京都向日町競輪場で第20回共同通信社杯競輪が開催される。8月のふるさとダービー函館で圧倒的な強さを見せつけた王者・山崎芳仁が断然の優勝候補の筆頭となるが、地元の雄・村上義弘と村上博幸の村上兄弟の戦いぶりにも注目が集まる。また、グランプリ出場をかけた賞金争いも大詰めが迫っており、当落線上にいる選手たちの奮闘ぶりも見どころのひとつとなる。 |
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王者・山崎芳仁が無敵の強さを見せつける! |
グランプリ初出場を狙う佐藤友和の走りに注目 |
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8月・ふるさとダービー函館の決勝戦はまさに山崎芳仁の圧勝劇だった。4・00の大ギアとは信じられないような強力ダッシュで佐々木則幸とのもがき合いを制して主導権を奪うと、ゴール前ではしっかり踏み直して、番手の佐藤慎太郎の猛追をまったく寄せ付けなかった。
大ギアはダッシュが効かない、踏み直しが難しいという定説をくつがえす山崎の豪脚は驚異的だ。
京都向日町は直線が短く、カントが浅くて捲りが決まりにくいので、山崎がすんなり主導権を奪ってしまえば、誰にも捲られないし、誰にも追い込めないだろう。 |
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山崎芳仁 福島・88期 |
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佐藤友和も絶好調を維持している。高松宮記念杯でGⅠ初優出を達成すると、寛仁親王牌でも連続優出、8月・小田原記念では武田豊樹を相手に逃げ切って2月・奈良以来の通算2度目の記念優勝を飾っている。
これまでの佐藤は北日本ラインの先頭で積極的に仕掛けていくレースが多く、高松宮記念杯の決勝戦でも山崎芳仁を連れて果敢に先行していたが、寛仁親王牌の決勝戦は優勝を獲りにいく走りだった。 |
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佐藤友和 岩手・88期 |
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9月1日現在の賞金獲得額では佐藤は7位につけており、グランプリ初出場が射程圏内に入っている。今大会の決勝戦で上位に食い込めばグランプリ出場はほぼ確定できるだろうし、今回も勝ちにこだわっての競走に徹してきそうで、もしかすると山崎の一番の強敵は同じ北日本の佐藤ということになるかもしれない。 |
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真っ向からのパワー対決で今の山崎を倒すことは容易ではないが、カマシなどの奇襲戦法を使って山崎の出鼻を叩いてしまえばチャンスは大きくなる。例えば、高松宮記念杯の準決勝で北津留翼が武田豊樹や佐藤友和を相手に大ガマシを打ち、九州ワンツーを決めたレースのように。
その北津留は今もっとも勢いのある若手で、高松宮記念杯でGⅠ初優出、8月・小松島で記念初優勝を飾っている。競走は粗削りだが底力はあり、今回も得意のダッシュを活かしての一発が狙える。 |
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北津留翼 福岡・90期 |
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地元・京都の村上兄弟が地の利を生かして優勝を狙う! |
GⅠ初優出を果たして大きく成長した永井清史 |
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地元のエース・村上義弘にとっては負けられない一戦だ。8月はふるさとダービー函館、いわき平記念と2場所連続で山崎芳仁に敗れているが、今回は村上のホームバンクが戦いの舞台となるので、地の利と地元ファンの声援を味方につけて必ずや一矢報いてくれるだろう。4年前に開催されたふるさとダービーでは逃げ切って優勝しており、もちろんバンクとの相性は抜群だ。
村上は7月に病気で1カ月欠場してやや調子落ちになったが、ふるさとダービー函館やいわき平記念では先行のみならず、捲りや飛び付きなども駆使して善戦していた。今回も地元ファンの期待を裏切るような走りはできないはずで、好位狙いの自在戦も積極的に取り入れて、総力戦で優勝を狙ってくるだろう。 |
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村上義弘 京都・73期 |
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弟の村上博幸も侮れない存在だ。5月・大垣での記念初優勝後はこれといった目立った活躍はないが、9月の岐阜記念の初日特選では、武田豊樹相手に勢いよく飛び出して先行してみせるなど、脚力も気合いも充実している。得意の捲りや強気の位置取りも健在で、兄弟そろっての決勝進出を狙ってくる。 |
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お隣の中部勢は小嶋敬二が落車による負傷欠場中で出場するかは分からないが、代わりに永井清史が近況乗れており、機動力に関しては問題はない。
永井はその徹底先行ぶりには以前から定評があったが、持ち味のダッシュ力で一気に主導権を奪ってどこまで粘れるかというレースが中心だったので、上位戦では末の粘りが課題となっていた。
しかし、寛仁親王牌でGⅠ初出場を果たしたのが大きな自信になったのか、近況は慌てず騒がすで展開と仕掛けのタイミングをしっかり読んで、きっちりと粘り込んでいるレースが増えてきている。サマーナイトフェスティバルの決勝では濱口高彰を連れて先行してワンツーを決めているし、8月・福井記念でも連日の先行策で優出している。 |
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永井清史 岐阜・88期 |
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武田豊樹は8月・小田原記念決勝では佐藤友和の先行を7番手から捲れず、次場所の岐阜記念決勝も8番手で不発と結果を出せていないが、動き自体は悪くない。小田原の準決勝では突っ張り先行で3着に粘り、岐阜の準決勝では豪快な捲りで番手追走の飯嶋則之を2分の1車身突き放している。潜在的なパワーは山崎芳仁に匹敵するものを持っており、今回も打倒・山崎に大きな期待がかかる。 |
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武田豊樹 茨城・88期 |
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一発大逆転の優勝でグランプリ出場を手にする! |
同県や同地区での熾烈な賞金争いも見ものだ |
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例年、共同通信社杯の見どころのひとつになっているのが、グランプリ出場を賭けた熾烈な賞金争いだ。
本大会は優勝賞金が2千万円を越える高額なので、大会直前までに5、6千万の獲得賞金があり、ランキングで10位ぐらいに入っていれば、一気の逆転劇でグランプリ出場の可能性も大きくなる。優勝がなくても決勝で2、3着に食い込めば大幅な賞金の上乗せができるので、最終決戦の全日本選抜を有利に戦うことができる。そのため、ランキングで10位前後の当落線上にいる選手たちは、いつにも増してのシビアな戦いぶりで勝ち上がりを目指してくる。
9月1日現在の獲得賞金ランキングでは、すでに出場権を獲得している選手を除くと、4位に兵藤一也、5位に渡邉晴智、9位に岡部芳幸、10位に手島慶介らが位置している。 |
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渡邉晴智は日本選手権で優出後はこれといったヒットはないが、6月・平塚FⅠで完全優勝、7月・四日市記念で決勝3着、8月・小松島記念で決勝7着と安定感の高い走りを見せている。
今回の南関東勢は海老根恵太、新田康仁、栗田雅也、五十嵐力などなど、いつになく機動力型が揃っているのも好材料で、渡邉は5年ぶりのグランプリ出場に向けて鋭い差し脚を伸ばしてくるだろう。 |
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渡邉晴智 静岡・73期 |
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当落線上にいる10位の手島慶介は4位の兵藤や5位の渡邊とは1千万ほどの差があるので、なんとしても優勝をもぎとって逆転を狙いたい。
手島の近況は6月・高松で今年3度目の記念優勝、寛仁親王牌で優出と好調だ。もちろん関東勢も武田豊樹を始めとして、志村太賀、小林大介、長塚智広などの機動力が充実しているので優勝のチャンスはあるし、同県の兵藤との賞金争いも見ものだ。 |
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手島慶介 群馬・75期 |
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さらに9位の岡部もそうだが、手島には奥の手の捲りがあるので、是が非でも勝ちたいという意識が強ければ、いつもより早めの番手捲りや切り替えもあるだろう。 |
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