福井競輪場で開催された「第41回共同通信社杯競輪(GII)」は、9月15日に最終日が行われた。近畿勢が大挙5人が勝ち上がった決勝は、地元の寺崎浩平が突っ張り先行で主導権。まくった太田海也を古性優作がブロックして落車のアクシデント。落車を避けた近畿ライン3番手の南修二が、追い込んで優勝。デビュー23年目にしてビッグ初制覇を遂げて、優勝賞金3090万円(副賞含む)を獲得した。
決勝戦 レース経過
号砲が鳴ると最内枠の古性優作がスタート争いを制して誘導員を追う。寺崎浩平-古性-南修二-三谷将太-小森貴大の長い近畿勢が前団を固め、単騎勢は太田海也、野田源一、深谷知広、嘉永泰斗の順で隊列が落ち着いた。
青板周回に入ると深谷が上昇し、この動きに嘉永、野田が続く。深谷は2センター手前で寺崎に並び掛けるが、寺崎は深谷の動きを警戒しながら赤板周回のホーム過ぎに突っ張り切る。突っ張られた深谷は後退し、打鐘では近畿勢が出切り、6番手が内に太田、外に深谷、その後ろに野田、嘉永の並びになる。後方の動きを警戒し、ペースを落としていた寺崎は、最終ホームを目掛けてペースを上げていく。6番手を取り切った太田が同じタイミングでスパートする。太田は三谷、南のけん制を受けながらも前に迫るが、1センター過ぎに古性の激しいけん制を受けて勢いが鈍る。古性はバック過ぎに再び太田をけん制すると、太田、野田が落車。2センターでは落車を避けた南、三谷が逃げる寺崎を追い掛けて、直線半ばで寺崎をとらえた南がビッグ初制覇となるV。逃げた寺崎が2着。落車を避けて南を追った三谷が3着に入った。







青板周回に入ると深谷が上昇し、この動きに嘉永、野田が続く。深谷は2センター手前で寺崎に並び掛けるが、寺崎は深谷の動きを警戒しながら赤板周回のホーム過ぎに突っ張り切る。突っ張られた深谷は後退し、打鐘では近畿勢が出切り、6番手が内に太田、外に深谷、その後ろに野田、嘉永の並びになる。後方の動きを警戒し、ペースを落としていた寺崎は、最終ホームを目掛けてペースを上げていく。6番手を取り切った太田が同じタイミングでスパートする。太田は三谷、南のけん制を受けながらも前に迫るが、1センター過ぎに古性の激しいけん制を受けて勢いが鈍る。古性はバック過ぎに再び太田をけん制すると、太田、野田が落車。2センターでは落車を避けた南、三谷が逃げる寺崎を追い掛けて、直線半ばで寺崎をとらえた南がビッグ初制覇となるV。逃げた寺崎が2着。落車を避けて南を追った三谷が3着に入った。







<1R>

石原颯選手
栗山和樹の上昇を阻んだ石原颯(写真)が、赤板過ぎに突っ張る。浮いた栗山は4番手まで引いて、橋本壮史と併走して打鐘を迎える。3コーナー過ぎに栗山を弾いた橋本が、4コーナーから叩きに出る。しかしながら、石原も合わせて踏み上げる。石原が主導権をキープして、今度は7番手の栗山が2コーナー手前でまくる。じわじわと迫る栗山は、渡部哲男に軽く振られて不発。四国勢の直線勝負は、石原が僅差で振り切った。
「前だったら今日(最終日)は、突っ張りと思っていました。寺崎(浩平)さんにも気持ちが弱いって言われたんで、気持ち強めにもってでした。(4番手で橋本と栗山が)併走していたんで、脚をためられました。そのあとは(橋本が)来ているのはわからなかったけど、ケツを上げてペースに入れる時にちょうど橋本さんが来た感じです。やっとまともなレースができたけど、(シリーズを通して)技術的なところはまだまだですね。力だけじゃ勝てないので、ヨコをやったりもしないと」
四国3車で上位を独占。番手の渡部哲男は、8分の1輪及ばず。
「石原君は連日、駆けられてなかったんで、そういうのもあって突っ張ったんだと思います。(橋本に)来られて対処のしようがないなって思っていたら、石原君が駆けてくれた。(そのあとの栗山のまくりも最終)3コーナーで振ったら止まるなって。石原君は(直線でも)もう1回加速するというか、スピードが落ちない。(普通の先行選手なら)そこでスピードが落ちるんですけどね」
「前だったら今日(最終日)は、突っ張りと思っていました。寺崎(浩平)さんにも気持ちが弱いって言われたんで、気持ち強めにもってでした。(4番手で橋本と栗山が)併走していたんで、脚をためられました。そのあとは(橋本が)来ているのはわからなかったけど、ケツを上げてペースに入れる時にちょうど橋本さんが来た感じです。やっとまともなレースができたけど、(シリーズを通して)技術的なところはまだまだですね。力だけじゃ勝てないので、ヨコをやったりもしないと」
四国3車で上位を独占。番手の渡部哲男は、8分の1輪及ばず。
「石原君は連日、駆けられてなかったんで、そういうのもあって突っ張ったんだと思います。(橋本に)来られて対処のしようがないなって思っていたら、石原君が駆けてくれた。(そのあとの栗山のまくりも最終)3コーナーで振ったら止まるなって。石原君は(直線でも)もう1回加速するというか、スピードが落ちない。(普通の先行選手なら)そこでスピードが落ちるんですけどね」
<5R>

神山拓弥選手
嵯峨昇喜郎が赤板1コーナーで出る。嵯峨ラインに続いた伊藤旭は、谷和也との併走から内に切り込む。そこを小林泰正が叩いて、最終ホーム手前で主導権。打鐘4コーナーから巻き返していた谷に合わせて、伊藤も仕掛ける。神山拓弥(写真)が、1コーナーで外にけん制。谷は不発も再度、踏み込んだ伊藤を神山がバックでブロック。逃げる小林を神山がとらえて、関東ワンツー。
「(小林は出る時に)結構、踏んでいたけど、余裕をもっていた感じですね。(谷と伊藤の)2人が来てたんで、自分は(最終)1コーナーで波をつくってからでした。伊藤君には函館(オールスター)で自分の外で回していて、また加速して来られたんで気をつけていました」
一次予選敗退の小林泰正だったが、2日目以降は3走すべて積極策。3日目に続いて逃げ粘った。
「(周回中の取れた)場所的に先行だと思っていた。(伊藤の動きで)予定は狂ったけど、しっかり前に出て勝負ができた。昨日(3日目)も言ったんですけど、内容を意識してっていうレースができた。(今シリーズは)眞杉(匠)と初めて浅井(康太)さんのところに行って(トレーニングをして)、疲れもあってキツかった。それでも徐々に良くなって、最終日も残れた。負け戦でも気持ちを切らさないで走れました」
「(小林は出る時に)結構、踏んでいたけど、余裕をもっていた感じですね。(谷と伊藤の)2人が来てたんで、自分は(最終)1コーナーで波をつくってからでした。伊藤君には函館(オールスター)で自分の外で回していて、また加速して来られたんで気をつけていました」
一次予選敗退の小林泰正だったが、2日目以降は3走すべて積極策。3日目に続いて逃げ粘った。
「(周回中の取れた)場所的に先行だと思っていた。(伊藤の動きで)予定は狂ったけど、しっかり前に出て勝負ができた。昨日(3日目)も言ったんですけど、内容を意識してっていうレースができた。(今シリーズは)眞杉(匠)と初めて浅井(康太)さんのところに行って(トレーニングをして)、疲れもあってキツかった。それでも徐々に良くなって、最終日も残れた。負け戦でも気持ちを切らさないで走れました」
<6R>

新山響平選手
清水裕友がダッシュを利かせて、赤板1コーナーで飛び出す。新山響平(写真)は4番手に下げて、後ろが阿部力也と渡邉雅也で取り合い。8番手の志田龍星が2コーナーで仕掛ける。志田が打鐘3コーナーで主導権を奪い、清水が3番手に入る。新山後位は2センターで阿部が守る。最終2コーナー手前で新山が踏み込んで、清水も出るが一息。阿部は付け切れず、1人でまくり切った新山が後続に大差をつけて圧勝。
「いつも清水君には(赤板で突っ張れずに)切られてしまっている。後ろが競りだったので、内を空けたくなかった。誘導との車間を空けてと思ったんですけど、出られてしまった。緩めば行こうと思ったんですけど、その前に志田君が行った。ジャンで行こうとも思ったんですけど行けなかった。そこは反省ですね。まくりの出はいつもより良かった」
最終2センターで久米良に内から当たられた纐纈洸翔、阿部が落車。単騎で大外をまくり気味に追い込んだ福永大智が2着。
「前の方が切り替えるにしても、選択肢が増えると思った。新山さんが来たら入れてもとは思っていました。あんなに最後方になったら厳しいなっていうのはあった。新山さんの仕掛けに遅れてしまっていますし、外を乗り越えるのも時間が掛かってしまった」
「いつも清水君には(赤板で突っ張れずに)切られてしまっている。後ろが競りだったので、内を空けたくなかった。誘導との車間を空けてと思ったんですけど、出られてしまった。緩めば行こうと思ったんですけど、その前に志田君が行った。ジャンで行こうとも思ったんですけど行けなかった。そこは反省ですね。まくりの出はいつもより良かった」
最終2センターで久米良に内から当たられた纐纈洸翔、阿部が落車。単騎で大外をまくり気味に追い込んだ福永大智が2着。
「前の方が切り替えるにしても、選択肢が増えると思った。新山さんが来たら入れてもとは思っていました。あんなに最後方になったら厳しいなっていうのはあった。新山さんの仕掛けに遅れてしまっていますし、外を乗り越えるのも時間が掛かってしまった」
<7R>

岩本俊介選手
櫻井祐太郎を制して6番手から後藤大輝が動いて、赤板1センター過ぎに先頭に立つ。櫻井も襲い掛かるが、後藤はペースを上げて主導権をキープして打鐘を通過。森田優弥は北日本勢にかぶり、そこを7番手の郡司浩平が、2センターからスパート。最終ホーム過ぎに阿部将大がけん制するも、スピードは郡司が断然。郡司、岩本俊介(写真)で出切り、近藤保をさばいた阿部が2コーナーで3番手に切り替える。阿部を外に振って、森田の中割りを阻んだ岩本が、郡司を差し切った。
「赤板から(ペースが)早かったんで、あれだと見ちゃうけど(仕掛ける郡司は)すごいですね。自分も見習わないと。僕も付いていくのでいっぱいだったんで、(後ろを確認できる)余裕はなかった。けど、(最終)1コーナーも登ったんで、(近藤)保さんは厳しいかなって思っていました。グンちゃん(郡司)が仕掛けてくれて、掛かっていた。それで僕もできることをやろうと。追い込みでやってきたわけじゃないんで、技術はないけどできることをって思っていました」
南関のS級S班でワンツー。郡司浩平は抜かりのない仕掛けで、別線を仕留めた。
「後藤が(櫻井に)合わせて出ていくっていうのは、頭にはなかった。あとは森田にしろ、自分にしろ同じ考えだったと思う。(隊列が)整う前に、(森田が)かぶって落ち着いている時のタイミングで仕掛けられた。後藤の踏み出しが良かったし、いいペースだったんでキツかった。(仕掛けた)あそこで待たなかったのは正解だと思うし、ああいうレースを続けていかないと。ただ、(最終)バックを取っていっぱい、いっぱいだった」
「赤板から(ペースが)早かったんで、あれだと見ちゃうけど(仕掛ける郡司は)すごいですね。自分も見習わないと。僕も付いていくのでいっぱいだったんで、(後ろを確認できる)余裕はなかった。けど、(最終)1コーナーも登ったんで、(近藤)保さんは厳しいかなって思っていました。グンちゃん(郡司)が仕掛けてくれて、掛かっていた。それで僕もできることをやろうと。追い込みでやってきたわけじゃないんで、技術はないけどできることをって思っていました」
南関のS級S班でワンツー。郡司浩平は抜かりのない仕掛けで、別線を仕留めた。
「後藤が(櫻井に)合わせて出ていくっていうのは、頭にはなかった。あとは森田にしろ、自分にしろ同じ考えだったと思う。(隊列が)整う前に、(森田が)かぶって落ち着いている時のタイミングで仕掛けられた。後藤の踏み出しが良かったし、いいペースだったんでキツかった。(仕掛けた)あそこで待たなかったのは正解だと思うし、ああいうレースを続けていかないと。ただ、(最終)バックを取っていっぱい、いっぱいだった」
<8R>

脇本雄太選手
赤板過ぎに脇本雄太(写真)が出て、取鳥雄吾がその上を押さえる。単騎の皿屋豊が3番手に続いて、脇本は4番手。8番手になった根田空史が、2コーナーから踏み込む。主導権の取鳥がペースを上げて、根田は空いた4番手に入る。脇本は、6番手に引いて立て直して最終ホームを迎える。2コーナー手前から皿屋が仕掛けて、ワンテンポ置いて脇本も踏み込む。まくり切った皿屋を根田が追いかけて、そこに脇本が襲い掛かる。神田紘輔は置いていかれ、脇本がスピードの違いで抜け出した。
「昨日(3日目)、不甲斐ない走りだったので、できる限りの仕掛けをしようと思っていました。根田君に(4番手に)入られてしまったのは反省ですね。ちょっと間合いを取りすぎました。(まくりは)無理やり行きました。(決勝進出を逃してしまって)気持ちの切り替えは、うまくできていなかった。(今シリーズの状態としては)良かったり悪かったりで、波があった」
単騎の皿屋豊は、3番手からの先まくりも脇本に2車身、離された。
「あの並びなら(取鳥が押さえた時に)脇本君も引くと思った。もう1個、待って(根田のラインに付いて)いたら、取鳥君も引かないと。真後ろに脇本君がいたら、また違った感じになった。これ以上ない感じで脚をためられていけました。でも、力負けですね。脇本君にはいろいろと練習を聞いたりして、ここまで強くなってこられたんですけど。まだまだ先生にはかなわないですね」
「昨日(3日目)、不甲斐ない走りだったので、できる限りの仕掛けをしようと思っていました。根田君に(4番手に)入られてしまったのは反省ですね。ちょっと間合いを取りすぎました。(まくりは)無理やり行きました。(決勝進出を逃してしまって)気持ちの切り替えは、うまくできていなかった。(今シリーズの状態としては)良かったり悪かったりで、波があった」
単騎の皿屋豊は、3番手からの先まくりも脇本に2車身、離された。
「あの並びなら(取鳥が押さえた時に)脇本君も引くと思った。もう1個、待って(根田のラインに付いて)いたら、取鳥君も引かないと。真後ろに脇本君がいたら、また違った感じになった。これ以上ない感じで脚をためられていけました。でも、力負けですね。脇本君にはいろいろと練習を聞いたりして、ここまで強くなってこられたんですけど。まだまだ先生にはかなわないですね」
<11R>

南修二選手
「(近畿の仲間たちに)付いていくのが精いっぱいなんですけど、なんとか迷惑を掛けずにすんだと思います」
ファンの前での優勝インタビューで、南修二(写真)はこう言って一息ついた。スターぞろいの88期として、03年7月にデビュー。23年目で初めてつかんだビッグだったが、この言葉に南の“喜び”が集約されているような気がする。
5車で結束した近畿勢。数的に断然有利なラインを形成したが、太田海也、深谷知広をはじめ、単騎の4人は一瞬たりとも気の抜けない顔ぶれ。小さなほころびが、ライン全体の崩壊を招くことを知っている南は、隙をつくらない一心での3番手だった。
「5車というのを生かして、(三谷)将太なり、僕なりが援護できれば良かった。けど、(古性優作に)ほとんど任せる形になってしまった」
単騎で攻めることをいとわない深谷知広の上昇を、赤板過ぎに寺崎浩平が敢然と突っ張りレースを支配。5車が隊列を崩すことなく打鐘を迎えたものの、次は太田海也が最終ホーム手前から近畿勢に襲い掛かった。1センターでは南、三谷であおりをつくり、その後は古性が強烈なブロック。スピードが鈍った太田だったが、態勢を立て直して再び踏み込む。3コーナーでも古性に当たられた太田がバランスを崩して落車。内に倒れ込む太田を、間一髪のタイミングで南が避けた。
「古性が戻ってきた時に前輪が掛からないようにと思って、追走していたつもりです。ちょっとまだ映像を見ていないのであれですけど。待てなかったんで踏ませてもらった感じです」
状況を見極めて踏み込んだ南は、直線で逃げる寺崎を視界にとらえて、外に進路を取った。
「踏み込んだ時には、(寺崎を)とらえられる感じでした。(ゴールした瞬間は)とくにというか、レース内容のことを考えていました」
シャープに寺崎をとらえてゴール。ビッグ15回目のファイナルで、南が初の優勝を果たした。
「結果としては受け止めるというか、優勝は良かったので次にはつなげたい。(デビュー23年目になるが)歳は関係ないんですけど、立場というか、しっかりとした競輪をまずは自分がして。近畿の競輪というのを見せられたらいいと思います。周りの進化が早いので、なんとか自分が進化しても周りも進化する。必死で追いかけているような状態です」
賞金も大きく加算して、これで深谷を抜いて獲得賞金ランクを7位に上げた。初のグランプリが見えてくるなかで、南は顔色を変えることなく口を開いた。
「(獲得賞金でのグランプリ出場は)賞金を気にしても、自分のできることとやることというのは変わらない。(今シリーズの)脚の状態は自分のなかではいいですけど、2日目は(脇本雄太に)ちぎれていますし、そういうところの底上げも必要かなって思います。まだGIが2つ残っているので、しっかりいいレースできるように練習したい」
ミスなく、隙なく、手落ちなく。南は冷静沈着に、これからも近畿の牙城を守っていく。
地元の寺崎浩平は、近畿5車の先頭を務めて、迷わず先行策。落車もあったが、近畿での上位独占をメイクして2着に粘り込んだ。
「前受けをして、主導権を握ってっていう感じで考えていました。突っ張って自分のペースに持ち込めたら、ラインで決められると。深谷さんに思ったよりも抵抗されたので、しんどかったです。そのあとは落ち着いていけたと思います。(落車もあったが)自分はゴールまで踏み込むだけっていう感じで、無我夢中でした。自分としては、やることをしっかりやれたのかなと」
三谷将太は前の南とは逆の外に避けるロスもあったが、そこから内に降りて3着。
「古性君が失格したのは残念ですけど、近畿で上位独占できたことは良かったと思います。(寺崎は)いつも通りすごかったです。すごい気迫でした。太田君が行ったあと嘉永(泰斗)君が見えたんで、軽く頭を出した。小森(貴大)君も後ろを固めてくれていましたし、ラインとして心強かったです。落車を避けたわりには伸びたと思います」
ファンの前での優勝インタビューで、南修二(写真)はこう言って一息ついた。スターぞろいの88期として、03年7月にデビュー。23年目で初めてつかんだビッグだったが、この言葉に南の“喜び”が集約されているような気がする。
5車で結束した近畿勢。数的に断然有利なラインを形成したが、太田海也、深谷知広をはじめ、単騎の4人は一瞬たりとも気の抜けない顔ぶれ。小さなほころびが、ライン全体の崩壊を招くことを知っている南は、隙をつくらない一心での3番手だった。
「5車というのを生かして、(三谷)将太なり、僕なりが援護できれば良かった。けど、(古性優作に)ほとんど任せる形になってしまった」
単騎で攻めることをいとわない深谷知広の上昇を、赤板過ぎに寺崎浩平が敢然と突っ張りレースを支配。5車が隊列を崩すことなく打鐘を迎えたものの、次は太田海也が最終ホーム手前から近畿勢に襲い掛かった。1センターでは南、三谷であおりをつくり、その後は古性が強烈なブロック。スピードが鈍った太田だったが、態勢を立て直して再び踏み込む。3コーナーでも古性に当たられた太田がバランスを崩して落車。内に倒れ込む太田を、間一髪のタイミングで南が避けた。
「古性が戻ってきた時に前輪が掛からないようにと思って、追走していたつもりです。ちょっとまだ映像を見ていないのであれですけど。待てなかったんで踏ませてもらった感じです」
状況を見極めて踏み込んだ南は、直線で逃げる寺崎を視界にとらえて、外に進路を取った。
「踏み込んだ時には、(寺崎を)とらえられる感じでした。(ゴールした瞬間は)とくにというか、レース内容のことを考えていました」
シャープに寺崎をとらえてゴール。ビッグ15回目のファイナルで、南が初の優勝を果たした。
「結果としては受け止めるというか、優勝は良かったので次にはつなげたい。(デビュー23年目になるが)歳は関係ないんですけど、立場というか、しっかりとした競輪をまずは自分がして。近畿の競輪というのを見せられたらいいと思います。周りの進化が早いので、なんとか自分が進化しても周りも進化する。必死で追いかけているような状態です」
賞金も大きく加算して、これで深谷を抜いて獲得賞金ランクを7位に上げた。初のグランプリが見えてくるなかで、南は顔色を変えることなく口を開いた。
「(獲得賞金でのグランプリ出場は)賞金を気にしても、自分のできることとやることというのは変わらない。(今シリーズの)脚の状態は自分のなかではいいですけど、2日目は(脇本雄太に)ちぎれていますし、そういうところの底上げも必要かなって思います。まだGIが2つ残っているので、しっかりいいレースできるように練習したい」
ミスなく、隙なく、手落ちなく。南は冷静沈着に、これからも近畿の牙城を守っていく。
地元の寺崎浩平は、近畿5車の先頭を務めて、迷わず先行策。落車もあったが、近畿での上位独占をメイクして2着に粘り込んだ。
「前受けをして、主導権を握ってっていう感じで考えていました。突っ張って自分のペースに持ち込めたら、ラインで決められると。深谷さんに思ったよりも抵抗されたので、しんどかったです。そのあとは落ち着いていけたと思います。(落車もあったが)自分はゴールまで踏み込むだけっていう感じで、無我夢中でした。自分としては、やることをしっかりやれたのかなと」
三谷将太は前の南とは逆の外に避けるロスもあったが、そこから内に降りて3着。
「古性君が失格したのは残念ですけど、近畿で上位独占できたことは良かったと思います。(寺崎は)いつも通りすごかったです。すごい気迫でした。太田君が行ったあと嘉永(泰斗)君が見えたんで、軽く頭を出した。小森(貴大)君も後ろを固めてくれていましたし、ラインとして心強かったです。落車を避けたわりには伸びたと思います」
次回のグレードレースは、青森競輪「みちのく記念競輪 善知鳥杯争奪戦」が9月20日~23日の日程で開催されます。
今シリーズは新山響平、郡司浩平、松浦悠士のSS班3名をはじめ、全国各地から強豪が参戦しますが、主役を張るのはもちろん地元の新山でしょう。守澤太志、佐藤友和、阿部力也ら豊富な援軍を盾に別線をねじ伏せにかかります。しかし、郡司らももちろん黙ってはおらず、一筋縄ではいきそうにありません。目が離せない4日間となるでしょう。
9月10日時点の出場予定選手データを分析した、青森競輪「みちのく記念競輪 善知鳥杯争奪戦」の主力メンバー及び狙い目選手を紹介する「プロスポーツ号外版」は以下をクリックしてください。
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今シリーズは新山響平、郡司浩平、松浦悠士のSS班3名をはじめ、全国各地から強豪が参戦しますが、主役を張るのはもちろん地元の新山でしょう。守澤太志、佐藤友和、阿部力也ら豊富な援軍を盾に別線をねじ伏せにかかります。しかし、郡司らももちろん黙ってはおらず、一筋縄ではいきそうにありません。目が離せない4日間となるでしょう。
9月10日時点の出場予定選手データを分析した、青森競輪「みちのく記念競輪 善知鳥杯争奪戦」の主力メンバー及び狙い目選手を紹介する「プロスポーツ号外版」は以下をクリックしてください。
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