『第65回朝日新聞社杯競輪祭(GI)レポート』 5日目編

配信日:11月26日

 グランプリをかけたラストバトル。北九州メディアドーム・小倉競輪場を舞台にナイターで開催されている「第65回朝日新聞社杯・競輪祭(GI)」は、11月25日に5日目が行われた。準決では、輪界のトップ選手たちによってハイレベルな戦いが繰り広げられた。簗田一輝、太田海也、深谷知広の3人が白星で優出。3連単で80万円を超える配当も飛び出した。シリーズもいよいよい大詰め、11月26日のシリーズ最終日には、決勝の号砲が鳴らされる。第65回競輪祭の栄冠をつかむのは誰か。また、グランプリをかけた獲得賞金争いも今シリーズでピリオド。年末の「KEIRINグランプリ2023(GP)」の9人のメンバーも、競輪祭の決勝が終わると決定される。
 シリーズ最終日の11月26日も、小倉競輪場では、様々なイベントでみなさまのご来場お待ちしております。レッツゴーよしまさ、古賀シュウのものまね芸人登場、「ウルトラマンブレーザー」のショー、プロフリークライマーの野口啓代さんによるトークショー、競輪専門紙「コンドル」による全レース予想会、SPEEDチャンネル競輪専門解説者の予想会、デンジャラス恐竜パーク、巨大迷路、ボルダリング、自転車競技紹介ブース、グルメ屋台の大集合などが予定されています。また、テレビ、インターネット中継などでの観戦もお楽しみください。

準決勝10Rゴール
準決勝10Rゴール
10R1着の簗田一輝選手
10R1着の簗田一輝選手
準決勝11Rゴール
準決勝11Rゴール
11R1着の太田海也選手と2着の松浦悠士選手
11R着の太田海也選手と2着の松浦悠士選手
準決勝12Rゴール
準決勝12Rゴール
12R1着の深谷知広選手
12R1着の深谷知広選手

<4R>

伊藤颯馬選手
伊藤颯馬選手
 菅田壱道を赤板2コーナーで押さえた宿口陽一が先頭に立つ。太田竜馬はいったん6番手に入ってタイミングを取って、打鐘で仕掛ける。最終ホームで叩いた太田が主導権も、徳島勢を追った伊藤颯馬(写真)がそのまままくり上げる。伊藤はまくり切るが、わずかに遅れた小川勇介は阿竹智史にブロックされて、太田が伊藤を追いかける。太田は直線でもそれほど詰められず、ロングまくりの伊藤が1着。
 「普通に切って、切っての展開になると思っていたら、みんな前々に踏んだ。それで(太田)竜馬さんに入られてしまったんですけど。結果的に早めに行ってくれた。竜馬さんも距離が短くなったので、早めに行った方がと思ってペースに入れたところで行きました。(小川と決められず)悔しい部分はあるんですけど、しっかりと踏めている感じはしました」
 同県の阿竹智史のけん制にも助けられた太田竜馬が2着に踏ん張った。
 「あそこ(打鐘で)あんなに踏むと思っていなかったので、タイミングがズレましたね。(仕掛けたタイミング的には)ピッチが上がっていなかったので様子を見ながら行きました。(伊藤にまくられてしまったが)先行するつもりで行ったのが良かった。体が重い感じはするんですけど。まだ(セッティングが)バシッと決まっている感じがなくて、試行錯誤している」

<6R>

佐々木雄一選手
佐々木雄一選手
 赤板1コーナー付近では外の犬伏湧也が前に出るが、盛り返した小原佑太が突っ張り切って主導権をキープする。谷口遼平の反撃も、抜かりなくペース上げた小原が合わせる。打鐘4コーナーで谷口は、4番手に収まる。最終ホーム手前から犬伏が再度踏み込むが、逃げる小原の掛かりがいい。番手の佐々木雄一(写真)が、2コーナー手前で犬伏を大きく外に振る。スピードの鈍った犬伏は、バックでも佐々木にけん制されて不発。小原の逃げを佐々木が追い込んだ。
 「(小原)佑太が強かった。(小原が)自分の駆けやすい得意パターンでと思ってました。脚だけで言ったら佑太が一番強いですから。前が強いんで必死でした。前回の落車でろっ骨にひびが入っているけど、レースになればそれも問題ない。寬仁親王牌の初日もそうだったし、佑太とは相性がいい」
 一次予選1では犬伏に突っ張られた小原佑太だけに、今度は自身が突っ張って犬伏を不発にした。ラインでの上位独占をメイクしての2着は、価値がある。
 「初日(一次予選1)に犬伏君に突っ張られているので、展開が合えば突っ張ろうと思ってました。初日の借りを返したかった。谷口さんが見えたんで合わせて踏んでオーバーペース気味かなと思いましたけど。(佐々木)雄一さんが2、3回仕事をしてくれているのもわかった。犬伏君は同じ学年で賞金ランクが上位にいるので、勝てたのは自信にもなる。競技のすぐあとだったんで、初日、2日目は重たかったけど、日を追うごとに軽くなっている。少しずつ(疲労が)抜けている感じがあります」

<8R>

山田庸平選手
山田庸平選手
 渡邉雄太が押さえて出て、南関勢がペースを握る。4番手に山田庸平(写真)、6番手に佐々木悠葵で隊列は一本棒。打鐘を通過して、後方の清水裕友は2センターから反撃に出る。しかしながら、清水の加速に桑原大志は付いていけない。清水のまくりを中団の山田がスイッチして追う。逃げる渡邉と清水の踏み合いを、4コーナーから追い込んだ山田が突き抜けた。
 「今日(5日目)は感じに余裕があった。いい位置を取れたってことが勝因ですね。(清水)裕友が来たのがわかって、そこも反応できた。グランプリ争いっていうのが自分にはまだ荷が重くて、昨日が終わってからは吹っ切れて残り2走は次につながるレースをしたいと思っていたし、それができた」
 山田の俊敏な立ち回りに、荒井崇博が離れることなく続いて九州ワンツー。
 「追走はうまいこといっている。流れもあるからね。今回でいうと、昨日(二次予選)というよりも2日目に犬伏君と連係した時でしたね。あそこで勝ち上がりも変わってくる。しゃあない部分もあるから、(GIを)また来年、頑張りたい」

<10R>

簗田一輝選手
簗田一輝選手
 寺崎浩平が赤板手前から誘導を残して下げて、眞杉匠が先頭に立つ。そこを松井宏佑が踏み込んで打鐘で主導権を握る。すかさず寺崎も巻き返していくが、松井も合わせる。郡司浩平の再三のけん制で寺崎は力尽きて、後方の眞杉が最終2コーナーからまくる。逃げる松井の番手で郡司がブロック。南関3番手の簗田一輝(写真)は、郡司の内から追い込んで1着。GI初優出を遂げた。
 「郡司さんが上がれなかったので、すごくうれしいわけじゃないですね。昨日(二次予選)は僕も隙があったので。今日は隙を見せないように完ぺきに走りたいなって思っていました。松井さんもタレてきて、(最終)4コーナーでバックを踏めなくて流れのままいった感じですね」
 内を行かれた郡司は伸びを欠き、松井宏佑が2着に逃げ粘った。
 「どっちにしても先行で頑張ろうと思っていました。寺崎君も踏みながら眞杉君を出させると思っていたんですけど引いたので、そこはキツくなりました。積極的に仕掛けてラインで出切れたんですけど、自分のペースが悪くて郡司さんに仕事をさせ過ぎましたね。そこは反省点です。寺崎君を見ての仕掛けだったんですけど。ほかのラインも強いですし、あと一歩足りなかったなって。ラインで決められなかった」
 最終2センターでの郡司のブロックで止まったかに見えた眞杉匠のまくりだったが、直線の入口からは古性優作とからみながらも3着に伸びた。
 「(松井に出られたあと)中団が取れれば良かったですけど、久保田(泰弘)さんも位置が欲しいだろうし、そこはキツかったですね。もう少し自分が出切れる感じで行ければ、ラインで決まったと思うんですけど。(郡司のブロックが)強烈でした。古性さんもいたので空けないように、目いっぱい締めながらガムシャラでした」

<11R>

太田海也選手
太田海也選手
 最内枠の佐藤慎太郎がスタートを出て、3車の北日本勢が前団に構える。赤板過ぎに北津留翼を突っ張った新山響平は、次に仕掛けた北井佑季も出させずに主導権。しかしながら、3つ目のラインの太田海也(写真)は合わせ切れず、太田が打鐘3コーナーでカマして主導権を奪取する。新山が3番手に飛び付いて最終周回。8番手の北津留、3番手の新山が2コーナーからまくりを打つ。松浦悠士が新山をけん制して、佐藤が松浦の内を突く。松浦がこらえて、あおりもありながら北津留が前団に迫り直線を迎える。太田が二の足で後続を振り切って、3度目のGI出場で初めて決勝のキップをつかんだ。
 「松浦さんから一番強いって声をかけてもらっていて、力を出し切れば、決勝に乗れると、胸に刻んで走りました。SSの方からそういう声をいただいて自信になった。自分が力を出すと決めていたし、北井さんのあとにいこうと。ゴールまで松浦さんを信じて、自分のもてる力を全部出しました。昨日(二次予選)、一昨日に比べて、その前に脚を使っていないので、その分だと思う。松浦さんに仕事をしてもらって、自分の力ではないと感じる。自分はナショナルチームで競技では一人で戦うことがほとんどですけど、連日、連係してくれる先輩が自分の力以上のものを発揮させてくれると感じた」
 太田の強烈なダッシュに続いた松浦悠士は、新山のまくりを阻み、内から来た佐藤との攻防にも踏み勝って2着。
 「(太田は)早い段階から強い気持ちで行ってくれて、僕は止めたいと思っていたんで止められて良かった。九州と南関が出る素振りがなかったのでスタートはいい位置を取れた。(太田)海也の仕掛けが早くて、僕も危なかったが良かった。ペース的に大丈夫なのかなっていうのがあったけど、ゴールまで踏めていましたね。(新山は)一振りで止まらなくて、あたりにいって、そうしたら、(佐藤)慎太郎さんも入ってくるので割られないようにしたら踏むのが遅れた。その分、1着に届かなかった。今日(5日目)のデキなら狙える状態ですね。状態に自信をもって走れているのが結果につながっている」
 一番最初に新山に突っ張られた北津留翼は、8番手からの立て直し。早めに態勢を整えて、一撃にかけてまくり3着。ホームバンクで優出を果たした。
 「車番が厳しくて、押さえて突っ張られるだろうという考えでした。園田(匠)さんが位置を取ってくれて、後ろが慌てて行ったので園田さんのおかげですね。太田君がすごすぎて、(最終)ホームでは行けなくて、引きずり回しにあっていた。(自分は)持久力を生かして行くしかないと。なんとかでしたけど、自分だけで申し訳ない。声援がすごくて一生懸命、踏んでいきました。決勝に乗れたので、そこでいい走りをしたい」

<12R>

深谷知広選手
深谷知広選手
 スタートを飛び出した深谷知広(写真)が、前受けからレースを進める。赤板を迎えても3番手の新田祐大、6番手の山崎賢人が動かず、8番手の脇本雄太がタイミングを計る。2コーナー手前からスパートした脇本に合わせて、深谷も踏み上げる。脇本が最終ホーム手前で叩いて、南修二まで出切る。中団から切り替えた森田優弥が続くが、飛び付いた深谷が外に弾いて3番手を確保。新田は仕掛けられず、山崎のまくりは中団まで。3番手で間合いを取った深谷は、詰める勢いで近畿勢に襲い掛かる。最後のハンドル投げで、深谷が逃げる脇本をつかまえた。
 「相手が強すぎたんで、ガムシャラに攻めた結果だと思います。(スタートは)枠が悪かったんで、なるべく前の方にと。それで先頭になりました。(脇本が)来るのをしっかりと見ながら踏めたので良かった。(飛び付いて3番手の)そこを取り切れたのが良かった。(そのあとは)自分の間合いは取れました。自分の持ち味を出せたと思うし、自信にもつながる。選手紹介の時に今日(5日目)が一番感じが良かったので、上向いている。今日、突然、パッと良くなりました。セッティングをいじり続けているので、それがハマったのかなと」
 深谷の強襲にはあったものの、ラインの南と2、3着で決勝に進出。先行策での結果なら、脇本雄太も納得だろう。
 「どういう形であれ、自分が行きたいタイミングで行けるかどうかでした。正直、(山崎)賢人君が仕掛けてくるかと思ったけど動かなかった。それで自分で仕掛けて、ゴールまでしっかりともつようなペース配分で踏みました。GIでしっかりとラインで勝ち上がれたのは大きいです」
 脇本の加速にもなんとか食らいついた南修二が3着。9月の共同通信社杯からビッグ3連続での優出と安定感は抜群だ。
 「(準決の仕掛けは)脇本の得意な戦法の1つでもあるので、信頼して付いていました。(自分は)見ての通り、まったく余裕がなかった。追走いっぱいっていう感じです。僕がもう少し強ければ、(脇本とラインで)決められたのかなと。決勝に乗れたので、明日(決勝)は決めたい。(GI連続優出は)総合的にいろいろとやっていることが、かみ合ってきたのかなと」