『第52回朝日新聞社杯競輪祭(GI)レポート』 最終日編
配信日:12月5日
「第52回競輪祭・競輪王決定戦」が4日間の熱戦に幕を下ろした。52代競輪王に輝いたのは海老根恵太。深谷知広と村上義弘の攻防を後方からうかがうと、バックから一気のスパート。直線に入ると、最後は追いすがる新田祐大を振り切って優勝。グランプリ10への最後の切符を手にした。これでグランプリ10の9名が決定し、準優勝した新田祐大も新SS班に滑り込み18名が確定しました。
決勝戦・レース経過
号砲で各車出渋るが、内枠の海老根恵太が誘導員を追って出ていく。単騎の海老根が前受け、その後ろに新田祐大-岡部芳幸、中団には村上義弘-村上博幸-市田佳寿浩が入り、深谷知広-山口富生-飯嶋則之が後攻めの形で隊列は落ち着く。
青板周回の2センターから深谷がゆっくり上昇。中団でフタをされるのを嫌った村上義は7番手まで下げて反撃の機会をうかがう。海老根、新田は深谷の上昇に合わせて踏み上げるも、深谷が打鐘前に叩いて先行態勢に入る。深谷が少しペースを緩めると、鐘と同時に村上義が一気にスパート。両者で激しい主導権争いとなるが、深谷が村上の仕掛けにきっちり合わせ切る。1センターで村上義は後退し、4番手に切り替えた村上博がすかさずまくって出るが、車はなかなか進まない。後方7番手で脚を溜めていた海老根が2コーナーから踏み込み、その外を豪快にまくり上げる。4コーナーで逃げる深谷を捕らえると、これを追った新田と直線はマッチレース。海老根が新田を僅かに振り切って優勝を飾った。2着には新田が入り、新田マークの岡部が3着に流れ込んだ。
表彰式
胴上げ
ゴール
<1R>
武井大介選手
武井大介(写真)
が脇本雄太のラインに飛び付いて番手を奪うと、直線で追い込んで1着。最終日に白星を挙げた。
「連日、人の動きを待って失敗してたんで、今日はとりあえず脇本よりも先に踏んで、それから向こうの出方を見てからどうするかの作戦でした。もうあの展開になったら(番手に)行くしかなかった。小野(大介)も来てたからどうかと思ったけど、何とかうまくいきましたね」
園田匠
は後方からまくり上げたが、落車のあおりを喰って3着まで。地元G1で勝ち星を挙げることはできなかった。
「あやうく3回落車するところでしたね。落車があったし3着までが精一杯。今回は2回落車してるし、ゴールしたときは確定板に乗れたんで、それだけはよかったかな。今回は流れが悪かったですね」
<2R>
金子貴志選手
金子貴志(写真)
が8番手からまくって快勝。シリーズ2勝で終えた。
「8番手になってしまったし、誰かが(前を)斬ってくれば良かったけど、中団はこだわるところだからね。でも、バックは誰もが仕掛けるところだし、それを目掛けて行けばまくれるかなと。最終日に勝てて良かったですね。次は佐世保記念。また深谷(知広)と一緒だから頑張ります」
<3R>
合志正臣選手
合志正臣(写真)
が最終日に意地を見せた。中団から一気のイン突きで鮮やかに1着をさらう。
「(渡部)哲男に当たりそうになったけど、何とか立て直せましたね。あそこしかないというところに突っ込めた。正直、体調的には万全ではなかったけど、次までにしっかり調整していきたい」
<4R>
飯野祐太選手
今回は波の荒い成績となった
飯野祐太(写真)
。最後はまくりで勝ち星を仕留めた。
「昨日のレースが悔しいですね。今日はたまたま展開が向いただけ。でも、調子自体はずっと良かったし、今回も仕上がっている感じはありました。展開を自分で作れるようにならないと、上では通用しないですね」
<5R>
笠松信幸選手
中団を確保した中部勢がワンツーで最終日を飾る。勝った
浜口高彰
は「カサ(笠松)が頑張ってくれましたね。今回は自分なりに仕上がっていたので、最後を1着で締められたのは嬉しい。また次の開催で頑張りますよ」
笠松信幸(写真)
は見せ場を作ったが「まだまだですね。来なかったら先行するつもりで踏んでたけど、思ったより早く来たので、三宅さんラインを出させて構えました。でも、まくれる自信はなかったですよ」と謙虚な受け答えに終始する。
<6R>
ゴール直前でインコースの選手が落車。後方から仕掛けた
鈴木謙太郎
が届いて1着。
「外を踏んで届いたし、今回に関しては間違いなく調子は悪くなかったと思います。準決勝は深谷を相手に、負けを認めるしかない結果になってしまった。悔しいし、このままじゃ終わりたくないので、これからはアイツを倒すことを目標にしていきます」
<7R>
小嶋敬二選手
小嶋敬二(写真)
が外併走から力強くまくって快勝。昨日のうっぷんを晴らした。
「前がやり合う感じになったんでね。とりあえず、今日1着が(SS班入りの)ノルマだったし、やるだけのことはやりました」(なお、他選手の結果待ちの末、小嶋選手は賞金ランクで20位となり、SS班入りはなりませんでした)
神山拓弥の先行に乗り、
神山雄一郎
が2着に入った。
「友和に抵抗されたけど、拓弥があれだけ行ってくれたんでね。それ以上に小嶋が強かった」
阿部康雄
が3着に流れ込んだ。
「拓弥君が『行けるタイミングがあったらいきます』って言ってたけど、あんなに頑張ってくれるとは。あとは雄一郎がさばいてくれる展開になったし、自分は付いていっただけ。前の2人のおかげですね。でも、今回は自分なりにやった方だと思います」
<8R>
諸橋愛選手
逃げた浅井康太の番手に小林大介がはまる展開となった。最後は小林の後ろから、
諸橋愛(写真)
が鋭く追い込んで1着となる。
「(小林)大ちゃんが浅井を叩けば追い上げるつもりだったし、引いてくれば入れてあげる両面策で準備してました。うまくいきましたね。今回は調子が悪かったけど、終わり良ければ全てよしってことで。今日は恵まれたし、大ちゃんが頑張ってくれました」
小林大介
は番手にはまったが、伸びを欠いて7着に。
「叩きに行ったけど合わされましたね。番手に入った時点で脚は一杯でした。3日間自分で動いてなかったんで、最終日で自力はキツいですね」
<9R>
木暮安由選手
矢口啓一郎が自慢のダッシュにものを言わせて主導権を奪い、
木暮安由(写真)
が追い込んで1着。初戦でまさかの敗退となったが、その後は3連勝で締め括った。
「今日は矢口さんのおかげ。松岡君がきたときに反応がワンテンポ遅れたけど、そこからは意地でした。今回は初日で負けてしまったけど、G1で3連勝はなかなかできないから嬉しいし、次につながりますね。2日目もジャンで終わったかと自分でも思ったけど、もう一回突っ込めたし練習の成果が出たと思います」
矢口啓一郎
は8着に沈んだが、力を出し切り納得の様子。
「木暮が前でも良かったけど、今日はわがままを言わせてもらって自分が前に。イン粘りやまくりだったら木暮の方が強いし、前を回るからには自分らしいレースをしようと思ってました」
<10R>
兵藤一也選手
武田豊樹の先行に乗り、
兵藤一也(写真)
が追い込んで1着。SS入りへの絶対条件をクリアし、決勝戦の結果をもって念願のSS班入りを果たした。
「今日は武田さんのおかげだし、武田さんの気持ちが伝わってきました。俺はやるだけのことをするだけだったんで。SS班は意識しないようにしてたし、考えても仕方ないと思ってたけど、一宮記念のときもそうだけど、やっぱりそれなりのプレッシャーはあったね。でも、おかげでここ最近はずっと良い緊張感で走れました」
<11R>
新田祐大選手
村上博幸選手
注目の大一番は海老根恵太が優勝し、グランプリの切符を手中に収めた。ここではあと一歩のところで敗れた選手のコメントを。
新田祐大(写真)
は1/4輪届かず2着に。
「海老根さんより先に仕掛けるべきでしたね。せっかくのチャンスだったのに、モノにできなかったのは悔しい。岡部さんにも迷惑をかけてしまいました。最後は転ぶくらいにハンドルを投げれば良かったですね」
岡部芳幸
は致し方なしといった様子。
「展開云々の問題ではないですよ。連日後輩が頑張ってくれて決勝に乗れた訳だし。でも、せめて今日は新田に獲って欲しかったなあ」
村上博幸(写真)
は自力まくりを放ったが8着に敗れた。
「今日は気合が入ってたし、行けるんじゃないかって気持ちもあったんですけどね。体も反応してたけど…」
村上義弘
は「誰も行かないから自分が(叩きに)いくしかないと思って行ったけど…。力負けです。結果的に博幸と市田に迷惑をかけてしまいました」と、肩を落とした。
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情報提供:日刊プロスポーツ新聞社
写真撮影:日刊プロスポーツ新聞社 Takuto Nakamura
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