『第62回朝日新聞社杯競輪祭(GI)レポート』 初日編

配信日:11月19日

 グランプリをかけた最後のGI。北九州メディアドーム・小倉競輪場で「第62回朝日新聞社杯競輪祭(GI)」が、18日に幕を開けた。年に一度のナイターでのGIシリーズ初日は、ガールズも含めオール予選で争われた。GI年間3Vがかかる脇本雄太が落車に見舞われて欠場の波乱もあったが、ガールズでは地元の児玉碧衣が人気に応えて初日を締めた。19日の2日目は、残りの予選の1と2走目となる予選2。ガールズでは予選2が行われる。
 今シリーズは新型コロナウイルス感染症拡大防止の観点から、すでに申し込み抽選が行われ、その結果、入場証をお持ちの方のみの入場となります。入場証をお持ちでない方は、小倉競輪場1Fの場外車券をご利用ください。また、テレビ、インターネット中継などでの観戦をお楽しみください。

20回連続出場で表彰を受ける金子貴志選手
20回連続出場で表彰を受ける金子貴志選手
敢闘宣言をする園田匠選手と児玉碧衣選手
敢闘宣言をする園田匠選手と児玉碧衣選手

<1R>

浅井康太選手
浅井康太選手
 寺崎浩平が赤板1センターで先頭に立ちペースを握る。前受けから4番手に下げた渡邉一成と鈴木裕で中団を併走。後方の山岸佳太が打鐘手前で仕掛けると寺崎も合わせて踏むが、山岸が叩いて主導権を奪う。浅井康太(写真)は、最終ホーム過ぎに切り替えてまくりを打つ。武藤龍生のけん制を乗り越えた浅井が1着。
 「走る前から寺崎君の先行するって気持ちが伝わってきていた。勝負どころの(最終)ホームで叩かれてしまったので判断が難しかったですけど、(寺崎を)入れてしまったらスピードある渡邉さんや鈴木君が飛んでくると思った。久々にゴールまで踏み切れたし感触はいい」
 渡邉後位に入った鈴木裕は、まくった渡邉が外に浮くと自ら踏んでシャープに伸びた。
 「ジャンのところ志智(俊夫)さんに差し込んでしまって審議になってしまったけど、それ以外は自分のなかでいいレースができたと思う。伸びはいいと思うけど、浅井さんに合わされる感じでしたね」

<2R>

皿屋豊選手
皿屋豊選手
 押さえて出た皿屋豊(写真)ラインに山田英明が続いて、5番手の小川真太郎に併せ込まれた松井宏祐は閉じ込められて出られない。外併走から打鐘の4コーナーで小川が仕掛けるが、岩津裕介との息が合わない。最終1コーナーで出切った小川を番手にはまった皿屋が追いかける。後続をけん制した椎木尾拓哉は離れ気味。小川を交わした皿屋が、松井の強襲を退けて3度目のGI挑戦で初白星を挙げた。
 「3回目のGIになるけど、まさか勝ち上がりで勝てるとは思わなかった。(勝つなら)負け戦かなと思っていた。1周くらいなら駆けようと思っていた。でも、小川君が来たので、出させてと。(小川が)掛かっていたので、落ち着いて(最終)2センターで踏み出して交わせた。前回の四日市記念から日に日に良くなっているのを感じる」
 最終ホームから強引に仕掛けた松井宏祐は、ロングまくりで皿屋に迫る2着も反省の弁。
 「(作戦は)前受けから走り慣れているパターンでと。後ろまで行かなくてもと思っていたけど、思い通りのレースもできなくて後ろの諸橋(愛)さんたちに迷惑を掛けた。バックを踏んでから、わけのわからないタイミングで踏み込んで流れ込んだ感じ。レース内容が悪いので参考にならないですね」

<3R>

村上博幸選手
村上博幸選手
 別線が警戒するなか深谷知広は、赤板2コーナーから踏み込んで前団に襲い掛かる。スピードの違いで鈴木竜士を叩いた深谷の主導権。5番手からまくった小松崎大地をギリギリまで引きつけた番手の村上博幸(写真)が、ゴール前で深谷を差し切った。
 「あんだけ踏み合いになったところを出切って、(深谷は)強かった。一気に踏み合いになったので、そういう展開はベテランにとっては厳しいので、そこだけは集中してました。(愛知籍では最後のGIとなる深谷とは)ずっと連係をしてきたから、今日(初日)はすごく気合が入りました」
 別線とのスピードの違いを見せた深谷知広が逃げて2着。
 「自分のレースはできたと思う。自分の踏み方や踏み直しはできた。状態も問題ないと思う。(村上)博幸さんとはデビューからこれまで連係も多かったですし、初めて決勝に乗った競輪祭の準決で連係して心強かったのも覚えていた。(ワンツーが)決まって良かったです」

<4R>

山崎芳仁選手
山崎芳仁選手
 打鐘で出た清水裕友は、吉田拓矢の反撃を突っ張りそのまま駆ける。両者の踏み合いを車間を空けた6番手で落ち着いてタイミングを計っていた山崎芳仁(写真)が、まくり追い込みで突き抜けた。
 「(周回中は)清水君(ライン)の後ろで清水君の動きを見ながらと思ってました。早めに切ると泳がされる可能性もあるので、ギリギリに切った。(その上を清水が出て)絶対に吉田君も仕掛けてくると思ってた。(2人が)踏み合ったんで冷静に見られた。必死だったけど、思ったより伸びたんで悪くない」
 吉田を突っ張る先行策で粘り込んだ清水裕友が、内容の濃い2着。
 「(吉田を合わせて)なんとかですね、ドームなんで流れました。山崎さん(にまくられたの)はしょうがない。フワフワしていたところもあったんで、これで脚に刺激が入ったんじゃないかと。自分の距離以上にモガいて2着に残れたんで悪くない」

<5R>

郡司浩平選手
郡司浩平選手
 後ろ攻めから押さえた郡司浩平(写真)が、山田久徳を出して3番手の位置をキープ。その外に追い上げた鈴木庸之が打鐘から踏み込んで主導権を握る。5番手で態勢を整えた郡司は、最終1コーナーからまくり上げて前団を一気にのみ込んだ。
 「意外とみんなが出たので後ろからになりましたけど、1回動いてレースを作ろうと。(最終)ホーム前に山田(庸平)さんが内に来ているのが見えたので、自分がすくわれないようにしながら、山田(久徳)さんが仕掛ける前には行こうと思って。タイミング的には登りだったので良くなかったですけど、踏み上がっていく感じだったので悪くないですね。日に日に良くなっていくと思うので明日(2日目)以降もしっかり」
 郡司マークの守澤太志は、山田庸平にさばかれて後退。逃げた鈴木の番手から追い込んだ宿口陽一が2着に。
 「鈴木君にすべてを任せていました。もう少し自分がどうにかできれば良かったですけど、スピードがすごすぎて仕事ができなかったですね。最後はもう外へは行けなかったので内に行かせてもらいました」

<6R>

平原康多選手
平原康多選手
 打鐘先行の取鳥雄吾とすかさず巻き返した根田空史で踏み合いになる。終始、好位をキープした平原康多(写真)は、根田が力尽きるのを確認してから最終バックからのまくりを決めた。
 「2周前に出て、(取鳥と根田が)踏み合うところは苦しかった。根田が行き切るかどうかの判断を間違えたら終わるので。それを見極めてから行った。脚を使ってからだったので、タイムが出ている感じはしないですね。セッティングは四日市記念の時と同じままです。年齢とともに、GI優勝が難しくなっていくなかでそうならないように、努力をして上を目指して頑張りたい」
 大槻寛徳は、2年前の当大会でもワンツーを決めた平原に続いて人気に応えた。
 「(平原は)安定感あって頼もしい限りです。もうワンテンポ詰まったところで行けたと思うけど、根田のあおりを見てから行ったんだと思う。高松優勝がいいキッカケになって上がっているし、いけると思う」

<7R>

新田祐大選手
新田祐大選手
 後ろ攻めの坂井洋が赤板の1センターで押さえて先頭に立つ。前受けから7番手まで下げた新田祐大(写真)は、打鐘の4コーナーからスパート。逃げる坂井を力ずくでねじ伏せると、そのまま力強く押し切った。
 「前受けになったので、挑まれる感じで戦うって気持ちに完全になった。おそらく坂井君(が踏み込むのと)と同じタイミングになってしまったんですけど、どっしりまくりに構えるとまずいなって。レース中の失敗をパワーで修正した感じですね。初日に刺激が入ったので、残りもいい形で戦えると思う」
 懸命に続いて2着に入った和田健太郎は、新田を称える。
 「新田君のカマシが強烈で、途中もビリビリして車間が空いてしまった。なんとかリカバリーして最後詰め寄れたのは良かったですけど、本当に強かったです」

<8R>

菅田壱道選手
菅田壱道選手
 周回中から7番手に構えた脇本雄太は、5番手の河端朋之を強く意識したのか打鐘を通過しても動かない。2センターから仕掛けた河端は不発で、合わせた長島大介が駆ける。脇本は浮いた中四国勢の内を突くが、阿竹智史、田中誠と絡んで落車。3番手の菅田壱道(写真)が追い込み勝負で、栃木コンビをとらえた。
 「脇本君が(スタートで)出なかったんで、ああいう並びになったら、あんな展開も想定していた。河端さんが来た時に張って一緒に出ていきたかったけどけど、長島君の掛かりが良かったんで戻った。この先のことを考えるとあれで出切るくらいじゃないと。(最終)4コーナー(からの勝負)で突き抜けているんで感触はいい」
 長島の先行を利した神山拓弥は、菅田には伸び負けも2着。
 「長島君が先行勝負だったんで、自分もやれることだけはやろうと思ってた。1着を取りたかったけど、菅田君は強いし、自分の状態はいい」

<9R>

高木真備選手
高木真備選手
 打鐘で先頭に立った成田可菜絵を山原さくらが最終ホームで叩き切って先制。山原の動きに乗った太田りゆは間髪入れずにまくり出てバック前に山原をとらえる。前々に攻めた高木真備(写真)は、太田の動きにうまくくスイッチして抜け出した。
 「1着スタートはうれいしい。山原さんを突っ張って先行するつもりだったけど、出られてからも冷静にできた。もうちょっと早くスイッチできれば良かったので、明日(2日目)以降はそれができれば。(体調面は)軽く感じたので問題ないです」
 太田りゆは、スピード満点のまくりを披露してナショナルチームの実力を見せた。
 「前の位置からレースがしたかったので、考えていたのと違ったけど、(山原)さくらさんの先行も考えてあってその通りになってそこからいく展開でした。脚を使ってからだけど、展開を見て自力を出せた。調子がいいのでいいレースができた。自信をもってレースができているのは成長したのかな」

<10R>

梅川風子選手
梅川風子選手
 打鐘の3コーナー過ぎから空いたインを進出した佐藤水菜が、先頭に出てそのままペースを上げて駆ける。吉岡詩織が2番手に入り、梅川風子(写真)が3番手。最終2コーナー手前からまくりを打った梅川が、鈴木美教の追い込みを8分の1輪しのいで1着。
 「佐藤選手が道中から動きたそうにしていたし、佐藤選手が内から来たのはあんまりビックリはしなかった。あれだけ空けば誰かが内に来るだろうっていうのがありました。(感触は)思ったよりも良かったけど、気になったのは周回中の車間の取り方だったり、最初の仕掛けるポイント。そこはしっかりと修正していきたい」
 周回中から終始、梅川後位に狙いを定めていた鈴木美教は、思惑通りに運んだが梅川を交わせなかった。
 「スタートから梅川さんの後ろを狙っていこうと思ってた。そしたらすんなり取れたんで、初手の位置は成功だった。ただ、自分の持ち味は差し脚だと思っているので、明日(2日目)、明後日(3日目)は最後、しっかり差せるように。反応もできているので状態はいい」

<11R>

久米詩選手
久米詩選手
 打鐘から踏み上げた尾方真生が逃げる。前々に踏んで3番手を確保した久米詩(写真)が、石井貴子のまくりに合わせるように仕掛けて大金星を挙げた。
 「初手の位置は中団でしたが、前に(石井)貴子さんがいたので、貴子さんより前にいないとと思って仕掛けた。小倉は初めてなんですけど、走りやすいし、体の状態もいい。フレッシュクイーンで優勝して、繰り上がりで出ることができて、今日(初日)の1着はチャンスを生かせました。自信になりましたね」
 石井貴子は、初日の敗因をレースの組み立てと分析。2走目で修正を目指す。
 「尾方選手のカマシが早くて、第1波に乗り損ねたのが敗因。前から先まくりで合わされて脚がないですね。明日(2日目)が重要なので、ピリッとして頑張る」

<12R>

児玉碧衣選手
児玉碧衣選手
 打鐘で6番手のポジションにいた児玉碧衣(写真)は、3コーナー過ぎに外に持ち出すが4番手から仕掛けた柳原真緒とタイミングが重ねってホームまくりにチェンジ。主導権を奪った柳原を最終バックで仕留めて勝ち切った。
 「本当はカマしたかった。1周モガくつもりでいたんですけど。自分のタイミングよりもワンテンポくらい早く柳原さんが行った。それに黒河内(由実)さんも離れる気配がなかったので、一瞬様子を見た。そのあと併走になったんでキツかった。(最終)2コーナー過ぎくらいから踏み直した感じで、一番前まで出られたのは良かった。後ろが坂口楓華ちゃんだったんで、ゴール勝負になるだろうと思ってたら、思ったより坂口楓華ちゃんの前輪は見えなかった。自分はすごく軽くて回転が追いついてない感じだった。あんまりスピードに乗ってなかったのか、逆に調子がいいからそう感じるのか、どうなんですかね」
 初手の位置取りで児玉後位になった坂口楓華は、動かず直線勝負にかけたがゴール線では1車身半の差ができた。
 「(児玉は)一番強い選手なので、(スタートで)前にいらしたんでもう頑張って付いていこうと思った。最後、交わせたら良かったけど、自分にはまだその力がなかった」

2日目 一次予選1

<1R>

古性優作選手
古性優作選手
 古性優作(写真)は、前回の岐阜FIの623着からおよそ中2週。成績以上に手応えをつかんでいる。
 「(前回は)いろいろやっているなかで、収穫があった。それが今回につなげられるかなと。(ここまでは)気になることは全部やろうと詰め込んできた。(グランプリ出場には)賞金差があるので気にならない。自分はいいレースをするしかないので」
 寬仁親王牌の2日目に落車に見舞われた山崎賢人は、全日本自転車選手権大会の競技大会に出場して好感触を得た。
 「(落車で)腰を打って動けなかったけど、いまは大丈夫です。(競技大会では)しっかり準備をして、しっかりと戦えた。それが終わってからも普通に練習してきました」

<2R>

新山響平選手
新山響平選手
 前回のGI寬仁親王牌に続いてドームバンクが舞台の今シリーズ。新山響平(写真)の先行意欲が失せることはない。
 「ドームで風もなくて先行に向いているのでガンガン先行していきたい。(全日本自転車選手権大会では)あまり結果を残せなかったから、競輪で結果を残してアピールしたい」
 中川誠一郎は、前回の防府記念で初日白星スタートも2走で欠場。ピリッとしない。
 「体調自体はまぁまぁいいかなっていうのがあるけど、気持ちの方が…。状態的にはとくに変わってない。あとは2日目からなんで、5走連続走りになりますね」

<3R>

佐藤慎太郎選手
佐藤慎太郎選手
 前回の四日市記念が今年の初優勝だった佐藤慎太郎(写真)だが、獲得賞金は5位でグランプリ連続出場に視界が開けている。
 「なかなか優勝できなかったなかで、この時期に優勝できたのはうれしい。(グランプリチャンピオンジャージの1番車で)位置が取れるアドバンテージがあるのに、この成績しか収められていないのは悔しい」
 原田研太朗は、前回の四日市記念2日目の白星で通算400勝のメモリアルを飾った。
 「(400勝は)選手としてすごくうれしい。みんながみんな達成できるものではないので。前回は新車で感触をつかめた。今回もその自転車です」

<4R>

松浦悠士選手
松浦悠士選手
 昨年初タイトルを手にした競輪祭に、松浦悠士(写真)がさらに強くなって戻ってきた。
 「去年のこの大会とグランプリが自分を成長させてくれた。今年もGIのタイトルを獲れたし、ある程度結果を残せた。あとはこことグランプリで結果を出せるように。体の感じもいい。(競輪祭)連覇を狙えるのは自分だけなので、そこはしっかりと意識していきたい」
 ホームの小倉からただひとりの出場となった園田匠に気負いはない。
 「地元なんでやるしかない。(小倉バンクは)昔は苦手でしたけど、最近は(成績も残せているし)責任をもって走れている。地元なので最低、決勝。あとは自分らしく走りたい」