『第76回高松宮記念杯競輪・第3回パールカップ(GI)レポート』 4日目編

配信日:6月20日

 伝統の東西対抗。岸和田競輪場を舞台に開催されている大阪・関西万博協賛「第76回高松宮記念杯競輪(GI)」は、シリーズも後半戦に突入。6月20日に4日目を迎えた。東西のメインの「青龍賞(東日本)」、「白虎賞(西日本)」では、番手からチャンスをモノにした郡司浩平が青龍賞を制し、脇本雄太が白虎賞で一次予選から3連勝を飾った。また、二次予選では、地元の南修二が寺崎浩平を目標に1着で勝ち上がった。シリーズも勝負どころ、6月21日シリーズ5日目には、ファイナルのキップをかけて東西の準決で熾烈なバトルが繰り広げられる。
 シリーズの開催中は毎日、東西対抗ガチンコ予想会、岸和田グルメフェスティバル、選手会大阪支部ふれあいコーナーなどが行われます。また、6月21日の5日目は、「ハリウッドザコシショウとSAKURAI」のお笑いライブ、FM大阪の人気番組「赤maru」のDJの赤松悠実さんと日野未来選手のトークショー、選手会大阪支部によるチャリティーオークションなども予定されています。岸和田競輪場では、みなさまのご来場をお待ちしております。また、テレビ、インターネット中継などでの観戦もお楽しみください。

11R 白虎賞 レース経過

 号砲で古性優作が出させる感じで清水裕友が正攻法の位置に入る。これで太田海也-清水-桑原大志の中国勢が前受けし、単騎の山田庸平が4番手。脇本雄太-古性優作の近畿勢が中団を確保し、犬伏湧也-小倉竜二-荒井崇博のラインは後攻めになる。
 青板3コーナーから犬伏が上昇。太田が赤板で並び掛けてきた犬伏を送り出すと、すかさず山田が切り替えて4番手に入る。5番手が引いた太田と脇本で併走に。打鐘3コーナーで外の脇本をどかした太田が5番手を単独でキープ。休むことなく太田は2センターから一気に巻き返す。犬伏もペースを上げて逃げるが、1センターで太田が捕らえて先頭に立ち、太田のスピードに口が空きながら清水が懸命に追う。犬伏を乗り越えた清水が太田とドッキングして最終バック。一方、脇本はまだ前との車間が空いた8番手のまま。詰めた脇本がまくり出たのは3コーナーからだったが、先まくりの山田の外を踏んで直線強烈に伸びる。粘る太田、交わしにかかる清水、その後位に俊敏に切り替えてきた荒井でゴール前勝負を演じる外を、脇本がまとめて飲み込んだ。


12R 青龍賞 レース経過

 スタートの早い雨谷一樹が出て、抜かりなく郡司浩平が追う。これで並びは、眞杉匠-雨谷-阿部力也、松井宏佑-郡司-和田真久留、吉田拓矢-杉森輝大-和田圭で決まって周回を重ねる。
 赤板前の4コーナーから吉田が動き出す。吉田は赤板過ぎに眞杉をすんなり押さえ、吉田ラインに神奈川トリオも切り替えてくる。そして、吉田を2コーナーで松井が叩いて先制。神奈川勢を受けた吉田が中団を確保し、眞杉は7番手に置かれる。ハイスピードで踏む松井の前に、打鐘、最終ホームは一本棒で通過し、郡司は車間を切って後続の反撃に備える。詰めた真杉が2コーナーから猛然とまくり上げ、合わせるように吉田もまくりに出る。引き付けた郡司は3コーナーで吉田を大きくブロックし、止まらないとみるや前に踏んでいく。直線に入り、大外の眞杉は伸び切れなかったものの、吉田は付け回るような形で猛然と詰め寄ってくるが、郡司が振り切った。


<5R>

松本貴治選手
松本貴治選手
 赤板1センターで松本貴治(写真)が山口拳矢を切って、そこを松岡辰泰が押さえて出る。前受けから7番手になった河端朋之は、2コーナー過ぎから巻き返す。2センターで松岡が空けたインを松本が進出して、河端は松岡の上をカマす。最終ホーム過ぎに河端が、主導権を奪う。岩津裕介が続くが、隅田洋介は離れる。車間が空いた3番手に松本が飛び付いて、松岡は5番手で前との車間が空き、山口拳矢は後方でピンチ。快調に駆ける河端も徐々にピッチが落ちて、詰める勢いで4コーナーで外に持ち出した松本が突き抜けた。
 「(河端が)ゆっくりめに来たので、九州の後ろでは厳しいと思って1つ前に出ました。(河端の)3番手がいたらしんどかったので、(展開が)良かったです。セッティングをいじって良かったですけど、もう少し煮詰められれば。微調整はしたい。暑いのでバテないようにしたい」
 河端の番手から追い込んだ岩津裕介は、車間を詰めて加速した松本に屈して2着。
 「河端君は強いし、何回もちぎれているのでしっかり集中していた。だいぶけん制というか、(別線が河端を)警戒していて、(松本)貴治はうまかったですね。あそこでペースが一気に上がった。ペースが上がっているところを内から行かれて、あれで(最終)ホームでだいぶ(河端は)踏んだ分、最後に末を欠いたのかなと。バックで後ろの気配がなかったので、そのままいけばと思った。けど、4コーナーからいい勢いで(松本に)来られてうまく踏めなかった。感覚は今日(4日目)が一番良かった」

<6R>

和田真久留選手
和田真久留選手
 高橋築が切った上を佐々木悠葵が出る。中野慎詞も仕掛けるが、佐々木は赤板2コーナーからペースを上げて駆ける。空いた4番手には入らず叩きに出た中野だが、打鐘4コーナーで末木浩二にけん制されて後退。8番手になった和田真久留(写真)は、最終ホーム手前で反撃。逃げる佐々木の番手の末木浩二が、バック手前で和田をブロック。しかしながら、和田のスピードが良く、そのまままくり切って1着。
 「(あの並びの)初手は想定していなくて、最悪でしたね。あそこ(赤板2コーナー付近)は中野君をけん制して、(中野が)出る勢いだったらスイッチしてと思っていた。でも、佐々木君も踏んでいたんで、(佐々木と中野で)踏み合いになるかなと。それで見ちゃった。詰まったらどこかで(仕掛けて)行くっていう感じだった。それが(最終)ホームだったんで、行くだけいってみました。重かったですし、みんなで脚を使っていたから、最後に自分の順番がきたってだけで、たまたまですね」
 中野に主導権を許さず、積極策に出た佐々木の番手の末木浩二が2着。和田を止め切れず、選択を迫られた末木が、苦しい胸の内を吐露する。
 「(和田がまくって来て)すごく判断に迷いました。(佐々木が)苦しいかなと思って前に踏んだけど、申し訳ないことをした。難しかったけど、いい経験をさせてもらいました。(1走目の落車で体が)痛いことは痛いけど、逆に吹っ切れて緊張とかなく走れている」

<7R>

松岡貴久選手
松岡貴久選手
 嘉永泰斗が赤板1コーナーで先頭に立ち、九州勢に三谷竜生が続く。三谷後位の村田雅一が、1センターで落車。嘉永がペース握り、スローに落とす。4番手に三谷。取鳥雄吾が、5番手で車間を空けて打鐘を迎える。取鳥の仕掛けはなく、嘉永が徐々にペースを上げて駆けて最終周回へ。1人になった三谷が、2コーナーからまくりを打つ。松岡貴久(写真)が、三谷をけん制。取鳥のまくりも一息。逃げる嘉永の番手から差し脚を伸ばした松岡が1着。
 「(嘉永が)掛かっていたので、なにもしなくても三谷君は止まるかなって思った。けど、取鳥君が来ているかもしれないので、外々回そうと思って、一応、振っておきました。(自分は)だいぶ進みました。なにも変えていないんですけどね」
 九州3番手の園田匠は、熊本コンビの間を踏んで2着に入った。
 「村田君が落車したのかわからなかった。嘉永君がいいペースで駆けてくれたので、(ラインで)ワンツースリーが決まったかなって思ったんですけど。浅井(康太)君は見えなくて、三谷君がダメならあとは村田君かなって思ったんですけど。ちょっと申し訳ないですね。セッティングが合っているのでいいと思います」

<8R>

岩本俊介選手
岩本俊介選手
 赤板1コーナーで出た寺沼拓摩が緩めたところを、森田優弥が押さえて打鐘手前で先頭に立つ。ただ、深谷知広の巻き返しも早く、4コーナーで主導権を奪う。別線のあおりがありながら、岩本俊介(写真)が続いて、森田は3番手を確保して最終周回。5番手の菅田壱道も動けず、深谷の先行でバックを迎える。森田が直線で外を追い込むが、南関両者で決着。岩本がきっちりと交わした。
 「昨日(2走目)と同様にあおりもあると思って、僕のところに(からまれるのが)あると思った。反省を生かせた。バンクが風で重くなった分、深谷君も苦しくなったと思うが、ああいう出方だったし深谷君の脚ならサポートできればワンツーができると。森田君は脚を使っていたんで(ラインで)決まると。(状態は)松井(宏佑)君と2日連続の連係で(自分に)悪い感じが残っていたけど、今日(4日目)の深谷君との連係でいい感じにもっていけそう。練習はいつも通りにしっかりとやってきているので」
 深谷知広は主導権を握ってから、さすがのパワーで別線をクギづけ。完調とは言えないデキでも、しっかりと結果を残した。
 「行きたいタイミングで、(仕掛けて)行けたのは良かった。(風が)ホームで斜めに向かっていて、後ろはキツいなと。(状態は)あんまり良くないけど、昨日(2走目)の絶望的なのに比べたら、少しは良くなったかなって思います」

<9R>

南修二選手
南修二選手
 伊藤颯馬、皿屋豊で順番通りに動いて、周回中は3番手にいた寺崎浩平がスムーズに反応して打鐘手前で主導権を握る。椎木尾拓哉が追い切れず、寺崎、南修二(写真)で出切り、皿屋はすんなり3番手を確保する。浮いた椎木尾は5番手に降りて、伊藤が6番手で最終ホームを通過して、隊列は一本棒。間合いを取った皿屋がまくりを打つが、南が3コーナーでブロック。4番手以下が離れて、皿屋は3番手に降りて直線。南が余裕をもって寺崎を差し切った。
 「(周回中は)理想の位置だったと思います。最終ホームくらいは自分もキツくて、後ろを確認できなかった。(皿屋は)2コーナーくらいですかね、まくって来たのは。止めなくても止まる気はしたけど、安全策というか隙のないように(止めにいった)。(感触は)いいと思います」
 打鐘から1周半、風を切った寺崎浩平が、別線をシャットアウト。地元の南とのワンツーを結実させた。
 「(周回中は)前中団からで、順番がきてからしっかりと先行する気でした。しっかりと相手の動きを見て、行くべき場所で動いて主導権が取れたんで良かった。風も吹いていて重く感じた。そこをパワーを使って加速させた。最後は脚がなくて、南さんのおかげで残った。1走目の失敗をしっかり2走目で修正して、今日(4日目)はいい感覚のまま先行できた。状態面はすごくいいと思います」

<10R>

小林泰正選手
小林泰正選手
 後方から上昇した道場晃規を前受けの小林泰正(写真)が突っ張る。新山響平は隊列が落ち着く前に、赤板1センターから踏み込む。が、守澤太志は付いていけない。打鐘で叩き切った新山に小林が飛び付いて、恩田淳平、佐藤礼文が続いて、守澤は5番手に降りる。道場は一本棒の8番手に置かれて、新山の先行で最終ホームを通過する。2コーナー手前から守澤が追い上げるが、新山のつくり出すペースに車は進まない。番手から追い込んだ小林が1着。
 「4車のラインを生かして前からと、2周の時はモガき合ってでもでした。(新山が来たのは)全然、気づかずに合わせきるつもりで踏んでいました。だから、ちょどよくハマることができましたね。セッティングは煮詰めたい。(一次予選の)2走でバックを取ることはできているし、前に攻めることはできているので状態は悪くないですね」
 直線で外を踏んだ恩田淳平が2着。好感触での準決進出にこう口を開く。
 「展開に助けられた。新山君を逃がしたら厳しいですし、(小林)泰正が前から気持ちを入れて頑張ってくれた。泰正は落ち着いて走ってくれましたね。ゴール前の感触は、今日(4日目)は一番ゆとりがあった。4車でしたし、(最終)4コーナーを回ってからは、外で勝負をして届くかどうかの判断でした。体が小さいので、冬より暑い方が動けますね」

<11R>

脇本雄太選手
脇本雄太選手
 赤板1コーナーで犬伏湧也が、押さえて出る。太田海也は、切り替えた単騎の山田庸平まで送り出して、5番手で脇本雄太(写真)と併走。太田は外の脇本を張ってコースをつくり、打鐘センターで仕掛ける。太田にさばかれた脇本は、離れた8番手になり最終周回へ。2コーナー手前で太田が出切り、車間が空いたものの清水裕友が追いつく。桑原大志は遅れて、荒井崇博が切り替える。3コーナーでようやく車間を詰め切った脇本が、まくり強襲。太田後位から清水が追い込むが、ゴール寸前で脇本がとらえた。
 「(太田が)引くかと思った。けど、盛り返してきて、反応が遅れたので反省ですね。(太田)海也君に当たって態勢を整えるのに時間が掛かった。(そのあとは)無我夢中でまだレースも確認できていないので、映像を確認してからですね。(状態は)2走目と変わらない」
 太田の強烈なダッシュに離れながらも対応した清水裕友は、タイヤ差での2着。ただただ、太田のスピードに舌を巻くばかりだ。
 「(太田は)一瞬立ち遅れたけど、うまく位置取りしていましたね。(踏み出しで離れたのは)ちょっとどころではなかった。初速が合わないとかで離れる時もあるんですけど、追いつくのも誰の時でもあるけど、そういう感覚がなくて(最終)1コーナーで振られたら終わるなと。このレベルでは余裕はないんですけど、力の差を見せられた。(太田の踏み出しは)初速よりそこからの伸びですね。(後ろは離れて太田)海也が1人になるパターンが続いていたので、全力で追いかけた。けど、海也にも桑原さんにも迷惑を掛けた。こういう場で走れて、課題が見つかって良かったです。離れっぱなしになる感覚は今回が初めてですね」
 併せ込まれた脇本を張って対応力を見せた太田海也は、その後の加速も驚異的だった。
 「(位置は)譲れないと思いました。自分勝手に走らせてもらって、感触は悪くない。踏むだけでしたし、あとはラインでなんとかしてくれると自分のペダルだけ意識していた。(最終4コーナーを回って)いけると思ったが、脇本さんが強くてもっと脚力をつけないとなって思いました」

<12R>

郡司浩平選手
郡司浩平選手
 吉田拓矢が切って出る。そこを松井宏佑は迷いなく踏み込んで、赤板2コーナーで先頭。松谷秀幸まで3車で出切り、吉田が4番手に入り打鐘を通過する。眞杉匠は一本棒の7番手で前との車間が空いて、松井も飛ばして逃げて最終周回。眞杉が2コーナー手前でまくり、吉田も仕掛ける。番手で逃げる松井と車間を空けた郡司浩平(写真)は、詰めながら吉田を3コーナーでブロック。止まらないと見るや、郡司がそのまま踏み込む。郡司が吉田に踏み勝って1着。
 「(松井は)いい形で前に出られた。ああなったら、(松井)宏佑も出させる気はなかったと思う。あとは自分のできることを精いっぱいやってと思っていました。(まくってきた)ヨシタク(吉田)が先に見えて、あんまり変に体で(ブロックに)いっても、外(眞杉)もいたんで。(外に張って)戻って、1回待った。けど、止まらなかったんで、前に出ました。番手だったけど、苦しかったです。(3日目が休みで)刺激が今日(4日目)は抜けすぎたのかなっていうのが、多少ありました。GIではいつも(準決の)ここが壁になっている。勝ち上がりが厳しいけど、勝ち上がれるように」
 4番手確保からまくった吉田拓矢は、郡司を乗り越えることができずもブロックを持ちこたえて2着。
 「松井さんも掛かってたんで、余裕はなかったです。とりあえず無理やり仕掛けたけど、(郡司を)越えられなかったですね。今日(4日目)は微妙だったので調整したい。初日が一番良かった。(そこは)セッティングだと思う」
 ライン3番手の松谷秀幸は、内を締めて重いところを踏まざるを得ず吉田に先着を許しての3着。
 「まくりにしろ、カマシにしろ、先行にしろ、しっかりと付いていかないとっていうのがありました。(郡司)浩平は(別線を)引きつけてからだったので、それがキツかった。張りながら真っすぐ踏んでくれれば付いていけたと思うけど、上がってやめてからググって踏んだ。今日(4日目)はすごい重かった。むちゃくちゃ感じが悪かった。なにか変えたわけじゃないけど、風も強かった。今日みたいな3番手の時に、しっかりと走らなきゃいけないですね」