『第41回共同通信社杯競輪(GII)レポート』 初日編

配信日:9月12日

 福井競輪場で「第41回共同通信社杯競輪(GII)」が、9月12日に幕を開けた。オール一次予選の初日は、地元のS級S班、脇本雄太が白星で人気に応えた。また、タイトルホルダーとなった寺崎浩平は、凱旋シリーズを2着でスタートした。4レースは浅井康太が欠場のため中止、車券はすべて返還となった。9月13日のシリーズ2日目も、自動番組編成による二次予選のA、Bで勝ち上がりが争われる。
 開催中は、毎日、福井の銘品「ふくいの恵み」認定商品を先着プレゼント。市田佳寿浩さんらによる予想会、福井のご当地グルメ大集合、選手会福井支部ブースなどが予定されています。9月13日のシリーズ2日目には、「ぺこぱ」のお笑いステージ、「キミとアイドルプリキュア」のキャラクターショー、恐竜王国福井「恐竜ひろば」などもあります。福井競輪場では、みなさまのご来場をお待ちしております。また、テレビ、インターネット中継などでの観戦もお楽しみください。

第41回共同通信社杯競輪、開会式
第41回共同通信社杯競輪、開会式
敢闘宣言をする寺崎浩平選手
敢闘宣言をする寺崎浩平選手

<1R>

菅田壱道選手
菅田壱道選手
 赤板過ぎに出た石原颯の後位は、瀬戸晋作と内藤宣彦の競り。青野将大が2コーナー過ぎに石原を押さえて主導権を握る。神奈川勢に菅田壱道(写真)が続いて3番手。石原は下げて、もつれた後位のあおりで道場晃規が打鐘2センターで落車。青野の先行で最終周回。6番手の石原が2コーナー過ぎからまくり、3番手の菅田は引きつけて、2センターから追い込む。直線で神奈川勢をとらえた菅田が1着。
 「石原君が(青野を)突っ張るかなって思った。けど、引いてきたので、すかさず追い上げた。道場君もいなかったので、あの位置が取れました。あの位置なら後ろのまくりが来てからでも、(ラインを)連れ込めるかなって思ったんですけど申し訳なかったですね。(早めに)行ければ良かった。(1レースで)いつもよりアップの時間も短かったですし、体が起ききっていなかったっていうのもあった。でも、松谷(秀幸)さんに伸び勝てたので、伸びは悪くないのかなって思います」
 2車ながらも、青野が果敢に風を切って出る。番手の松谷秀幸は、菅田に合わせて踏み込んで2着。
 「後ろを確認して、(最終)2コーナーで来られたらキツいなって。(菅田が)車間を空けている感じだった。ピッタリついてくれていれば良かったんですけど、難しかったですね。先に踏まれているんで対応できなかった」

<2R>

深谷知広選手
深谷知広選手
 松本貴治が切った上を、赤板2コーナー手前で後藤大輝が出る。単騎の小林泰正が3番手に続いて、4番手が松本と三谷竜生で重なり打鐘。前受けの深谷知広(写真)は、結果的に後方になる。4コーナーで三谷を張った松本が、4番手を踏み勝ち、後藤がそのまま駆けて最終周回。隊列がほどけて8番手に置かれた深谷は、1コーナーから踏み上げる。3番手の小林も2コーナー手前からまくり、林大悟も車間を詰めながら発進。しかしながら、深谷のスピードが断然であっさりのみ込んだ。
 「前から全部、引くのは、あんまり良くないかなって思ったんですけど。動きが早かったし、みんな脚を使っていたんでチャンスが出た。(最終)ホームで余裕があったんで落ち着いて、順番で前に行けた。(まくりのスピードは)理想的に上がったんで、そこは良かったです。(脚の感触も)良かったと思います」
 深谷の加速に車間が空いた根田空史だったが、前団を乗り越えて直線勝負に持ち込んだ。
 「(深谷が)踏み出した瞬間は、モコモコしていた。それで合わされているのかなっていうのがあったんで、自分は降りた。(そのあとに)慌てて追いかけていった。突然(深谷が)伸びていったんで、(付いていくのに)自力まくりみたいな感じだった。自力ではなかったけど、あんだけのスピードを体感できたんでいい刺激になった。(人の後ろを回るのは)年齢的にもそういう場面を意識して練習もしている。今回は平原(康多)さんのフレームをお借りして、どっちでもできるようにと思ってきた」

<3R>

太田海也選手
太田海也選手
 スタートを制した太田海也(写真)が前受け。叩きに出た石塚輪太郎を赤板過ぎに太田が突っ張る。しかしながら、石塚も踏みやめず、打鐘でも両者の踏み合い。小森貴大が付け切れず、太田は冷静に石塚の1車を打鐘3コーナー過ぎに受けて番手に入る。石塚の主導権に、太田、小倉竜二、瓜生崇智、小森、松井宏佑の隊列。9番手の纐纈洸翔が最終ホーム手前から仕掛けて、小森は2コーナー手前からインを進出。太田が番手から出て、小森、小倉が併走で続く。2センターで小森が小倉をさばいて、太田を追いかけるが差は詰まらない。太田が、楽にゴールを駆け抜けた。
 「前を取って、主導権を握れるようにレースをしていこうと思っていました。単騎が3人いて、あのまま(石塚と)2人で2周やり合っても自分のペースよりも早くなってしまうと思った。1車だとわかったので、入らせてもらいました。ずっと纐纈君は見えていて、僕待ちかなっていう感じだったんですけど。自分のペースで踏み始めました。自分の距離も踏めていないですし、勝ちやすい展開になったので1着を取れただけですね」
 石塚との連結を外した小森貴大は、5番手で最終ホームを迎える。内から太田の番手を奪い2着に入った。地元で勝ち上がったものの、レース内容には反省しきり。
 「思い切り出て(スタートを)取りに行こうとしたんですけど。力のなさを感じました。判断が難しかったですね。石塚君は出切っていますし、付いていかないことには。ラインとして連係を乱してしまった。結果が良かっただけのレースですし、前と後ろの思いをムダにしてしまった」

<5R>

成田和也選手
成田和也選手
 4車の北日本勢が、前団に構える。嵯峨昇喜郎は橋本壮史を出させず、主導権を渡さない。突っ張られた橋本は下げて、佐々木眞也は5番手をキープ。8番手で打鐘を通過した橋本は、3コーナー過ぎから再び仕掛ける。嵯峨もペースを上げて風を切る。最終1センターで成田和也(写真)が、橋本をけん制。橋本が不発で、今度は佐々木が2コーナー手前からまくる。飯野祐太が番手から合わせて出て、成田が差し切った。
 「飯野君が番手だったので、流れのなかで飯野君がどう動くのかなって思って見ていました。橋本君も佐々木君もしっかり動いてくると思っていた。(佐々木のまくりは、飯野の踏み出しに)合っていたので、自分も対応できたと思います。なんとか(ラインの)3人で決まった」
 嵯峨の頑張りを無にすることなく、北日本勢が上位を独占。番手の飯野祐太は、最終バックから前に踏んだ。
 「(嵯峨が突っ張って駆けて)あとは、自分の判断次第だとは思っていました。(最終)ホームで橋本君が来たのが見えたので1回振った。もう1回見たら佐々木君が来ていたのがわかった。バックも追い風ですし、あれ以上待って越えられても意味がないと。それで詰めながらいきました。でも、あの判断が正解だったかはわからない。嵯峨君が頑張ってくれて、成田さんと阿部(力也)君が後ろを固めてくれた。ラインのおかげです」

<6R>

南修二選手
南修二選手
 7番手から動いた犬伏湧也も押さえに動くが、谷和也が突っ張ってそのまま主導権をキープ。谷がペースを握り、中部勢が中団。一度は7番手に戻った犬伏は、打鐘から巻き返す。犬伏のダッシュに渡部哲男が遅れて、犬伏は1人で最終2コーナー手前で出切る。飛び付いた谷だが、車間が空いてなかなか詰まらない。後ろの南修二(写真)は、後続との間合いを計り、ギリギリの判断で2センターから追い込む。押し切り図る犬伏をピタリと交わした南が1着。
 「(犬伏は)止まるスピードでもなかったし、1人なのもわかった。あとは谷がどれだけ追いかけていけるかだった。(最終2センター付近から踏む判断をして)ちょっと遠かったので、届くかどうかわからなかった。犬伏も長い距離をいっていたんで、なんとか届いた」
 連結を外したラインの2人が勝ち上がりを逸して、2着の犬伏湧也は自身の力を示しながらもこう振り返る。
 「突っ張られるかと思ったんで、強めに踏んで出切れたらしっかりペースをつくってと思っていた。けど、(谷は)出す気がまったくなかったんで、落ち着いてでした。あとは自分のキャパを超えないスピードでカマしていった。赤板で自分がしっかり切れていれば、(渡部)哲男さんも田中(勇二)さんも付いてこられたんじゃないかと。そこは自分の技量(のなさ)かなって思います。勝ち上がりの段階で、どれだけラインを連れていけるかっていうのが課題。そうやっていかないと(勝ち上がっても)チャンスがない」

<7R>

渡邉豪大選手
渡邉豪大選手
 3連単は40万円を超える好配当。前受けから踏み込む取鳥雄吾を、伊藤颯馬が強引に押さえる。九州3車で出切り、取鳥は4番手で立て直すが武藤龍生が打鐘3コーナーで4番手に追い上げる。4番手でかぶった取鳥は4コーナーから押し上げて、番手の松岡辰泰と併走。もつれた番手は最終2コーナーで取鳥が取り切るも、清水裕友は付け切れない。逃げる伊藤に取鳥、渡邉豪大(写真)。バックで取鳥も仕掛けるが、伊藤も抵抗。直線で伊藤、取鳥の間を渡邉が伸びた。
 「離れないように追走に集中していました。(取鳥が内から来たのは)予想外でした。最終バックだったんで、松岡君が負けたんですけどバックを踏めなかった。ホームだったら入れたかったですけど。ゴチャついていたので、(感触は)良くわからなかったです。(前々回の)小倉GIIIで腰を痛めたんで、まだ万全ではない。けど、付いていく分には、問題ないと思います」
 最終バックでは渡邉に続く形になった武藤龍生は、4コーナーで外に持ち出して追い込んだ。
 「とにかく立ち遅れないようにと思っていました。(取鳥が)突っ張っても、引いてもどこまで追い上げられるかだと。このメンバーで後方になったら(勝負権は)ないと。隙を狙って、自分の力を出せればと思っていました。自分はもつれていたほうが脚がたまる。外を踏むか、コースを縫うか考えていました」

<8R>

森田優弥選手
森田優弥選手
 櫻井祐太郎も突っ張るが、松本秀之介が赤板1センター過ぎに飛び出す。松本がペースを落として、櫻井は内に包まれて打鐘を迎える。単騎の森田優弥(写真)が最終ホーム手前で単独の4番手になり、渡邉雅也の追走。櫻井は結局、7番手に陥る。2コーナーでまくりを打った森田を荒井崇博は止められず、森田に渡邉が続く。九州勢をとらえた森田が、渡邉を振り切った。
 「(単騎だったので)なんでもこだわってって思っていました。ラスト1周からは、どこでも仕掛けようと。単騎だったんで戦法は限られるけど、仕掛けられて良かった。(2日目以降に向けては)もうちょっと乗り方を考えようかと思っています」
 単騎の2人で決着。森田のまくりに流れ込んでの2着に、渡邉雅也は険しい表情で振り返る。
 「(結果的に森田の後ろになって)早めに行ってくれた。けど、自分は最後に後輪がハネて感じは良くなかった。あんなに後輪が飛んだのも初めてだった。でも、全然、抜けてないので力不足です。正直、良くはないですね。(初日は)いたか、いないかわからないレースだった。明日(2日目)はしっかりいるぞっていうレースをしたい」

<9R>

佐藤一伸選手
佐藤一伸選手
 中野慎詞は和田真久留を引きつけることなく、赤板過ぎに誘導を降ろして踏み上げる。単騎の寺崎浩平が4番手は確保して、和田は元の5番手に収まる。もう一人の単騎、藤井侑吾は一本棒の9番手でタイミングを計るが、打鐘2センターで和田が踏み込む。合わせてダッシュを利かせた中野が逃げる。最終ホームで南関勢が4番手以降に降りて、寺崎は8番手。9番手の藤井は1コーナーで仕掛ける。藤井が好スピードで前団に迫る。が、中野との車間を空けた佐藤一伸(写真)が、落ち着いて追い込んだ。
 「車番が良かったので、中野君の判断に任せていました。自分もできる限りサポートをできればって思っていたんですけど、いらなかったですね。めちゃくちゃ強かったです。自分も少しずつ良くはなってきていると思います」
 最後方から最終バック手前でまくった寺崎浩平は、直線で外を猛襲して2着に届いた。
 「初手は北日本ラインの後ろからって考えていました。最終ホームで立ち遅れてしまったのが、良くなかったですね。行きどころも悪くって、単騎だったんで難しかった。でも、得意の福井バンクなので最後まであきらめずにと。久しぶりのレースで、久しぶりの単騎だったっていうのもあるんで、いつもと違った緊張感がありました」

<10R>

阿部将大選手
阿部将大選手
 赤板過ぎに、伊藤旭が郡司浩平を突っ張り出させない。そこを近畿コンビが出て主導権。3番手に伊藤が入り、坂井洋が5番手。郡司は一本棒の8番手で打鐘を通過する。2センターから郡司が踏み込むが、大石崇晴も全開で逃げる。伊藤が郡司に合わせてまくりを打つ。郡司は阿部将大(写真)に阻まれ厳しい流れ。伊藤が最終バックで出切り、後ろが切り替えた三谷将太と阿部で併走も阿部が外を追い込む。坂井、佐藤慎太郎を退けた阿部が1着。
 「(伊藤)旭がレース展開をつくってくれたんで、僕にもチャンスがありました。(最終)1センターで郡司さんに当たって、(郡司は)来られないだろうって。あとは三谷さんが切り替えてきたんで、そこだけでした。旭君を残せるようにって思ってたんですけど、僕が思いのほか差し込んでしまった。旭が頑張ってくれて、そのおかげで1着にこられました」
 坂井の仕掛けに乗った佐藤慎太郎は、直線で中のコースを伸びて2着。
 「(坂井は)雨走路だったし、いろんなことが重なって(仕掛けを)見る形になったんだと思います。最後はコースがなかったんで、内を踏みました。(坂井)洋に当たって申し訳なかったけど、コースがなかったんで。昨日(前検日)より、(体は)いいのかなって感じます」

<11R>

古性優作選手
古性優作選手
 東矢圭吾に突っ張られた鈴木玄人は九州勢の番手で粘り、上田尭弥と併走。前団の隊列を見るように、単騎の古性優作(写真)、高橋晋也、志田龍星が7、8、9番手で打鐘を通過。ペースを握った東矢は、4コーナーから徐々に踏み上げる。古性は、最終ホーム手前で仕掛ける。鈴木が番手を奪取して、嘉永泰斗は1コーナーで自力に転じる。嘉永のまくりに、山田英明をキメた古性が追走。3コーナーで先頭に立った嘉永を古性が追い込んだ。
 「力でねじ伏せたかったですね。(前団がもつれていて)いつでも行ける準備はしていたんですけど。最終バックを取りたかった。しょうもないレースをしてしまいました。うまさで勝ってしまったんで、力でねじ伏せたかった。悔しいですね。練習はしっかりとやれている。(前回の)オールスターと比べたら格段にいい。あとは気持ちですね」
 九州勢は4車で結束。3番手の嘉永泰斗は、前団のもつれを見極めてまくりを敢行した。
 「(九州ライン分断に)誰かが来ると思ってはいたので、自分で踏む準備はできていた。(感触は)悪くはないと思います。踏み出した瞬間に誰か来ているのはわかった」

<12R>

脇本雄太選手
脇本雄太選手
 8番手から早めに上昇を始めた脇本雄太(写真)だったが、赤板過ぎに佐々木悠葵に突っ張られて下げざるを得ない。そこを栗山和樹が飛び出して先行策。単騎の桑原大志まで続いて、4人が打鐘で出切る。佐々木悠が5番手に入り、脇本は一本棒の8番手に置かれる。最終ホーム付近から逃げる栗山との距離を山口拳矢がとり、脇本は2コーナー手前から仕掛ける。詰める勢いで前に踏んだ山口だが、脇本がスピードの違いで直線の入口で並ぶ。佐々木龍は付け切れず、脇本がとらえて1着。
 「(周回中は)栗山君が前受けだったら嫌だなって。それ以外だったらいいかなっていうのがありました。(佐々木悠が)突っ張るにしても、引いてくれるにしても、(レースを)動かしたかった。(でも8番手になって)さすがにうまくなかったですね。脚を使っての8番手ですけど、警戒されるのはしょうがない。そこからは栗山君が行ったところを無理に仕掛けてもっていうのがあった。(佐々木)龍君には悪いけど、あとはしっかりと仕掛けて自分が1着を獲れるようにと。正直、良くない。(1着は)気持ちでカバーしているだけです。悪天候で参考になるところは少ないけど、この結果はいいほうにとらえていきたい」
 番手まくりに出た山口拳矢だったが、脇本にのみ込まれて2着。同門の後輩が果敢に駆けただけに、納得の結果とはいかなかった。
 「栗山君がだいぶハイピッチで踏んでくれた。僕が1着を取らなきゃいけない展開でした。(仕掛けた脇本が)わりと見えた瞬間から詰めていったけど、やっぱり(脇本の)力が違いました。アップの時よりも実走はいいけど、そこまで良くない。バランスが良くないので、気になる部分をアップなりで戻せればいいかなって思います」