『第22回共同通信社杯春一番(GII)レポート』 3日目編
 
配信日:4月18日


 佐世保競輪場で開催中の第22回「共同通信社杯競輪春一番」はいよいよ大詰め。3日目の今日は準決勝3個レースで決勝戦9つの椅子をかけた最後の勝ち上がり戦を展開した。最終12レースでは地元の井上昌己が無傷で決勝に進出した。連日抜群のパフォーマンスでこちらも3連勝の伏見俊昭と、明日の最終レースでいよいよ直接対決だ。
  明日(19日)は侍戦隊シンケンジャーショーを3、9レース発売中に、5レース発売中には「九州と競った男たち」と題して滝澤正光さん、吉井秀仁さん、山口健治さんによるトークショーも開催されます。最大の注目は決勝戦、明日もぜひ佐世保競輪場へご来場ください



<1R>
牛山貴広選手
牛山貴広選手
   松尾淳が主導権を奪い、飯野祐太が巻き返してモガキ合いとなった所を牛山貴広(写真)がひとまくり。スポンサー推薦で期待を集めたが、シリーズ三日目にしてようやく1勝を挙げた。
  「初日、二日目と成績以上に踏んだ感じは良かったんです。今日は出たとこ勝負で早めでも行ける所から行こうと思ってました。今回は武田(豊樹)さんに組み立て方や心構えなどのアドバイスを貰えているし、レベルの高いところで走れているので、一戦一戦がすごく勉強になりますね。とりあえず1着が取れて嬉しいですよ」


<2R>
松岡健介選手
松岡健介選手
   押さえ先行した栗田雅也を、松岡健介(写真)が七番手からまくって快勝した。
  「初手は後ろか前しかないなと思っていた。鈴木(謙太郎)君を一回は動かせる展開を作ってその上を叩こうと思ってたけどそうなりませんでしたね。道中でゴチャ付いたし、前に金成(和幸)君がいたけど、その前が岡田(征陽)君だったんでどうなっているのか分からず焦りましたよ。1コーナーで緩んだから行けたけど見てしまったし、1着が取れたのは良かったけど、全てが後手になってしまいました」


<3R>
倉野隆太郎選手
倉野隆太郎選手
   倉野隆太郎(写真)、藤田竜矢の激しい主導権争いが予想されたが、藤田は気合負け。早々と動いて主導権を握った倉野が力強く逃げ切った。
  「今日は昨日の分も先行すると決めてました。藤田さんも同じ事を考えてるのかなと思ってたので、早めに動いたんですけど何とか逃げ切れましたね。問題は明日です。これを明日につなげて頑張りたい」


<4R>
柴崎淳選手
柴崎淳選手
   前受けの柴崎淳が打鐘で北津留翼を突っ張ると、そこを福田知也がカマして出る。上手く三番手を確保した柴崎淳(写真)がバックまくりで快勝した。
  「北津留さんより前にいたかったので、とりあえず打鐘で突っ張りました。あとは福田さんが来るかどうかだったけど、来なければ駆けるつもりでしたよ。山内(大作)さんが付いていけてないのは分かったし、南(修二)さんにも踏み勝ったので詰まる勢いで行きました。一杯だったけど、思った以上に進んで良かったです。明日は新田(祐大)さんと一緒だと思うので、燃えますね」
  2着には福田マークの中井達郎が食い込んだ。
  「福田はちょうどいいところでカマしてくれたし、誰も来ないと思って後ろは確認してなかった。それがいきなり来られてしまってビックリした。今回はあまり調子が良くないですね。毎日ギアを変えてるけど、明日は下げて頑張ります」


<5R>
新田祐大選手
新田祐大選手
   稲垣裕之、桐山敬太郎で激しい主導権争い。これを尻目に脚を溜めた新田祐大(写真)がバックから豪快なまくりを決めて後続を千切った。
  「みんな前々に行って、勝たないといけない展開になりましたね。恵まれました。ずっと前が併走して、一本棒じゃなかったから行きやすかった。初日からすごい重くて反応が悪かったけど、この1勝は気持ち良いし、今日は脚が回ってる感じがあった。明日は良い感じで走れると思います」
  離れながらも2着をキープした山田敦也は新田の強さに舌を巻いた。
  「疲れました(苦笑)。強いですね。初日から重いけど、それが取れる気配がないし、自分の調子は悪い。新田が素直に強かったです」


<6R>
紫原政文選手
紫原政文選手
   濱田浩司が前を押さえると後方からの動きはなく、濱田がそのままマイペースに持ち込んだ。神山拓弥、伊原克彦は不発に終わり、最後は番手無風の紫原政文(写真)が追い込んで1着。
  「同期の神山と伊原でやり合って、そこを濱田がまくる展開になるかなと思っていたけど、まさか濱田がすんなり逃げる展開になるとは思わなかった。濱田は掛かっていたし、大ギアだからどこまでも踏んでいく感じだった。今日は何もしていないし恵まれましたね」
  逃げた濱田浩司は「何だか一番良い展開になってしまいましたね」と苦笑い。「一旦自分が前に出て、引いたら前でモガキ合う展開になるのかなと思ってたけどね。ジャンで神山君は後ろを見てたし、突っ張る覚悟を決めました。二人(神山と伊原)は同期だから、お互いを意識してしまい仕掛けが遅れてしまったのかな。僕的には良い展開になりましたけどね」
  神山拓弥は中団から仕掛けたが車が全く出なかった。
  「もう少し濱田さんが遅めに押さえにくる展開だったらバックでカマせたけど、早めに押さえにきたから、残り2周の早い段階でまた一本棒になってしまった。仕掛けるタイミングがなくなってしまいました」
  伊原克彦も「後ろから押さえに行ったら神山君がすぐに引いちゃったので、結局は後方になってしまった。ジャン過ぎの3コーナーでくらいで行けたかも知れないけど、前も踏んでたし合わされてしまうと思った。難しいですね」と肩を落とした。


<7R>
加藤慎平選手
加藤慎平選手
   菅田壱道の番手が大渋滞となった。坂本亮馬がイン粘りに出て佐藤友和と競り合いとなり、更に最終ホームでは長塚智広が追い上げた。結局、長塚が番手を取り切って四角ハコ回りから追い込んだが、四番手にスイッチした加藤慎平(写真)が脅威の伸びを見せて突き抜けた。
  「今日は落ち着いていけましたね。力を入れない方が自転車が進むんですね。10年目にしてはじめて気付きました(笑)」と、嬉しさのあまりおどけて見せた。
  長塚智広も好レースを演じたが、交わされて惜しくも2着。
  「向こう(加藤)の方が格が上だけど、改めて凄いと思いましたね(笑)。2着だったけど、後ろの大薗(宏)さんも3着で(特別優秀に)上がれたので良かったですよ」
  坂本亮馬は意表を突くイン粘り。最後は長塚智広に番手を奪われたが見せ場を作った。
  「北は二段駆けだから、まくりは通用しないでしょう。突っ張りも考えたけど、番手の佐藤(友和)さんのサラ脚に変わりはないのであれしかなかった。一旦取り切ったまでは良かったけど、長塚さんが不意にきたから対応できなかった。その後も何もできなかったし、全てが中途半端でしたね」


<8R>
山崎芳仁選手
山崎芳仁選手
   山崎芳仁(写真)が逃げ切って格上の意地を見せた。競輪祭の決勝以来、久々の勝ち星にホッとした表情を見せる。
  「やっと1着です。これで勝率(このまま勝てなければ来月には直近4カ月が0%に)も大丈夫ですね。何とか勝ててホッとしています。連日、外併走でも我慢できてたし、調子は悪くないと思ってました。ただ最近は負けちゃダメだって気持ちが強すぎたし、勝てない焦りもありました。でも、これで楽になりました」
  2着にはバックからまくり上げた田中誠が粘り込んだ。
  「相手にされてなかったのもあるけど、和田(健太郎)さんは誘導を残してすんなり引いてくれた。飯嶋(則之)さんは失格っぽかったし、まくれば3着まではあるかなと思ったけど、一瞬(まくり切れるかと)夢を見ました。強かったですね」


<9R>
小嶋敬二選手
小嶋敬二選手
   最終ホーム三番手から飛び出した菊地圭尚が上手く主導権を奪うが、七番手の小嶋敬二(写真)が豪快にその上をまくり切った。
  「岩津(裕介)もおったし、幸二さんもおって七番手になれただけ。キツかったです。白戸(淳太郎)は誘導を斬ってくれると思ってたし、圭尚が出されるみたいに駆けるのが最高の形だと思ってた。でも圭尚は中団からカマシみたいに行ってしまったからね。ギアをかけてるのでムダ足を使わず仕掛けようと思ってたし、今日は後ろのおかげです」
  2着には菊地の逃げに乗った成田和也が食い込む。
  「ああいう展開にしたかったし、圭尚は頑張ってくれたけど小嶋さんはけっこう外をまくってきた。ブロックできればよかったけど、できないくらい外にいた。止まってるのかなとも思ったけど、踏んでるんだから小嶋さんは力がありますね」
  惜しくも3着になった山口幸二も小嶋の強さに脱帽だ。
  「強かった…。あれを乗り切ったんだから、今日は自分で自分を褒めたいね。初日に(村上)博幸が離れてたし、不安だったけどギアを上げて正解だった。踏み出しも良いけど、小嶋は道中の伸びが違う。それでももう少し差し込まんとね」


<10R>
武田豊樹選手
武田豊樹選手
   初手の一本棒から動きはなく、前受けした浅井康太が押し出される形で主導権を握った。浅井がホーム手前から一気にペースを上げると、平原康多もほぼ同時に巻き返して両者の力勝負に。番手を上げていった平原がバックで浅井を捕らえ、追走した武田豊樹(写真)が追い込んで決勝進出を決めた。
  「平原君が仕掛けたとき、前の浅井も踏んでたからどうかと思ったけど行ってしまったね。自分もとりあえず村上君の横を凌げば何とかなると思って踏みました。番手戦は緊張しますね。今日は平原が頑張ってくれたし、本当に相性が良いね」
  平原康多は2着。久々のビッグ優参を喜ぶ。
  「いつも準決勝で負けていたので嬉しいですね。今日は作戦は考えてなかったけど、だれも動かないとは想像もしなかった。誰も行かないし、あのタイミングしかなかったから、浅井君と力勝負と思って仕掛けました。山田(裕仁)さんに当たられたけど、押し込む形で何とか凌げました。武田さんが後ろだからプレッシャーがあった。ワン・ツーが決まって良かった。練習ではダッシュも良かったし今日は自信を持っていけました。自信がないとあそこは見てしまう所ですからね」
  浅井康太はまくられたものの、持ち味の地脚を発揮し3着に踏み止まった。
  「今日は山田さんと相談してカマす作戦になったので前を取りました。でも、ジャンで誰も来ないし焦りました。自分が先行しなきゃいけないタイミングになったから、無理矢理行きました。ペースで駆けられなかったけど、その割には踏めていましたね。最後は6番(竹内智彦)とからんでスピードが鈍ったけど、あれがなければ1、2着にいけたと思う」


<11R>
石丸寛之選手
石丸寛之選手
   海老根恵太がホームから先行。石丸寛之が1センターから、まくり上げるが海老根後位から伏見俊昭が抜群のダッシュでこれを合わせて3連勝で決勝に進出した。
  「海老根が頑張ってくれました。後ろは見てないけど、来ている気配がしたし、あそこでいかないとかぶってしまう。そこは直感でしたね。脚の感じは良いと思います」
  伏見マークの齋藤登志信が2着をキープ。一昨年の宮杯以来となる決勝進出を果たした。
  「石丸が行ったので伏見は余裕がないのかなと思ったけど、全然あったんですね。口が空いたけど、前に追い込み選手がいなかったので。いたらコースはなかったですね。今回は展開、番組と、自分に運がある」
  3着は3人で長い写真判定となるが、横一線の争いを制した石丸寛之(写真)はホッとした表情。そして伏見の強さに舌を巻いた。
  「強いですね、伏見は。普通なら絶対哲ちゃんとワンツーなのに…。参りました。自転車を取りに来た人もみんな苦笑いしてたから諦めてたのにツキがありますね。何とか3着に粘れたので、明日頑張ります」
  微差で4着に敗れた渡部哲男は「石丸さんはタレる雰囲気じゃなかったし、内を締めて外を行かれるよりはと思ったんだけど…」とガックリ。
  石丸、渡部に僅差で及ばなかった金子貴志は晴れ晴れとした表情でレースを振り返る。
  「早く外に持ち出したかったけど、あれでダメならしょうがないですね。久々に良い緊張感の中走れたし、しっかり出し切れた。悔いはないです」


<12R>
井上昌己選手
井上昌己選手
   ライン4車で結束した九州勢は二段駆けのシフトで前受け。後ろ攻めの永井清史が青板からレースを動かすと、スイッチの入った松岡貴久も応じてゴチャゴチャのレース展開に。そこを一気に三宅達也がカマすと、四番手の永井がまくり。それでも最後は出色のスピードで地元の井上昌己(写真)がゴール線を駆け抜けた。
  「(松岡と中川誠一郎の連係が外れ)マズいと思ったけど、脚に余裕はあったので誠一郎が行ってくれれば何とかなると思ってました。坂上さんのブロックで誠一郎が浮いて、自分は伸びるコースを踏めました。直前のバンク練習でもタイムが出てたし、明日も平常心で走りたい」
  2着には永井清史。青板から早々とレースを動かしながらも、ギアの成果か最後までスピードは落ちなかった。
  「前を取るつもりだったし、取れたら引いてドカンと力勝負をするつもりでした。結局、後ろ攻めになってしまったし、ああいうグチャグチャにするしかなくなった。四番手に入ってからは初日、2日目の反省を生かして後ろに来られないように仕掛けました。2車だけど、2人で勝ち上がれて良かった。昨日までは脚を使ってないけど、今日は使えたので感じは良いと思います」
  3着の坂上樹大は「永井が頑張ってくれたので」と、まずは前で頑張った永井の労をねぎらった。
  「永井はギアをかけてたので、番手まくりの上を行くか、その前に仕掛けるか。今日は一発にかけてました。とりあえず良かったです。今日も重かったけど、優勝戦に乗れたので。明日も気持ちを入れて、僕はそれだけなんでね」
  思わずカマシ先行に出てしまった三宅達也はガックリとうなだれる。
  「あのペースに惑わされた。緩んだところを行こうと思ってたので、あそこで先に反応した。悔しいなあ」

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情報提供:日刊プロスポーツ新聞社
写真撮影:日刊プロスポーツ新聞社 Takuto Nakamura
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