レース展望共同通信社杯とはファンサービステレビ放送予定参考データ優勝者の横顔

レース展望

 第19回共同通信社杯競輪が岐阜競輪場で開催される。現在の競輪界は山崎芳仁、武田豊樹、海老根恵太らの活躍によって東日本勢が優勢だが、今年2回目のビッグレース開催となる地元・中部勢の巻き返しが最大の見どころとなる。かつては一時代を築いていた中部王国だけに8月のふるさとダービー富山の雪辱を期して、
エース格の加藤慎平を中心に必勝態勢で臨んでくるはずだ。
 
地元・中部勢が一丸となって富山の雪辱を期す
グランプリ出場権を巡る賞金争いも見逃せない
 
  先のオールスターではGI競輪優出2回目の井上昌己が見事に逃げ切り、またもや80期台から新チャンピオンが誕生した。ふるさとダービー富山の平原康多に続いて、新世代の選手が十八番にしているカマシがズバリと決まっての逃げ切り優勝で、競輪新時代への潮流はもはや誰にも止めようがないことが改めて証明された。
  この新時代への潮流にうまく乗って勢いを増してきたのが北日本や関東であり、若手の伸び悩みで落ち込んでいったのが中部だ。そして、中部が時代の流れに抵抗してどこまで地元ファンの期待に応えることができるかが、今開催の最大の見どころになる。
  また、共同通信社杯競輪はグレードはGII競輪だが、グランプリ出場を巡る賞金レースが佳境に入ってきた頃に開催されるので、毎年GI競輪並みの激戦が繰り広げられる。
 
 岐阜の加藤慎平はオールスター終了時点では賞金ランキング7位につけている。昨年のグランプリ覇者の加藤としては、ここで1円でも多く稼いでグランプリ出場を当確にしておきたいところだし、ふるさとダービー富山でも中部からただひとり優出を果たしてエースとしての責任を果たしており、今回も初日から貪欲に1着取りを狙ってくるはずだ。幸い相性抜群の小嶋敬二が、今年前半は不振だったが後半に入ってから本来のパワーを取り戻してきており、小嶋-加藤の最強タッグで中部の牙城を守り通してくれるだろう。
加藤慎平(岐阜)
加藤慎平(岐阜)
小嶋敬二(石川)
小嶋敬二(石川)
   
 中部の最大の強敵となるのはやはり機動力抜群の北日本だろう。オールスターでは北日本からの優出は佐藤慎太郎のみと不満足な結果に終わったが、今回も山崎芳仁をはじめとして佐藤友和、成田和也、菊地圭尚と生きのいい若手が勢揃いしている。
  なかでも7月のサマーナイトフェスティバルで準優勝に輝いた佐藤友和が注目株で、脚力も積極性もタイトルホルダーの山崎芳仁に匹敵するものを持っており、サマーナイトに続いての再度の大爆発が期待できる。
佐藤友和(岩手)
佐藤友和(岩手)
 
徹底先行の平原康多と峠祐介が関東勢を盛り上げる
神山は過去の実績抜群で優勝候補から外せない
 
 オールスター競輪では関東から武田豊樹、手島慶介、諸橋愛の3人が優出した。準決勝まで遡ると、5個レースで関東勢が8人乗っている。出場選手数がほぼ同数の中部勢で準決勝に勝ち上がったのは4人だけだから、この数字からでも関東の勢いの良さがよくわかる。
 
 今回は武田豊樹の出場予定はないが、ふるさとダービー富山を制した平原康多が十二分の活躍を見せてくれるはずだ。オールスター競輪では優出こそ逃したが、オリオン賞が1着、準決勝Aでは小嶋敬二-加藤慎平のゴールデンコンビを不発に終わらせる逃げを打って、手島慶介の優出に貢献している。ふるさとダービー富山に続いて地元・中部勢にとっては脅威の存在になることは間違いないし、平原を目標に関東の追い込み勢の大挙の勝ち上がりが期待できる。
平原康多(埼玉)
平原康多(埼玉)
 
 オールスター競輪で注目度がぐんとアップしたのが峠祐介だ。以前から徹底先行ぶりには定評があったが、前場所の久留米記念での準優勝が大きな自信となったのか、オールスター競輪では連日力強い逃げを披露して準決勝Bへ勝ち上がった。予選1は逃げて2着で3着までを関東勢で独占、予選2も逃げて2着、準決勝Bは3番手からの荒井崇博の捲りに屈したが、2車の短いラインだったにもかかわらずためらうことなく主導権を取りにいっている。
   
 このほかにも浦山一栄、松本一成、吉田勇人らの積極性の高い選手が揃っており、こうなるとやはりエース・神山雄一郎の勝ち上がりに期待を寄せたくなる。神山はオールスター競輪では準決勝Aで敗れているが、7月の松阪記念では新田康仁の7番手捲りを直線できっちり差して1年ぶりの記念優勝を飾っており調子は悪くない。そして何よりも共同通信社杯競輪との相性が抜群なのが見逃せないポイントだ。95年に4日制になってから4回の優勝があり、今回も優勝候補のひとりとして外せない存在だ。
神山雄一郎(栃木)
神山雄一郎(栃木)
 
 南関東では新田康仁が好調だ。松阪記念での豪快な捲りが復調のきっかけとなり、オールスター競輪では準決勝Aで敗れているが、予選1は捲りの1着、予選2は逃げて2着で渡邉晴智とワンツーを決めている。
  そのほかにも栗田雅也、石橋慎太郎、五十嵐力らの機動力が揃っており、彼らを目標に地元オールスターで気を吐いた高木隆弘と佐々木龍也の再度の優出が期待できる。
新田康仁(静岡)
新田康仁(静岡)
 
市田佳寿浩がオールスターの失敗を糧に優勝を目指す
パワー満点の荒井崇博の先行捲りも侮れない
 
 市田佳寿浩は7月のサマーナイトフェスティバルでビッグレース初優勝を飾り、GⅠ競輪のタイトルが射程圏内に入るほどの成長を遂げた。オールスターでも予選2は捲って1着、準決勝Aは武田豊樹の番手を奪っての1着と、自在型としては申し分のない勝ち上がりで優出を決めている。 決勝戦では勝負どころで粘るか自力かで一瞬迷ったのが命取りとなり、結局8番手に置かれて惨敗している。
  しかし、今の市田ならば同じ失敗を2度3度と繰り返すことはないだろうし、オールスターでの失敗が次なる目標の大きな糧となるはずで、今回も優勝候補のひとりといって間違いない。
市田佳寿浩(福井)
市田佳寿浩(福井)
 
 長崎の井上昌己のタイトル獲得に最も刺激を受けているのは、佐賀の荒井崇博ではないだろうか。「あいつに獲れるのなら俺にだって」との思いで、初タイトル奪取に向けて一層のやる気をかきたてられているに違いない。
  一瞬のダッシュ力では銀メダリストの井上に軍配があがるかもしれないが、先行・捲りのパワーでは荒井の方が一枚も二枚も上だ。オールスターでは準決勝Bで惜しくも2着に敗れたが、予選1は8番手からの豪快な捲りで圧勝、完全優勝を達成した8月の小田原記念決勝では8番手から捲ってきた市田佳寿浩に合わせて3番手から発進、番手追走の小野俊之をまったく寄せつけずに完勝している。
  今回は九州から出場する選手が少なく、ライン的には苦しい戦いを強いられそうだが、それでもやはり荒井のパワー満点の走りは魅力的だし、荒井の頑張りに乗って抜け出してきそうな合志正臣の一発も軽視できない。
  合志もオールスターでは準決勝Aで敗れているが、予選1は目標の北津留翼が不発の展開から2着、予選2も目標の吉岡稔真が不発の展開から1着に突き抜けており、今回も目標や展開の不利をはねのけての直線強襲が十分に期待できる。
荒井崇博(佐賀)
荒井崇博(佐賀)
   
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400バンクだが、直線が長くて捲り追い込みが有効
最終4角番手が必ずしもいい位置とはかぎらない
岐阜バンクの特徴
 軽くてクセのない走りやすいバンクだが、コーナーがやや短く直線が長いので先行型は苦しい。
  01年に岐阜で開催されたオールスターの結果を見てみると、全66レースのうち1着は逃げが4回、捲りが19回、差しが43回、2着は逃げが6回、捲りが12回、差しが26回、マークが22回となっており、逃げた選手の連絡みは数えるほどしかない。先手ラインの選手が1着になった回数も23回で、全体のほぼ3分の1だ。
  最終4角番手が必ずしもいい位置とはかぎらず、先行してくれた選手を2着に残そうとすると交わしの交わしを食らうことも多い。
  捲りは早めに行くか、先行のペースが緩んだところから捲り追い込みの感じでいくとよく伸びる。捲りに乗っていった選手が2、3番手でじっと我慢していてコーナーをきれいに回れると、直線に入ってからの追い込みがグーンと伸びる。ちなみに前回の岐阜オールスター覇者の伏見俊昭も、前々回の岐阜オールスター覇者の児玉広志も、決まり手は捲り差しである。

 周長は400m、最大カントは32度15分07秒、見なし直線距離は59.3m。ホーム側に正面スタンドがあるため風向きが複雑に変わり、日によって向かい風になったり追い風になったりするので自力型は風を計算に入れた走りが必要になる。バック追い風ならホームカマシが有効で、先行選手も粘り込むことができる。

岐阜競輪場のS級戦の1・2着の決まり手
(平成17年9月~平成18年8月)
1着
2着
逃げ
11.6%
12.1%
捲り
32.9%
11.5%
差し
55.5%
41.2%
マーク
0.0%
35.2%




相性抜群の神山が地元・宇都宮で5回目の制覇を達成
共同通信社杯の思い出
平成14年10月14日決勝
優勝・神山雄一郎 

共同通信社杯といえばやはり神山雄一郎で、同大会と神山の相性は抜群だ。しかも第15回大会は地元・宇都宮での開催で、神山は村上義弘、小野俊之、大塚健一郎らのヤングパワーを力でねじ伏せて通算5回目の優勝を飾っている。決勝戦は神山雄一郎―幸田光博―戸邉英雄、大塚健一郎―小野俊之―藤井久之、村上義弘―室井竜二の並びで、単騎の岡部芳幸が9番手で周回。打鐘で村上が上昇すると、大塚がインを斬って番手で粘る。その4番手に岡部が入ろうとするが、神山に邪魔されて入れない。しかたなく岡部は最終ホームから先行態勢に入るが、すかさず村上が巻き返して主導権を奪い返す。番手は大塚が取り切るが、最終バックから3番手の小野が捲りを放ち、その捲りに乗って神山も大外を捲り、ゴール前でぐいっとハンドルを投げた神山が1着、小野が2着、藤井が3着だった。


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