『KEIRINグランプリ2017シリーズレポート』 2日目編

配信日:12月29日

 湘南バンク平塚競輪場を舞台に開催されている輪界最大のイベント「KEIRINグランプリ2017シリーズ」は、29日に2日目が行われた。次代の輪界を担う若い力が激突したメインの「ヤンググランプリ2017(GII)」では、鈴木竜士が逃げた吉田拓矢の番手から追い込みV。優勝賞金505万円(副賞含む)を手にした。いよいよシリーズも大詰め、30日の最終日には、「KEIRINグランプリ2017(GP)」の運命の号砲が鳴らされる。
 本場では30日の最終日も様々なファンサービスとイベントでお客様をお待ちしています。「ニッチェ」のお笑いライブ、「浅香唯」のスペシャルライブ、地元選手ウェルカムサービス(チャリロトボールペンを配布)、お菓子すくい(未確定車券1000円で1回1~7R)、グランプリの賞金ボードで撮影会ができる(ユニフォームを貸出)「賞金ボード撮影ブース」などが予定されています。ぜひ、平塚競輪場へ足をお運び、見応えのあるトップレーサーたちのスピードバトルと、イベントをお楽しみください。

ヤンググランプリ特別選手紹介
ヤンググランプリ特別選手紹介
東京03 お笑いライブ
東京03 お笑いライブ
GP出場選手公開練習
GP出場選手公開練習
GP出場選手夜間練習
GP出場選手夜間練習

ヤンググランプリ2017 レース経過

 号砲で新山響平、取鳥雄吾に山岸佳太と単騎の3人が飛び出し、周回は新山、取鳥、山岸、太田竜馬-小川真太郎、吉田拓矢-鈴木竜士、竹内翼、堀内俊介の並び。
 青板4コーナーから吉田が動くと、新山も合わせて1センターで誘導員が退避。2コーナーから先頭に立った吉田のラインに乗ろうとした竹内を制して太田が3番手に続くが、下げた新山と併走になる。後方からの動きはなく最終ホームから腹を決めた吉田がペースアップ。外併走の状態から太田は2コーナーまくり。鈴木のけん制も乗り越えて2センターでは逃げる吉田に並ぶ。すると吉田が自ら太田をけん制。これで空いた内を鈴木が突くと直線で太田との伸び比べを制してヤンググランプリを制覇。2着には太田、バックから空いた内に切り込んだ堀内が3着に入った。

ゴール
ゴール
表彰式
表彰式
胴上げ
胴上げ

<5R>

新井秀明選手
新井秀明選手
 前受けから引いた蒔田英彦が、赤板の2コーナーで出たところで隊列が一巡する。すると、7番手の八谷誠賢が、すぐさま踏み上げて打鐘の2センターで主導権を握った。番手の新井秀明(写真)は別線の動きを冷静に見極めると、直線で追い込んだ。
 「八谷さんは、(別線が来るのが)遅かったら駆けるって言っていました。青森記念で連係した時も、突っ張って駆けてくれたし、男気がハンパないですね。最後はできる限り残そうと思っていました。八谷さんサマサマです」
 打鐘の2センターからカマした重倉高史だったが、とっさの判断で口の空いた4番手に降りる。3コーナーから内を突いて3着に入った。
 「八谷さんが目いっぱい踏んだから、口が空くとは思っていました。(最終)2コーナーで行こうと思っていたんですけど、八谷さんもメイチで踏んでいたし、新井さんにも見られていて行けなかったです。2回は仕掛けるチャンスがあったのに。ビビらなかったら、1着までいけたと思う」

<6R>

友定祐己選手
友定祐己選手
 南関ラインを出させて、久米康平は中団まで下げる。新山将史はギリギリまで久米にフタをして、引きつけてから赤板の2コーナーから踏み込んで主導権。新山の思惑通りに運んだかに見えたが、田中孝彦が飛び付いて後続がもつれる。結果的に久米に絶好の展開。最終ホームで新山を叩いた久米の先行を番手の友定祐己(写真)が追い込み1着。
 「久しぶりに最終4角をハコで回ってきた。(1着で)良かったです。久米君はダッシュもあるんで、もうちょっと落ち着いてもよかったかなっていうのもある。あとは本人の(仕掛ける)タイミングもあるんで。最後は少し早く踏みすぎたかな。前もタレていたのもあったけど、その辺の余裕がもう少し欲しい」
 初日に続いて先行策に出た久米康平が、中四国ワンツーをメイクして2着に粘り込んだ。
 「友定さんが前を取ってくれて、作戦通りカマせました。でも、カマシのわりに自転車が流れなかったし重かったですね。練習疲れのせいなのか、思ったよりも体が重いです」

<7R>

伊藤成紀選手
伊藤成紀選手
 吉川誠を一本棒の7番手に置いて、高久保雄介が抜かりなく先行態勢を取る。しかしながら、ペースを緩めたところを吉川に強襲されて先行争いに。今度は内に詰まった上原龍から切り替えた小林大介が、自力に転じてまくり上げる。高久保の番手の伊藤成紀(写真)は、小林を止められず最終4コーナーから高久保の内を追い込んだ。
 「小林さんを張って、合わせて出ていこうかと思ったけど。高久保君がフワッて外に車を外して、踏むところがなくなってしまった。それで空いた内を踏みました。でも、番手を回っている以上は良くなかった」
 最終2コーナーからまくり上げた小林大介は、ラインの杉本正隆と2、3着。タテ脚健在を印象づけた。
 「(前を)乗り越えたかなと思った。でも、(伊藤が)内を踏んでいったので、あれじゃ厳しいです。(12月29日が)誕生日だったので、40歳最初のレースで一発を狙っていた。感触としては今年全体的に言えることだけど、悪くはないです」

<8R>

松岡貴久選手
松岡貴久選手
 吉田敏洋が赤板で早坂秀悟に併せ込むと、中部勢を追った吉本卓仁が2コーナーで先に踏み込んで主導権。吉田も合わせて踏んで、3番手をキープする。早坂もすかさず巻き返すが、海老根恵太は付け切れない。ひとりで出切った早坂を吉本が追いかける。吉本は空いた車間を詰めていっぱい。直線で追い込んで1着の松岡貴久(写真)が汗をぬぐう。
 「吉本さんのおかげです。吉本さんも追いつくのでキツかったと思う。(最終)ホームのスピードはハンパじゃなかった。頑張ってもらったんで、ありがたいです。自分も(外に振って)やることをやったんですけど…。状態ですか? 後ろを回っているぶんには全然、大丈夫」
 最終4コーナーで吉田が外を踏むと、付けた北野武史は中のコースを見極めて2着に突っ込んだ。
 「(コースを)ちょっとだけ迷って、開いたんでこっちだと思って行きました。(準決は)余裕がありましたね。初日がしんどかった。それに(前回の)広島記念が調子が良くて、それから日にちがたっているんで今回はダメかなっていうのはあった。だけど、まだまだイケそうですよ(笑)」
 「ギリギリ、セーフ」とは、4番手から外を踏んで準決をクリアした吉田敏洋。3着にもレース内容には納得の表情を浮かべる。
 「先行できないまでも、レースの流れであの形を自分でつくっていけた。ある程度読み通りだったし、周りを動かしながらっていうのが、テーマとしてできた。ただ、相変わらず早坂はスーパーダッシュだし、(吉本)卓仁の平面ダッシュもすごい。年寄りにはキツいです」

<9R>

東口善朋選手
東口善朋選手
 一度は和田真久留に押さえられた佐藤友和だったが、遅れた桐山敬太郎を張りながら再び先頭へ。これを見ていた石塚輪太郎は、打鐘で踏み上げて主導権を奪取する。そのまま風を切ると、最後は東口善朋(写真)が直線で抜け出した。
 「ジャンの3コーナーくらいで(石塚の)スピードが悪いなと。最終バックでは、ちょっとヤバいかなって感じはありました。中団争いをしてくれれば、もつかなと思ったんですけどね。でも、あれで自分がのみ込まれてしまったら、行ってくれた意味もなくなるので。石塚君が頑張ってくれました」
 佐藤の余力を見極めた成田和也は、2コーナーで桐山後位にスイッチ。直線で石塚と東口の間を伸びて2着に入った。
 「(前を取らされたのは)しょうがないですね。ああなったら、突っ込むしかなかった。いけるところをいっただけで、たまたまですよ」
 態勢を立て直した和田真久留は、中近勢を追って4番手を確保。最終2センターからまくり追い込んで3着も、表情は浮かない。
 「スタートけん制が入ったから、(佐藤)友和さんの(積極的な)気配はなかったけど。自分で1回出てからと思ったら友和さんも一緒に出てきて。石塚君のすんなりカマシになってしまった。3分戦だし、もっとわかりやすい組み立てになるかと思ったけど、あそこまでごちゃつくとは。桐山さんが付いてて情けないですね」

<10R>

山田英明選手
山田英明選手
 伊藤裕貴を警戒しながら、伊早坂駿一が押さえて先行態勢を取る。それでもすかさず伊藤が叩きに出ると、伊早坂は突っ張り主導権を死守。山内卓也のアシストで伊藤は4番手に入り、山田英明が6番手。人気の脇本雄太が最終ホームで8番手に置かれる。2コーナー手前から伊藤がまくりを打つと、山田、さらに番手の芦澤大輔も張りながらタテに踏んでまくり合戦。山田が前団をとらえたところを、脇本がゴール寸前でとらえて1着。
 「なかなか誰も(押さえに)来なくて。まったく自分の思っていた展開と違いましたね。ラインが3車だったら突っ張っていたと思います。(最終)ホームで山田さんが行きかけてやめたので、行こうと思ったらまた行かれて…。車も進まなくてヤバいと思いました」
 まくりのタイミングが狂った山田英明(写真)だったが、力のなせる業で小川勇介とともに決勝に進んだ。
 「ホームで行ければベストでしたけど、タイミングが合わなくて…。先に仕掛けて脇本君にまくられるのは仕方ないけど、かぶって終わるのだけは嫌だった。初日よりは状態的にも楽になっていますね。決勝でもっと良くなってくれれば」
 山田を追走して3着入線の小川勇介は、セッティング変えて好感触。
 「いやー、凌ぎましたよ。初日よりも全然いいですね。八谷(誠賢)さんにセッティングをみてもらった。ミリ単位ですけど、(感触が)全然違う」

<11R>

太田竜馬選手
太田竜馬選手
 「(吉田)拓矢の頑張りに尽きますね。本当にいい関係かなと思います」
 鈴木竜士は、吉田への感謝の言葉を繰り返した。同期同県の後輩として、互いに切磋琢磨して力をつけた。昨年のヤンググランプリではラインを組むことのなかった2人だが、今年の大一番では吉田に前を託した。
 「(作戦は)太田(竜馬)君(ライン)の後ろから始めようと。あと拓矢に任せていました」
 赤板の2コーナーで前に出た吉田は、中団のもつれを誘ってマイペースで先行。最終ホームからギアをトップに入れる。番手の鈴木は、3番手の外併走からまくってきた太田をブロックするも止められない。
 「拓矢は冷静に走ってくれたし、いいレースでした。自分はもっとやれることがあったかなと思う。必死だったし、(太田を)もっていくしかないと」
 上をいかれた鈴木だったが、吉田が太田を張ると空いた内コースに吸い込まれる。「拓矢、ごめんと思って踏みました」。インから先頭に躍り出ると、太田、さらに、その間を割ってきた山岸佳太を阻んで激戦を制した。
 「1着とはわかったけど、ゴール前で接触したので車体故障とかで審議にあがったらヤバいなと思っていました。でも、ゴール後に拓矢が(審議にはなっていないと)声をかけてくれました」
 エリート集団と言われる107期。その中でも新山響平、吉田と並び、早々とS級で活躍した。順風満帆に思われたが、今年一年は結果の出ない苦しい日々。それでも信じた道を突き進み、年末に大輪の花を咲かせた。
 「本当に今年1年は苦しかったというか、成績もともなわないし、やってきたトレーニングとかもすぐに結果が出なくて。もどかしかったんですけど、拓矢のおかげで、最後にこうやって締めくくれてよかったです」
 次の連係は、さらなる高みで。この優勝を追い風に、今後の邁進を誓う。
 「次は(吉田の)前で頑張れるように。そのためにはGIに出ないことには。(今後は)しっかり先行でGIを獲れるように頑張りたいですね。もちろん、GIは獲りたいって気持ちはありますし、その前に記念なりGIIなりも、しっかり決勝にコンスタントにあがって、優勝狙える位置まではいたいです」
 吉田を力でねじ伏せた太田竜馬(写真)だったが、鈴木に屈して準V。狙い通りのポジションから仕掛けるも、あと一歩届かなかった。
 「あの位置(3番手)を取れたら勝ちだと思っていました。(まくり切って)いったと思ったんですけどね。内から鈴木さんが来て。寄ってこられて、あれでフラフラになってしまった。止まった感じはなかったけど、車輪は負けているなと。途中まではよかったけど、しゃあないですね。力は出し切れたし、来年(のヤンググランプリ)は、運が向いてくれれば優勝できるかな」
 堀内俊介は、直線で最内のコースを踏むも3着まで。
 「先輩たちのアドバイスで内に行こうと。でも、普段は内に行く競走をしていないから、いけるか不安はありました。(2センターで内)コースが空いて、チャンスと思ったら鈴木君が降りてきて。そこで、バックを踏んでしまいました。鈴木君が外を行ってくれれば…。今回はああいうレースでしたけど、もっと大きいレースで戦えるように力をつけたいです」

<30日11R グランプリ2017>

新田祐大選手
新田祐大選手
 競輪祭で今年2度目のタイトルを獲得した新田祐大(写真)は、その後ワールドカップでカナダ、チリと転戦。競輪祭以来、久々の実戦が4度目のグランプリになる。フレームの色を一新して、一発勝負にかける。
 「フレームのカラーリングを変えてきました。今回は『近未来と現代』っていうテーマを決めました。ここまで大きくカラーリングを変えたのは初めてですよ。自分はやっている練習の成果をしっかり出せればと思っている。力をしっかり出せるような組み立ても考えながらやっているし、それができれば誰にも負けないと思っている。ただ、必ず勝てるわけじゃないんで、難しいところもあります」
 渡邉一成は新田の番手から8月のオールスター、10月の寛仁親王牌と2度のGI制覇。その後はワールドカップで海外に遠征。ポーランドで落車のアクシデントに見舞われ、競輪祭の欠場を余儀なくされた。
 「いまは問題ないし、走れる状態ですよ。(平塚に入ってからの調整は昨年の)グランプリと変わらずですね。グランプリの時間に合わせて練習することもない。ワールドカップとかでは現地で調整をしていかないといけないし、競技でこういうのは慣れている。自分に与えられた調整プランをこなすだけ。自分のモチベーションというか、気持ちは平(オールスターV)の時と同じような感じですかね」
 メンバー中、最多の9度目のグランプリ出場の武田豊樹は、公開練習で本番をイメージしながら汗を流した。
 「(公開練習で)軽く刺激を入れたかった。いろいろ試したいこともあったし、(公開練習は)4分間しかないんで。(グランプリは)とにかく悔いのないように。(平原康多の番手で)自分のコースもあるけど、力を出して終わりたい」