『第37回共同通信社杯(GII)レポート』 最終日編

配信日:9月20日

 岐阜競輪場で開催された「第37回共同通信社杯(GII)」は、9月20日に最終日が行われた。S級S班5人をはじめ予選からの激戦を勝ち抜いた9人による決勝は、地元からただひとり優出の山口拳矢が、7番手からのまくりで優勝。ビッグ制覇の最速記録を塗り替えて、優勝賞金2269万円(副賞含む)を獲得した。

決勝競争出場選手特別紹介
決勝競争出場選手特別紹介

決勝戦 レース経過

 号砲で勢いよく清水裕友、郡司浩平、平原康多の3人が飛び出すが、郡司が誘導員の後ろを占めた。郡司-鈴木裕の南関勢に単騎の清水が続き、中団は平原-杉森輝大の関東勢に単騎の山口、そして後攻めは新山響平-新田祐大-守澤太志の北日本勢。  赤板前で郡司が誘導員と車間を空けはじめ、山口は内を突いて清水の後ろにスイッチ。1センターで郡司は誘導員を交わして先行態勢に入り徐々にペースを上げていく。2コーナーで7番手の新山がスパートすると、清水も仕掛けた。これに反応した郡司に鈴木は口が空いてしまい、郡司の番手に清水が入った。郡司は新山をけん制して中バンクに上がるが、スピードで優る新山が先頭に立つ。最終ホームでは新山-新田に郡司の内を突いた清水が続くも、守澤が清水を決めて3番手を死守し、北日本勢3車が主導権を握った。懸命に逃げる新山に対し、2コーナーから山口が発進。好スピードで前団に迫る山口を、新山の番手の新田は3コーナーで1回持って行ってから前に踏み、4コーナーでもう一発牽制を入れるが山口のスピードは衰えない。新田に踏み勝った山口が後続を振り切り、地元で歓喜のビッグ初V。2着はジャンから山口に続いていた平原と、最終4コーナーで平原の後ろにスイッチしていた鈴木で大接戦となったが、タイヤ差で平原が2着。






<1R>

松岡辰泰選手
松岡辰泰選手
 野口裕史が打鐘で叩くと近藤保が連結を外して、番手に中西大が入る。近藤は追い上げきれずに4番手で最終回へ。5番手で車間が空いた宮本隼輔はなかなか詰まらない。単騎で最後方にいた松岡辰泰(写真)が、2コーナーからまくって出る。番手から中西も踏むが、直線半ばでとらえた松岡がビッグ初勝利を飾った。
 「ハイペースになって車間が空いたらキツいかなっていうのがあって、宮本さんのラインを前に出しました。自分は(最終)ホームくらいでは(脚が)折り合ってたんで、宮本さんが行くかワンテンポ待ってから行きました。踏んだ瞬間に3コーナーくらいでは前に並べるかなっていうのがありました。(ビッグ初出場での初勝利ですが)同期のみんなが強くて(山口)拳矢さんは決勝に乗っているし、寺崎(浩平)さんも見せ場をつくっている。自分は全体的にもっと底上げが必要だと思います」
 マークした宮本の余力を確かめた久米良は、松岡のまくりに切り替えるように追いかけて2着。
 「まくり切れないことはあっても、シュン(宮本)の脚なら(最終)2コーナーから詰まっていくだろうと。そしたら(宮本が)いっぱいそうだった。それで松岡君が来たんで、踏ませてもらいました。僕の脚的には今日(最終日)が一番いい感じでした」

<7R>

野田源一選手
野田源一選手
 打鐘で高橋晋也を押さえて出た小川真太郎が先行態勢を取る。小川も踏み込むが、打鐘の3コーナーから仕掛けていた野原雅也が最終2コーナー手前で出切る。2コーナー過ぎで6番手からまくった高橋は不発。北日本勢のインをまくり気味に追い込んだ野田源一(写真)が2日目から3連勝でシリーズを終えた。
 「野原君と小川君がやり合うとおもしろかったかなと。あとはジャンで高橋君のところに追い上げていった方が良かったのかなっていうのはありますね。そのあとは緩むところがなかった。結果的に1着ですけど、空いたコースに入っただけ。自力ってコメントを出してたんで、自分的には評価はできない。(まくった高橋ラインに)付いていったけど、キツくて自力を出すのが難しかった」
 最終バック手前で切り替えた久米康平は、前の中近勢を追い込みでとらえて2着。
 「もうちょっと早めに(野原が)叩きに来たら、(小川)真太郎を入れてからと思ったけど。もうあそこだったんで切り替えさせてもらった。高橋君が来てたんで踏んだけど、思ったより出てくれた」

<8R>

北津留翼選手
北津留翼選手
 赤板過ぎに前団を押さえて小林泰正が前に出る。これに対して5番手に下げた門田凌が打鐘前から巻き返して4コーナーで小林をねじ伏せて先手を奪取。踏み出しで口が空きかけながら松浦悠士、三宅達也が続く。これで4番手となった小林は最終2コーナーからまくりにいくが、追って6番手から仕掛けた北津留翼(写真)のスピードがいい。北津留は2センターで前団を飲み込むと、切り替えて追いすがる松浦らを寄せ付けず圧勝した。
 「前か2番目からレースを組み立てようと思っていたんですけどスタートで負けてしまった。でもみんな下げてきたので叩かなくてよくなりました。いい位置が取れたので黙って付いていこうと。本当はホームから行くべきなんでしょうけどビビッてしまった。松浦君も(門田を)残す位置だと思ったので前に踏む感じじゃなかったから外を踏もうと思いました」
 北津留に3車身離されての2着。らしさを見せられないまま松浦悠士はシリーズを終えた。
 「結構、小林君が上げていたので行かないかなって思ったんですけど目イチでいったので。僕は空いてしまってなかなか追いつかなかったので状態としては良くなかったのかなと。自分もきつかったですし三宅さんもついているか確認しながら、あとは小原(佑太)君か北津留さんがどこから来るかなと思っていたら小林君がきたので。(北津留が)ちょっと見えた時には手遅れでしたね。3コーナーでいいところで当たれるかなって思ったんですけど、スピード差があり過ぎて危ないと思ってブロックというより前に踏む感じになりました」

<9R>

鈴木庸之選手
鈴木庸之選手
 福永大智が先頭に立つが、遅れ気味に来た稲垣裕之を眞杉匠が外に振って赤板2コーナーで2人が落車。福永後位にアクシデントを避けた吉田拓矢が入り、鈴木庸之(写真)、諸橋愛。打鐘の2センターから空いたインを単騎の和田健太郎が押し上げて、逃げる福永後位まで進出する。吉田は1車下げて最終2コーナーからまくりを打つ。吉田後位の鈴木が追い込んで1着。
 「(赤板2コーナーで眞杉と稲垣が落車して)そのあとも(和田に)しゃくられてバランスを崩してコケるかなっていうのもあった。(吉田)拓矢は自分で動けるから、(和田との併走で)番手から出ていくのかっていのもありました。あとは自分が和田さんとからむかでしたね。あれだと諸橋さんが浮いちゃうかなっていうのもあったんで、早めに踏ませてもらった」
 眞杉の落車で目標を失った吉田拓矢だったが、冷静な立ち回りで対処。和田にすくわれたものの、3番手からまくって関東勢を上位を独占した。
 「眞杉も僕も冷静じゃなかったところもある。(落車を)避けた時に脚を使った。和田さんにしゃくられたけど、1車だったんで引いて立て直してから行こうと。脚にきてたんで重かったです。ラインでワンツースリーだったけど、眞杉君の落車が残念ですね」

<10R>

宿口陽一選手
宿口陽一選手
 前受けの寺崎浩平を赤板前に下げさした森田優弥が中バンクを走行して7番手に下げた寺崎をけん制。森田はそのまま打鐘で誘導を切って先行勝負に出る。寺崎も3コーナーからの巻返しで埼玉勢を襲うが、1コーナー、2コーナーで宿口陽一(写真)が強烈ブロック。それでも踏み止めない寺崎に合わせてバック過ぎから番手まくりに出る。武藤龍生の内をすくって宿口後位を奪っていた小松崎大地をキメて稲川翔が追ってくるが、退けた宿口がシリーズを白星で締めくくった。
 「今日はもう森田がとにかく寺崎君を出させないレースをしたいって言っていたので。あとは自分がどれだけ残せるかって感じでしたけど。自分も武藤君が後ろにいると信じて。寺崎君も力があるのでバックからまた伸びてきたので。森田君もカカり切ればって感じでしたけどあそこで踏まないと森田君の頑張りが無駄になると思って踏ませてもらいました」
 2着の稲川翔は寺崎の頑張りをほめたたえる。
 「寺崎君の走りやすいようにと思って前を取りました。寺崎君もこういう風に怖がられる選手になってきたんだなって感じますね。それを乗り越えていかないといけないと思いますし、乗り越えられるだけの選手だと思っているので。今日はもう本当に信頼して付いていきました。宿口君もさすが脚がある選手ですし強かった。余裕はあって冷静には走れましたけど、このクラスは油断すると足元をすくわれてしまうので」

<11R>

山口拳矢★選手
山口拳矢選手
 地元の若きエース・山口拳矢(写真)がプレッシャーに負けることなく史上最速のビッグ制覇をやってのけた。レースは前受けの郡司浩平がそのまま誘導を交わして先頭に立つところを叩いて北日本勢が主導権を奪う。前々に踏み込んだ清水裕友が4番手で郡司とからんだ2コーナーで山口はまくり発進。3コーナーで新田祐大にブロックを受けるが乗り越えると、新田、平原康多、守澤らS班勢との直線でのバトルを堂々と制して優勝ゴール。
 「僕も北日本が前だと思っていた。最初の位置は気にせずに。自分の想定よりチャンスが早くきたなって。(新田よりも)自分の方が前に出れたので4コーナー回ってから勝負だなって。信じられない。オールスターで前々に動いて、決勝には乗れなかったですけど収穫はあったので。ゴールした後、静かすぎて間違えたかと思いました。(地元の)プレッシャーは日に日に強くなっていったと思う。(グランプリの賞金争いで上位に食い込んできたが)やっとスタートに立てたと思う。いい勝負ができる所に来たので年末まで気を抜かずに」
 山口のまくりに乗った平原康多だったが交わせず2着まで。
 「(赤板で)失格のラインもあるのでギリギリの攻防になると思ったんですけどね。新山が来るのがおそかったですね。最悪な展開になってしまった。でも山口君が行ってくれたので乗って行けたんですけど、脚を使っていたので抜けなかった。あおりも見ながらでしたし、抜けなかった。悔しいですね。今日は動いてちゃんと位置も取れなかったですし最後も差せなかった。色々と悔しい。課題だらけですけど、先行一車だと自在選手はみんな同じことを考えますよね。でも清水はうまかったですね」
 鈴木裕は直線中コースを伸びて3着にも、打鐘3コーナーで清水裕友に割り込まれたプレーを悔しがる。
 「全開で踏んだんですけどジャンで離れてしまいました。清水君に内にこられてしまって。2コーナーで(外に浮かされた郡司を)入れてあげられなかったのは反省点ですね…。(直線では)清水君が外なら内だって思っていたんですけど内へ行ったので。でも平原さんと守澤君の真ん中なので当たられないように」

次回のグレードレースは、青森競輪GIII「みちのく記念 善知鳥杯争奪戦」が9月23日~26日の日程で行われます。
共同通信社杯に参戦した選手は不在ながら、深谷知広、山田英明、吉澤純平、東口善朋らビックレースでも存在感を示している実力者がそろっています。また、最終日の第6レースには、119期生の7名による「ルーキーシリーズプラス」が行われるため、こちらにも注目です。
9月15日時点の出場予定選手データを分析した、青森競輪GⅢ「みちのく記念 善知鳥杯争奪戦」の主力メンバー及び狙い目選手を紹介する「プロスポーツ号外版」は以下をクリックしてください。

プロスポーツ号外版(表)は"こちら"
プロスポーツ号外版(裏)は"こちら"