龍虎賞 レース経過 |
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号砲で後閑信一が誘導員を追うと、神山雄一郎、飯嶋則之が続き関東勢が前受け。中団には菊地圭尚―大塚健一郎、単騎の岩津裕介は後ろ攻めとなった脇本雄太―松岡健介―稲川翔の近畿勢を追う形で周回を重ねる。 動きのないまま赤板ホームを通過。前受けの関東勢がしきりに後ろに目をやるが、脇本は動かない。徐々に車間を切った脇本は打鐘前から一気に踏み込むと、合わせて誘導員を下ろした後閑を叩き切る。番手の松岡まで出切ったが、後閑はスピードが合った稲川のところで勝負。ホームで稲川を下ろすが、脇本の駆け出しで口が空いてしまう。岩津は冷静に後閑後位を確保、5番手で立て直す稲川だが、やや口が空いた状態で前を追いかける形に。バック過ぎから車間を切って後続の反撃に備えた松岡は、徐々に車間を詰めてきた後閑に合わせて直線抜け出し龍虎賞を制す。2着の後閑に続いた岩津が3着かに、ゴール前鋭く伸びた稲川が岩津を交わした。
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![]() 大槻寛徳選手 |
敗者戦といえども選手は全力疾走。少しでもレースの格を上げようと激しいレースが展開された。1レースは阿竹智史が押さえたところを、高橋陽介がカマして主導権。高橋はマイペースに持ち込むと別戦を完封し、ラインで上位を独占した。1着はゴール寸前で差し切った大槻寛徳(写真)。 「高橋君が強かったですね。出脚がすごくていっぱいでした。1着が取れたけど、調子自体が良くないんで余裕がないですね」 高橋陽介は粘りを発揮して2着に。 「今日は中団か後ろ攻めと思ってたけど、阿竹君が前を取ったんで中団でと。斬ってくれたところを思い切り行きました。出切ってからはペースで。最近の感覚では逃げ切れる感じがあったけど、さすがに500は長いですね」 紺野哲也はしっかり3着を確保した。 「大槻がずっと内を締めてるし、後ろから阿竹が来る音が聞こえたんで飲み込まれるかと。焦りました。感じは良かったです」 |
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![]() 山田英明選手 |
大西祐が矢口啓一郎を叩いて主導権を奪取。好位を確保していた山田英明(写真)は、大西ラインにスムーズに切り替えると、そのまままくりを敢行。最後は力でねじ伏せた。 「すぐに(大西ラインに)スイッチできたし、自分の体の反応は悪くないと思いますよ。(3番手に)入れたけど、かぶったらなんにもならないんで力勝負をしました。もう差されるかと思ったけど、最後まで粘れたし(1着で)よかったです」 大竹慎吾が山田との連結を外すと、大西の積極策に乗った香川雄介が、山田のまくりを追う。直線で懸命に踏んで差を詰めるも2着まで。 「(大西は)練習仲間ですから、よく行ってくれた。ただ、自分ももういっぱいでした。走りすぎて疲れている感じがする、直線が長かった」 |
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![]() 中村浩士選手 |
山賀雅仁がまくり上げたところを、林巨人が強烈なブロックでこれを止める。この両者が大きく膨らむと、空いた内を中村浩士(写真)が抜け出して1着を手にした。 「山賀が頑張ってくれたおかげ。林君がいいブロックをしてきたね。林君は体重を預ける感じで持ってきてたし、山賀も外に行ってしまったんで、頭を切り替えて前に踏ませてもらいました。調子は変わらず悪くないです」 伏兵の志村太賀が2着に入り、高配当が飛び出した。 「落車したかと思ったけどね。2着に入れたけど、何か感覚がおかしいですね」 筒井敦史が後方から鋭く伸びて3着に入る。 「昨日落車したけど体もセッティングも問題ない。伸びましたね」 |
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![]() 柴崎淳選手 |
松岡貴久と柴崎淳(写真)で中団を取り合い矢野昌彦にとっては、願ってもない展開。関東勢での上位独占に思われたが、4番手を奪取した柴崎がまくり気味に追い込みうれしい1着。 「前(矢野)は踏んだりやめたりで。自分もバックを踏んだりになったけど、もう引けないと思った。松岡さんが行ってくれれば、自分がその上をと思っていたんですけど…。そこからはせっかく4番手だったし、行けるところまでと思って踏んだら1着までいけるとはね」 逃げた矢野の番手から追い込んだ宗景祐樹が2着。矢野の強さを認めているだけに、地元ワンツーならずをこう振り返る。 「(矢野は)練習ではもっと強いですからね、自分は差し込めもしない。ちょっと展開を見すぎましたかね。そこら辺は反省点として。理想としては逃げ切ってもらうのが一番ですけど。僕は普通の感じですね、調子自体はあんまり良くない」 |
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![]() 朝倉佳弘選手 |
中団を取った藤田竜矢が、吉田敏洋とのモガキ合いを制してまくり切った。最後は朝倉佳弘(写真)がゴール寸前で微差交わして1着。うれしいG1初勝利を挙げた。 「G1で初めて1着が取れました。うれしいですね。藤田君が強かったし、緩んだところをすかさず行ってくれました。ラインのおかげです。吉田さんはまだ踏んでなかったからスピードが合ってきつかったけどね」 藤田竜矢は「抜かれたのはショックですね(笑)」と悔しがる。 「デキ自体は悪くなかったんで、昨日が悔やまれますね。でも、今日は良いレースができたし、残り2日間も頑張ります」 |
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![]() 小林大介選手 |
一度は先行態勢を取った田中晴基だったが、打鐘の4コーナーから上原龍がカマして来ると落ち着いて3番手をキープ。絶好のポジションから空けた車間を詰める勢いで、最終2コーナーまくり一気。 「まくってからは長かったですね。(仕掛けが)早いかとも思ったけど、ちゅうちょするよりは。井上(昌己)さんが来てからでは(自分が踏んでも)遅いんで。走ってても仕上がりがいい感じがするし、調子はいいです」 勝瀬卓也が田中の踏み出しに遅れて、小林大介が切り替える。渡部哲男に付けた柏野智典は最内のコースを縫って2着に強襲した。 「あそこで(コースが)開いたから、結果良かったですけど。(勝瀬に)差し込んだ時にはダメだと思った。ちょっと見えてないですね。勝瀬さんは脚があるから前に踏むと思ったけど、いっぱいだったみたいで。自分の脚は終始、楽は楽でした」 田中のまくりに切り替えた小林大介(写真)は、薄氷を踏む3着でドッと吹き出る汗をぬぐう。 「(田中が)すぐ後ろにいたんで、自分としては難しかった。もう無我夢中で、ゴールするまでは何着だかわからなかった。相手が相手なだけにいっぱいでしたけど、自分の中で(調子は)悪くないと思います」 |
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![]() 林雄一選手 |
前受けから車を下げた根田空史が最終ホームから一気のスパートを決めると、敵陣を引き離して主導権。最後は林雄一(写真)がはかったようにゴール寸前で差し切った。 「根田君は行かないといけない所でしっかり踏んでくれたので。今日は根田君の力を信用してました。あとは僕が1番人気になってたんで、最後はしっかり抜きました」 根田空史は昨日と動きが一変。今日は力強いレースを見せて2着に入る。 「斬って斬って僕が行く展開になると思ってたけど、吉本(卓仁)さんが行かなくて流れが止まったのでアレと思った。金網まで外に行ってたんでなかなか仕掛けられなかったけど、空いた瞬間に行きました。今日は朝練習でバンクに入れたし、車輪も交換したらすごく良くなりました」 前の根田ラインと車間が空いた菅田壱道だったが、しぶとく3着に粘り込んだ。 「先行したようなもんでしょう。キツかった。4コーナーの段階で腹をくくって先行してもいいと思ってた。そうしたら後ろを見たら根田君が全開で踏んできてたから、3番手に入れるかなと。そこからは内を空けられないし、締めながら先行する感じでした。3着はでかいですね」 |
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![]() 池田勇人選手 |
打鐘過ぎに稲毛健太に突っ張られた池田勇人(写真)だったが、落ち着いて中団に収まる。そこから稲毛の上をカマした小松崎大地を射程圏に入れて、池田らしい豪快なまくりで前団を飲み込んだ。 「(3番手にいた稲毛を)アテにしてもと思って、あとは行けるところまでと。脚には余裕があったんで届くとは思った。今日はまず三宅(達也)さんよりも前にいて、そこから勝負しようと。(神山)拓弥を(2次予選敗退で)飛ばせないし、もちろん自分も飛べないから気合が入りました。それでプレッシャーもあった。感触的にはすごくいいです」 池田追走から直線で外に進路を取った神山拓弥は、池田に迫るも2着まで。 「もう全部(池田に)任せていたし強い。すごいスピードで行っちゃいましたよ。(最終4コーナーは)池田さんと齋藤(登志信)さんがいて、そこは(突っ込んだら)危険だなっていう感じがあったから。それで外に行きました」 小倉竜二は最終3コーナーで三宅達也からまくった池田ラインに切り替え3着。 「シビアに行かせてもらいました。あれでバックに入れたら終わってしまうし、スピードを殺さないように。状態があんまり良くない。その上で(初日に)落車した。どうかなっていうのがあったけど、思ったよりいけそうですね」 |
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![]() 浅井康太選手 |
芦澤大輔が追い上げて中団がゴチャ付いた所を、浅井康太(写真)がホームからカマして主導権。すると後方からの反撃はなく、そのまま浅井が力強く逃げ切った。 「ホームで(渡邉)晴智さんの内に差してしまい、その瞬間に芦澤さんがカマして行ったからタイミングが狂ったけど、一か八か思い切っていきました。あとは吉村(和之)さんが付いてきてくれてればと。(右足の怪我は)走る分には問題ありません」 吉村和之は好マークを決めて2着を確保した。 「上のレースに行けば行くほど初速がすごいんでね。僕は付いて行けるか行けないか、そこが課題。今日はクリアできました。浅井君は流れの中で仕掛ける感じだから何とか付いていけました。ワンツーが決まってよかったですね」 渡邉晴智が切り替え策から3着に入る。 「所詮切り替えなんでね。でも、内を空けたら行かれる心配があるんで、そこはしっかり締めながら回りました」 |
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![]() 金子貴志選手 |
打鐘の4コーナーで後方から竹内雄作が反撃に出るが、桐山敬太郎もペースを上げて両者で激しい踏み合い。竹内に付けた金子貴志(写真)は外併走から冷静に後続との間合いをはかってまくり追い込み。飯野祐太を合わせて勝ち切った。 「桐山もかなり踏んでいたし、(竹内)雄作がすごい頑張ってくれた。あれでよく出切ったと思いますよ。(桐山の)飛び付きも警戒していたし、自分は感じが良かったんで余裕がありました。(調子は)いいと思うので、また準決で頑張りたい」 中部コンビに付けた伊藤保文は、金子の踏み出しを待って直線勝負。飯野をどかしてコースをこじ開け2着に流れ込んだ。 「(飯野が来た)気配もあったし、自分は突っかかっていた。飯野君の勢いも良かったんで、行かれてしまったと思ったけど。金子君はめちゃくちゃ余裕がありましたね」 例によって単騎の野田源一は、最終バックで9番手の最後方も外をまくり追い込み3着。 「飯野君のまくりが先に来ちゃった。自分の方が先に行った方がよかったけど、結果3着だったんで。外、外を回ってきつかったけど、なんとか我慢できた。自転車の進み具合は良かったと思います」 |
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![]() 深谷知広選手 |
2次予選のメーンは深谷知広(写真)がきっちり人気に応えた。レースは後ろ攻めから深谷が押さえて主導権を握る。カマしてきた石井秀治が追い上げる形となったが、これをラインの力で凌ぎ、最後も深谷が強烈に踏み直して逃げ切った。 「昨日は長い距離を踏めなかったけど、今日は長い距離を踏めたので修正できた。思っていた展開とは違いましたけどね。500バンクはまだ慣れてないからタイミングが取りづらいけど、打鐘から前に出て逃げ切れたんで状態は悪くないと思います」 ラインの3番手から東口善朋が鋭く伸びて2着に入る。 「追い上げられたときに凌げたのはよかった。落ち着いて走れましたね。最後は後ろからまくり追い込みがくるのが怖かったけど、考えながらいけました。状態は問題ない」 番手の南修二は惜しくも3着となり「いつも通り、深谷君はやっぱり強かった。レースは見えてたけど、抜けなかったのは自分に脚がないから」と話す。 |
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![]() 後閑信一選手 |
脇本雄太が主導権を握って出るが、後閑信一が飛び付いて近畿ライン3番手がもつれる。番手はすんなりだった松岡健介が、稲川翔から3番手を奪取した後閑を引きつけながら直線で追い込んで1着。 「初日よりは冷静にできたと思います。後閑さんは車間が空いてたし、しっかり後閑さんの(反撃の)タイミングを狂わしてからいけた。(2日間)番手での反応なんで評価はできないですけど、いい感じでこられた。(自力の準決は)明日が初日と思って。バンクが重いけど、意外にタイムが出ているので。その辺の感覚を自力でうまく切り替えられるようにしたい」 前受けから近畿ライン分断をはかった後閑信一(写真)は、3番手奪取するも車間が空いて2着流れ込み。 「突っ張ろうっていうことも考えていたんですけどね。たまたまあそこ(3番手)でスピードが合っちゃったし、もうしょうがないって。脚はかなり使いましたよ」 後閑に弾かれて3番手を明け渡した稲川翔は、5番手で態勢を立て直して意地の3着。 「自分の力がちょっと…。ああいうのも頭には入れていたんですけど、対処できなかった。まだまだ力不足です」 8番手に置かれた菊地圭尚は見せ場なく終了。 「(周回中の4番手から)正直、脇本君に合わせて出ようと思っていた。でも、後閑さんの動きを見ていたら、もう脇本君が来ていて…。敗因はそこがすべてです」 |
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