『第39回共同通信社杯(GII)レポート』 初日編

配信日:9月15日

 青森競輪場で「第39回共同通信社杯(GII)」が、9月15日に幕を開けた。オール予選で行われた一次予選の初日は、S級S班が敗退のシーンもあったが、地元のS級S班、新山響平は勝ち星を挙げて二次予選Aに進んだ。9月16日のシリーズ2日目は、二次予選A、Bに分かれて勝ち上がりが争われる。
 開催中は、毎日、先着ファンサービスとして500人にプレゼント(2日目は、大成堂せんべい店イカせんべい)。キッチンカーの出店、レース特別予想会などが予定されています。また、9月16日の2日目には「原口あきまさ」のものまねショー、「ジョナゴールド」のトークショーとミニライブ、「名輪会」のトークショーなども行われます。青森競輪場では、みなさまのご来場お待ちしております。また、テレビ、インターネット中継などでの観戦もお楽しみください。

『開会式』
『開会式』
『前年度優勝の郡司浩平選手から優勝杯の返還』
『前年度優勝の郡司浩平選手から優勝杯の返還』
『敢闘宣言をする新山響平選手』
『敢闘宣言をする新山響平選手』

<1R>

南修二選手
南修二選手
 赤板過ぎに藤井栄二が先頭に立ち、近畿勢の主導権。単騎の坂本貴史が4番手に続いて、伊藤旭が5番手で打鐘を迎える。ペースを握った藤井は、後続を一本棒にして徐々に踏み上げていく。8番手の山根将太は、最終ホームでは仕掛けられない。2コーナーでまくった坂本を引きつけた稲川翔が、2センターでブロック。直線で中のコースを踏んだ近畿3番手の南修二(写真)が、突き抜けた。
 「前のおかげですね。(藤井)栄二も頑張ってくれて、(稲川)翔も止めてくれた。細かい修正点はありますけど。技術的な面ですね。脚を使っていなかった分、伸びたように見えたと思うんですけど。(前回の)立川よりはいいような感じがしますね」
 藤井の積極策を利した稲川翔は、坂本のまくりを止めて直線の差し比べで2着。
 「栄二は強気に攻めてくれましたし、気持ちに応えようと臨んだんですけど。栄二が沈んでしまったのが残念ですね。一次予選(の勝ち上がり)は真ん中(の着)まで権利はあった。あれが栄二の走り方ですし、(別線が)どこから来ても止めようと思っていました。もうちょっと早く来てほしかったなっていうのはあったんですけど。難しい判断でした」

<2R>

野口裕史選手
野口裕史選手
 前受けの畑段嵐士も赤板過ぎに誘導を交わして踏み上げるが、野口裕史(写真)がその上を押さえて出る。畑段が南関3車を受けて、4番手に下げたところで打鐘を迎える。別線の仕掛けはなく、マイペースで野口がリズム良く風を切る。4番手から仕掛けた畑段は、小原太樹の外まで。前の千葉コンビを脅かすまでには至らない。二の足で直線を踏ん張った野口が押し切った。
 「出る時に脚を使わなければと思っていた。畑段君が粘っているのかどうかがわからなかったけど、結果、粘っていなかった。小原(太樹)君が3番手を回ってくれたから、どうにか3車で出たいなと。VTRを見たらちょうど踏み直しのタイミングで、畑段君も外に外していたみたいでタイミング的に良かったのかなと。前回の平塚で着は良くなかったけど、赤板タイムや、上がりタイムが自分で設定したものに近くて戦えるタイムになっていた」
 番手絶好の佐藤壮は、最終4コーナー手前で外に振ってから追い込んで2着。
 「前とラインのおかげです。抜けなかったですね。キツかった。野口さんが飛び付かれないようにいってくれた。それが大きかった。(最終)バックからの踏み直しがすごくて、なにもしない感じで野口さんサマサマです。勝ち上がれてうれしい」

<3R>

雨谷一樹選手
雨谷一樹選手
 橋本瑠偉に合わせて中団から動いた松本貴治を、赤板1コーナーで新田祐大が突っ張る。橋本は外に浮いた松本の上を踏み込む。打鐘過ぎに一度は橋本が前に出るも、新田が盛り返して主導権を渡さない。橋本は不発で4番手に降りた雨谷一樹(写真)と接触した佐々木悠葵が最終ホームで落車。単騎の南潤が7番手からまくるが、松谷秀幸のけん制に阻まれる。雨谷が2センターから外を踏み込んで、ゴール前で抜け出した。
 「ああいうレース展開でハイペースになって、キツい状態になってしまいました。橋本君も相当頑張ってくれて、自分もなんとかしないといけないと。それで内に入りました。残り1周で自分の後輪に深くハウスして、誰か落車したのがわかった。南君が仕掛けたのが見えて、自分は松谷さんを目がけて踏みました。ここ1、2カ月のなかでは一番いい仕上がりでこられた。状態はかなりいいと思います」
 前受けから松本、橋本と2つのラインを突っ張った新田の番手から、松谷秀幸が差し脚を伸ばした。
 「(新田は)誰かしら来たら出させて中団っていう感じだったと思う。でも、(打鐘の)4コーナーでもう1回橋本君を突っ張ったんで、出させないですごいなって。あとは佐々木君か、南君がすごい勢いで来るんだろうと思った。そした南君だったんで1回振った。(走ってみて)思ったよりは良かったですね。正直、全然ダメなのかと思ってたんで、そのなかで走れている」

<4R>

佐々木豪選手
佐々木豪選手
 大川龍二が切って、そこを佐々木豪(写真)が赤板2コーナーで押さえてペースを落とす。中団の平原康多は隊列が詰まったところで踏み込んで、打鐘2センターで主導権を奪取する。平原ライン3車が出切り、佐々木豪は4番手で最終周回へ。タイミングを取って2コーナーまくりの佐々木豪が、神山拓弥のけん制を乗り越えてまくり切る。小川真太郎はあおりもあって続けず、佐々木豪が後続をちぎった。
 「(最終)ホームまで(別線が)来なかったら先行しようと思っていたんですけど。平原さんにいいスピードで行かれてしまったので落ち着いてと。中団に入って、頭を切り替えてまくりを出しました。(風は)バックが向かってたんで3コーナーは重たかったんですけど。でも、みんなキツかったと思う。前回がミッドナイトで終わってから体調的にキツかったんですけど、ここ1週間くらいで上げてこられた」
 7番手の大川龍二は、最終3コーナーで大きく外に振られるも、立て直して外を鋭く伸びた。
 「ジャンが勝負どころでしたね。佐々木(豪)君も(平原を)簡単には出させないと思ったんですけど、一本棒になってしまってピンチでしたね。(最後は)踏んだ瞬間は隅田(洋介)君と合ってしまってハウスしそうになって危なかった。今回はうちのSS(松浦悠士)がおらんので。アイツだけじゃないって。(町田)太我とも話して頑張ろうなって。アピールしていきたい」

<5R>

柏野智典選手
柏野智典選手
 前受けから赤板過ぎにグングンと加速した青野将大は、朝倉智仁を出させずそのまま先行策。山田英明が3番手を確保して、佐藤慎太郎は5番手で打鐘を通過する。最終2コーナーを過ぎて佐藤はインを突くもコースがない。朝倉のまくりは不発で、合わせて出た山田も一息。山田マークの柏野智典(写真)は、神奈川コンビの間をスピードを殺さず踏み込んで1着。
 「スタートは、あの並びが一番良かった。スタートの取り方からして青野君は突っ張るだろうなと。後ろが3車の佐藤さんはショートまくりか、自分たちが上に上がれば内から来るだろうと思って気を遣った。ハウスもあって少し危なかったのでまっすぐ踏みました。踏んでスッと出て大丈夫と思ったけど、佐藤さんが来たので慌てて踏み直してバタバタした」
 内のコースを柏野に封じられた佐藤慎太郎は、柏野の動きを待ってから最終4コーナー手前で踏み込んだ。
 「お恥ずかしい。変なところで内に差した。(内に差したら)ダメなのはわかっているけど、体が反応して内に差してしまった。3車の先頭って意識はなく、いつも通り自分のレースをすると。できることをやるしかない。あれ以上、なにができたのか考えたい。(最終)2コーナーでいける脚と気持ちがあれば。自力のありがたみを感じたレースでした」

<6R>

三谷竜生選手
三谷竜生選手
 松本秀之介を突っ張った眞杉匠のペースが緩んだ一瞬を、寺崎浩平が見逃さず仕掛ける。打鐘2センターで寺崎が叩き切り、近畿コンビを単騎の皿屋豊が追走。眞杉は4番手で立て直して最終周回へ。眞杉はバックから踏み上げるが、逃げる寺崎の番手の三谷竜生(写真)が余裕をもって間合いを取る。眞杉のまくりもキレがなく、三谷が勝機をモノにした。
 「(眞杉が松本を突っ張る)あの動きは(寺崎も)予想していたと思うし、そこのタイミングで行ってくれて頼もしかった。(寺崎は)強かったけど、(ラインが)2車なので難しかった。もう少し残せたら良かった。あとは(眞杉が)どの位置で来るかでした。踏みながらけん制して、合ってくれたらと。そこは良かったんですけど、(そのあと)思ったより進んでしまった」
 眞杉ライン3番手の櫻井正孝は、打鐘付近での眞杉のダッシュに遅れ気味。追いついて事なきを得た櫻井は、最終2センターから内よりのコースを縫って2着に追い込んだ。
 「ジャンで離れて口が空いてしまった。ああいうところがダメですね。(最終)3コーナーからは余裕がなくて、全部内にいってしまった。最後は眞杉とバッティングして、頭を引っかけていい思い出になりました(笑)。セッティングを変えてゆったりしたけど、それがいいのかはわからない。伸びるセッティングだけど、要所、要所で離れてしまってるんで」

<7R>

嘉永泰斗選手
嘉永泰斗選手
 一度は小森貴大に出られた北井佑季だったが、不破将登を張りながら仕掛けて打鐘で主導権を握る。佐藤礼文までラインの3車が出切るが、6番手にいた嘉永泰斗(写真)がドンピシャのタイミングで踏み込む。嘉永が叩き切り、快調に飛ばす。北井も4番手から踏み込むが、嘉永のスピードは衰えず九州3車の勝負。松岡辰泰、山田庸平を振り切った嘉永が1着。
 「最高の展開でした。中団、中団でいこうと思ったんですけど。北井さんも突っ張りそうな雰囲気を出していましたし、ゴチャついてくれたので行きやすかったですね。(バックの向かい風が)キツかったんですけど押し切れた。前回から自転車をいじって、いまひとつしっくりきていないのでもう少しいじります」
 九州ラインの番手を担った松岡辰泰は、山田に僅差で踏み勝ち2着をキープした。
 「(嘉永)泰斗がうまかったですね、強くて。1回待ってタイミングをズラして行ったと思うんですけど、初速で離れるかと思いました。(ゴール前は)ギリギリ届くかなって思ったんですけど経験不足ですね。(外を伸びた山田に)やられたかと思いました。(嘉永の踏み出しに)付いてからは楽だったので悪くはないと思います」

<8R>

山口拳矢選手
山口拳矢選手
 踏み込む太田竜馬を酒井雄多が打鐘3コーナーで叩いて主導権を奪取。後方の志田龍星は、最終ホーム手前から反撃に出る。守澤太志が最終2コーナー手前で大きく外に振るが、志田はコーナーの下りを使い迫る。守澤はやむを得ず番手まくり。守澤が力ずくで合わせ切ったが、志田に付けた山口拳矢(写真)が直線で外を伸び切った。
 「志田君も全開ってよりもペースに入れながらで、守澤さんのところを越えれれば決まるかなと思った。残り半周ぐらいなら守澤さんも番手から出るかなと思っていた。志田君も守澤さんより前に出たが、横をくらって厳しそうでしたね。人の後ろは自力より緊張する。余力を残して踏み切れているからいいと思う」
 酒井が敢然と先行策。番手の守澤太志は、懸命に志田を止めにかかるがギリギリの判断で自力に転じた。
 「地元のビッグで気持ちを入れて走った。いい展開だったけど、ラインで決められず残念ですね。酒井君も行ってくれて、根本(哲吏)君も番手を回してくれた。(番手から)出たけど脚力不足でいっぱいでした。(最終)4コーナーを回って山口君の勢いがすごくて絶望していました。いつもより気合が入って、お客さんからの声援をもらって気持ちを入れて走れた」

<9R>

古性優作選手
古性優作選手
 実質的には坂井洋との2分戦。赤板の誘導退避線が勝負どころで、中西大は坂井を突っ張って出させない。中近ライン4車が内から抜け切って打鐘。5、6番手に単騎の久米康平、永澤剛が続いて、坂井は後方に戻る。最終バック手前で坂井がまくるが、車間を詰める勢いで古性優作(写真)が番手から踏み上げる。そのまま押し切った古性だが、坂井の2着強襲にはこう振り返る。
 「坂井君が赤板過ぎにカンナ削りにきたんで、張りながら削られないようにした。(坂井が)どこまで下がったのかわからなかったのもあって、ちょっと難しかった。僕と(村上)博幸さんで売れていた。(番手から)ちゅうちょせずに思い切り踏んだんで(村上とワンツーにならなかったのは)力不足かなと。爆発力がない気がする。(その分)組み立てとかでカバーして頑張りたい」
 突っ張られた坂井洋は、7番手からの立て直しを余儀なくされる。それでも態勢を整えてまくりで2着に届いた。
 「2分戦ですし、早めに上昇して出させてくれたらラッキー。でも、おそらく突っ張られるだろうと。そしたら削れるだけ削って前々にと思ったけど、削れなかった。引き切ったのが(打鐘の)3コーナーくらいだと思う。(中西大が)掛かり切る前に行けたらと思ったけど、タイミングが遅かった。ギリギリで確定板に入れた。直前(バンクでの練習中に落車をして)、怪我があったけど、思ったよりも走れた」

<10R>

犬伏湧也選手
犬伏湧也選手
 深谷知広が吉田有希を突っ張り、そこに犬伏湧也(写真)が襲い掛かる。打鐘で勢い良く出た犬伏に、山口の2人が続く。深谷が4番手でレースは流れる。8番手の吉田は、仕掛けられずいっぱい。空けた車間を詰める勢いで、深谷が最終4コーナーから外に持ち出す。直線を迎えて犬伏マークの桑原大志は追走までで、犬伏が深谷を振り切った。
 「思ったよりも吉田君が(深谷と)併走していたので、スピードをもらいながら踏み込めて行けたと思います。(風は)追いと向かいがはっきりしていたので、追いでスピードに乗せて向かいは我慢する感じでした。深谷さんとか吉田君がいるなかで主導権を取れたので、こういうレースを続けていきたい」
 深谷知広は、4番手からの追い込みで2着。組み立ては思惑通りだったようだ。
 「前から突っ張って位置を取ろうと考えていました。(犬伏が)すごい掛かりだったので、行くタイミングはなかったですね。(最終)2コーナーで追いついたので、そこで脚をためさせてもらいました。いっぱい、いっぱいでしたけど、少しでも前にっていう感じでした。(前回の松戸と比べて調子は)ちょっと下がっている感じがあります」

<11R>

新山響平選手
新山響平選手
 赤板1コーナーで青森コンビが出て、清水裕友に阻まれた小松崎大地は離れる。打鐘手前で3番手に入った町田太我が仕掛ける。町田が嵯峨昇喜郎をねじ伏せたが、新山響平(写真)はすかさず自力に転じて最終ホームから仕掛ける。一度は追いついた小松崎だが付いていけない。今度は清水後位から踏み込んだ片岡迪之が追うが、新山は後続を離して一人旅。直線ではセーフティーリードで、終わってみれば6車身差で新山が1着。地元で好スタートを切った。
 「嵯峨君がいい判断とダッシュでいってくれた。出られないと思ったんですけど、気合が入っていましたね。小松崎さんが清水君にやられているのが見えて、町田君が仕掛けてきたのも見えた。町田君が行った時に嵯峨君を入れて追わせればと思ったけど、町田君が出てから流して追い上げられるぐらいなら嵯峨君の頑張りもムダになる。それで前に踏ませてもらった。(最終)バックで脚にきてタレ気味だったけど、後ろがいない感じだったので少し回してゴールまでいけた」
 小松崎に降りられて、打鐘で仕掛けた町田を追い切れなかった清水裕友。最終2コーナーからは後ろにいたはずの片岡を追いかけて、2着に入るチグハグな流れになった。
 「嵯峨君は赤板でカマシ気味かと思ったら、早めに上昇してきましたね。出切られたあと、小松崎さんが遅れてて町田君のために位置を確保したくて動いた。けど、結果、連結を外したし、いらん動きやったかなと。小松崎さんを意識し過ぎた。自分の位置を一番強い選手に取られたんでラインに申し訳ない。動きが重く感じるからケアをしたい。今日(初日)の2着は、いい2着じゃない」

<12R>

島川将貴選手
島川将貴選手
 窓場千加頼、島川将貴(写真)の順番で切って、そこを伊藤颯馬が打鐘で叩く。島川が3番手に飛び付いて最終周回へ。山崎賢人は逃げる伊藤颯との車間を大きく空ける。伊藤信とからんだ渡邉が、今度は島川の外まで進出してバックを迎える。山崎にとっては好展開も、島川に内をすくわれて、さらに小倉竜二にも振られて万事休す。島川が直線で抜け出した。
 「位置を取ってからの仕掛けっていうアドバイスを(小倉から)もらった。相手が強いんで、後方におっても勝負にならない。(九州勢の)3番手に伊藤(信)さんが見えたんで、そこだけは入れないようにしました。(山崎)賢人さんが車間を空けた時にだいぶ緩んだんで、(渡邉との併走は)待って、待って、コーナーに入ってから勝負しようと。あそこは見切りで行きました。(小倉と)一緒に勝ち上がれたから良かった。状態もいいと思います」
 島川マークの小倉竜二は、最終2センターで中のコースを突っ込む。島川との接触もあったが、徳島ワンツーには満足そうに汗をぬぐう。
 「最後は(あのコースを)空き待ちで、空いた瞬間に行った。前輪が壊れたらヤバいなって思ったけど、壊れなかったんで良かった。それでも誰かとからむとは思ったら、身内の島川君だった。2人で上がれて良かったです。ただ、この3走は連続して島川君を交わせてないのでちょっと悔しいです。いつもなら交わせるし、1着が欲しいですね」