『第60回朝日新聞社杯競輪祭(GI)レポート』 2日目編

配信日:11月22日

 ナイターで初のGI開催。北九州メディアドーム・小倉競輪場を舞台に開催されている今年最後のGI「第60回朝日新聞社杯競輪祭(GI)」は、11月21日に2日目が行われた。今年から始まった「ガールズグランプリトライアル2018」では、2走目となる予選2でポイントが争われ、Aグループでは児玉碧衣、細田愛未、Bでは山原さくら、梶田舞が1着で決勝進出を果たした。また、男子では一次予選1、2が行われ平原康多が、初日に続く連勝で人気に応えた。22日の3日目には、予選の2走での合計ポイント上位選手による「ガールズグランプリトライアル2018」決勝が、A、Bグループでそれぞれ行われる。優勝者には年末のガールズグランプリの出場権が与えられるだけに、どちらの決勝も激戦は必至だ。男子では残りの一次予選2でスピードバトルが展開される。
 本場では開催中の毎日、「どりあんず平井とフジケンの楽しい時間」、競輪専門紙「コンドル」による全レース解説会、小倉けいりんをぐっと盛り上げる「北九州選手会コーナー」、「かねりんグッズ販売コーナー」などが行われます。また、22日の3日目には、「こくら太鼓」を合計1500人にプレゼント、「どりあんず」のお笑いライブ、「スピーチーズ」によるライブ、車券購入「ギフト券」などが当たる平日限定抽選会なども予定されています。小倉競輪場では様々なファンサービスとイベントで、お客様をお待ちしています。ぜひ、本場へ足をお運びください。

競輪専門誌「コンドル」全レース解説会
競輪専門誌「コンドル」全レース解説会
どりあんず平井とフジケンの楽しい時間
どりあんず平井とフジケンの楽しい時間
小倉けいりんをぐっと盛り上げる!北九州選手会コーナー
小倉けいりんをぐっと盛り上げる!北九州選手会コーナー
健太康太ライブ
健太康太ライブ

<1R>

山崎賢人選手
山崎賢人選手
 山田久徳が押さえた上を和田真久留が赤板で出て、別線を警戒しながらペースを握る。4番手の山田が車間を空けて、7番手の山崎賢人(写真)にプレッシャーをかける。打鐘の手前で山田が叩きに出るが、和田も突っ張り主導権を渡さない。山崎は前団の隊列が詰まったところで反撃、4コーナーから踏み込んでスピードの違いであっさりと先頭に立つ。園田匠は付け切れず、後続をちぎった山崎がセーフティーリードを保ったままゴールを駆け抜けた。
 「結果的に展開が向いた感じですね。(仕掛けて)行くタイミングはあった気がするけど、行けなかった。ラインで決まるようにしたかったんですけど、やっぱり内容が…。(脚の方は)全然、問題ない」
 打鐘で先行の腹を固めた和田真久留は、山崎には出られたものの内容の濃い走りで3着に入った。
 「赤板で出てるんで、もう脚がいっぱいでした。先行のつもりだったんで、前に出てからは全部突っ張ろうと思った。ジャンで山田さんが来ないで欲しかった。そうすれば自分のペースでいけたと思う。叩き合いになって山崎君が行きやすい展開になってしまいました」

<2R>

中村浩士選手
中村浩士選手
 新山響平が、合わせて踏んだ松浦悠士を赤板の1センターで押さえて主導権。すぐさま巻き返してきた中井太祐を突っ張ると、ホームから仕掛けてきた松浦も出させず風を切る。番手の中村浩士(写真)は松浦をけん制するなど、的確な仕事ぶりで新山をサポート。最後は直線で追い込んだ。
 「新山君が頑張ってくれたし、後ろの(岡村)潤も締めてくれているのを信じていました。あんまり(ヨコに)動くと潤が絡まれてしまうと思って、できるだけ動かずに。新山君は6番(中井)だけじゃなくて、3番(松浦)まで合わせるあたりは、近況の強さだと思う。最後は、できるだけ待って。上手に(ラインで上位独占が)決まるようにしました」
 東日本ライン3番手の岡村が2着。3着の新山響平は、持ち味を存分に発揮して別線を完封して見せた。
 「(中井が巻き返してきて)踏みたくない位置でしたけど、突っ張ろうと。そこからペースに入れて、松浦さんが2コーナーで来ると思っていたら、ホームで来たので。早めに踏んだから、最後は末を欠きましたね。(中村)浩士さんたちのおかげです。体もほぐれていて、力も入ります。でも、次のレースは踏む距離が短くなってくれたら」

<3R>

原田研太朗選手
原田研太朗選手
 青板からレースが動き始め、菅田壱道、原田研太朗(写真)の順で誘導後位が入れ替わる。打鐘前に切った天田裕輝を吉本卓仁がすかさず叩いて逃げる。5番手となった原田が最終2コーナーからまくると、これに合わせて天田も3番手から踏み上げる。外を力強く踏み切った原田が白星スタートを切った。
 「必死でした。もう少しいいレースができれば良かったんですけど。なんとか1着が取れたのは良かったです。新車は乗り心地を含めて、まだまだですね。いまのギアに合っていないというか、スカスカする感じがあった。もう少し良くなると思います」
 絶好のポジションを取った天田裕輝は2着。得意のドームバンクでスピードを発揮した。
 「想定どおりの展開でしたけど、吉本さんもすんなり先行ですからね。まくり切るのはキツかったです。本当はハラケン(原田)より先に仕掛けたかったけど、来たのが見えて無理やり行きました。あれで2着ならラッキーですよ」

<4R>

坂口晃輔選手
坂口晃輔選手
 先に出た山崎芳仁を、長島大介が打鐘で押さえる。前受けの岩本俊介は中団のポジショニングも、最終ホームの手前で反撃を開始。後方に置かれた三谷竜生だったが、南関勢を追いかけるように仕掛けて、単騎で出切った岩本を力でねじ伏せた。最後は、続いた坂口晃輔(写真)が差し切り。
 「前団がやり合ったし、三谷君は馬力があるので乗り越えていくと思った。気持ち早めに踏み込みました。抜けてしまったっていう感じです。走るまで(調子が)わからなかったけど、いいですね。初日に走らなかったので、体が回復したのかも。1着スタートは大きいですね」
 力強くまくった三谷竜生が2着。
 「打鐘のところで見てしまいました。(最終)ホームからは仕掛けることができたので、悪くはないと思います。僕が仕掛けるタイミングと岩本さんが行くタイミングがかぶったけど、(まくり切れたので)調子は悪くない」
 山口富生も「三谷の3番手で付いていけたし、自信になった。調子はいいですね」と3着に続き、中近ラインで確定板を独占した。

<5R>

村田雅一選手
村田雅一選手
 ここから一次予選の2走目。赤板の1センターで杉森輝大が出ると、山本伸一が打鐘で押さえて主導権。近畿コンビを受けた杉森は、最終ホームからまくってきた山田英明を張りながら仕掛ける。さらに、山中秀将も杉森の外を踏み上げて、最終2センターは3車で併走に。村田雅一(写真)は山本の内から抜け出すと、そのまま伸びてアタマ。3連単は90万オーバーの高配当となった。
 「近畿の先輩(山本)のおかげです。我慢したけど気配があったし、共倒れになるよりはと思って。シビアに踏ませてもらいました。気持ちの良い勝ち方ではないですね。ゴール後は、お客さんにも声をかけてもらいました。マニアックな人もいるんですね。次は仕事をして、気持ち良く勝てるように」
 佐賀コンビに付けた小川勇介は山田が不発になると切り替える。最終2センターから村田と同じコースを踏んで2着に入った。
 「諦めずに踏んで良かったです。転んでもいいってくらいの気持ちでいました。ただ、村田の動きが予想外。外を踏んでくれたら、4番(小林)が付いて行って、(自分だけ内コースを踏んで)アタマまでいけた。村田が内に行って、待ってしまいましたね」

<6R>

吉田敏洋選手
吉田敏洋選手
 吉澤純平を警戒しながら太田竜馬が、中団の外併走から赤板の2コーナーで踏み込んで主導権を握る。太田がスピードに乗せてラインの3車で出切り、前受けの浅井康太に4番手が転がり込む。後方の吉澤が最終ホーム手前から反撃に出ると、浅井は冷静に合わせてまくり上げる。浅井マークの吉田敏洋(写真)が、ゴール前できっちり交わして白星。一次予選の2走を2、1着で終えた。
 「もう全部お任せなんで。彼(浅井)がいま自分の調子がいいのもあると思うけど、(後ろの選手に)わかりやすいタイミングで仕掛けてくれる。だから100パーセント信頼して付いていける。自分は夏場ちょっと、落車のあと持病のヘルニアが出て苦しんだ。ここ数年いろんな経験ができているんで、なんとかその場、その場で対応ができている。だから、自分が思ったより早く戻ってきた」
 最終1センター過ぎにまくった浅井康太は、三谷将太まで引き込んでのライン3車での上位独占に納得の顔。
 「(逃げた太田が)掛かってたんで、無理やり行ったんでキツかった。行けたと思って緩めたら、まだ(内に太田が)残ってたんで踏み直した。(4番手に)飛び付いた時も結構、キツかったですよ」

<7R>

鈴木庸之選手
鈴木庸之選手
 赤板の2コーナーで切った鈴木庸之(写真)は近畿コンビを受けて3番手を取る。6番手となった小川真太郎が打鐘の3コーナーから反撃に出ると、南潤は一気にペースを上げる。合わされた小川、後方に置かれた人気の渡邉一成はともに不発。絶好の3番手から車間を詰める勢いでまくり追い込んだ鈴木が連勝を飾った。
 「だいたい考えていた通りの展開でした。南君のダッシュがすごかったです。ジャンの4コーナーのダッシュでかなり脚を削られました。小川君は僕のところくらいで止まりそうな感じでした。村上(博幸)さんの仕事がすごいので、ちょっとビビって行けなかったです。とりあえず1着で良かったです。恵まれました。レースは見えているし、すごいいい感触です」
 南の先行をフルに利した村上博幸が2着に入った。
 「(南)潤が最高のレースをしてくれました。いい掛かりでした。走りながら、いい緊張感を持って走れました。3番手にノブ(鈴木)が入ったのはわかりました。バックで来てくれれば持っていって、あおりも作れたんですけどね」

<8R>

平原康多選手
平原康多選手
 平原康多(写真)が、危なげない走りで勝利した。先に動いた平原は、取鳥雄吾を受けて絶好の3番手を確保。冷静に最終2コーナーからまくって連勝を決めた。検車場に引き揚げて来ると、納得の表情でレースを振り返る。
 「いろいろやってきて、ようやく思うようにスピードが出ました。かみ合ってきたと、今回(2走目)で感じられましたね。納得する走りができてきたと思う。今回からシューズを換えたのも、かなりプラスになっています」
 平原に食い下がった大槻寛徳が2着を確保した。
 「2走目は、自分が(離れて)恥をかくかどうかのレースでしたよ(笑)。やっぱり、平原は強いですね。付いていて、キツかったです。でも、平原は仕掛けるだろうなってタイミングで仕掛けてくれるので(付け切れた)。北日本にはいないタイプですね」

<9R>

梶田舞選手
梶田舞選手
 打鐘で誘導が退避すると、4番手の石井貴子(東京)が一気に仕掛けて打鐘の2センターで先行策。しかし、梅川風子も追うように仕掛け、最終バックで先頭に躍り出た。石井(東京)の先行に乗った梶田舞(写真)は、梅川の後位にスイッチ。石井貴子(千葉)と併走になるが、2センターから梅川の内を踏んで白星をつかんだ。
 「絶対に1着を取ろうと思っていました。空いたから踏んだというより、自然に内に行った感じですね。メンバーも含めて、たまたま展開が向いただけ。でも、決勝に乗れてうれしいです」
 最終ホームで中団にいた石井貴子(千葉)は、巻き返した梅川の後位に切り替える。2センターで梶田との併走から、外を回して2着に入った。
 「後ろの併走が死角になって。梅川さんにカマされた時に、反応良く後ろにいけなかったです。(2センターで梶田と併走になって)とりあえず、苦しまぎれに出て行ったけど、あそこで内を空けて行かれちゃうと…。(決勝は)みんな動くし、自分も自力のつもりで」

<10R>

長澤彩選手
長澤彩選手
 周回中、6番手にいた長澤彩が、動き出して打鐘で押さえて出る。長澤に土屋珠里が続き、そこに山原さくらが襲い掛かる。長澤は抵抗することなく山原を受けて、最終ホームで2番手に飛び付く。主導権を握った山原の後ろは、内から長澤、石井寛子、高橋朋恵で3車が併走。大外の高橋が遅れ出して、今度は2コーナー過ぎで石井がまくりを打つが、逃げる山原も全開で合わせて3コーナーに入る。石井を合わせた山原は、直線に入ってもスピードが衰えずそのまま押し切った。
 「(先行は)もうちょっと遅めが良かったけど、順番が来たらもう行こうって自然体でした。長澤さんに合わされたら苦しかったけど、引いてくれた。(主導権を取るのに)脚を使ってなかったし、自分としては走りやすいレースだった。最後までしっかり踏めました。初日は重かったけど(2走目は)すごく軽かった」
 山原後位に飛び付いた長澤彩(写真)は、内でじっと我慢して2着に流れ込んだ。
 「(周回中は)位置が結構、後ろだったんで、とりあえず切ってからと。それで(山原)さくらちゃんが来るのもわかってた。あれで一気に行かれたら厳しかったけど、そういう感じではなかった。自分としては動けているのかなと思います」
 長澤との併走からまくりを放った石井寛子は、3着もファイナルに向けて感触もまずまずの様子だ。
 「外併走があるのかなっていうのもあった。そこから行けるところでと思っていた。もうちょっと休みたかったですけどね。(調子の方は)全然、問題ないです」

<11R>

細田愛未選手
細田愛未選手
 打鐘で大久保花梨を叩いて先行態勢を取った佐藤水菜に奥井迪が襲いかかる。最終ホームから両者で激しくモガき合っているところを細田愛未(写真)が豪快にまくり切った。
 「初日に失敗しているので、行けるところからしっかり行こうと思ってました。1着を取らないと(決勝に)乗れないと思ってました。行けるかどうかはわからなかったけど、落ち着いて行けました。キツかったけど本当に良かったです。安心しました」
 2着の佐藤水菜は連日、先行で見せ場を作っている。奥井に出られそうになったが、内から盛り返して突っ張り切った。
 「主導権は譲らないという気持ちでした。(奥井が)来るのはわかっていたので、ペースに入れずに走りました。そのぶん、最後の粘りが足りなかったです。ハイペースでも粘れるようにしたいですね。少し重いかなっていう気もしたけど、2走した感覚はいいです」

<12R>

児玉碧衣選手
児玉碧衣選手
 打鐘で誘導が退避して高木真備が先頭に立つもペースは上がらない。打鐘の3コーナーから児玉碧衣(写真)が猛然とカマシを放つと、男子顔負けのスピードで後続をぶっ千切った。ラスト半周の上がりタイムこそ12秒2だが、前半の半周は11秒6という驚異的なタイムだった。
 「(高木)真備さん、(尾崎)睦さんと動く人が周回中に前にいたんで、得意のカマシでいこうかなって思ってました。自信を持って仕掛けることができました。踏んだ感触は良かったし、力を出し切れていると思います。後半がちょっとタレているので、決勝は最後までしっかり踏み続けられるように」
 2着には初日に続いて後方から尾崎睦が突っ込んだ。
 「脚はいいと思うけど、もう少し前々へいないとダメですね。車間を空け過ぎてしまいました。でも、師匠(渡邊秀明・68期)から小倉バンクの伸びるコースを聞いていたので、後方になっても焦らず踏めていますね」