伝統の東西対抗。岸和田競輪場を舞台に開催された大阪・関西万博協賛「第76回高松宮記念杯競輪(GI)」は、6月22日に最終日が行われた。東西に分かれた勝ち上がりを競った9人が激突した決勝は、地元の近畿勢が主導権。先行策の寺崎浩平に付けた脇本雄太が番手まくりでV。グランプリスラムを達成した2月の全日本選抜に次いで今年2回目、通算10回目のGI制覇を5連勝の完全Vで遂げて、優勝賞金5090万円(副賞含む)を獲得した。

決勝出場選手特別紹介

決勝1番車、古性優作選手

決勝2番車、深谷知広選手

決勝3番車、清水裕友選手

決勝4番車、太田海也選手

決勝5番車、郡司浩平選手

決勝6番車、末木浩二選手

決勝7番車、脇本雄太選手

決勝8番車、松谷秀幸選手

決勝9番車、寺崎浩平選手
決勝戦 レース経過
号砲が鳴り響くと内枠の4車が勢いよく飛び出す。太田海也が誘導員の後ろを占め、太田-清水裕友の中国勢が前を固めた。その後ろに寺崎浩平-脇本雄太-古性優作の近畿勢が続き、深谷知広-郡司浩平-松谷秀幸の南関勢が後攻め。単騎の末木浩二が最後方。すんなり隊列は決まり、しばらく静かな周回を重ねる。
青板周回のバック過ぎから太田が誘導員との車間を空けはじめると、4コーナーで深谷がスパート。これに気付いた太田も踏み込み、赤板過ぎから両者で激しいバトルとなったが、2コーナーで太田が踏み勝ち先手を死守した。だが、深谷をさばいてペースを落とした太田に、バックから仕掛けていた寺崎が襲い掛かる。寺崎のスピードは素晴らしく、あっという間に太田を飲み込み、4コーナーで寺崎-脇本-古性の近畿勢3車がそっくり前に出た。太田は4番手、深谷は6番手の一本棒で最終ホームを通過。逃げた寺崎のかかりは良く、後続からの仕掛けはなかったが、最終バックで脇本が番手まくりを発動。脇本は3コーナーで先頭に立つと、古性は続くも太田以下は付け切れず、直線は両者の一騎打ちに。脇本は古性をまったく寄せ付けず、1車身の差を付けて無傷の5連勝。20年の和歌山大会と同様に、完全Vで高松宮記念杯2V目を達成した。古性が2着で近畿ワンツー。3着には郡司が入った。









青板周回のバック過ぎから太田が誘導員との車間を空けはじめると、4コーナーで深谷がスパート。これに気付いた太田も踏み込み、赤板過ぎから両者で激しいバトルとなったが、2コーナーで太田が踏み勝ち先手を死守した。だが、深谷をさばいてペースを落とした太田に、バックから仕掛けていた寺崎が襲い掛かる。寺崎のスピードは素晴らしく、あっという間に太田を飲み込み、4コーナーで寺崎-脇本-古性の近畿勢3車がそっくり前に出た。太田は4番手、深谷は6番手の一本棒で最終ホームを通過。逃げた寺崎のかかりは良く、後続からの仕掛けはなかったが、最終バックで脇本が番手まくりを発動。脇本は3コーナーで先頭に立つと、古性は続くも太田以下は付け切れず、直線は両者の一騎打ちに。脇本は古性をまったく寄せ付けず、1車身の差を付けて無傷の5連勝。20年の和歌山大会と同様に、完全Vで高松宮記念杯2V目を達成した。古性が2着で近畿ワンツー。3着には郡司が入った。









<3R>

村田雅一選手
4車の藤井侑吾ラインが前団。小松崎大地の上昇を藤井が阻んで突っ張る。福永大智は5番手を確保して、藤井の先行でレースは流れる。北日本勢が後方の一本棒で最終ホームを通過する。タイミングを取った福永は、2コーナーで仕掛ける。逃げる藤井を福永は3コーナーでとらえて、村田雅一(写真)の追走。3番手以下が離れて、近畿両者の直線勝負は村田が差し切って1着。
「(福永が)強かったですね。抜ける感じがしなかったけど、福永が(直線で)失速したのもあった。余裕はなかったです。(福永は)ポテンシャルがあるし、練習での脚も知っている。しっかり踏めば(福永は)さすがですね。(3走目に落車して)久々の落車で首が痛かった。体も反応できてなくて、落車したらダメだって痛感した。昨日(4走目)は離れちゃったし、お客さんにも申し訳なかった。それなのに今日は、本当に声援をくれてありがたかった」
まくりでライン決着の福永大智は、地元のGIで5走目にして初連対。最終日の結果にも満足することなく、こう振り返った。
「突っ張られた小松崎さんが締めてきて、後方になったらキツいなっていうのがあったけど。上の方で突っ張ったんで、(中団を)付いていけて良かった。でも、弱いですね。(まくりは)自分のタイミングでいってるんですけど、掛かっているところもない。余裕もなかった。最後に踏み直せている感じもない。課題は山盛りです。昨日(4走目)までセッティングをいろいろやっていたけど、今日は変えて元の状態に近い感じにした。それでマシにはなりました。でも、(セッティングとか)そういう問題じゃない。(今シリーズは)悔しいですね」
「(福永が)強かったですね。抜ける感じがしなかったけど、福永が(直線で)失速したのもあった。余裕はなかったです。(福永は)ポテンシャルがあるし、練習での脚も知っている。しっかり踏めば(福永は)さすがですね。(3走目に落車して)久々の落車で首が痛かった。体も反応できてなくて、落車したらダメだって痛感した。昨日(4走目)は離れちゃったし、お客さんにも申し訳なかった。それなのに今日は、本当に声援をくれてありがたかった」
まくりでライン決着の福永大智は、地元のGIで5走目にして初連対。最終日の結果にも満足することなく、こう振り返った。
「突っ張られた小松崎さんが締めてきて、後方になったらキツいなっていうのがあったけど。上の方で突っ張ったんで、(中団を)付いていけて良かった。でも、弱いですね。(まくりは)自分のタイミングでいってるんですけど、掛かっているところもない。余裕もなかった。最後に踏み直せている感じもない。課題は山盛りです。昨日(4走目)までセッティングをいろいろやっていたけど、今日は変えて元の状態に近い感じにした。それでマシにはなりました。でも、(セッティングとか)そういう問題じゃない。(今シリーズは)悔しいですね」
<6R>

松井宏佑選手
松岡辰泰、高橋築の順番で切って出て、松井宏佑(写真)はワンテンポ置いて赤板2コーナー手前から仕掛ける。5番手から山口拳矢が合わせて踏んで、2人が併走のまま打鐘手前まで来て松井が踏み込んで主導権を握ると、山口は番手で粘る。最終ホーム手前で和田健太郎が、山口をキメて松井の番手を守る。山口は笠松信幸と呼吸を合わせて、3番手で立て直す。6番手の高橋が、2コーナー過ぎからまくるが中団まで。松井が和田を振り切ってゴール。
「本当は3番目に(順番通りスムーズに仕掛けて)行きたかった。けど、踏み遅れて、山口君と一緒に踏みながら脚を使って出た。山口君が引っ掛かっていたんで、無理くり踏んだけど、踏みすぎてもっていうのがありました。(後ろがもつれたけど)気にする余裕もなかった。そのあとは踏み上げていく感じで、最後まで踏み切れたし、うまく駆けられた。昨日(4走目)は思った通りの展開で走れなかった。難しかった。ここに向けてむちゃくちゃ追い込んで仕上げてきたのに、思った通りの走りができなくて、まだまだっていうのを痛感した」
山口が粘るも和田健太郎は、番手を確保して直線で松井に詰め寄った。
「ここで先行で意欲が一番あるのは(松井)宏佑なんで、どこで仕掛けるかでした。(山口)拳矢じゃなくても、高橋、松岡も僕のところに誰か来るかなと。負けたら宏佑にも悪いんで。(最終)2コーナーで確認したら後ろが拳矢だった。変にもっていくより、空けながらゴール勝負と。でも、宏佑が強くて抜けなかった」
「本当は3番目に(順番通りスムーズに仕掛けて)行きたかった。けど、踏み遅れて、山口君と一緒に踏みながら脚を使って出た。山口君が引っ掛かっていたんで、無理くり踏んだけど、踏みすぎてもっていうのがありました。(後ろがもつれたけど)気にする余裕もなかった。そのあとは踏み上げていく感じで、最後まで踏み切れたし、うまく駆けられた。昨日(4走目)は思った通りの展開で走れなかった。難しかった。ここに向けてむちゃくちゃ追い込んで仕上げてきたのに、思った通りの走りができなくて、まだまだっていうのを痛感した」
山口が粘るも和田健太郎は、番手を確保して直線で松井に詰め寄った。
「ここで先行で意欲が一番あるのは(松井)宏佑なんで、どこで仕掛けるかでした。(山口)拳矢じゃなくても、高橋、松岡も僕のところに誰か来るかなと。負けたら宏佑にも悪いんで。(最終)2コーナーで確認したら後ろが拳矢だった。変にもっていくより、空けながらゴール勝負と。でも、宏佑が強くて抜けなかった」
<9R>

南修二選手
赤板1コーナーで取鳥雄吾が先頭に立つが、そこを和田真久留が押さえる。南関ラインに単騎の南修二(写真)が切り替えて、取鳥は打鐘3コーナーで4番手に下げて立て直す。吉田拓矢は6番手になり、そのまま駆けた和田の先行で最終周回へ。南は後続の仕掛けを待つことなく、2コーナー手前から仕掛ける。岩本俊介も合わせて踏むが、3コーナーで南がまくり切る。岩本が南に続いて、バック手前からまくった取鳥には勢いがない。直線で後続が迫るが、退けた南が地元でシリーズ2勝目を挙げた。
「行けるところで行こうと思ってたんで良かったです。(和田が駆けて)もう1回、緩むところがあると思った。(岩本が)車間を空けたタイミングを逆手に取れた。(岩本とは)脚力が全然、違う。自分は浮いてしまうとないので、(まくりは)締めながらでした。近畿全体がレベルアップするレースができればと。自分は底上げが必要だなと。(上位との脚力差を)感じるけど、そうも言ってられない。迷惑を掛けないように」
和田が主導権を握り、番手の岩本俊介は、真後ろから南にまくられて、合わせることができずに2着。
「(和田)真久留は気合が入ってたので、フォローしなきゃと思っていた。あそこまでいったら(番手から)出なきゃっていうのがあったけど、難しかった。南さんが一枚上手でした。さすがの技術力だったし負けました。今開催で感じたのは、東日本の予選で自力選手はヨコもできて、タテもできる。総力戦だと関東勢が強いなって。南関も負けないように対抗していかないとダメですね」
「行けるところで行こうと思ってたんで良かったです。(和田が駆けて)もう1回、緩むところがあると思った。(岩本が)車間を空けたタイミングを逆手に取れた。(岩本とは)脚力が全然、違う。自分は浮いてしまうとないので、(まくりは)締めながらでした。近畿全体がレベルアップするレースができればと。自分は底上げが必要だなと。(上位との脚力差を)感じるけど、そうも言ってられない。迷惑を掛けないように」
和田が主導権を握り、番手の岩本俊介は、真後ろから南にまくられて、合わせることができずに2着。
「(和田)真久留は気合が入ってたので、フォローしなきゃと思っていた。あそこまでいったら(番手から)出なきゃっていうのがあったけど、難しかった。南さんが一枚上手でした。さすがの技術力だったし負けました。今開催で感じたのは、東日本の予選で自力選手はヨコもできて、タテもできる。総力戦だと関東勢が強いなって。南関も負けないように対抗していかないとダメですね」
<10R>

眞杉匠選手
松浦悠士が、4番手の眞杉匠(写真)にフタをして赤板を迎える。菅田壱道は2コーナー手前で誘導を降ろして、ペースを上げて先行策。4番手は松浦が踏み勝ち打鐘。その後ろで岩津裕介ともつれた眞杉は、3コーナーでインが空くと進出。松浦をさばいて、そのあおりで和田圭も遅れる。眞杉が3番手奪取でレースが流れる。空いた車間を詰めて、眞杉は2コーナーからまくり一気。雨谷一樹は阿部力也のブロックで阻まれ、眞杉が後続を離して1着。
「初手は前か中団で(別線が)切りにいったところを先行しようと思っていた。けど、そうならなくて、ほかのラインも先行を考えていたみたいですね。正直、内容も感じも良くない。ラインで決められていない。(このあとは)サマーナイトフェスティバルまで空くので、力を出し切るレースをしようと思っていたんですけど。(取手から使っている自転車は)今後も使う予定です。今回は気持ちの面に問題があった。(4日目の)青龍賞も準決も強い気持ちでいければ良かったんですけど。(サマーナイトフェスティバルまでに合宿などは)基本的には直前に決めるんですけど、しばらく空くし練習して立て直してきます」
菅田壱道は、逃げ切った4走目に続いての先行策。眞杉にはまくられたものの、2着に粘り込んだ。
「スタートが勝負でしたし、踏んでおけば中団で併走してくれるとも思った。あとは目いっぱい踏んで、後ろを信頼するだけでした。1走目、2走目と眞杉君に先行されたらまくれないというのがわかっていたし、どこまで勝負できるかというもありました。(今回の)前半は不甲斐ないレースだったけど、昨日(5日目)、今日と力を出し切れたので、次回以降につながれば」
「初手は前か中団で(別線が)切りにいったところを先行しようと思っていた。けど、そうならなくて、ほかのラインも先行を考えていたみたいですね。正直、内容も感じも良くない。ラインで決められていない。(このあとは)サマーナイトフェスティバルまで空くので、力を出し切るレースをしようと思っていたんですけど。(取手から使っている自転車は)今後も使う予定です。今回は気持ちの面に問題があった。(4日目の)青龍賞も準決も強い気持ちでいければ良かったんですけど。(サマーナイトフェスティバルまでに合宿などは)基本的には直前に決めるんですけど、しばらく空くし練習して立て直してきます」
菅田壱道は、逃げ切った4走目に続いての先行策。眞杉にはまくられたものの、2着に粘り込んだ。
「スタートが勝負でしたし、踏んでおけば中団で併走してくれるとも思った。あとは目いっぱい踏んで、後ろを信頼するだけでした。1走目、2走目と眞杉君に先行されたらまくれないというのがわかっていたし、どこまで勝負できるかというもありました。(今回の)前半は不甲斐ないレースだったけど、昨日(5日目)、今日と力を出し切れたので、次回以降につながれば」
<11R>

森田優弥選手
後方の森田優弥(写真)は、青板より前に上昇を始める。前受けの新山響平は、関東勢を入れて青板の1センター過ぎに3番手に引いて、皿屋豊と併走になる。皿屋は外併走から赤板2コーナーで仕掛けて、打鐘3コーナーで主導権。森田が3番手に入り、新山は5番手。8、9番手の四国勢は、最終ホーム手前からインを小倉竜二、外を松本貴治が押し上げる。小倉が新山をすくい、2コーナーからまくった森田に佐藤礼文、小倉の追走。逃げる皿屋をとらえた森田が、押し切って、デビュー通算200勝を遂げた。
「僕はチャレンジャーなので、新山さんに突っ張られないように早めに動きました。(新山がすんなり下げたのは)ちょっと意外でした。(最終2コーナーからまくって)ちょっと集中できていないというか、良くなかったです。(今シリーズを振り返って)普段から先行していないのが、バレバレの負け方だったので悔しいです」
外を追い込んだ新山は3着まで。佐藤礼文が流れ込んで、関東勢ワンツー。
「森田の気持ちが新山君を下げさせる形になったと思いますし、結果、早めにレースを動かして展開が向いたかなって思います。完ぺきなレースでした。(最終)4コーナーで後ろを確認してから抜きにいった。けど、抜けなかったです。(今シリーズは)初日が良くなかったので、その辺を反省して走れたと思います」
「僕はチャレンジャーなので、新山さんに突っ張られないように早めに動きました。(新山がすんなり下げたのは)ちょっと意外でした。(最終2コーナーからまくって)ちょっと集中できていないというか、良くなかったです。(今シリーズを振り返って)普段から先行していないのが、バレバレの負け方だったので悔しいです」
外を追い込んだ新山は3着まで。佐藤礼文が流れ込んで、関東勢ワンツー。
「森田の気持ちが新山君を下げさせる形になったと思いますし、結果、早めにレースを動かして展開が向いたかなって思います。完ぺきなレースでした。(最終)4コーナーで後ろを確認してから抜きにいった。けど、抜けなかったです。(今シリーズは)初日が良くなかったので、その辺を反省して走れたと思います」
<12R>

脇本雄太選手
「今回も本当に近畿の仲間たちに助けられた一戦だった。ただ単に寺崎(浩平)君が強かっただけだと思います」
同県の後輩、寺崎の強い気持ちから生まれた近畿のワンツー劇だった。岸和田の多くのファンに迎えられた脇本雄太(写真)は、ヒーローインタビューでこう言って寺崎を労った。
レースは、近畿勢の理想通り、寺崎が3番手を確保して周回を重ねる。別線の駆け引きは、2車でも前受けから太田海也が突っ張り、深谷知広を出させない。外に大きく膨れた深谷が3番手に降りようとした瞬間を逃さず、寺崎が打鐘手前で踏み込んだ。
「(寺崎が)どこで(仕掛けて)行くのかわからなかったので、しっかりハンドルを絞っていた。でも、ジャンのスピードがすごかったですね」
太田を叩き切った寺崎は、その後もスピードを緩めることなく加速。すでに脚力を消耗していた太田が4番手、郡司浩平に迎え入れられた深谷が6番手で最終ホームを迎えた。逃げる寺崎の掛かりに太田は、近畿勢との車間が詰まらない。だが、太田のポテンシャルを知っている脇本は、太田が詰めてスピードに乗る前に自らバック手前で踏み込んだ。
「(ライン3車で出切ったあと)真後ろのラインが(太田)海也だった。自分が勝負権のある仕掛けをしないと。本来であればラインで決めないといけないって思っていたんですけど、寺崎君の気持ちもくみ取った上で仕方なくっていうのもありました。自分自身は(番手で)脚がたまりすぎていて、いつでも行けるんですけど。寺崎君も頑張っているので、葛藤もありました。ジャンの仕掛けのところで、寺崎君の気持ちがすごく伝わりましたし、僕自身も古性君の(気持ちを)背負った上でしっかり2人で勝負できるようにと思っていました」
まくりに転じた自身の踏み出しでさらに太田を引き離した脇本は、中国コンビ、南関勢をラインの結束力で完封。あとは直線での古性との勝負が待ち受けていた。
「(最終)4コーナーのところで古性君も外に外しているのが見えたので、最高の形になった」
懸命に踏み込むが古性は、なかなかその差が埋まらない。ちょうど1車身の差を保って、脇本がゴールを先頭で駆け抜けた。通算10回目のGI制覇は、グランプリスラムを達成した2月の全日本選抜に次いで今年2回目。5連勝の完全Vでの優勝だった。
「先月ちょっと調子が悪くて、悩んでいたところもあった。でも、新しく自分が変わっていこうと思っていたなかで、今大会(の優勝)で弾みがついた。(課題は)自分が前を回った時に、中団だったり、位置取りの甘さだったりがどうしてもある。まだ期間はありますし、そこは磨いていきたいなって思います」
まだまだ求めるもの、そして求められるものが多いが、決勝までの勝ち上がりの4勝はすべてラインの先頭でのもの。自身が理想とするスタイルを追求することに、これからも変わりはない。
「(グランプリスラムを達成して)自分のなかで変化を求めながら、新しいことに挑戦するっていうのが今回のGIでのモチベーションだと思っている。まだまだうまくいっていないところはあるけど。そういう変化をしっかり達成できることが、課題でもありモチベーションでもある。現段階がゴールはないですし、手探りながらも一歩、一歩、進めていけたらなと」
最終バック手前から脇本が番手まくりを打って、脇本、古性優作の一騎打ち。直線の入口で外に持ち出した古性だったが、その差は詰まらなかった。
「(直線は)思いっ切りいったっすけど、強かった。(寺崎の仕掛けは)すごかったですね。脇本さんも僕にもチャンスがあるように踏んでくれた。今回は自力なら勝ち上がれなかったですし、本当に近畿の選手に助けてもらっての2着。付いていくだけで、すごいスピードだった。ラインならなんとかなるけど、脇本さんや寺崎君と別線で戦うのは力の差がある。最後はなにがなんでも追い越したくて、死ぬほど踏んだけど限界でした。追走は完ぺきだったし、カントも使っていけた。何回やっても抜けない。(この差は)長いスパンをかけて(埋めて)いきたい」
太田との踏み合いから下げざるを得なかった深谷を、郡司浩平が打鐘で迎え入れたタイミングで近畿勢がスパート。後方に置かれる苦しい展開も、直線でコースを探した郡司はなんとか3着に届いた。
「スタートは(全部のラインが)出るかなと。深谷さんも挟まってしまっていて、後ろになった。出たとこ勝負でしたよね。切りにいって、レースを動かしましたけど、(太田に突っ張られて)迎え入れている時に寺崎がカマしてきた。自分はバックを踏んでいたし、深谷さんはすかさず追いかけたので1回もニュートラルに入らずに苦しかったと思う。赤板の踏み合いがあって、迎え入れたし、最終バックは(前まで)遠いなって、脇本さんが出たら厳しい展開でした」
同県の後輩、寺崎の強い気持ちから生まれた近畿のワンツー劇だった。岸和田の多くのファンに迎えられた脇本雄太(写真)は、ヒーローインタビューでこう言って寺崎を労った。
レースは、近畿勢の理想通り、寺崎が3番手を確保して周回を重ねる。別線の駆け引きは、2車でも前受けから太田海也が突っ張り、深谷知広を出させない。外に大きく膨れた深谷が3番手に降りようとした瞬間を逃さず、寺崎が打鐘手前で踏み込んだ。
「(寺崎が)どこで(仕掛けて)行くのかわからなかったので、しっかりハンドルを絞っていた。でも、ジャンのスピードがすごかったですね」
太田を叩き切った寺崎は、その後もスピードを緩めることなく加速。すでに脚力を消耗していた太田が4番手、郡司浩平に迎え入れられた深谷が6番手で最終ホームを迎えた。逃げる寺崎の掛かりに太田は、近畿勢との車間が詰まらない。だが、太田のポテンシャルを知っている脇本は、太田が詰めてスピードに乗る前に自らバック手前で踏み込んだ。
「(ライン3車で出切ったあと)真後ろのラインが(太田)海也だった。自分が勝負権のある仕掛けをしないと。本来であればラインで決めないといけないって思っていたんですけど、寺崎君の気持ちもくみ取った上で仕方なくっていうのもありました。自分自身は(番手で)脚がたまりすぎていて、いつでも行けるんですけど。寺崎君も頑張っているので、葛藤もありました。ジャンの仕掛けのところで、寺崎君の気持ちがすごく伝わりましたし、僕自身も古性君の(気持ちを)背負った上でしっかり2人で勝負できるようにと思っていました」
まくりに転じた自身の踏み出しでさらに太田を引き離した脇本は、中国コンビ、南関勢をラインの結束力で完封。あとは直線での古性との勝負が待ち受けていた。
「(最終)4コーナーのところで古性君も外に外しているのが見えたので、最高の形になった」
懸命に踏み込むが古性は、なかなかその差が埋まらない。ちょうど1車身の差を保って、脇本がゴールを先頭で駆け抜けた。通算10回目のGI制覇は、グランプリスラムを達成した2月の全日本選抜に次いで今年2回目。5連勝の完全Vでの優勝だった。
「先月ちょっと調子が悪くて、悩んでいたところもあった。でも、新しく自分が変わっていこうと思っていたなかで、今大会(の優勝)で弾みがついた。(課題は)自分が前を回った時に、中団だったり、位置取りの甘さだったりがどうしてもある。まだ期間はありますし、そこは磨いていきたいなって思います」
まだまだ求めるもの、そして求められるものが多いが、決勝までの勝ち上がりの4勝はすべてラインの先頭でのもの。自身が理想とするスタイルを追求することに、これからも変わりはない。
「(グランプリスラムを達成して)自分のなかで変化を求めながら、新しいことに挑戦するっていうのが今回のGIでのモチベーションだと思っている。まだまだうまくいっていないところはあるけど。そういう変化をしっかり達成できることが、課題でもありモチベーションでもある。現段階がゴールはないですし、手探りながらも一歩、一歩、進めていけたらなと」
最終バック手前から脇本が番手まくりを打って、脇本、古性優作の一騎打ち。直線の入口で外に持ち出した古性だったが、その差は詰まらなかった。
「(直線は)思いっ切りいったっすけど、強かった。(寺崎の仕掛けは)すごかったですね。脇本さんも僕にもチャンスがあるように踏んでくれた。今回は自力なら勝ち上がれなかったですし、本当に近畿の選手に助けてもらっての2着。付いていくだけで、すごいスピードだった。ラインならなんとかなるけど、脇本さんや寺崎君と別線で戦うのは力の差がある。最後はなにがなんでも追い越したくて、死ぬほど踏んだけど限界でした。追走は完ぺきだったし、カントも使っていけた。何回やっても抜けない。(この差は)長いスパンをかけて(埋めて)いきたい」
太田との踏み合いから下げざるを得なかった深谷を、郡司浩平が打鐘で迎え入れたタイミングで近畿勢がスパート。後方に置かれる苦しい展開も、直線でコースを探した郡司はなんとか3着に届いた。
「スタートは(全部のラインが)出るかなと。深谷さんも挟まってしまっていて、後ろになった。出たとこ勝負でしたよね。切りにいって、レースを動かしましたけど、(太田に突っ張られて)迎え入れている時に寺崎がカマしてきた。自分はバックを踏んでいたし、深谷さんはすかさず追いかけたので1回もニュートラルに入らずに苦しかったと思う。赤板の踏み合いがあって、迎え入れたし、最終バックは(前まで)遠いなって、脇本さんが出たら厳しい展開でした」
次回のグレードレースは久留米競輪場開設76周年記念「第31回中野カップレース」が、6月28日~7月1日の日程で実施されます。
今シリーズは郡司浩平、新山響平、清水裕友のSS班3名をはじめとして太田海也、松本貴治、和田真久留、南修二ら全国各地から健脚が集結。激しいスピードバトルが繰り広げられる4日間となるでしょう。今年前期のGIIIもいよいよオーラス。最終戦を制すのは果たして誰でしょうか?
6月16日時点の出場予定選手データを分析した、久留米「第31回中野カップレース」の主力メンバー及び狙い目選手を紹介する「プロスポーツ号外版」は以下をクリックしてください。
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今シリーズは郡司浩平、新山響平、清水裕友のSS班3名をはじめとして太田海也、松本貴治、和田真久留、南修二ら全国各地から健脚が集結。激しいスピードバトルが繰り広げられる4日間となるでしょう。今年前期のGIIIもいよいよオーラス。最終戦を制すのは果たして誰でしょうか?
6月16日時点の出場予定選手データを分析した、久留米「第31回中野カップレース」の主力メンバー及び狙い目選手を紹介する「プロスポーツ号外版」は以下をクリックしてください。
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