『第40回共同通信社杯競輪(GII)レポート』 3日目編

配信日:9月15日

 宇都宮競輪場で開催されている大阪・関西万博協賛「第40回共同通信社杯競輪(GII)」は、9月15日に3日目を迎えた。ファイナルをかけて激しい戦いが展開された準決では、眞杉匠、深谷知広、郡司浩平の3人が白星を挙げた。地元からは眞杉がただ一人、決勝に進出。また、深谷は共同通信社杯連覇をかけてファイナルに挑む。500バンクを舞台にした4日間のシリーズも、いよいよ大詰め、9月16日の最終日には、スピードバトルを勝ち抜いた9人による決勝の号砲が鳴らされる。
 9月16日のシリーズ最終日も、宇都宮競輪場では様々なイベントでみなさまのご来場をお待ちしております。「U字工事」のお笑いライブ、大阪・関西万博PRブースの出展、選手会栃木支部によるチャリティーオークション、地元選手によるトークショー、専門解説者による予想会、名輪会のトークショー、先着ファンサービスとして500人に餃子引換券をプレゼントなどが予定されています。また、テレビ、インターネット中継などでの観戦もお楽しみください。

<4R>

山田英明選手
山田英明選手
 打鐘過ぎに小原佑太が、林大悟を出させずに突っ張る。踏み合いになるも林が3番手に引いて、打鐘4コーナーで7番手の藤井侑吾が仕掛ける。5番手の菊池岳仁も合わせて踏むが、最終2コーナー手前で藤井が出切り、小原は3番手に飛び付く。そこに菊池がまくりで迫る。東龍之介にすくわれた山田英明(写真)は、林に離れて8番手。2センター付近から内を進出する。皿屋豊が菊池のまくりを張って、空いた中のコースを小原が追い込む。コースを探した山田は、藤井と小原の間を鮮やかに伸びた。
 「突っ張られるのもあるかなと。そのあとは(林)大悟はかなりキツかったと思うし、遅れなかった大悟は(調子が)悪くないんじゃないかと。自分はアンコになっちゃって、連結を外してマズいなっていうのがあった。(最終)2センター辺りで大悟が仕掛けている感じだったので、そこからは最内を行かせてもらった。脚の感じは余裕があったんで、少しコースを見極める時間もあった」
 脚力を使いながら中部勢に飛び付いた小原佑太は、3番手から追い込んで2着。山田の強襲にしてやられたが、動きは悪くなかった。
 「(林を突っ張ったあとに)藤井さんの仕掛けが遅くて、(合わせるか)どうか迷ったけど、1回出しました。3番手に入る感じも、ゴールに向けて脚を残してはいた。すぐに菊池君が来たんで振ろうと思ったけど、スピードが合わなかった。あれで自分が外を踏めていれば、(和田)圭さんも違ったんじゃないかと。皿屋さんの内に行ったところは、脚に余裕がありました。ただ、山田さんが内から来たのがわかってなかった」

<5R>

松浦悠士選手
松浦悠士選手
 打鐘2センターから後方の久田裕也が仕掛けると、先頭の高橋晋也も合わせてペースを上げる。最終1コーナーで久田が出切り、3番手に高橋が飛び付いて田中誠と併走。その上をまくった森田優弥だったが、最終2コーナーで3番手取り合いのあおりを受けて失速。久田の番手で間合いを取った松浦悠士(写真)が、大渋滞の3番手をしり目に追い込んで1着。
 「追走の感じは悪くなかったんですけど、スピードが上がるとなっていうのはありました。昨日(2日目)はそこまで悪くないと思った。けど、(最終)2コーナーでもつれて、森田君を警戒して前に踏む素振りだったり振る素振りをしたら止まった。脚を使っていない志田(龍星)君がまだいたので前に踏んだんですけど。(2日目に先行してみて)自分の自力はあんなもんだなって。普段先行していない分、駆け方だったりもそうですけど。坂井(洋)君との力の差を感じました」
 森田マークから最終3コーナー過ぎに狭いコースを入った吉澤純平が、直線で中四国コンビの間を伸びた。
 「(最終2コーナーで)森田君が併走になって、あおりもあって後輪が飛んでいた。スピードも止まってしまった。高橋君も(外に)2車いたので、そこまでもってこられないと思いましたし、自分もあんまり動いちゃいけないなって。開けてから踏んだので、松浦君まではいけないと。昨日(2日目)、久々の自力で平原(康多)さんの前で失敗してしまったので、すごく悔いが残っているんですけど。力を出し切れるように頑張りたい」

<9R>

伊藤颯馬選手
伊藤颯馬選手
 8番手から上昇した脇本雄太が、打鐘3コーナーで先頭に立つ。根田空史は下げて、伊藤颯馬(写真)が3番手にすんなり入る。単騎の竹内智彦が小岩大介の横まで内から押し上げて、根田が7番手で最終ホームを通過する。根田は1コーナー過ぎに反撃に出るが、脇本も徐々にペースを上げて駆ける。バックでは逃げる脇本に並びかけた根田を、脇本がコーナーで合わせる。3番手で脚をためていた伊藤は、コースが開けた4コーナーで外に持ち出す。伊藤が近畿2人をゴール前でまとめて交わした。
 「(脇本、根田の)どっちが前でも中団、中団でって。あの並びなら先に切るか一緒に動くかでした。(先頭に出た)脇本さんがペースに入れた。(竹内の)気配は感じていましたけど、一番強い人が前にいるので。後ろには迷惑を掛けてしまいましたけど。ちょっとかぶってしまったので、そろそろ暴れようかなって思ったら前でバリバリっていって開けたのでまっすぐ踏みました。すんなり3番手だったけど、1着はうれしいですね。最近は落車と風邪で練習があまりできていなくて、(状態は)ボチボチですね」
 押さえ先行策に出た脇本雄太は、根田のまくりを不発にはしたが最後は伊藤に屈して2着。
 「根田君が前受けなら、早めに押さえないとなっていうのはありました。(出てからは)ペースに入れた。どのタイミングで来てもいいように。(最終)2センターでガシャンって聞こえて、フォームが乱れてしまったのは反省点ですね。疲労は抜けきらないと思いますし、日に日にたまってきている感じがある。いまの状態のなかでできる限り戦いたい」

<10R>

深谷知広選手
深谷知広選手
 切った吉田拓矢の上を打鐘3コーナー過ぎに出た松井宏佑が主導権。太田海也の仕掛けを察知した松井がペースを上げるが、太田がスピードの違いで最終1コーナーで叩き切る。しかしながら、松本貴治は付いていけず、松井が番手にハマる。併走をしのいで外の松本をさばいた深谷知広(写真)が、松井に続く。8番手に陥った北津留翼は、バック手前からまくって出る。3番手で前の2人との車間を空けた深谷は、2センターから詰めながら外を追い込む。番手の松井もいっぱいで、深谷が九州勢を退けて1着。
 「誰かが切ったところを(松井が)先頭に出られればチャンスがあるかなと。ある程度、作戦通りでした。(松井が太田の番手に入ったあとに、自分は松本とからんで)まずはそこが重要でした。松井のスペースを確保して、自分のタイミングを含めて踏んだけど。レースを見返してみて、もうちょっとなんとかできたかなっていうのは反省点です。松井が前々に踏んで頑張ってくれて、自分は脚をためられた。伸びはいいと思います。(感触は)抜群ではないけど、しっかりと戦えている」
 8番手で立ち遅れた北津留翼だったが、あきらめずに前団に取りついてまくりを断行。結果的には深谷に吸い込まれるように伸びた。
 「荒井さんが前を取ってくれたんで、いい展開になりました。(最終)ホームから目いっぱい踏んでいたんですけど、前団が強すぎて離れていた。やっとバックでペースが折り合って、そこで追いつくことができた。最近、全然良くないので、(今シリーズは最終日に)お帰りにならないように走らないとっていうのがあったので、まさか決勝に乗れるとは。自分でもビックリしている」
 スタート取りが大きな比重を占めただけに、3着の荒井崇博はこう振り返った。
 「(スタートで前が取れた)あれがすべてですね。後ろだったらなかったと思います。前を取って引いて、(北津留)翼がサラ脚で全開で行ってくれればと。感触も悪くないと思うし、明日(決勝)1着を取りたいね」

<11R>

眞杉匠選手
眞杉匠選手
 打鐘3コーナーで先頭に立った犬伏湧也ラインに単騎の窓場千加頼が続いて、前受けから進めた眞杉匠(写真)は4番手に下げて構える。やはり単騎の谷口遼平が7番手。先行態勢を取った犬伏のペースを見極めた眞杉は、最終ホーム手前から発進。眞杉が主導権を奪い、関東3車で出切る。そこに谷口がまくりで迫る。山崎賢人は離れた8番手でバックに突入。3コーナーで谷口をけん制した神山拓弥はいっぱいで、眞杉から徐々に遅れる。直線でもう一度踏み直した眞杉が押し切って、1着で地元ビッグの決勝に進んだ。
 「中団からって考えていました。あれで(打鐘のところで犬伏が)踏んでいなかったので、(窓場のところは)引いてって考えました。(仕掛けのタイミングは)理想的でした。直線でかくれながら見えないところで行けた。神山さんが(谷口を)止めてくれて、ライン(のおかげで)で1着を取れました。自転車をいじって良くなりました。サドルまわりですね」
 山崎賢人は、後方からのまくり追い込みで大外を強襲。眞杉はとらえ切れずも伸びは光った。
 「ちょっと(前団との車間が)空き過ぎてしまったので、詰めるのが遅くなってしまったんですけど。(車間を詰めるのが)早ければアタマまでいけたかなって。展開が良くなりました。眞杉君が中団から行ってくれたので」
 関東ライン3番手の恩田淳平は、前の神山が力尽きると直線でこん身の追い込み。ゴール前で神山を交わして3着でビッグ初優出。
 「眞杉君が積極的に行ってくれた。地元の後ろで緊張しましたし、体の使い方だったりペダリングだったり冷静じゃなかったですね。地元の後ろだったので3番手ですけど、止められるならと思って1回振ったんですけど。結果、神山さんに仕事をしてもらう形になった。(今シリーズは)SSの3番手を3日間回った。なかなかこういう経験はないんですけど。ここで生かせて良かったです」

<12R>

郡司浩平選手
郡司浩平選手
 打鐘3コーナーで出た町田太我をちゅうちょせず佐々木悠葵が叩く。佐々木悠が主導権を奪い、最終周回へ。町田が3番手で立て直して、5番手には古性優作。打鐘2センターで一度アクションを起こした北井佑季だったが、結局7番手に置かれる。2コーナー手前で浮いた町田が後退して、内から大川龍二が切り替える。バックを過ぎて3コーナーで坂井洋が番手から出るが、加速がいまひとつでスピードに乗らない。古性が2センターで外に持ち出して、北井マークの郡司浩平(写真)は中を進出。直線に入ってコースを探した郡司が、大川、古性の間を鋭く突き抜けた。
 「(打鐘2センター付近の北井は)佐々木(悠)君の上を行く感じで踏んだと思うけど、佐々木(悠)君も積極的で付いていけなかったんだと思います。あのままだったら、(北井は)古性の仕掛けを見る形になるんだろうと。正直、一番出ないところで北井さんが踏んで、前をのみ込めるような感じではなかった。それで自分は内も見る形でした。内に切り込んでからは余裕があった。昨日(2日目)は前に出てから考えて5着はしたけど、それで今日の余裕が生まれたのかなと」
 神奈川勢を後方に置いて踏み込んだ古性優作が2着。3走続けての2着で決勝にコマを進めて、オールスターから3場所連続Vに挑む。
 「(5番手で車間を)詰めたら北井さんを引き出すなって思ったんですけど、ちょっと切りすぎましたね。サドルの感じがヤバくて、まったく踏めなかった。脚はあったんですけど。レーパン(レーサーパンツ)を換えたんで(それが原因かなと)。見てもらった通りですけど、期待に応えられなかった。まったく物足りない。力不足ですね」
 古性の動きにソツなく続いた南修二は、外を踏んで流れ込んだ。
 「僕は(古性への)追走だけ集中してでした。(古性)優作も強かったですし、ほかの選手もいいスピードでした。今日(3日目)が(感触は)一番良かったように感じます」