『第65回高松宮記念杯競輪(GI)レポート』 初日編

配信日:6月12日
 宇都宮競輪場を舞台に「第65回高松宮記念杯競輪(G1)」が12日に、4日間シリーズの幕を開けた。雨が降りしきる中で始まった東西に分かれての初日のバトルは、1次予選から手に汗握る熱戦が繰り広げられた。東西のメーン青龍賞、白虎賞では後閑信一、稲川翔がそれぞれ白星を挙げ好発進。また、神山雄一郎、飯嶋則之の地元コンビも、優秀へと進出を決めた。2日目には青龍賞、白虎賞を勝ち上がった9選手による優秀「龍虎賞」が行われる。
 本場では開催中の毎日、伊藤克信氏による予想会、日本競輪選手会・栃木支部によるイベント、大道芸人による日替わりステージなどを行います。2日目には「みはる」によるものまねライブ、中野浩一氏のトークショーなどが予定されています。宇都宮競輪場では様々なファンサービスとイベントで、お客様をお待ちしています。ぜひ、本場へ足をお運びください。
敢闘宣言をする神山雄一郎選手
敢闘宣言をする神山雄一郎選手
お笑いライブ  クールポコ。
お笑いライブ クールポコ。
武田選手、平原選手、牛山選手トークショー
武田選手、平原選手、牛山選手トークショー
栗原舞  一輪車パフォーマンス
栗原舞 一輪車パフォーマンス
白虎賞ゴール
白虎賞ゴール
青龍賞ゴール
青龍賞ゴール
<1R>
小松崎大地選手
小松崎大地選手
 オープニングは小松崎大地(写真)が制してG1初勝利を挙げた。レースは逃げた田中晴基の番手にはまる予想外の展開から直線で追い込んだ。
 「(田中の)4番手でも良いと思ってたけど、(松坂英司が)遅れてたので、引いたらタイミング的に無理。あそこ(番手)で勝負するしかないと。後ろがどうなっているのか分からなかった。大槻(寛徳)さんと決めたかったですね」
 逃げた田中晴基は2着に粘り込んだ。
 「ホームで小松崎さんが行ったときに仕掛けようと思いきり踏みました。必死だったので後ろが離れてるのは分からなかった。あのタイミングだと後ろが離れることが多いんですよね。もっとラインを生かす展開に持ち込めればよかった」
 上原龍の後ろから、諸橋愛が追い込んで3着で二次予選進出。
 「今日はホント(上原)龍のおかげ。前に踏んでくれたしね」
 「迷惑をかけて申し訳ない…」と話すのは松坂英司

<2R>
伊藤保文選手
伊藤保文選手
 中部3車の先頭を担った林巨人が前々に攻め込んで、松岡貴久のインをすくって前に出るとペースが落ちる。稲毛健太はそこを見逃さずカマシ一気。ラインの伊藤保文と2人で別線をちぎって、後続を寄せ付けないマッチレース。粘り込んだ稲毛が汗をぬぐう。
 「(内に行った)ジャンのところだけですね…。そこ以外は良かった。そこまで脚を使わずに(出て)行けた。練習でも調子が良かったし、その練習の感じでいけたんで。今回は練習用のフレームを持ってきて、それを試したんですけどそれもよかった」
 伊藤保文(写真)が、稲毛を交わして幸先のいいスタート。稲毛の好走を称える。
 「稲毛が気分良く走ってくれたのがなによりですよ。すごく掛かっていたし、やっぱり(稲毛の)脚はすごいね。(最終)2コーナーではもう2人だけだっていう感じがあった。稲毛は自信たっぷりだったし強かった」

<3R>
木暮安由選手
木暮安由選手
 松谷秀幸が主導権を握ってペースで逃げるなか、この3番手を獲った木暮安由(写真)が4コーナーで内をすくって直線で突き抜けた。
 「今日は松谷さんが先行するだろうと思ってたので、自分で前々にと思ってました。僕の持ち味が出たと思います。バックが向かい風だったので重たく感じたけど、動けてるんで悪くないと思います」
 松谷秀幸が2着に逃げ粘る。
 「ホームで木暮君は内に詰まってるのが見えたんで、あとは小埜(正義)さんだけ見ていけばいいと。打鐘過ぎからだったから距離が長かった。風もあったしキツかったですね。最後、僕が内を空けなければ内藤さんと決まったと思う。でもうまく駆けられました」
 落車を避けた佐藤真一が3着に。
 「びっくりしたけど何とか避けられた。木暮君とは相性が良いので勝ち上がれてよかった」

<4R>
北野武史選手
北野武史選手
 竹内雄作は打鐘前に仕掛けて出た中川誠一郎に合わせて踏んで、そのまま突っ張り果敢に風を切って出る。500バンクの1周半ちかい長い距離を踏んで、中部ラインを上位独占に導く圧巻のパフォーマンス。竹内も満足そうに振り返る。
 「(別線のまくりが)いつ飛んでくるかと思って不安でした。そしたら絡んでいたんですね。今日は(誰かが)行ったところを自分が(仕掛けて)行きたかったけど、あれじゃ後方になってしまうと思って。それでまくりに回るなら、(先行策で)出し切った方がいいと思った。体の反応自体はすごくいいし、自信になりましたね」
 竹内ラインの3番手から差し脚を伸ばした北野武史(写真)が、外から前の2人を交わして1着。今年の2勝目を飾って“舌好調”。
 「(別線に)切らせて、(竹内が)駆けるのが理想って言ってた。だからまさかあそこで突っ張るとは思っていなかった。大西(祐)君も中川君も来たけど、あそこ(3番手)は俺の位置と思って。(竹内の番手を回って力尽きた前回の)松戸のことがあるから、一生懸命踏んだらまさかまさかで…。1着とは」
 伸びを欠いた吉村和之は3着に肩を落とす。
 「後輩が頑張ってくれたんですけど…。結果自分は3着でお客さんに迷惑を掛けてしまった…。雨じゃなくて、また天候が変わってくれば感覚も良くなってくると思います」

<5R>
菅田壱道選手
菅田壱道選手
 矢野昌彦が主導権を握るなか、中団を取った菅田壱道(写真)が後方からまくってきた山賀雅仁を好ブロックし、2の脚を発揮して追い込んだ。
 「早めに仕掛けても良かったけど、後ろを引き出す形になるんで。(山賀が)来たので持って行ったときに内藤(宣彦)さんが内から来たけど、内藤さんはまだ踏んでなかったのでもう一回行けました。1着が取れて自信になりましたね」
 芦澤大輔は番手絶好も2着となり、「(矢野が)頑張ってくれたんですけどね。僕も最善のことをやったつもりだけど…」と言葉少な。
 菅田を追った内藤宣彦が3着に入る。
 「最近はずっと流れが良いし、展開も向いてくれてるので。今日は付いていて苦しくなかったんで、調子は悪くないと思います」

<6R>
柏野智典選手
柏野智典選手
 単騎で苦戦も予想された柏野智典(写真)だったが、抜かりのない立ち回りを勝負どころで披露して鮮やかに突き抜けた。最終2コーナーで後方から追い上げ気味に進出。まくりに転じた坂本亮馬に乗ると、坂本をブッロクした南修二の内を突く俊敏な動きで1着。
 「どこかで絡んでくれないと自分にはチャンスがないと思っていたら、山田(英明)君と三谷(将太)君が絡んでくれた。(坂本)亮馬も自分で踏んでいく感じだったし、あれで亮馬が内に行くようなら自分で行こうと思っていた。ちょっと余裕がありましたね」
 九州勢の3番手園田匠は柏野に割り込まれるも、立て直して2着に追い込んだ。
 「前々に踏んでくれた(ラインの)2人が頑張ってくれた。来たのが柏野さんっていうのがわからなかった。予想外の動きでしたね。とりあえず勝ち上がれたし、気分的には楽になりました。セッティングをいじってまだ伸びシロもあるし、気持ち的には戦える(状態)と思いますよ」

<7R>
加藤圭一選手
加藤圭一選手
 桐山敬太郎が後ろ攻めから押さえて先頭に立つと、敵の反撃はなくそのまま主導権を握る。桐山がペースで駆けるなか、最後は番手絶好の加藤圭一(写真)が追い込んで勝利した。
 「ビジョンで見たら神山(拓弥)君はまくってくるのかと思ってずっと構えてたけど来なかった。ずっと余裕はあったけど、最後に(鈴木)誠さんが来たので焦ってしまった。ちょっと踏みすぎてしまいました」
 鈴木誠は直線で鋭く伸びてきたが2着まで。
 「今日はラインのおかげ。4車並んでくれて、桐山君も思い切って行ってくれたので」
 神山拓弥は4番手外併走をこらえ、しぶとく3着を確保した。
 「前が蛇行してたとき、萩原(孝之)さんが遅れてるのが見えたんで、キメてからと思ったけど脚が一杯だった。内に押し込んでから、逆に押し返されたんで、もう踏むしかないと。僕はスピードがないんで、ああいう感じで勝ち上がっていかないといけないので」

<8R>
野田源一選手
野田源一選手
 先行態勢を取った柴崎淳に突っ張られた菅原晃は、踏み遅れた山内卓也から3番手を奪取。再度、最終2コーナーから巻き返してまくり切るも、野田源一、合志正臣に飲み込まれて3着がいっぱい。
 「久しぶりに重かった。直線も長かったし、出てからはもうズッポリ行かれると思った。(調子は)良くないですね。あとは(クール)ダウンとマッサージで、なんとか…。それくらいしかできないですから」
 「友定(祐己)の前に入れたのが勝因ですね」と、最終ホームでの動きを野田源一(写真)がポイントに上げる。そこからはまくった菅原ラインを射程圏に入れ、その上をさらにまくって見せた。
 「あそこは(菅原)晃が降りたんでまずいかなとは思いました。でも自分も入れたし、まだまだ脚にも余裕があった。そこからは友定が来る前に(仕掛けて)行かないとっていうのがあった。アタマまでいけたし、仕上がりはいいのかなと。欲を言えばもうちょっとうまい位置取りができていればよかった」
 菅原のまくりに付けて追い込んだ合志正臣が2着。
 「今日はタイムが出ているわりには走路は重たいですね。(野田が)強かった」

<9R>
石井秀治選手
石井秀治選手
 石井秀治(写真)が快速まくりで圧勝。レースは飯野祐太が出切ったところを、石井が早めの巻き返しでひとまくり。同県の成清貴之をブッ千切る踏み出しの良さで、後続を引き離した。
 「後ろ攻めから押さえて結局8番手で最悪でしたけどね。引いたらちょうど(飯野が)流したんで、思い切っていきました。残り3日間頑張ります」
 まくられた飯野祐太だったが、粘りを発揮して2着に踏み止まった。
 「前が斬って斬ってしてからの展開だったから、脚を使わずに出切れたのが大きかった。少し流したところで石井さんに行かれてしまった。雨が降っていて感じは分からなかったけど、後ろから抜かれてないんで悪くないでしょう」
 齋藤登志信はマークが精一杯。3着に流れ込んだ。
 「(飯野が)ホームで流したときに石井君に行かれてしまったね。でも、そこから飯野は踏み出し良く駆けてくれたんで」

<10R>
荒井崇博選手
荒井崇博選手
 後方から早めに上昇を始めてレースを動かした吉本卓仁だったが、その上を濱田浩司、三谷竜生が次々に仕掛けて結局は後方の7番手。ピンチかに見えたが、最終2コーナー手前から踏み出すと力の違いであっさり逃げる三谷をとらえて荒井崇博とワンツー。
 「荒井さんが落ち着いていけって言ってくれたんで、その言葉に甘えさせてもらいました。濱田さんを突っ張ろうかとも思ったんですけど、無理駆けはできないんで。(まくりは)踏んだというより、吸い込まれた感じですね。展開次第だけど、(上のレースでも)勝負になるかなって思います」
 荒井崇博(写真)はタイヤ差だけ吉本を交わして1着。後輩の頑張りを肌で感じながら、荒井の顔からは自然と笑みがこぼれる。
 「(吉本は)格上だし、落ち着いて攻めろって言った。あの一言は(吉本にとっては)大きかったですかね。(直線で)自分は全開で抜きにいったけど、500バンクで難しいところがあった。自分の感じ的には前次第ですけど、まぁ悪くないと思いますよ」

<11R>
後閑信一選手
後閑信一選手
 青龍賞は池田勇人と根田空史でやり合ったところを、単騎の菊地圭尚がバックまくり。すると、池田を捨てて切り替えた後閑信一(写真)が、菊地を追い込んで勝利した。
 「今日は池田君の頑張りに尽きます。菊地君になんとか追い付いたので、最後は後ろの(地元勢の)気配を感じたので、コースを作りながら踏みました。いい感じでここに来れてるんで、今回は頑張りたいですね」
 「前の3人のおかげですね」と、話すのは直線鋭く伸びて2着に入った飯嶋則之。「ここに来る前、バンクに入れなかったから心配したけど、しっかりチャンスをモノにできてよかった」と笑顔で話す。
 神山雄一郎は飯嶋に喰われて3着に。
 「アップのときに感じが良かったから、これはいけると思ったけど、レースになると違ったね。今日は池田が積極的に行ってくれたし、後閑も上手く切り替えてくれた。僕は付いていただけなので」
 まくりを決めた菊地圭尚は最後にタレたものの、4着で「龍虎賞」進出。
 「勝瀬(卓也)さんが内から来たのが見えたんでそこにいても仕方ないからまくりました。最後、末があればよかったけど、それは修正して明日また頑張ります」
 「お互いがやること一緒なんで仕方ない」と話すのは池田勇人
 「後ろにタイトルホルダーが付いてるしね。あれで残れればよかったけど。でも、良い感じで踏めてたので明日頑張ります」

<12R>
稲川翔選手
稲川翔選手
 脇本雄太は深谷知広を7番手に置いて一本棒。ハイペースで飛ばして近畿勢に流れを引き込んだが、自身は2日目「龍虎賞」にギリギリで進出する薄氷の5着。
 「(深谷が)引ききったところを確認して、自分も踏んでいきました。(踏んでいく)距離が長くなるけど、その方が持ちやすいかなっていうのもあった。5着争いにも負けたと思った…」
 逃げる脇本の番手から松岡健介が井上昌己のまくりをけん制して追い込むが、稲川翔(写真)が脇本と松岡の間を鋭く追い込み1着。
 「岩津(裕介)さんが入ってくるかなっていうのもあった。岩津さんは勝負してくるだろうし。あとは前の2人が全部やってくれましたね。自分は楽だったし、今日は(走っていて)おもしろかった」
 脇本を気遣いながら、松岡健介がこう口を開く。
 「自分は(最終)バックくらいで落ち着けましたね。あれで2コーナーから車間を空けてしまうと、後ろを引き出してしまうことにもなるんで。もっと車間を空けるなら駆け出しのところだと思う。もうちょっと自分に技量があれば…、脇本が頑張ってくれたんですけど」
 中団から仕掛けた井上に乗った大塚健一郎が、直線で外を踏んで3着。
 「このクラスじゃごまかしがきかないし、とにかく一戦、一戦ですね。伸びがイマイチだけど、それでもやるしかないんで」
 7番手不発の深谷知広は、厳しい顔つきで言葉を振り絞り、2次予選に気持ちをスイッチする。
 「周回中からきつかったし、(今日は)まったくダメでした。(脇本が)強かったし、自分は出直して(2次予選を)頑張るだけです」
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