『第76回高松宮記念杯競輪・第3回パールカップ(GI)レポート』 3日目編

配信日:6月19日

 伝統の東西対抗にガールズGIも東西戦。岸和田競輪場を舞台に開催されている大阪・関西万博協賛「第76回高松宮記念杯競輪(GI)」、大阪・関西万博協賛「第3回パールカップ(GI)」は、6月19日に3日目が行われた。東西のトップ選手が激突したパールカップの決勝は、佐藤水菜がロングまくりで6人をシャットアウトして優勝。昨年11月の競輪祭女子王座戦、今年4月のオールガールズクラシックに続いてGIを3連覇。通算4回目のGI制覇で優勝賞金590万円(副賞含む)を獲得した。また、男子の残りの一次予選2では、吉田拓矢、松井宏佑、太田海也が連勝で勝ち上がった。シリーズも後半戦に突入、6月20日の4日目には、ポイント上位選手による「青龍賞(東日本)」、「白虎賞(西日本)」がメインで行われる。V戦線を占う意味でも見逃せない。
 シリーズの開催中は毎日、東西対抗ガチンコ予想会、岸和田グルメフェスティバル、選手会大阪支部ふれあいコーナーなどが行われます。また、6月20日の4日目は、ガールズケイリントークショー、平原康多さんのトークショー、日本名輪会のトークショーなども予定されています。岸和田競輪場では、みなさまのご来場をお待ちしております。また、テレビ、インターネット中継などでの観戦もお楽しみください。

パールカップ決勝出場選手特別紹介
パールカップ決勝出場選手特別紹介
パールカップ決勝1番車、佐藤水菜選手
パールカップ決勝1番車、佐藤水菜選手
パールカップ決勝2番車、仲澤春香選手
パールカップ決勝2番車、仲澤春香選手
パールカップ決勝3番車、尾崎睦選手
パールカップ決勝3番車、尾崎睦選手
パールカップ決勝4番車、竹野百香選手
パールカップ決勝4番車、竹野百香選手
パールカップ決勝5番車、梅川風子選手
パールカップ決勝5番車、梅川風子選手
パールカップ決勝6番車、柳原真緒選手
パールカップ決勝6番車、柳原真緒選手
パールカップ決勝7番車、奥井迪選手
パールカップ決勝7番車、奥井迪選手

パールカップ レース経過

 号砲で2番車の仲澤春香が出かけるが、それを制して大外枠の奥井迪が正攻法の位置に入る。奥井、仲澤、佐藤水菜、尾崎睦、梅川風子、柳原真緒となるが、竹野百香が位置を求めて佐藤の外で並走。赤板でようやく佐藤が下げて竹野は3番手に入る。
 引くと同時に佐藤は前との車間を空け始め、仲澤も奥井との車間を大きく空けていく。打鐘で誘導が退避しても、タテ長の隊列は変わらないままで最終ホーム入り口で奥井が腹をくくってスパート。だが、佐藤の反撃も早かった。ほぼ同時に踏み上げて、あっという間に仲澤の外に並び掛けると、後続を引き離して逃げていた奥井を追って行って1センターで捕らえる。初手から後ろにいた尾崎が奥井を乗り越えるので口が空きかけながらも懸命に佐藤に続き、反応が遅れた仲澤も3番手に切り替えたが、その外には1センターからまくり上げてきた梅川が並び掛けてくる。そのまま直線に入り、最後まで力強く踏み切った佐藤がV。佐藤を交わしには行けなかったが、尾崎がそのまま流れ込んで2着を確保。梅川と、その外を踏んだ仲澤は伸び切れず、仲澤後位から直線で最内のコースに突っ込んだ竹野が3着に入った。


<1R>

皿屋豊選手
皿屋豊選手
 赤板過ぎに出た三谷竜生を山田庸平が切って、そこを取鳥雄吾が押さえて主導権を握る。山田が番手で粘り、取鳥後位は併走。6番手に三谷、前受けの皿屋豊(写真)は8番手でレースは流れる。番手が併走のままで、最終ホーム過ぎに皿屋が仕掛ける。逃げる取鳥も踏み上げて抵抗するが、皿屋がまくりでじわじわと迫りゴール前で抜け出して1着。
 「(取鳥ラインに)粘ってくれるか、五分五分でしたけど、うまく踏み合ってくれて良かった。(打鐘)2センターで行こうと思ったが、近畿のあおりでバックを踏んでしまったのが反省点。河端(朋之)君が浮いていたので、そこを気持ちだけで行きました。本当に展開の勝利。自力はキツいですね。番手とは全然違う。でも、番手は横に動いたり、迎え入れたりするのがまだまだですし、自力は体が反応します」
 中四国ライン3番手の香川雄介は、松岡貴久に3番手を明け渡したものの、3コーナー過ぎから外を踏む。直線では、中のコースを伸びた。
 「(山田)庸平が一番やっかいだと思っていた。最悪、あの展開になるとは思っていました。3番手でしたし、考えることはありましたね。外併走の後ろで飛ばされたら終わりですし、あそこ(九州の後ろに降りた)は狙った感じです。(脚は)たまっていました。胃腸炎で5キロくらい痩せて、体重が軽くなった分、楽なのかと。いい方向に考えています」

<2R>

和田圭選手
和田圭選手
 寺沼拓摩が赤板過ぎに出て、そこを菊池岳仁が押さえてペースを上げる。しかしながら、中野慎詞の巻き返しが早く、菊池に襲い掛かる。打鐘3コーナーで中野が菊池を叩いて、そのまま駆ける。和田圭(写真)は抜かりなく追走して、菊池は3番手。寺沼が5番手、深谷知広は7番手の一本棒で最終ホームを迎える。菊池が2コーナーでまくるも、車間を空けていた和田圭がブロック。深谷は3コーナーから踏み上げるが一息。北日本両者の直線勝負は、最後のハンドル投げで交わした和田圭が1着。
 「ライン2車でしたし、(中野に)ピッタリ付けるよりも車間を空けて援護した方がいいかなって。いいピッチだったんですけど、深谷君がどこからまくり追い込んでくるのかって感じだった。中野君のおかげですね」
 菊池、深谷にレースをさせず、内容満点の積極策で中野慎詞がラインでのワンツーをメイクした。
 「前を取るとキツい展開になると思っていました。(1走目は)全ツッパ(全部突っ張って駆ける)したけど、今日(2走目)は同じ展開にはならないと思っていた。(菊池が叩いたあと)すかさず行けたので叩けたと思いますし、遅れたらキツかったと思います。深谷さんがどこで来るのか恐怖はありました。それで流すところをつくれなかった。もっと上のレースになればみんなすかさず来ると思いますし、ペースを上げた状態のなかでどれだけ残れるかですね。新山(響平)さんみたいに強くなっていきたいです。状態はいいと思うので、疲労回復をしてパフォーマンスを上げていければ」

<3R>

太田海也選手
太田海也選手
 伊藤颯馬が、赤板過ぎに出る。周回中は3番手にいた太田海也(写真)は、山口拳矢よりも先に踏み込んで2コーナーで先頭に立つ。が、福永大智に大きく張られた岩津裕介が連結を外して、番手には伊藤が入って打鐘を迎える。阿竹智史と併走していた福永が、4番手を取り切って最終周回。ラインの援護を失った太田は、落ち着いてペースを上げて逃げる。4コーナー手前から福永が外に持ち出して、三谷将太は太田と伊藤の間を強襲。番手の伊藤はいっぱいで、太田が押し切った。
 「初手で前中団をあまり考えてなかったのが、失敗したポイントかなって思います。一列棒状になってハイスピードになって、(そこを自分が仕掛けて)飛び付かれるのが嫌だった。けど、うまく連係できなくて、(結果的に)飛び付かれる形になった。(後ろが別線だったので)そこからは自分のもつところから踏んだ感じです。自分がスプリントするつもりで、敵ラインを警戒して走りました。(2走して)体の状態はボチボチですけど、ラインで戦うのが1つもできていない。ラインにもファンにも迷惑を掛けているので、そこは修正したい」
 福永の余力をギリギリまで見極めた三谷将太は、直線でシャープに伸びて2着。
 「福永の反応が良かった。自分はしっかりと待ってからでした。(福永と)2人で決まるのがいいので、ちょっと待ちすぎたところもあって伸びなかった。福永が頑張ってくれて、それで自分が内にいったらシビアに伸びなきゃいけないですね。前回がナイターだったので、今日(2走目)は朝早くてしんどかった」

<4R>

吉田拓矢選手
吉田拓矢選手
 佐々木悠葵を突っ張った高橋晋也は、すかさず仕掛けた青野将大ラインを受けて3番手。打鐘手前で青野が主導権を握る。6番手でタイミングを取った吉田拓矢(写真)は、4コーナーからスパート。一度は連結を外して、打鐘3コーナー過ぎにドッキングした武藤龍生が続く。青野を最終1センター過ぎにとらえた吉田は、そのままリズム良く風を切る。吉田、武藤を追った佐々木が3番手。吉田は、武藤、佐々木の追い込みを退けて連勝。
 「前中団を(武藤)龍生さんが取ってくれて、予定通りに走れた。あとは詰まったところで行こうと。(高橋)晋也さんは脚を使っていたし、先に緩んだところで行けました。いっぱい、いっぱいでしたし、後ろのことは龍生さんに任せて一生懸命踏んでいました。初日(1走目)の方が感触は良かったですけど、今回はデキすぎですね。(前回のあとに眞杉匠との合宿で)ちぎられて自信をなくしていたけど、昨日(2日目)の眞杉を見ていたら強かったですからね。昨年もピンピンで勝ち上がって、(4日目の)青龍賞から崩れたので気を引き締めていきたい」
 高橋に突っ張られた佐々木悠葵は、8番手に戻っての出直しを余儀なくされ苦しい流れ。しかしながら、前のライン、吉田が早めの仕掛けで一変、恵まれた。
 「突っ張られると思っていたので、それは想定していました。吉田君は仕掛けていく選手ですし、どこかで行くかと思っていた。(最終)バックで仕掛けられる感じはあったけど、行ったら前の2人が仕事をするんで難しかった。(1月に)大宮記念を獲った時の車輪に換えてからいいですね。勝ち上がれて良かったし、本当にうれしい」

<8R>

小倉竜二選手
小倉竜二選手
 中釜章成が赤板1センター過ぎに切ったところを、藤井侑吾が勢い良くカマして打鐘手前で先頭に出て逃げる。3番手に飛び付いた中釜は車間が空いて、6番手の伊藤旭、山田英明も前との距離ができて、最終周回。8番手に陥った清水裕友は、2コーナー手前からまくりを打つ。詰める勢いで踏んだ中釜を山口富生が止める。清水のまくりに遅れた小倉竜二(写真)は、3コーナー過ぎからコースを探してインを突く。直線の入り口で中部勢の外に持ち出した小倉が伸びた。
 「ジャンのところで終わったと思ったんですけどね。前も掛かっていましたし、ニュートラルに入らなかった。(最終)1コーナーでバックを踏んで終わったなって。たまたまです。完全に(清水の仕掛けに)ちぎれていました。コースというよりも、まっすぐ走っていたら前が勝手に開けた」
 8番手まくりの清水裕友が前団をのみ込んだ。が、直線では前にいた小倉をとらえることができず、結果的に現地集合の中四国ワンツー。
 「結果、一番後ろになってしまいましたね。ヒデさん(山田)が(伊藤と)車間が空いていたんで、シビアに伊藤君の後ろを取るか、その前に行くかすれば良かったですね。(前団のあおりもあったが)車間が空いていたんで、スピード差もあって行けたと思う。けど、(最終3コーナーの)登りはキツかったです。小倉さんが1着なのはわかったんで、村田(雅一)さんも来ていましたし、内から食われないように必死でした」

<9R>

松井宏佑選手
松井宏佑選手
 スタート直後に岡村潤が、雨谷一樹と接触して落車。再発走になり、4車の関東勢が前団。渡部幸訓を阻んで、森田優弥が赤板で突っ張る。浮いた渡部が下げて、2コーナーで5番手に収まる。7番手で仕掛けどころをうかがっていた松井宏佑(写真)は、2センターで踏み込む。渡部はインを押し上げて、3番手の恩田淳平をさばく。最終1コーナー過ぎに松井が、あっさり先頭に立つ。雨谷のけん制で遅れた岩本俊介を、今度は森田が外に大きく張る。空いた内を雨谷が前に踏むが、車間が空いた松井との距離は縮まらない。松井が後ろをちぎった。
 「(再発走になって)キツかったけど、ちゃんと気持ちを切らさずに走れて良かったです。理想はスタートを取って、全部突っ張ってラインで決めたかった。でも、スタートが取れなかった。(仕掛けも)ちょっと待ちすぎた。(別線の)動きを見すぎた。ワンテンポ早いか、待つにした方が良かった。一番、行っちゃいけないタイミングで行ってしまった。後ろに申し訳ないですね。(再発走で)待っている間に体力を奪われた。でも、しっかりと踏み込めたんで、悪くないと思います」
 岩本をブロックして大きく外に膨れた森田の動きに、とっさの判断で雨谷一樹は、自ら松井を追いかけて2着に入った。
 「(渡部)幸訓さんのペースが思ったより上がっていて、2回目に踏んだ時には森田君はキツそうだった。余裕はあったので岩本(俊介)さんにうまく当たれば、止められたと思う。そのあとは森田君が急激にイエローライン辺りにいってしまったんで、内に行きました。昨日(1走目)より今日の方が全然良かったので、(調子は)これから上がっていくと思います」

<10R>

荒井崇博選手
荒井崇博選手
 7番手から上昇した犬伏湧也に合わせて、4番手の松岡辰泰が動く。前の窓場千加頼も踏んで、結果的に松岡、犬伏は元の位置に戻る。窓場は、そのまま徐々にペースを上げて先行策に出る。犬伏が打鐘4コーナーから反撃に出る。村上博幸のけん制で振られた犬伏だったが、最終2コーナーで出切る。村上が切り替えて、あおりで遅れた松浦悠士が追い上げて村上と重なる。そこを切り替えるようにして追い込んだ荒井崇博(写真)が、直線で伸びて犬伏を交わした。
 「(打鐘の)3コーナーでタツ(松岡)は行っておけば、決まったよね。(最終)3コーナーは詰まったし、行ってみようと思った。上デキでしょう。脚はわからない。1着で良かったです」
 別線に警戒されて後方になった犬伏湧也は、ロングまくりで出切ったが感触は一息だったようでこう振り返る。
 「松岡君のけん制があって、ペースが上がっていって、冷静に見ていて詰まったところで行こうと。思ったよりも自転車の進みが良くなかった。暑さか、風かわからないですけど微妙でした。昨日(1走目)と比べて良くなかったと思う。しっかり暑さ対策をしたい」

<11R>

杉森輝大選手
杉森輝大選手
 前受けの眞杉匠は赤板過ぎに鈴木竜士を送り出し、根田空史が押さえて出る。そこを菅田壱道が叩いて打鐘。ペースが落ちると、8番手の眞杉は3コーナー過ぎから踏み込んで、埼京勢のインを進出。そのまま最終ホームで叩いた眞杉が駆ける。3番手に飛び付いた菅田もバックで動けず、鈴木、根田もクギづけ。番手の杉森輝大(写真)が差し脚を伸ばして、眞杉と並んでゴール。微差で杉森が差し切った。
 「すべて眞杉にお任せでした。前がもつれて、いいタイミングで仕掛けられると思った。(眞杉は)外か、内か迷ったと思うけど、すごいスピードでしたね。道中は余裕があって、脚の状態はいいと思う。昨日(2日目)の休みはゆっくり休んで、今日に向けてコンディショニングできたので、状態はいいと思う」
 鈴木が眞杉匠を警戒するように打鐘2センターで上がって、眞杉はその内をものすごいスピードで踏み込んで主導権を奪取。先行策で粘り込んだ。
 「ペースが上がって、どこかで落ち着くだろうと。あそこがガラガラだったので行きました。昨日(1走目)より良くなかったですね。自転車はいじっていないのに…。(感触は)良くも悪くもない」

<12R>

佐藤水菜選手
佐藤水菜選手
 役者の違いをまざまざと見せつけた3日間だった。前回、4月のオールガールズクラシックでは準決の2着で土がついたが、今シリーズはパーフェクト優勝の3連勝でファンの期待に応えた。
 「自分の思うようなレースができて、すごく有意義な3日間でした」
 笑みを浮かべながら佐藤水菜(写真)が、いつものようにさらりと振り返った。
 レースは併走していた竹野百香を赤板で前に入れて、4番手で打鐘を迎える。2番手にはナショナルチームのチームメイト、仲澤春香が前との車間を空けて佐藤を警戒。それでも佐藤に迷いはなかった。自身の力を信じて、4コーナーで外に持ち出して前団に襲い掛かった。
 「もう残り1周になる前には、誰かしら動きたいタイミングはわかっていた。そこで自分が一番最初に駆けようと思っていました」
 仲澤の横を通過した佐藤は、先頭の奥井迪をスピードの違いでとらえて、そのまま加速。最終2コーナーでは後ろに付けていた尾崎睦を置き去りにしたが、今度は梅川風子がまくってきた。
 「(前の3人をとらえた感触は)モガき合いにならないように、自分がゴールで優勝できるように考えて走りました」
 断然の脚力をもちながらも、佐藤はあくまで冷静だった。梅川のまくりを合わせて、佐藤との間合いを詰めた尾崎を直線で寄せつけることなくゴールを駆け抜けた。
 「(自分にとっては)一番嫌なゴール前勝負になってしまった。もう座るところがないサドルで、今世紀最大の力で踏み込みました(笑)。ずっと踏んでいるんですけど、さらに気合いで踏み込みました。雑巾のように脚を絞って、絞りました」
 完勝のロングまくりも、「ヒリヒリのハラハラだった」と、場内の優勝インタビューで応えたように、佐藤に余裕はなかった。
 「(競技用の自転車との違い)一生懸命工夫していろいろやってみたんですけど、理想のフォームにはいまの自転車にはなかなかならなかった。練習でも仲澤さんに負けて、危機感をもってここに入ってきた」
 昨年11月の競輪祭女子王座戦、今年4月のオールガールズクラシックに続いてGIを3連覇。それでも自身の理想はまだ先にある。
 「心残りなのは1周半、駆けたかった。自分のタイミングで行ったんですけど、こういうタイトルレースで長い距離を踏んでいかないとっていうのがある。もう1段階ステップアップするために、必要だと感じている」
 すでにグランプリを獲っている佐藤は、8月の女子オールスターを優勝すれば、GIの4冠とグランプリの完全制覇、グランプリスラムを達成する。
 「(女子オールスターでグランプリスラムがかかるが)そうなんです、頑張って獲ります。でも、500バンクなんで難しいけど頑張ります。どんなレースでも、どんな勝ち上がりでもやることは1つ。勝つことだけなので、1着だけを狙って、自分のレースをして勝ちたいです」
 敵なしの“絶対女王”にとって最大のライバルは、自分自身なのだろう。
 周回中から佐藤の後ろにいた尾崎睦は、奥井を越える最終2コーナー手前で置いていかれる。それでも梅川のまくりに合わせて、佐藤との距離を詰めた。
 「(佐藤の後ろが)優勝に一番近い位置だと腹をくくって追走に集中していた。梅川さんも強いけど、余裕はなかったので、サトミナ(佐藤)だけを見ていました。梅川さんが仕掛けてきた時に、(佐藤と)車間が空いて入られないようにしてキツかった。(最終)3コーナーで吸い込まれて夢を見たけど、(佐藤は)流していたんですね。踏み直しがすごかったです」
 竹野百香は、最終バックで最後方に近いポジション。2センターからは内を踏んで3着に入った。
 「緊張しすぎて覚えていないんですけど。見せ場がなくて、最後に空いたところをすくうだけになってしまった。(周回中は)佐藤さんよりも前にいないとって、そこは気持ちを強くもった。けど、ずっと人の後ろで、なにもできなかったです。脚が余ってゴールをしたので、悔しかったですね。結果だけではない大事なこともある」