『KEIRINグランプリ2022シリーズレポート』 2日目編

配信日:12月29日

 平塚競輪場を舞台に開催されている輪界最大のイベント「KEIRINグランプリ2022シリーズ(歳末チャリティー協賛)」は、12月29日に2日目が行われた。メインの「オッズパーク杯ガールズグランプリ2022(FII)」では、落車のアクシデントがあったが、冷静に立ち回った柳原真緒がシャープな伸びで直線で抜け出しV。グランプリ初制覇で優勝賞金1110万円(副賞含む)を獲得して、賞金女王に輝いた。また、「第15回寺内大吉記念杯(FI)」では準決が行われ、南修二が初日特選から連勝。地元からは松井宏佑、北井佑季の2人が決勝に進んだ。いよいよ3日間のシリーズも大詰め、30日の最終日には、夢の一発勝負「KEIRINグランプリ2022(GP)」の号砲が鳴らされる。
 シリーズの最終日は、先着900人にグランプリオリジナル手袋を配布。藤原紀香さんによるスペシャルトークショー、平塚競輪イメージキャラクターの渡辺美優紀さんのトークショーなどが予定されています。平塚競輪場では「競輪・オートレースにおける新型コロナウイルス感染症感染拡大予防ガイドライン」に沿った開催となります。ご協力とご理解をお願いいたします。テレビ、インターネット中継などでの観戦もお楽しみください。

ガールズグランプリ出場選手特別紹介
ガールズグランプリ出場選手特別紹介
古閑美保さん、高木真備さんのトークショー
古閑美保さん、高木真備さんのトークショー

ガールズグランプリ レース経過

 スタートは奥井迪が先頭に出たが、尾方真生が奥井の前に入る。2周目のバックで児玉碧衣を石井寛子が迎え入れて、尾方、奥井、児玉、石井、柳原真緒、山原さくら、佐藤水菜で並びが整う。
 ジャン前の2コーナーを立ち直ったところから山原が上昇を開始。誰も山原を追わず、山原はジャン過ぎの2センターで児玉の前に入る。4コーナーで奥井が仕掛けようとすると尾方も踏み込み、奥井は尾方に付け直した。7番手の佐藤も番手を上げていく。最終ホームは尾方が先行態勢に入り、奥井、山原、児玉、イン石井、アウト佐藤、柳原で通過した。1センターで佐藤が仕掛けるも車が出ず、石井は児玉の内に潜り込む。2コーナーで奥井が2番手からスパート。尾方は懸命に粘るが、最終バック線の手前で奥井が先頭に躍り出た。児玉はまくるもなかなか前に迫れず、後ろに置かれていた柳原は内に進路を取る。3コーナーで石井と児玉が接触して児玉が落車、佐藤も乗り上げる。奥井、山原、柳原で最後の直線に入った。3番手から柳原が前の2車を一気に抜き去り、ガールズグランプリ初出場初Vを達成した。ゴール前で奥井を抜いた山原が2着に入り、奥井は3着。


<2R>

紺野哲也選手
紺野哲也選手
 山本巨樹、宮本隼輔の順番で切って、前受けから引いた石井洋輝は打鐘手前から反応良く仕掛ける。ダッシュを利かせてカマした石井ら北日本勢に大西健士まで続いて、3車で後続を離して最終周回。宮本を制して追いかける山本だが、前団とはなかなか詰まらない。番手の紺野哲也(写真)が、チャンスをモノにして1着。50歳の節目のバースデーを白星で飾った。
 「あれでワンテンポ見ちゃうと7番手になっちゃうし、石井が積極的に仕掛けてくれた。自分は絶好の展開だったんで、しっかりとワンツーを決めてと思ってました。最近は番手を回っても抜けないので、抜けて良かったです。(50歳の誕生日を迎えて)毎競走、勝負と思ってる。もうすでにガクッときているけど、いつもっとガクッとくるかわからない。下り坂をなるべく緩い下り坂にしていけるように」
 宮本、山本の動きを冷静に見極めた石井洋輝は、積極策で別線を完封した。
 「山本さんと宮本さんの(周回中の位置が)思ってたのと逆だった。宮本さんが中団だったんで、早めに切らないとヤバいっていうのがあって、すかさず行きました。宮本さんも待っている感じだった。脚の感じは昨日(初日)の方が良かったですね」

<6R>

朝倉智仁選手
朝倉智仁選手
 小林稜武が打鐘手前で主導権を握る。3番手に今岡徹二が飛び付くが、遅れて空いたスペースに巻き返した岡崎智哉が入る。中井護は付け切れず、岡崎を朝倉智仁(写真)が追いかけて最終周回。3番手の岡崎が車間を詰める勢いでまくると、逃げる小林マークの二藤元太は番手まくり。岡崎は合わされ、さらにその上を踏んだ朝倉が、まくり合戦を制した。
 「スタートで後ろになっちゃったんで落ち着いて切りにいって、あとは流れのなかでと思ってました。昨日(初日)、平原(康多)さんとかにアドバイスをいただいたんで、ありがたかったですね。岡崎さんが(二藤に)合わされて浮いた感じがあった。自分は余裕もあったんで、岡崎さんを見ながらでした」
 小林が果敢に風を切り先行策。二藤元太は岡崎に合わせて、最終2コーナーで前に踏む。その上をまくった朝倉には行かれたが、真崎新太郎をさばいて2着に入った。
 「(小林は)本調子ではないなかでも、前々にいきますっていう感じでした。後ろに(岡崎が)いて、昨日(初日)も一緒だったし絶対に来るだろうと。もってきつつ見ながらだった。朝倉君も見えたんで、(踏んで)行かないとって思った。いつもならのみ込まれているところを踏ん張れているので、悪くはないかなと」

<8R>

南修二選手
南修二選手
 北井佑季が、3番手の太田竜馬にフタをして赤板を迎える。太田を内に封じ込めた北井は、2コーナーから踏み込んで打鐘で出る。先行態勢の北井に和田健太郎が続く。雨谷一樹は3番手に飛び付いて、大塚英伸をさばいて最終ホームを通過する。5番手で脚をためた南修二(写真)は、2コーナー手前からまくりを打つ。雨谷が合わせてまくり、南は雨谷をけん制した和田の内をすくって追い込む。押し切り図る北井をとらえた南が、連勝で優出。
 「もうちょっと前の方から仕掛けられたら良かった。途中、雨谷選手が(北井ラインの)3番手で併走みたいになって、自分はちょっと後方になってしまった。そのあともまくり切りたかったのが本心です。(1着ですが)不本意なレースだった。コースがたまたま空いている。(連勝だけど)力で勝っている感じではない」
 最終3コーナーで雨谷のまくりを止めた和田健太郎は、南にインから当たられるも態勢を立て直して2着に入った。
 「北井君も出切ってうまく掛かり切っちゃえば、(別線に)まくり切られることはないなと。番手で多少、余裕はあったし、3番手は(最終)ホームの時点で雨谷君なのはわかってました。南君の勢いが良すぎた。(内に来るのも)想像はしていた。そのあと雨谷君と接触してしまった。自分もなんとかゴールまでもったし、結果、北井君も残った。(調子は)すごく良くもなく、それなりかなと」

<9R>

佐々木豪選手
佐々木豪選手
 後方から上昇した中村隆生が先頭に立ちペースを握るが、赤板2コーナーから松井宏佑が襲い掛かる。松井がスピードの違いで主導権を奪い、地元3車で出切って最終周回。神山拓弥が4番手に切り替える。後方の佐々木豪(写真)は、1センターから踏み上げて抜群の加速で前団に迫る。佐々木が和田真久留のブロックを乗り越える。和田の内を突いた瓜生崇智が4コーナーで落車。逃げる松井を佐々木がとらえた。
 「中村君も気持ちが強い。松井さんも(和田)真久留さんが付いていたので気持ちの入ったレースをすると思った。そこだけ見極めて、後方になって動けないようなことだけはしたくなかった。自分も瓜生さんも松川(高大)さんも付いていたので、いつも以上に気持ちが入りました。前回が良くなくて初日もオーバーワーク気味でキツかったのでしっかり休んで。昨日(初日)より今日の方が動けました」
 打鐘の3コーナーで中村を叩いた松井宏佑は、和田のブロックで後続のもつれもあったが内容の濃い走りで2着に粘り込んだ。
 「(周回中は)前か中団からって感じで、そこから行けるところをって思っていました。中村君が遅めに来たし、いい感じのスピードだったので、(相手の動きを待たず)先に動いても良かったのかなって。出切ってからは回せるところがなくて、冬場でバンクも重かった。最後は踏みたくってしまいました」

<10R>

浅井康太選手
浅井康太選手
 小原佑太が太田海也にフタをして赤板を迎えるが、2番手から原田亮太が動いて隊列がほどける。原田が先頭に立ち、畑段嵐士が千葉コンビに続く。小原は、4番手で前との車間を大きく空ける。8番手に置かれた太田は、打鐘4コーナーからスパート。合わせて詰める小原を制すが、今度は3番手の畑段嵐士がまくる。北日本勢の後ろの浅井康太(写真)も、中四国勢を目標にまくりで前団の襲い掛かる。一度は前に出た太田を畑段がコーナーで盛り返し、さらに外を浅井が突き抜けた。
 「初手はオグさん(小倉竜二)の後ろから。太田君ラインの後ろからと思ってましたけど、道中、カマシになると厳しい展開になるかなと。それなら自分で前々に切り替えてっていう形でした。昨日(初日)変えていたハンドル幅を戻して、いつも通りの悪くない感触をつかめた。昨日とは全然違いましたね。(初日と同じで)そのままだったら、(まくりが)出てなかったんじゃないかと」
 単騎で3番手から先まくりの畑段嵐士は、太田との踏み合いに勝って2着。
 「(先行した原田ラインの3番手で)踏みながら緩んだところで早めに(仕掛けようと)。それで力を出し切ったらいいかなと。昨日(初日)より今日の方がいいですね。疲れはあるけど、明日(もっと)良くなってくれればいいなって思います

<11R>

柳原真緒選手
柳原真緒選手
 「まさか自分が獲れるとは思ってなかった。初出場、初優勝を目指してましたけど、ビックリです」
 5月平でのガールズケイリンコレクションで、念願のビッグレースを初制覇。「今年はグランプリ出場を決めることと、タイトルを1つ獲りたいと思っていた。両方が達成できた」と、前検日に今年を振り返っていた。その柳原真緒(写真)が、年末にそれ以上のタイトルをつかみ取った。
 レースは最終ホームで4番手に児玉碧衣、併走の石井寛子、佐藤水菜を前に見る7番手の最後方。厳しい展開に陥ったが、柳原はあくまで落ち着いていた。コースの空いた内に活路を見出して、前に踏み込んだ。
 「(最終2コーナー手前で)内が空いていた。佐藤さんが行った上は行けないと思ったので、自分はそっちかなと思って瞬時に判断ができました。内に行って空くかどうかはわからなかったけど空いた」
 最終バックで前団にとりつくと、外で児玉、佐藤が落車するアクシデント。2センターでは前に奥井迪、山原さくらがいたが、柳原は4コーナーから力いっぱい踏み込んだ。
 「師匠(市田佳寿浩・76期、引退)からは勝ったと思ったら負けると言われていた。それであそこは思い切り踏みました」
 一転、Vロードが開けた柳原だが過信はなかった。直線でスピードに乗せると、前の2人をまとめて交わして先頭でゴールを駆け抜けた。
 「正直、このメンバーでは勝てるとは思ってなかった。ただ、自分のやるべきことを冷静にやらないと勝てないなと。そこは冷静にできました。グランプリ獲るまではデキすぎですし、師匠と家族に支えてもらって感謝しかないです」
 110期以降としては、初のクイーン。初の賞金女王にも輝いたが、柳原は舞い上がることなく、現状を見つめてこう口を開く。
 「自分は新女王と言えるほどのレース内容も脚もない。1年かけてそう言ってもらえるように。グランプリを優勝した者らしいレースができるように頑張ります」
 師匠と二人三脚でひたむきにガールズケイリンに取り組んできた柳原だけに、これからも歩みを止めることはない。
 周回中は6番手にいた山原さくらは、赤板2コーナーで踏み込んで3番手に入る。結果的にそのまま、前の尾方真生が逃げて、2番手の奥井迪がまくる流れで、前々が功を奏した。
 「初手が思ったよりも後ろになってしまって…。もっと前が欲しかったんですけど、後方になってしまったので、ジャンで切らないと。そこが一番の勝負どころだったと思います。夢をみましたね。でも、サマーナイトフェスティバルがあったからこそ、今回のレースができたと思う。今回のレースが来年につなげられるように精進していきたい」
 打鐘の3コーナー過ぎに踏み込んだ奥井迪だったが、合わせて尾方がペースアップ。2番手に入り直して再度のまくりで見せ場をつくって3着に入った。
 「(打鐘で)山原さんが来たので、(尾方の後ろから)出ていこうと思ったんですけど、尾方さんも踏んでいった。そこは1回落ち着いてと。後ろからも来ていなかったので、立て直そうと。最終2コーナーからは、自分のタイミングで行きました。(結果的に優勝できなくて)周りのレベルを感じましたけど、すごく落ち着いては走れた。ファンの方の声援も聞こえましたし、来年は地元(立川)でこの声援を聞きたい。もうこれが最後かなっていう思いもあったんですけど…。ファンの方たちのおかげで、もう一度挑戦しようっていう気持ちをもらえました」

<最終日11R「KEIRINグランプリ2022(GP)」>

郡司浩平選手
郡司浩平選手
 郡司浩平(写真)は、地元の平塚では2度目のグランプリ。2年前はラインの和田健太郎がVも、自身はシンガリに終わっただけに、今年は期する思いもあるだろう。
 「(グランプリは)今年で4回目になるので、そういう面では充実した1カ月ぐらいを過ごせたかなと思います。いまはバンクに入る時は基本的に平塚で(練習を)やらせてもらっている。バンクの特性じゃないんですけど、そういうのもわかっているつもりです。(セッティングなどは)とくに変えずに1カ月レースと同じような感触で練習したいなっていうところがあった。それで変に変えずにいつも通りのセッティングだったり自転車だったりで練習とかもこなして、いい感触でここに臨みたいなという思いできました」
 10年連続13回目、メンバー最多のグランプリ出場となる平原康多は、今年関東地区からただ一人に参戦になる。
 「(単騎での組み立てで)いろんな想定はしてるんですけど、やっぱり厳しい展開しか浮かばないですね、新車ではいくつもりです。競輪祭の時とは違う自転車ですね。自転車が違うだけで、セッティングはほとんど同じですね」
 5月ダービー、8月のオールスターで圧巻の走りを披露した脇本雄太は、今年2冠。初のグランプリ制覇に状態はどうか。
 「(今年は)前半と比べて後半はやっぱり失速している感覚はぬぐえないというのがある。去年の怪我の影響っていうのは、少なからず残っているなっていう感覚があった。それで12月の前半からちょっとずつ治療も入れて、練習も怠らずにって感じだった。福井の雪もちょっと影響があって、満足できる練習ではなかった。それでもできることはやったつもりではいる」