『第19回共同通信社杯競輪(GII)レポート』 最終日編
 
配信日:10月9日



 第19回共同通信社杯競輪は9日、最終日を迎えた。この日の岐阜競輪場も好天に恵まれ、激戦を勝ち抜いた9名による決勝戦が第11Rで争われた。地元中部地区からは一人も優出できなかったものの、好調選手の激突で、迫力満点のレースが展開された。優勝を飾ったのは合志正臣。岡部芳幸のまくりを鋭く差し切り、賞金2200万円を獲得。年末のグランプリ出場に一歩近づいた。
 


決勝戦ダイジェスト

 スタートで手島、市田、合志が飛び出すも内枠の利を生かした手島が誘導後位取り切って山崎―金成を受ける。前から山崎芳仁―金成和幸―手島慶介―阿部康雄―市田佳寿浩―渡辺航平―前田新―岡部芳幸―合志正臣の並びで周回が進んでいく。
  赤板前から上昇を開始した岡部が山崎のアウトに車を合わせたのが赤板。そのまま誘導を斬ってペースを緩めた。岡部ラインに市田が切り替えて山崎は六番手まで車を下げる。中バンクを使って牽制する岡部の内を市田が突いて前に出るもまだペースは上がらず。打鐘を過ぎた2センターから山崎がスパート開始。最終ホームで山崎―金成まで出切るも市田が三番手の手島の内で粘る。外に浮いた手島が番手追い上げを見せるが、金成がブロック。ここで空いた内を市田が突いて隊列がもつれたところを、バック手前から仕掛けた岡部が襲い掛かる。四角でまくり切った岡部も懸命に粘るが、岡部マークの合志がゴール寸前で差し切ってG2初制覇を達成。

ゴール
ゴール
表彰式
胴上げ
表彰式
胴上げ


<2R>
高橋大作選手
高橋大作選手
   2Rは永井清史と長塚智広で激しくもがき合う展開となり、高橋大作(写真)が後方から一気のまくりを決めた。
  「今回は新車なんですが、セッティングがまだ出ていない。ハンドルとサドルを連日いじっている。寸法的には変わっていないけど、人の自転車に乗っているみたい。今日はまくるつもりは全然なかったけど、前が競り合いで離れてしまったし、もつれたので仕方がなかった。まさかこの点数で一般戦を最終日に走るとは思わなかったです。次は地元の京王閣記念なので、何とか巻き返したい」


<3R>
 3Rは松本一成の先行をフルに利した笹川竜治が久々の勝ち星をマークした。
  「調子自体はずっと悪くなかったけど、全く力が入らないレースが結構あったし、何か目に見えない原因があったんでしょう。今日は松本君が無理して駆けてくれたし、最後はタレてきていたけど、何とかワンツーが決まってよかったです」


<4R>
菊地圭尚選手
菊地圭尚選手
   4Rは吉川誠の先行を菊地圭尚(写真)が中団から綺麗にまくって快勝した。
  「吉川さんに脚を使わせながら、うまく中団を取ることができたし、いい展開になりました。脚の感じは悪くないけど、今回は今一つ流れに乗り切れなかったです。でも、気持ちを切らさず最後まで走れたし、次につながると思います」


<5R>
坂本勉選手
坂本勉選手
   5Rは坂本勉(写真)が後方から目の覚めるようなまくりを放ち、後続を千切って圧勝した。
  「(佐々木)雄一君が内に詰まってしまいましたからね。後ろに(佐々木)健司君が付いていたし、もつれるようなら自力も考えていました。車を下げて、とりあえず行けるところまでと思って一センターから仕掛けました」


<6R>
 6Rは機動型がそろい、出入りの激しいレース展開となったが、諸橋愛が鋭脚を発揮し、激戦を制した。
  「栗田(雅也)君にしっかり付いていければよかったんですが、三宅(伸)さん入られてしまった。隙があれば奪い返したかったんですが…。栗田君には申し訳ないことをしてしまいました。昨日の落車の影響は多少ありますが、何とか勝つことができたし、この後は体のケアをしっかりしたい」


<8R>
吉岡篤志選手
吉岡篤志選手
   8Rは吉岡篤志(写真)が中川誠一郎ラインの三番手から直線一気の強襲劇。今シリーズ2勝目をマークした。
  「練習はいつも通りやってきたけど、今回は調子がかなり良かった。新車が合っていたし、スピードが上がってからも楽だった。ただ、昨日のレースで競輪祭の権利を獲得できなかったのは悔しい」


<9R>
武田豊樹選手
武田豊樹選手
   9Rは武田豊樹(写真)が豪快なまくりで他を一蹴。ファンの期待に応えた。
  「せっかくお客さんが入って盛り上がっていたし、いいレースを見せたかった。稲垣(裕之)君がうまく駆けていたし、展開は最悪だったけど、おもしろいレースだったでしょう。今回は決勝に乗って勝負できる脚だったし、まくれないことはないと思っていた」
  神山雄一郎(写真)が完璧マークで2着に入り、満面の笑みを浮かべる。
  「合わされかけて厳しいと思ったけど、そこからコーナーの山を登っていきましたからね。本当に強かったです」
神山雄一郎選手
神山雄一郎選手


<10R>
小嶋敬二選手
小嶋敬二選手加藤慎平選手
加藤慎平選手
   10Rは小嶋敬二(写真)が昨日同様、番手まくりで、マークの加藤慎平を振り切った。
  「高城(信雄)にしても昨日の中村(一将)にしても僕にアドバイスを聞きにくることがあるし、気を遣ってくれたんでしょう。昨日とは違って新田(康仁)がいたので、粘られるか心配だったけど、そういう展開にならなくてよかった。出てからも流さず駆けてくれて助かりました」
  2着の加藤(写真)はガックリ肩を落とす。
  「小嶋さんの三角まくりを抜いた人は見たことがないし、今日は何とか抜いてやろうと思ったんですが…。今開催は悔しさだけが残ったし、この経験を次につなげたい」
  中部コンビを追走する形で3着に入った吉田勇人は「中部の後ろを狙っていたし、うまく取れたと思います。でも、付いていくだけで精一杯だったし、仕掛ける余裕は全くなかったです。今開催は人の後ろを回ることが多く、色々勉強になりました」と満足げ。
 


<11R>
合志正臣選手
合志正臣選手
   注目の決勝戦は、山崎芳仁の先行一車の組み合わせ。予想通り後位が激しくもつれる展開になり、岡部芳幸のまくりに乗った合志正臣(写真)が直線鋭く抜け出した。
  「僕は黙って岡部さんに任せていただけ。絶対に仕掛けてくれるだろうから、後はコースを間違えなければ、チャンスがあると思っていました。前がごちゃついてくれたし、岡部さんがタイミングよく仕掛けてくれました。次はG1を優勝できるように頑張りたい」
  福島別線を選択した岡部(写真)が意地のまくりで2着。
  「市田(佳寿浩)は番手をやると思っていたし、展開が向いてくれた。金成(和幸)に持っていかれたのは相当きつかったですね。最後は差されてしまったけど、力を出し切った結果なのでしょうがない」
  逃げて3着の山崎は「後ろがもつれる展開になったし、綺麗にまくられた訳ではないので、仕方がないですね」。
  山崎の番手を死守した金成和幸は「競りは覚悟していたし、番手は絶対渡さないつもりでした。自分の仕事はできたし、今回は四日間すごく勉強になりましたね」と確かな手応えをつかんでいた。
岡部芳幸選手
岡部芳幸選手


   
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情報提供:日刊プロスポーツ新聞社
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