った島川将貴がペースを握り、7番手まで下げた寺崎浩平は打鐘の3コーナー過ぎから踏み込む。椎木尾拓哉は寺崎の加速に付け切れない。全開の島川を寺崎が叩き切って、番手に島川が飛び付く。直線でスピードが鈍った寺崎に島川が並ぶと、桑原大志(写真)が中のコースを鋭く突き抜けた。
 「(最終)ホーム線くらいで(寺崎を)止められたら良かったんですけど、そこが僕の未熟なところでした。1センターでは(寺崎が)1人ってわかったんで、(島川が)あそこまで頑張ってくれてるんでもう1回チャンスがあればと。自分は前回の高松よりもマシですね」
 寺崎に出られた島川将貴だったが、番手から差を詰めて直線で寺崎を沈めた。
 「(寺崎よりも)着は良かったけど、力勝負で負けた感じですね。突っ張るつもりでいたんですけど、(寺崎が)思ったより来るのが早かった。あとは雰囲気で(寺崎が)1車ってわかった。今日(準決)は進みが悪かったです」

<10R>

吉田拓矢選手
吉田拓矢選手
 吉田拓矢(写真)、小川真太郎、不破将登の順で動いた上を大石剣士が最終ホーム前に叩いて主導権を握る。大石の後位に飛び付いた不破は嶋津拓弥をさばいて番手を奪取。すかさず後方から巻き返した吉田は1センターであおりを受けたが、再び加速して番手まくりの不破を力でねじ伏せた。
 「最悪の並びになってしまって、組み立ても良くなかったですね。1センターで危なかったけど、なんとか乗り越えられました。3コーナーも乗り越えられたし、いつもならダメな展開で1着を取れているので、調子はいいと思います」
 吉田に懸命に続いた宿口陽一が、2着で決勝進出。
 「スタートで自分が前を取れずに…。危ないところも何度かあったけど離れず付いていけたのは良かったですね。節目の(通算)300勝は決勝で」

<11R>

松井宏佑選手
松井宏佑選手
 打鐘の2センターを過ぎて小原佑太が最終的に主導権を握る。坂井洋が3番手をキープして、別線の関東勢が中団でゴチャつくなか、地元の松井宏佑(写真)は後方に下げて反撃のタイミングをうかがう。坂井は北日本勢との車間が大きく空いてなかなか詰まらない。前が遠い松井だったが、最終2コーナーから踏み出すと抜群の加速力。北日本勢を射程圏に入れると直線で並ぶ間もなく交わして優勝。昨年3着の悔しさをホームバンクで晴らした。
 「どうなるかわからなかったんで、とりあえずもう自分が一番得意なパターンと思ってる前を取って、引いて行けるところから行こうと。めちゃくちゃ冷静でした。もう優勝する気でしかなかったので、有言実行できて良かったですね。ヤンググランプリは今年までだったんで、次はグランプリに出たいです。(GI決勝も)前回(の競輪祭)だけじゃなくて、常連になって日本の競輪界のトップレーサーとして走りたい」
 松井に付けた宮本隼輔は、直線で外に持ち出して迫ったが半車輪及ばず。
 「今日は選んだ位置が良かった。作戦勝ちですね。最後は自分が届くかなって思ったけど、松井さんの気持ちの方が強かったです」
 同県の黒沢征治に委ねた森田優弥は、最終ホーム手前で連結を外して河合佑弥とからむ厳しい流れ。しかしながら、松井、宮本を追いかけて3着に入った。
 「(黒沢の番手で)自力とは違って気持ち的には楽でしたね。(最終)バックで自分から行こうと思ったんですけど、3コーナーで止まってしまうかもって思って行けなかった。でも、松井さんは行ってしまったので。自分の力不足ですね。番手回りはいつもと見える景色が違いました。いい経験になりました」

<最終日・11R KEIRINグランプリ2020>

郡司浩平選手
郡司浩平選手
 昨年に続いて2度目のグランプリを地元で迎える郡司浩平(写真)。今年最後のGI、競輪祭で初戴冠を遂げて、充実のシーズン、最後の大一番に臨む。
 「去年は競輪祭で落車したんで、去年とは違って状態もいい。グランプリに向けて上がっていると思います。(平塚バンクにも)2、3回入って練習をさせてもらった。自分の状態に関しては申し分ない」
 北日本地区がきっちりとまとまって一番長い3車のラインができあがった新田祐大は、6年連続のグランプリだけに落ち着いたもの。グランプリ初制覇で代表が内定している21年の東京五輪に弾みをつけたい。
 「(前検日から2日目のここまで)変わらず、モチベーションは持ち続けている感じですね。暖かいので。身体が動いて非常にいい感じですね。ここに向けてしっかり準備はしてきたので、あとはレースでしっかり練習の成果を出したいと思います」
 今年の獲得賞金トップをひた走る松浦悠士は、昨年に続き清水裕友と連係。しかしながら、今年は自分が前で脇本雄太をはじめとした別線に立ち向かう。
 「去年よりは体調はいいです。昨日(初日)の夕方の指定練習でどうかなってちょっと思ったんですけど、(2日目の公開練習後に)乗った感じはすごい良かったです。(本番に向けて)すごく順調なので、しっかり力を出し切れるように精いっぱい頑張ります」