『第39回共同通信社杯(GII)レポート』 3日目編

配信日:9月17日

 青森競輪場で開催されている「第39回共同通信社杯(GII)」は、9月17日に3日目を迎えた。一次予選から実力者が敗退する波乱の今シリーズは、準決でも激戦が繰り広げられ、3連単でも3個レースすべてで3万円以上の配当と人気での決着にはならなかった。嘉永泰斗、深谷知広、佐々木豪が勝ち星を挙げて、S級S班からはただ一人、地元の新山響平だけが優出を果たした。シリーズもいよいよ大詰め、9月18日の最終日には熾烈なバトルを勝ち抜いた9人による決勝が行われる。
 シリーズ最終日も様々なイベントが予定されています。「ぺこぱ&TAIGA」のお笑いライブ、エフエム青森公開録音「伊織もえのACGライブちゅう!」、「ライスボール」、「りんご娘」のミニライブ、工藤パンのイギリストーストを先着ファンサービスとして500人にプレゼント、キッチンカーの出店、レース特別予想会などが行われます。青森競輪場では、みなさまのご来場お待ちしております。また、テレビ、インターネット中継などでの観戦もお楽しみください。

準決勝10Rゴール
準決勝10Rゴール
準決勝11Rゴール
準決勝11Rゴール
準決勝12Rゴール
準決勝12Rゴール

<3R>

小原丈一郎選手
小原丈一郎選手
 山根将太が押さえて出て、先行態勢を取る。3番手に下げた嵯峨昇喜郎は単騎の伊藤信、追い上げた橋本瑠偉に割り込まれることなく好位をキープする。橋本が打鐘3コーナーから再度、踏み込んでいくが、山根が突っ張り出させない。今度は4コーナーで根田空史が踏み込む。根田が逃げる山根を最終2コーナーでとらえるが、内藤秀久は続けない。嵯峨は1人になった根田を追いかけながらまくり切る。最終2コーナーで内藤にからまれた小原丈一郎(写真)だったが、嵯峨に遅れながらも続いて直線勝負で差し切った。
 「嵯峨が頑張ってくれた。自分は勝負どころで口が空いて、からまれてしまった。伊藤さんもそうだし、内藤さんのところもそうでした。それでツーテンポくらい遅れてしまった。普段、番手をやってないのでなんとも言えないけど、地元のこの大きいレースでの1着はうれしい。体的には悪くないけど、(近況は)パッとしないですね。(今期は失格もあるので)この1着はデカい」
 展開を強調する嵯峨昇喜郎だが、前々に踏んで同学年の小原と地元ワンツーをメイク。コンディション的には一息でも、動き自体は悪くなかった。
 「展開が向きました。山根(将太)さんがあそこから駆けるとは思わなかった。あとは根田(空史)さんのカマシだけと思ってたら、(根田が)1車で来た。ここしかチャンスはないと思った。あの時点で僕だけサラ脚だったんで、スイッチするのは簡単にできました。そこからは脚をためようと思ったけど、詰まった勢いでいったら意外と出ました。ただ、(前々回の落車の影響もあって)まだ自分の体じゃないみたい感じですね」

<6R>

永澤剛選手
永澤剛選手
 吉田有希、岩谷拓磨の順番で押さえて出て、前受けの郡司浩平は打鐘で7番手に置かれる。が、先頭の岩谷のペースを見極めて、郡司が3コーナーから仕掛ける。最終ホームでカマし切った郡司が主導権を奪い、地元コンビが続く。4番手で立て直した岩谷は3コーナーで踏み込むも、郡司の掛かりがいい。番手で願ってもない展開が巡ってきた永澤剛(写真)が、差し切って1着。地元で白星にも、永澤はいつものように恵まれを強調する。
 「郡司君のおかげです。自分は(郡司のカマシに)ちぎれるかと思いました。郡司君なんで、カマしたら誰もまくれないと思ったけど、誰か来ましたね。初日は(単騎で)なにもできなかったですね。(目標がいて)恵まれました」
 カマシ先行でライン決着に導いた郡司浩平は、3日目にしてようやく納得の手ごたえをつかんだようだ。
 「(周回中は)前を取って立て直すにしろ、中団から勝負するにしろ、ジャンくらいではどの位置からでも仕掛けるつもりではいました。それで駆けられたら、緩んだところで仕掛けようと。今日(3日目)は昨日よりもかなり感じ良く踏み上げられた。出てからは練習のイメージで踏んでいけた。押し切れなかったのは脚力のなさです。ただ、今日やっと自分が思ってたポジションで乗れました」

<9R>

守澤太志選手
守澤太志選手
 野口裕史が5番手の眞杉匠にフタをして併せ込む。3番手の松岡辰泰は、赤板から上昇を始めてレースが動き出す。松本貴治は松岡を出させずに、その上を野口が押さえて主導権。打鐘過ぎに先頭に立った野口が駆けるが、眞杉の巻き返しも早い。千葉勢を追いかけた眞杉が、最終2コーナー手前で叩き切り、北日本勢が続く。2コーナー過ぎから松本がまくるが、番手の守澤太志(写真)は間合いを計りながら追い込む。ゴール寸前で守澤が、眞杉を交わした。
 「(野口に)フタをされるのも想定していたし、(思っていたのも)あんな感じでしたね。(最終)ホームの加速がすごくて、そこで眞杉君も脚を使ってたと思う。それで(出切った)2コーナーは詰まりました。眞杉が頑張ってくれて、和田(圭)君が内を締めてくれたんで、(松本のまくりには)余裕をもって対処できた。走っている感触は悪くないし、脚の感じも悪くない。(2日目に)勝ち上がれなかったのは自分の実力です」
 野口が眞杉匠を警戒しながらペースを上げるが、スピードの違いで眞杉がねじ伏せる。ラインでの上位独占をメイクした眞杉は2着に粘り込んだ。
 「作戦通りでした。野口先生がいたんで(前受けからの突っ張りは考えてなかった)。ただ、動きがだいぶ悪い。いいところで踏めていないし、終始、出ていない感じがある。出切ってから、我慢っていう感じでタレてきている。うまくペダリングができてない」

<10R>

嘉永泰斗選手
嘉永泰斗選手
 6番手の窓場千加頼から上昇を始めると、単騎の長島大介、嘉永泰斗(写真)が続いて、北井佑季は8番手に下げる。赤板2コーナーで窓場が切るが、長島は追わずに嘉永も動けない。そこを北井が仕掛けて、打鐘2センターで主導権を握る。3番手に飛び付いた窓場は、車間が空いて最終ホームを迎える。一本棒の9番手に陥った嘉永は、1センターから踏み上げる。嘉永を追った長島は加速に離れ気味。ロングまくりの嘉永が、直線に入り逃げる北井に並びかけ、瞬く間にとらえてそのままゴール。
 「北井さんのラインに付いて行こうと思った。けど、下がってきちゃったのでどうしようかと思っていたら、9番手になってしまったんで最悪でした。もう詰まったところから仕掛けるしかなかった。冷静には走れました。窓場さんが前と空いていたんで、その分行きやすかったですね。(最終)2コーナーぐらいで行ける感じがした」
 3番手で車間が詰まらない窓場の余力を確かめて、南修二は最終2センターで嘉永に切り替えて2着に追い込んだ。
 「窓場がしっかり組み立ててくれました。先行のスピードが良かったんで(窓場は脚力が)削られているのかなって感じていました。ちょっと先に外を踏み上げようかなって思ったら、(嘉永に)来られてしまった。あとはどこまで付いて行けるかでしたけど。油断しないようにと思って走りました。3日間のなかで、今日(3日目)が断然に良かった。みんなにアドバイスをもらいながら修正できた」
 打鐘で近畿コンビの後ろに入った隅田洋介は、その位置で最終バックを通過する。2センターで外の長島をけん制しながら南に流れ込んだ。
 「現状の僕の感じだと厳しいと思っていたんですけど、桑原(大志)さんと久米(良)君が後ろを固めてくれた。結果を出せて良かった。練習でもっと上積みして、恩返しできるように。踏んで出させれば、最低5番手は取れると思ったので想定通りでした。あとは嘉永君のまくりにどう対応するかだったんですけど、のみ込む感じだった。青森は外が伸びるんで踏みました」

<11R>

深谷知広選手
深谷知広選手
 北日本コンビの上昇を阻んで犬伏湧也が突っ張る。内に降りた阿部拓真だったが、深谷知広(写真)は割り込まれることなく3番手を守り切る。6番手に坂本貴史が入り打鐘を通過。8番手になった三谷竜生は、4コーナーから反撃に出る。三谷が好スピードで迫り、深谷は合わせて最終バック手前からまくる。今度は清水裕友が前に踏み込むが、深谷がスピードの違いで勝ち切った。
 「(スタートの)理想は犬伏君の後ろからだったので、そこが取れました。(犬伏が)突っ張ればあの位置だし、(別線が)切ってくれれば叩いていこうと。(結果的に)犬伏君が突っ張ってくれたので、想定通りに運べました。まくりにいかなくていいぐらい掛かっていました。そこで(三谷がまくりで)迫ってきて無理やり踏みました。(最終)3コーナーで清水君よりも前に出られたので、そこからはいけると感じました。もう少し早く行ってラインを連れ込めば100点満点だったけど、合格点ではあると思います」
 真後ろにいた深谷のスピードには対応できずも、犬伏を利した清水裕友は2着で決勝に進んだ。
 「(前を取って犬伏が)突っ張れば、3番手がもつれるかなと考えていました。相手もただでは後ろまで下げないだろうと。でも、突っ張ってすんなりが誤算。先に三谷さんの仕掛けが見えて、そのタイミングで(最終)バックで犬伏君も踏み上がって(三谷は)来ないだろうと。(深谷の仕掛けに)気がつけば当たろうと思っていたんですけど、難しかった。もう1個(後ろが)もつれてくれるか、3番手で併走なら…。誤算でしたし、甘かった」
 8番手から巻き返した三谷竜生は、深谷に合わされると松谷秀幸を押し込めてコースを封じる。総力を駆使して、直線では最後の余力を振り絞って3着に伸びた。
 「深谷君が脚を使わず3番手で余裕はあるだろうなと。出ていった時の動きで対応しようと思っていたので、なんとかしのげました。初日から調子がいいですし、(3日目も)一番後ろからあの位置まで来られて3着が取れたんで調子自体はいい。(自転車の)微調整は、その都度していて、それはいつも通りですね」

<12R>

佐々木豪選手
佐々木豪選手
 前受けの新山響平は、大川龍二の上昇を確認して赤板で誘導を降ろして踏み上げる。3番手には単騎の稲川翔、4番手を渡邉雄太がキープしたまま打鐘。もう1人の単騎の佐々木豪(写真)は、7番手に収まる。レースを支配した新山がペースを落として、別線の反撃に備える。最終ホームを通過しても隊列は一本棒で、新山が徐々に踏み上げて先行策。渡邉は車間を詰める勢いで、2コーナー過ぎにまくる。新山も合わせて前団の隊列が縮まったところを、佐々木が3コーナーからまくり追い込む。佐々木が逃げ込み図る新山をわずかにとらえたところがゴール。
 「入れるところがあったら切れ目、切れ目に入って仕掛けたいなと。でも、(周回中は)入れてもらえず、後方からになった。1車でも前にと思って、内が空いたら全部、行くぐらいの気持ちだった。渡邉選手が車間を切ってるのが見えたので、落ち着いて走りました。今日(3日目)はみんなまくりが決まってたので、それを見てまくりの展開になったら出せるところからと。隊列が短くなって、なめ込みながらいけたので良かったです。なかなか成績もずっと上がらず苦しんだんで、少しでも頑張りたいなと思っていた。決勝に上がれて良かったです」
 地元のビッグ。プレッシャーは想像に難くない新山響平だが、それを力に変えて主導権。佐々木には僅差で屈したが、S級S班でただ一人優出を果たした。
 「(地元ビッグで優出が)最低ノルマだと思ってましたし、今日(3日目)も運が良かったので(決勝に)乗れました。(準決の前受けから突っ張りは)作戦通りです。大川さんも昨日(3日目)対戦して同じ展開にはなってたので、少し変化をつけてくるかなと思った。けど、形としては突っ張りやすくなりました。差されているので、あの距離なら逃げ切らなきゃいけない。ちょっと引っ張りすぎた部分があったので、ペースが一辺倒だったとは思います。もっと強弱がつくような展開にすれば、外も膨らんで伸びづらかったとは思う」
 4番手確保からまくった渡邉雄太は、じわじわと前団に迫り、ゴール前でもうひと伸びした。
 「その後ろ(周回中は北日本勢の後ろ)が一番理想だったので良かったです。大川さんが押さえに来て、突っ張ったら突っ張ったでそこにいようと。(中国勢に)そこを降りられないようにだけ守っていました。新山さんがめちゃくちゃ流してた。もう車間を切って詰めながら一気に行くしないなと。ちょうどケツを上げたところで、(新山に)一緒に踏まれたんでスピード差はなかったですけどなんとか横まで来られた。(状態は)いいってわけではないですけど、悪くもないって感じですね」