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レース展望

注目の出場選手
 
 昨年末のヤンググランプリ優勝以降、2006年に入ってから快進撃を続けている山崎芳仁。2月の東王座戦で見事にビッグレース初優勝を飾り、高松宮記念杯競輪の特選シードを手に入れることに成功した。近況の成績を見てみると、直近10場所(5月5日現在)で勝率28%、連対率52%、3連対率69%と相変わらずの安定感を発揮している。それも先行主体の競走をしていてのものなのだから、状態はかなり良さそうだ。そして、山崎の場合は北日本で連係した時のワンツー決着が非常に多いのが魅力の1つと言えよう。今開催も岡部芳幸、伏見俊昭、佐藤慎太郎の福島3巨頭に加え、絶好調男・有坂直樹といった豪華メンバーが北日本には揃い、連係は必至。彼らの援護があれば、初タイトルも十分射程圏内に入ってくる。
山崎芳仁
山崎芳仁(福島・88期)
   
 昨年のグランプリ王者・加藤慎平は今年に入って1月の競輪祭、3月の立川ダービーでしっかりと優出を果たすなど王者の風格を身につけつつある。しかし、ここ最近は2着や3着が多いのも事実で、イマイチ勝ちきれていない印象が残ってしまっていたが、4月の川崎記念の準決勝Aでは金子貴志の捲りに乗って直線突き抜けて1着。その時のスピードと差し脚のキレは好調を感じさせるものだった。これまで高松宮記念杯競輪では優出こそしていないが、2001年の初出場から昨年までの過去5回の出場で勝率25%、連対率50%と相性はむしろいい方と言っても過言ではないだろう。そして直線の長い500バンクは自在型の加藤にとって持ち味を発揮しやすいはず。今年まだ無冠のグランプリ王者が復活ののろしを上げる。
加藤慎平
加藤慎平(岐阜・81期)
   
 
9名中6名が北日本
位置取りには要注目
 
 9名中6名(福島が5名)までを北日本が占めた青龍賞。当然、数で勝る北日本の絶対的優位は動きそうもないが、並びの問題なども出てくるので、各選手の位置取りが勝負の行方を左右することになることは間違いないだろう。
 まず、北日本の先導役を務めるのが、渡邉一成と先述の山崎。積極性で山崎を上回る渡邉は2月の東王座戦でも果敢に先行、山崎のビッグ初優勝に貢献しており、今開催でも好走の期待が懸かる。そして、この88期両者の後位を回る4名で、岡部芳幸、伏見俊昭、佐藤慎太郎の福島勢に目立った活躍がない中、有坂直樹は直近10場所(5月6日現在)の勝率が30%を超えるなど好調を維持している。3番手からでも突き抜けが可能なシャープな差し脚に注目だ。
 この強力北日本に対抗する関東勢も侮れない。先導役を務める平原康多のダッシュ力はツボにはまれば前団を一気に飲み込む破壊力を秘めているし、その後位を固める手島慶介、兵藤一也も位置取りシビアな強者。とくに、兵藤は4月の西武園GIII準優勝、高知GIIIで優勝と勢いがあり、要注意だ。
 

渡邉一成(福島・88期)

伏見俊昭(福島・75期)

佐藤慎太郎(福島・78期)
 
徹底先行が不在で主導権の行方がカギ
 
 白虎賞は青龍賞とは打って変わり徹底先行型が不在。その中でも近畿勢は市田佳寿浩、澤田義和の自力2者で、展開的には有利に運べそう。この両者は2月の西王座戦で連係、その時は市田が先行し、澤田が優勝を飾っているが、並びの前後は微妙と言える。この近畿勢の並びがレースの展開を大きく左右することになりそうだ。
 中部からは先述の加藤に加え、濱口高彰、有賀高士と山口富生が参戦。揃ってシャープな差し脚が持ち味で、直線勝負に持ち込めれば勝機は十分にある。とくに、山口にとって高松宮記念杯競輪は初タイトルを獲得した思い出の大会なだけに、好走の期待が懸かる。 九州は小野俊之、合志正臣の2名。番手勝負も辞さないシビアな位置取りを身上としている両者だけに、その動向から目が離せない。
 四国は小倉竜二1人で、苦しい戦いを強いられることになりそうだ。しかし、4月の地元・ふるさとダービー小松島の決勝でも目標不在ながら直線で鋭い差し脚と代名詞になりつつあるハンドル投げを駆使して2着に突っ込むなど調子は良さそうで、軽視は禁物だ。
 

市田佳寿浩(福井・76期)

澤田義和(兵庫・69期)

合志正臣(熊本・81期)
 
東西の強豪がタイトル奪取に挑む
 
 伝統と格式の東西対抗戦、第57回高松宮記念杯が大津びわこ競輪場で開催される。今年前半のビッグレースでは勝ち上がり戦が激戦の連続で、決勝戦は先行一車という組み合わせが多くなっているが、今大会も勝ち上がり戦は波乱含みの大激戦が予想される。
 
トップスターたちが不振で今大会も波乱の結末か!?
 
 1月の競輪祭決勝は海老根恵太のほぼ先行一車の組み合わせとなり、小倉竜二が6年ぶりのタイトル獲得、3月の立川ダービー決勝は吉岡稔真の先行一車の組み合わせで、吉岡が逃げ切って7年ぶりのタイトルを獲得、4月のふるさとダービー小松島決勝では再び海老根恵太の先行一車の組み合わせで、一丸安貴がうれしいビッグ初優勝を飾っている。
 それだけ、今年のビッグレースでは勝ち上がり戦で厳しいサバイバルレースが繰り広げられているということになるが、波乱続きの結末の一番の原因はやはり、伏見俊昭、小嶋敬二、村上義弘らの主役を務めるべきトップレーサーたちの不振だろう。寒さの厳しかった冬が終わり、暖かい季節を迎えて小嶋や村上らの先行選手たちに復調気配が見えてきているが、まだまだGI戦で大本命に推せるほどの状態とはいいがたく、今大会も波乱の結末が予想される。
 
 
 そこで、体調的には万全ではないが、潜在能力の高さを信じて、武田豊樹の初タイトルに期待をかけたい。
 武田は2月の静岡記念で落車、左肩靭帯を損傷した。その傷が癒えぬうちに立川ダービーに強行出場、さすがに優出こそならなかったが、準決勝まで勝ち上がって潜在能力の高さを強く印象づけた。続く西武園記念では3日間主導権を取り切って優出、特に準決勝で村上義弘の巻き返しを突っ張り切った競走は圧巻だった。次場所の川崎記念では優出を逃しているが、最終日にはきっちり逃げ切っており、今大会でも完全復活を目指しての力強い走りを見せてくれるはずだ。
武田豊樹
武田豊樹(茨城・88期)
   
   
兵藤一也の直線強襲が見逃せない
有坂直樹が充実の機動力を利して頂点を目指す
 
 兵藤一也が4月の500バンクの高知記念で通算2度目の記念優勝を飾って好調の波に乗っており、同じ500バンクの今大会でも活躍が期待できる。兵藤は高知の前場所の西武園記念決勝では、武田豊樹の先行を目標に4角番手の絶好の展開だったが、ゴール前で3番手の大塚健一郎に中割りを許して優勝を逃しており、高知ではその屈辱を晴らすかのように連日鋭い差し脚を見せつけていた。初日特選こそは矢口啓一郎のダッシュからやや離れ気味となって2着に終わっているが、2日目優秀は4角5番手からの中割り強襲で1着、準決勝は目標の矢口が不発の展開ながら8番手からの中割り強襲で1着、決勝も8番手からの直線一気で頭に突き抜けている。今大会でも目標の有無や展開に関係なく、直線一気の突き抜けが期待できる。 
兵藤一也
兵藤一也(群馬・82期)
 
 追い込み型ではベテランの有坂直樹も円熟の走りで絶好調を維持している。今年は競輪祭と立川ダービーのGIで連続優出、2月には静岡記念を制し、4月のふるさとダービー小松島でも当然のように優出を果たしている。今年は1月の大宮記念から4月末の川崎記念まで8場所走っているが、一度たりとも優出を逃しておらず、その安定感の高さは今や輪界一といっても過言ではない。もちろん、この好調さは人一倍の努力と練習を積み重ねてきた成果にほかならないが、北日本の豊富な機動力に支えられている部分も大きい。今大会も伏見俊昭は言うまでもなく、山崎芳仁、渡邉一成、成田和也らの徹底先行型が揃っているので、念願の初タイトルも十分に狙っていけるだろう。 
有坂直樹
有坂直樹(秋田・64期)
 
 競輪祭で6年ぶりのタイトルを獲得した小倉竜二も、その後は優勝こそないが、立川ダービーと地元のふるさとダービー小松島で優出して相変わらずの好調さを維持している。小松島の決勝は単騎の戦いとなってしまったが、最終ホームからカマシ気味に仕掛けた志智俊夫-一丸安貴の3番手に俊敏に切り替え、4角から中を割って得意のハンドル投げで2着に突っ込み、地元の意地を見せていた。四国は出場予定選手が5人と少なくライン的には苦戦を強いられそうだが、レースの流れを読む的確な判断力と十八番のゲリラ戦法を駆使して勝ち上がりを目指してくる。 
小倉竜二
小倉竜二(徳島・77期)
 
 海老根恵太は競輪祭に続いてふるさとダービー小松島でも先行一車の展開を活かせずに悔し涙を飲んだが、3度目の正直で今度こその期待がかかる。昨年10月の共同通信社からのビッグレース連続優出は立川ダービーで途切れてしまったが、小松島の優出で再び上昇ムードに入り、次場所の川崎記念では惜しくも準優勝に終わったが、連日鋭い捲りを放って好調ぶりをアピールしていた。近況は先行回数が減っているのが気がかりだが、競輪祭と小松島での苦い経験を糧に今大会では必ずや積極的な走りを見せてくれることだろう。
海老根恵太
海老根恵太(千葉・86期)
   
   
徹底先行を貫く吉田敏洋が中部勢を引っ張る
先行にこだわり続ける村上義弘の完全復活なるか
 
 中部は小嶋敬二と金子貴志の2大先行型が近況やや不振でかつての勢いが見られないが、2人の不振をカバーするかのように吉田敏洋が早駆けの徹底先行で頑張っている。ふるさとダービー小松島では一次と二次の予選を2連勝で勝ち上がり、準決勝では山崎芳仁の反撃を突っ張り切っての先行で、自身は5着に落ちているが、一丸安貴の優出に貢献している。一丸の小松島でのビッグレース初優勝は準決勝での吉田の大逃走があったからこそと言ってもいいだろう。次場所の高知記念の準決勝でも矢口啓一郎-兵藤一也-神山雄一郎の強力関東ラインを不発に終わらせる大逃走を演じて濱口高彰の優出に貢献している。中部の追い込み勢にとっては今最も信頼できる先行選手といってよく、今大会でも初日から徹底的に逃げまくってくれそうだ。 
吉田敏洋
吉田敏洋(愛知・85期)
 
 積極性では村上義弘も負けてはいない。村上の近況の成績は決して満足のいくものではなく、記念でも優出を逃すことが多いが、レース内容は濃い。80期代の格下の若手が相手のレースでも、絶対に主導権を渡さないという意気込みで真っ向から先行勝負を挑んでいくので、末脚を欠いてしまうことが多くなる。体調的にはほぼ万全の状態に戻っており、捲りなら楽に勝てそうなレースもあるのだが、村上自身が先行で勝てなければ意味がないと心に強く決めているのだろう。幸いにも大津びわこは500バンクながら逃げ切りの出現率が高く、逃げ切り優勝もあるので、今大会が村上の復活のステージになる可能性も十分だ。 
村上義弘
村上義弘(京都・73期)
 
 吉岡稔真は立川ダービーで涙の復活優勝を飾った。これでグランプリ出場も確定して、この先はタイトル戦線でも精神的に余裕を持った走りができるし、それでますます好成績につながっていくことになるだう。ただ、吉岡は常にファンに対して魅せるレースを心がけているし、村上義弘と同様に自分の走りにに強いこだわりを持っているので、完全復活を遂げた今後も、連戦連勝と言うわけにはいかないことを心に留めておいたほうがいいだろう。 
吉岡稔真
吉岡稔真(福岡・65期)
 
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高松宮記念杯競輪の思い出 第48回平成10年6月3日決勝
吉岡がアトランタラインを捲り切って連覇を達成!
 90年代半ばの競輪界は吉岡稔真・神山雄一郎の2強時代で、GI戦では常に2人の対決が最大の見どころとなっていた。宮杯でも神山が第45回と第46回を連覇すると、吉岡が第47回と第48回を連覇している。
 第48回大会の決勝戦は吉岡と十文字貴信-神山のアトランタラインの対決となり、吉岡-西川親幸-児玉広志-小川圭二-稲村成浩が前団、十文字貴信-神山雄一郎-長谷部純也-東出剛が後団の隊列となった。打鐘から十文字がゆっくり上昇すると、吉岡はすんなり引いて5番手。最終ホームから十文字がスパートし、車間を空けていた吉岡も2コーナー過ぎから発進する。吉岡のスピードがよく、神山は合わせて出ていくタイミングを逸してしまい、吉岡の後ろに切り替えるのが精一杯。ゴール前は2強のマッチレースとなり、吉岡が神山の猛追を振り切って連覇を達成した。
第48回大会の決勝戦



400バンクに近く、捲りのラインが優勢
大津びわこ競輪場の特徴
 大津びわこは500バンクだが、感覚的には400バンクに近い走路で、先行が特に不利ということもない。昨年の高松宮記念杯では逃げ切りが7回出ている。
 また、02年に実施された改修によって従来よりもカントが約1度きつくなり、直線の長さが約20㎝短くなった。走路自体もクセがなくて走りやすい高速バンクへと生まれ変わり、捲りも決まりやすくなっている。
 ちなみに昨年の全47レースの1着、2着の決まり手は次の通りである。1着は逃げが7回、捲りが11回、差しが29回、2着は逃げが3回、捲りが12回、差しが20回、マークが12回で、1着、2着の決まり手の割合は400バンクのそれに近い。
 1着、2着の内訳をもう少し詳しく見てみよう。先手ラインの選手が1着になったのが19回、捲りのラインの選手が1着になったのが20回、中団からの追い込んだ選手の1着が8回で、捲りのラインがやや優勢となっている。
 2着も先手ラインの選手が14回、捲りのラインの選手が22回、中団から追い込んだ選手が11回と捲りのラインが優勢で、高速バンクらしい決まり手になっている。

 周長は500m、最大カントは26度16分47秒、見なし直線は63.3m。大津びわこといえば、直線で中バンクから内へ切り込むコースがよく伸びるのが特徴だったが、02年の改修で「びわこ道」と呼ばれていたコースはなくなり、高速バンクに生まれ変ったためにゴール前で混戦になるケース少なくっている。風は高松宮記念杯の頃はバック追い風が多く、先手ラインが有利だ。

大津びわこ競輪場


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