『被災地支援競輪KEIRINグランプリ2016シリーズレポート』 2日目編

配信日:12月29日
 立川競輪場を舞台に開催されている輪界最大のイベント「KEIRINグランプリ2016シリーズ」は、29日に2日目を迎えた。これからの輪界を背負っていくホープが激突した「ヤンググランプリ2016(G2)」では、105期の渡邉雄太が追い込みV。優勝賞金505万円(副賞含む)を獲得して今年を締めくくり、来年のさらなる飛躍が期待される。シリーズもいよいよ大詰め。「寺内大吉記念杯(F1)」を勝ち抜いた9選手による決勝が行われ、第11レースでは優勝賞金1億円超をかけた一発勝負「KEIRINグランプリ2016(GP)」で輪界の頂上バトルが繰り広げられる。
 本場では30日の最終日も、様々なファンサービスとイベントでお客様をお待ちしています。騎手の武豊さんによるトークショー、GP純金車券などが当たるラッキーカードの配布、山口健治氏、佐々木昭彦氏、山田裕仁氏による予想会、ガールズケイリンカフェなども予定されています。ぜひ、立川競輪場へ足をお運び、見応えのあるトップレーサーたちのスピードバトルと、イベントをお楽しみください。
サイクルスピリッツ
サイクルスピリッツ
ケイリングランプリ出場選手トークショー
ケイリングランプリ出場選手トークショー
ガールズケイリンカフェ
ガールズケイリンカフェ
意気込みを語るヤンググランプリ出場選手
意気込みを語るヤンググランプリ出場選手
ヤンググランプリ2016 レース経過
 周回は小笹隼人―畑段嵐士―取鳥雄吾―鈴木竜士―新山響平―野口大誠―吉田拓矢―渡邉雄太―神田龍の並び。
 赤板前から取鳥が車間を切って後続の出方をうかがう。1センターから新山が動きを見せたが、合わせて取鳥が動いて打鐘から先行態勢に。周回中から取鳥の後ろにいた鈴木がこの動きに続き、3番手には前受けから小笹が入る。4番手外併走だった新山は畑段に当たられ打鐘過ぎ4コーナーで落車。レースは8名での争いとなってしまう。2コーナーから畑段がまくり上げるが、小笹の外で一杯に。鈴木がバック過ぎから番手まくりに出ると、畑段を飛ばして小笹が続く。畑段の外を踏んでいた吉田は浮いた畑段のあおりを受けて届かず。その後ろにいた渡邉は4コーナーから内に進路を選ぶ。ゴール目がけて懸命にモガく鈴木の外を小笹が迫り、スピードよく切り込んだ渡邉は最後も内から鈴木をとらえてヤンググランプリを制覇。鈴木を交わした小笹が2着に食い込んだ。


ゴール
ゴール
表彰式
表彰式
喜びを表現する渡邉雄太選手
喜びを表現する渡邉雄太選手
<5R>
須永優太選手
須永優太選手
 紀井孝之が打鐘過ぎから主導権を握る。人気の小嶋敬二が7番手まで下げたことで4番手を確保した須永優太(写真)が最終2コーナーから力強くまくって快勝した。
 「展開がよかったです。でも、切ってから紀井さんを出させたほうがよかったかもしれないですね。小嶋さんが引いてくれたからよかったけど、引かなかったら中団で勝負するしかなかった。ちょっとリスクがありましたね。小野(俊之)さんのブロックは覚悟していたんですが、乗り越えられてよかったです。昨日よりは全然いい感触でした」
 三浦稔希は最終バック9番手。最終2センターでがら空きとなったインコースを突いて2着に入り、高配当を演出した
 「最終ホームでバックを入れたんで、キツかったですね。口が空いてしまったけど、慌てずに前を追いかけました。冷静にコースも見えていたので突っ込めました。スピードバンクは厳しいんですが、上がりタイムのかかる今の立川は合ってますね。もう1日、頑張ります」

<6R>
櫻井正孝選手
櫻井正孝選手
 打鐘過ぎに主導権を握って出た中井太祐に、片折亮太が襲い掛かる。片折に遅れ気味の五十嵐力はさばかれ、番手に入った中井が空いた車間を詰める。片折、中井、両者の攻防を見極めた櫻井正孝(写真)は、最終2コーナーからまくりを打つ。一歩、また一歩と前団ににじり寄った櫻井が、ゴールできっちり届いて1着。
 「バックも重いし、流れていないところを無理やり(まくって)行ったからキツかったですね。レースもきれいな感じじゃなかった。でも、(中井の)番手まくりの上を行けたのは自信になりますね。昨日逃げていたから、そのぶん気持ち的には楽だった」
 櫻井マークの伊藤大志は、最終2センターから櫻井の内に進路を取って迫るも2着流れ込みまで。
 「昨日よりも感じは良かったですね。初日は久々の競走でレース勘が良くなかったけど、少し戻った感じがする。明日はもっと良くなりそう」
 中井太祐は、片折との踏み合いで思いのほか脚力を消耗。片折に追いつきざまに踏み出すも、後続の3車に交わされた。
 「結構、脚を使っていたし、キツかったのでなかなか(番手から)出ていけなかったですね」

<7R>
松岡篤哉選手
松岡篤哉選手
 松岡篤哉(写真)が今日は持ち味を発揮し、期待に応えた。山本健也が後ろ攻めから押さえると、打鐘から踏み上げて主導権。山本に番手に飛び付かれて援軍を失ったが、松岡は後続を寄せ付けず、力強く逃げ切った。
 「昨日、不甲斐ないレースをしたので、今日はと思ってました。ただ、ラインで決められなかったのは残念ですね。前回の取手の決勝もそうだけど、こういう風に攻めるレースをしなきゃいけない。(山口)幸二さんにもよく言われてるけど、凡ミスをなくしていかないと上には上がれないし、強くならないので。調子がいいだけに、昨日がもったいなかった」
 山本は番手を奪ったが、脚がいっぱいになり直線で失速。後方から新山将史がまくって2着に入る。
 「前がもつれてるのはわかったので、自分のタイミングで行きました。ただ、松岡さんが1人で前に行ってるのはわからなかった。もうワンテンポ早く行けばよかったですね。そうすれば、川津(悠揮)さんまで連れていけたので。脚の状態はいいです」
 その山本健也は、力差を痛感する結果に。
 「同県の先輩がついてるから、今日は最低でも中団以内と思ってました。周りの景色を見て、(タイミングが)遅いと思って判断したので飛び付きました。取り切ったなら1着を取らないと。ついて行くだけでも2着だったのに。地脚がないですね。もっと練習しないと」

<8R>
吉澤純平選手
吉澤純平選手
 ここからが準決。打鐘で前に出た堀内俊介を永井清史が叩いて先制。4番手に収まった堀内はホーム手前からすかさず反撃に出る。永井に合わされた堀内は後退。さらにその外を吉澤純平(写真)が豪快にまくって完勝した。
 「初手で中団を取れたのがよかったですね。仕掛けやすいし、後方にはならないと思ってました。堀内君が仕掛けなくても、2コーナーから仕掛けるつもりでした。あおりもあったんですけど、しっかり行けてよかったです。師匠(武田豊樹)と一緒にここに向けてやってきてG1を走れるぐらいの仕上がりなので、自信はありました。グランプリ前のレースを走れるのはいい経験になると思うし、決勝もしっかり頑張ります」
 河野通孝がきっちり続いて、茨城ワンツー決着となった。
 「(吉澤が)強かった。ただ、差し込めていたのでやった方じゃないですか(笑)。練習した成果が出ているし、ワンツーが決まってよかったです」
 松岡貴久は組み立てに失敗。勝負どころで後方に置かれたが、茨城コンビを追って決勝進出を決めた。
 「前受けから何も考えずに組み立てたが、考える余裕もあまりなかった。後ろに迷惑をかけて申しわけないですね」
 堀内俊介は4番手から果敢に仕掛けて見せ場を演出した。
 「ホームでは行けそうなスピードだったので行きました。あそこでじっとしていてもよかったけど、とりあえず前に行ってから考えようと思っていたので。ただ、もう少し待ってもよかったのかも。悔しいけど、結果は結果ですね」

<9R>
東口善朋選手
東口善朋選手
 スタート合戦を制した早坂秀悟の前受け。周回中は後方からの組み立てになった太田竜馬は赤板を通過してからようやく動き出したが、早坂が突っ張って先行策。太田を合わせながら早坂が逃げるが、じっと脚を溜めた松岡健介は最終ホームからロングまくり。2コーナーの山降ろしでスピードに乗せると、バックで早坂をとらえる。松岡にきっちりと続いた東口善朋(写真)が、直線で余裕を持って追い込んだ。
 「僕らにしたらいい展開になりました。(松岡が)いい感じで前を目がけて行ってくれました。自分もあのスピードに対応して、(松岡を)抜けた。1着も取れているんで、調子はいいと思います」
 「あれで抜かれなかったら、最高だったんですけど」とは、仕掛けどころを逃さず踏んだ松岡健介。汗をぬぐい、こう続ける。
 「早坂が前を取った時点で、突っ張りはあると思った。太田君が早めに動くようなら、僕も合わせて出て行ってと思ってた。このメンバーだったら、最低、中団は取らないとっていうのはあった。だんだん良くなってきている」
 打鐘の2センターで前の小倉竜二との連結を外した濱田浩司だったが、最終2コーナーで近畿コンビにスイッチ。直線で中割り及ばずの3着を反省しながら振り返る。
 「(直線は)外を踏めば良かった。情けない…。いつも内に入ってしまうクセがあるんでもったいない。あのまま外を踏んでいれば、いい勝負ができたと思う。その前は小倉さんもバックに入れてたし、自分もバックに入れっぱなしだった。連結を外してしまったんで、無心でした」
 ルーキー太田の動きが想定外だった早坂秀悟は、突っ張って格上の力を見せたものの4着に肩を落とす。
 「(太田は)なんで押さえに来ないんだろうっていう感じでした。A級じゃないんだから。太田君がちゃんとレースを組み立ててくれれば、今日はまくりに構えようと思ったけど、あれでは…。4着じゃダメなんですよ」
 「ああいう風に普通に行ったら、(早坂に)突っ張られないと思った」と、S級での経験不足を露呈した太田竜馬は、結局一度もハナに立つことなくシンガリ惨敗。

<10R>
神山拓弥選手
神山拓弥選手
 打鐘で松川高大を突っ張った脇本雄太をすかさず坂本周輝が叩いて先制。この3番手をすんなり取った杉森輝大が最終2コーナーからひとまくり。乗った神山拓弥(写真)が直線で鋭く差し切った。
 「杉森さんがいい位置を取って、すべてやってくれました。落ち着いてましたね。自分も調子はよくなってきていて、余裕を持って付いていけました。それがいいですね。2人で決まって本当によかったです」
 杉森輝大は冷静なレース運びで細切れ戦を攻略した。
 「別線が早くから動く形になったけど、自分の中では想定どおりでした。でも、よすぎる位置が取れて少し焦って踏んでしまった感じですね。状態は日に日に良くなっていると思います」
 5番手からまくった松川高大は杉森に合わされて不発に終わったが、山田庸平がその後ろから栃茨コンビに迫って3着。近況の充実ぶりを証明するように、今年最終戦でしっかりと決勝へ駒を進めた。
 「(松川が)脚を使っていい位置まで仕掛けてくれたおかげ。楽に追走できているし、感じはよかったですね。でも杉森さんがかかってたので、あれ以上は突っ込めなかったです」

<11R>
小笹隼人選手
小笹隼人選手
鈴木竜士選手
鈴木竜士選手
 9人全員が単騎となったヤンググランプリは大波乱の決着となった。レースは取鳥雄吾が打鐘から先行。中団で外併走していた新山響平は畑段嵐士に当たられて落車してしまう。畑段が4番手からまくると、これに合わせて鈴木竜士が取鳥の後位から前に踏み上げる。最終2センターで内に進路を取った渡邉雄太がVロードを鮮やかに駆け抜けた。
 「師匠(渡邉晴智)には先行しないなら獲りに行けって言われていたし、獲るつもりでした。初手は新山さんの後ろが欲しかったけど、取れなかった。吉田君の後ろになったので、付いていきました。仕掛けたかったけど、2センターで踏むと決めていたので我慢しました。たまたまコースが空いてくれた。最後はすごい伸びましたね」
 伏兵の小笹隼人(写真)は抜群のレースセンスを披露して2着。3連単で40万円を超える配当の立役者になった。
 「誰も前を取らなかったので自分が取りました。どんな流れになっても前の方にはいようと。結果的に3番手を取れたし、落ち着いていけました。後ろが畑段君だったので、内をしゃくられないようにだけ気をつけて、あとは感覚で走ったんですけど、最後はいい感じで突っ込めました」
 逃げた取鳥の後位から番手まくりを敢行した鈴木竜士(写真)は3着に敗れた。
 「誰が先行するかっていうのがあったんですけど、取鳥かなって思って、それにかけてました。もうちょっと引きつけたかったんですが、畑段も来ていたし、(吉田)拓矢も来てたんで力みました。脚力不足ですね。あれで2着ならまだよかったけど、3着ではダメですね」
 人気を集めた吉田拓矢は、4着に入るのが精いっぱいだった。
 「見ちゃいました。なにもできなかった。弱気なレースをしてしまって悔しいです。もっと冷静に走れればよかったけど、焦ってしまった」

<30日11Rグランプリ2016>
村上義弘選手
村上義弘選手
 27日に立川競輪場に入ったグランプリ戦士の9人は、それぞれが大一番へ向けて思い思いの時間を過ごし、いよいよ30日の最終日に発走機につく。29日の2日目には公開練習が行われ、多くのファンの声援を受けながらバンクの感触を確かめた。
 3月の名古屋ダービーを制して早々にグランプリの権利を獲得した村上義弘(写真)だったが、年間を通してコンディショニングに苦しんだ。が、苦悩の時を経て、ようやく思い描いている仕上がりで2度目のグランプリ制覇に挑む。
 「一年間戦ってきて、(グランプリで)なんとか応援してくれるファンのみなさんの期待に応えられるように。競輪祭が終わってからいよいよグランプリのメンバーが確定して、気持ち的にホッとしたところがあった。その時に疲労を感じたこともあって、休養を取って心身ともに休めた。(前回の)岸和田以降は休養を挟んでトレーニングをしたことで、自分の脚が太くなっているのが目に見えてわかった。体が反応しないのが悩みのひとつではあったけど、トレーニングしてグランプリ前は体が反応してくれるようになった」
 今年最後のG1、競輪祭を奪取してグランプリに乗り込んできた平原康多の勢いこそが、他地区にとってはもっとも脅威だろう。
 「競輪祭が終わってからはスケジュール通りに来られたと思うし、あとは体調を崩さないように。走ってみないとわからないけど、(9月共同通信社杯の落車の)ケアもしたし上積みはあるのかなって思います」
 昨年のグランプリで2着の新田祐大は、徐々にそのボルテージを上げながら順調な調整過程を踏んでいる。
 「(初日は)まったく動かずといった感じで、最後、レースが終わったあとの自由練習でセッティングを確認する形で自転車に乗りました。(2日目の)公開練習はお客さまの入りも多いですし、たくさんの声援のなかでグランプリだなという感じがします」
GP公開練習
GP夜間指定練習
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