『第18回サマーナイトフェスティバル(GII)レポート』 初日編

配信日:7月17日

 玉野競輪場で「第18回サマーナイトフェスティバル(GII)」が、7月16日に始まった。初日のメイン、特選では、新田祐大と佐藤慎太郎のワンツーで、福島コンビが準決に弾みをつけた。また、前半の「ガールズケイリンフェスティバル2022」の予選1では、児玉碧衣、尾方真生、佐藤水菜の3人が白星スタートを切った。7月17日の2日目には準決と「ガールズケイリンフェスティバル2022」では予選2で勝ち上がりが争われる。
 開催中は、話題のお店が集まる「サマーナイトマルシェ&ワークショップ」の開催、未確定車券抽選会などを予定しています。また、「競輪・オートレースにおける新型コロナウイルス感染症感染拡大予防ガイドライン」に沿った開催となりますので、ご協力とご理解をお願いいたします。テレビ、インターネット中継などでの観戦もお楽しみください。

岡山県和太鼓連盟による和太鼓演奏
岡山県和太鼓連盟による和太鼓演奏
敢闘宣言をする柏野智典選手
敢闘宣言をする柏野智典選手

<1R>

児玉碧衣選手
児玉碧衣選手
 初手の周回から隊列が変わらないまま打鐘を通過する。4番手の梅川風子が車間を空けながら、6番手の児玉碧衣(写真)をけん制してタイミングを取る。2センターで梅川、児玉がほぼ同時に踏み込むが、ダッシュを利かせた児玉のスピードが良く最終ホームで主導権を奪って駆ける。終始、児玉を追走していた荒牧聖未が続いて、3番手に梅川が入る。児玉のスピードに後続はクギ付けになり、動けない。3コーナー過ぎに梅川が外に持ち出して追い込むも、児玉が後続を振り切って1着。
 「(周回中は)中団を取りたかったんですけど、見てしまって気づいたら6番手になってしまった。このメンバーでまくり合戦になったら届かずに終わるか、確定板にのれるかのれないかだと思った。6番手になった時点でカマすしかないなと。梅川さんも動く感じで、どうしようか考えるくらいなら行っちゃえって思いました。外を踏むイメージで。久々にカマしたんですけど、マッサージの効果なのか逃げ切れたので感じは良いのかなと。いい時に使えている筋肉を使えていると思います」
 児玉後位に照準を絞るように7番手で腹をくくった荒牧聖未が、児玉のダッシュにスピード負けすることなく続いて2着。
 「レースは出たところ勝負だと思っていた。児玉さんの後ろが取れたので、しっかりと追走していって交わせればと。最初は追走できるように集中していました。自分の感じはいいと思います。しっかりここに向けてトップスピードだったり、キレだったりを磨いてきた」

<2R>

尾方真生選手
尾方真生選手
 3番手の太田りゆが前の2人との車間を空けて、6番手の柳原真緒は動けない。そのまま前受けの尾方真生(写真)が、最終ホーム手前からペースを上げて逃げる。詰める勢いで3番手の太田がまくりを打つが、尾方が合わせ切る。尾方後位にいた鈴木美教は、最終4コーナーでインを突いて追い込む。が、二の足で尾方が押し切った。
 「なにも考えず思い切り走ることだけを意識していました。考えてなかったけど、(スタートで)誰も出なければ前受けからでもいいかなと。先行しようと思ってたんで、あそこから思い切り仕掛けられたのは自信になりました。最近のレースのなかではダッシュもすごく良くて、座ってからも伸びていた。誰が来ているのかわからなくて、見えたらもう1回踏み直そうと。最後の4コーナーからは必死で踏みました」
 周回中は2番手にいた鈴木美教は、主導権を握った尾方の後ろからコースを探す。最終的には、尾方の内を選択して伸びた。
 「前回の平塚決勝と比べると、前回のセッティングと違ってかなり出ているし体の状態もいい。前2人(尾方、太田)が併走していて、どっちに行こうかって見られていたんで(調子は)いいのかなと思います」

<3R>

佐藤水菜選手
佐藤水菜選手
 前受けの林真奈美と2番手の久米詩との車間が大きく空いて、泳がされるように林がペースを上げて逃げる。最終周回で佐藤水菜(写真)は6番手。3番手の奥井迪が2コーナー手前から踏み上げると、久米も合わせて仕掛ける。久米、奥井で林をとらえるが、その上を佐藤がまくる。3コーナーからは大外を回らされた佐藤だったが、スピードの違いで抜け出した。
 「中団から行けたらと思ってスタートを頑張ったんですけど、後ろになってしまったので落ち着いて行こうと思いました。本当にいつも通りの走りしか考えていなかったですね。小林(優香)さんの動きを冷静に見極めながらでした。バンクは無風で軽かったんですけど、初日なのもあって体は重かったですね」
 打鐘の3コーナーで7番手の小林が追い上げるも、吉川美穂はじっと我慢。最後方から佐藤のまくりに流れ込んだ。
 「考えとしては中団を取って、後ろから誰が来ても合わせていこうと思っていたんですけど。佐藤選手が前に入ってきた。それでケタ違いの脚力なので、絶対に離れないように追走しようと。佐藤選手の後ろに付いた瞬間から切り替えました。きっと佐藤さんならつかまえきってくれるだろうと。(最終)2コーナーは、この車間でこの位置で行けるのかなって思ったんですけどすごかったです。自分の感覚は悪くないのかな」

<4R>

犬伏湧也選手
犬伏湧也選手
 前受けからサッと後方に下げてタイミングを取った犬伏湧也(写真)は、山田久徳が切って出たところをワンテンポ置いて仕掛ける。小川真太郎は犬伏の踏み出しに離れて、カマした犬伏が打鐘の4コーナーで出切って風を切る。遅れながらも小川が追いかけて、四国勢を追うように坂井洋が前団に襲い掛かる。坂井に迫られたものの、犬伏が振り切ってビッグデビューを白星で飾った。
 「(周回中は)中団を取って先行できればいいかなって考えてました。一番前は欲しくなかった。遅かったら突っ張ろうと思ったら、思いのほか(別線が)早く来た。それで引いて行けるところからと。ペースが上がるかなと思ったけど、踏み出した時くらいにペースが落ちたんで駆けやすかった。ラインで決めたかったんで、まだまだ自分の競走の甘さが出た。この強いメンバーで勝てたのはうれしい。でも、素直に喜べないですね。今日(初日)勝てたのが、たまたまにならないように」
 犬伏の踏み出しに遅れた後続を待って仕掛けのタイミングがズレた坂井洋だったが、まくりでまずまずのスピードを見せた。
 「犬伏君の上を無理やり叩こうと。自分の持ち味で勝負する作戦だった。そしたら(犬伏ラインが)バラバラで遅れてきたので、1車でも行った方がいいのか、3人行ってからか(迷った)。(結果的に橋本)強さんの後ろを付いていて上を叩こうと。(最終)1センターで事故があったり、いっぱい、いっぱいでした。調子が良くないなかで確定板に入れたのは良かったです」

<5R>

神山拓弥選手
神山拓弥選手
 阿部将大を赤板過ぎに突っ張った吉田有希が主導権をキープする。今度は2コーナーから仕掛けた岡崎智哉を、吉田がペースを上げて出させない。東口善朋のアシストで岡崎が4番手に入り、最終ホームを通過する。7番手から踏んだ阿部は進まず、岡崎のまくりは番手の神山拓弥(写真)が阻む。粘り込む吉田を神山がゴール前で交わした。
 「見ての通り吉田君が若者らしい走りをしてくれたので、(ラインの)3人で決まったと思います。自分の方が吉田君よりいっぱい、いっぱいだったんじゃないかなと。流すこともなくずっと掛かっていってすごかったですね。ちょっと自分としてはイマイチだったんですけど、展開に助けられた感じです」
 別線に主導権を明け渡すことなく、持ち味を存分に発揮した吉田有希がラインを上位独占に導いて準決に勝ち進んだ。
 「(突っ張るつもりは)正直なかったですね。後ろからいければって思っていたんですけど。けん制が入って前からになったので普通にいこうと。引こうと思っていて岡崎さんのところで勝負かなって思っていた。けど、自分が突っ張らないだろうって思って緩めに押さえに来たのでスイッチが入った。突っ張りは2、3割もなかったですね。あとは岡崎さんがすかさず来ると思ったので、思い切り踏んであとはペースでした」

<6R>

園田匠選手
園田匠選手
 赤板2コーナー手前で切って先頭に立った嘉永泰斗が、落ち着いて打鐘の3コーナーで関東コンビを受けて3番手を確保する。5番手が和田真久留で、佐々木豪は一本棒の8番手。逃げる黒沢征治との車間を大きく空けた雨谷一樹が嘉永のまくりを最終2コーナーでブロックすると、2人が接触して嘉永は車体故障。目標を失った園田匠(写真)は、そのまままくるように前に踏み込む。逃げる黒沢を直線入口でとらえた園田が1着。
 「ジャンのところで(嘉永と)2人で決まったと思った。車体故障があって、どっちかなと思ったら嘉永君だった。それであとはペースで追いかけようと。落ち着いて見えてたし、ああいうのは慣れている。早めに追いつくとのみ込まれるので、自分のペースでと。計算通りでした。久しぶりのレースで1着が取れたんで、それは大きいですね」
 園田を追いかけた和田真マークの和田健太郎は、直線で中をシャープに伸びた。
 「(和田)真久留に全部任せてました。嘉永君が切って、そのあと関東勢が行ったところに(和田真が)スイッチできたら良かったけど、勢いが違った。(アクシデントを)避けて、園田君に合わせて真久留も踏んでいた。もうワンチャンいけるかなと思って、待ってからでした。(感触は)悪くないと思います」

<7R>

岩本俊介選手
岩本俊介選手
 上昇した菅田壱道を突っ張って、町田太我が先行態勢を取る。中団に降りた菅田だったが、岩本俊介(写真)が4番手をキープする。連結を外した松坂洋平は、打鐘の3コーナーで岩本後位に追い上げて菅田をキメる。町田はマイペースに持ち込むが、岩本も4番手で脚をためる。最終2コーナーから仕掛けた岩本が、逃げる町田をとらえ後続をちぎって快勝。
 「町田君よりも後ろからレースを進めたかった。基本的には先手を打とうと思っていたんですけど。それを上回る感じで突っ張った。でも、冷静に判断はできたのかなと。まくりになりましたけど、惜しみなく踏めた」
 岩本1人にまくられた町田太我は、柏野智典との2着争いに僅差で踏ん張った。
 「(周回中は)中団からが良かった。でも、前を取らされた。それで今日(初日)は先行1車みたいな感じだったので、誰が来ても突っ張ろうと。柏野さんと決めたかったんですけど、岩本さんにまくられてしまった。自分のことでいっぱい、いっぱいでした。でも、準決勝に上がれたのは自信になりますね」

<8R>

荒井崇博選手
荒井崇博選手
 佐々木悠葵、島川将貴の順番で押さえて出る。赤板2コーナー過ぎから早めに踏み込んだ山田庸平だったが、島川に突っ張られる。浮いた山田は打鐘4コーナーで4番手に入り立て直す。7番手の佐々木が、最終ホーム手前から仕掛けて前団にじわじわと迫る。が、山田が合わせて踏み込む。まくり切った山田に佐々木をさばいた荒井崇博(写真)が続いて、3番手に小倉竜二が切り替える。佐賀ワンツーは、番手の荒井が山田を差し切った。
 「前のおかげですね。(打鐘3コーナーで山田が)いきなりやめたんで入れてやらないといかんと(笑)。それで(最終)ホームで口が空きました。(山田がまくった時に佐々木と併走になって)あそこはなんとしても付いていくところなんで頑張りました。混戦でも踏めているんで、(感触は)いいと思います」
 脚を使わされて厳しい流れだった山田庸平だが、地力アップを証明するように荒井と人気のラインでの決着した。
 「(島川に)佐々木君がもっと抵抗するかと思った。そしたらすぐに出させた。それでジャンで叩きに行ったけど、出させてもらえなかった。そのあとは中団をキメにいこうとしたら、荒井さんが先に(確保していてくれた)。キツかったけど、かぶる前に(仕掛けて)と。踏み出した感じも出も良かった」

<9R>

山田英明選手
山田英明選手
 打鐘手前で上田尭弥が先頭に立ち、九州3車で出切る。4番手の小松崎大地が飛び付いて、単騎の小原太樹は6番手でレースが流れる。最終2コーナーから小原がまくる。山田英明(写真)は、逃げる上田の番手で後続の間合いを計る。冷静に直線で追い込んだ山田が1着。
 「北日本が切ってくれたのはラッキーでしたね。先に小原君が来ると思っていなくて、その上を太田君に行かれると厳しいなと。難しかったですけど、(上田が)あれだけの先行をしてくれた。太田君がグイグイ来ていたので踏ませてもらいました。自分ももういっぱいで、ゴールを目指して踏んだら1着でした」
 7番手で最終ホームを通過した太田竜馬は、止まった小原の上をまくって2着に届いた。
 「理想は九州勢についていければ良かったですけど、反応できなかったですね。(小原と仕掛けが)若干、かぶってしまいました。スカスカするというか、回転が追いついていない感じがある。周回中からスカつくなって。(2日目以降に向けて修正するポイントは)タイミングですね。そこだけ間違えないように」

<10R>

宿口陽一選手
宿口陽一選手
 眞杉匠にフタをした中西大が、赤板手前から踏み込んでレースを支配する。すかさず巻き返した眞杉は一度は4番手に入るも、打鐘の3コーナーから仕掛ける。村田雅一の猛ブロックを乗り越えた眞杉は、最終1センター過ぎにロングまくりで先頭に立つ。続いた宿口陽一(写真)は、計ったように眞杉をとらえた。
 「眞杉君の好きなように走ってもらって、あとは後ろが付け切れるかどうかだったんで良かったです。ジャンのところは眞杉君が中団に入ったけど、すかさず行って中西君と力勝負をしてくれた。村田君のけん制も軽々といってくれた。(出切ったあとは)車間を切りすぎたかなっていうのもあるけど、平原(康多)さんのアドバイスを実践しつつ結果ワンツーで良かった。今回はフレームを戻して、脚の感じも全然いい」
 中西の先行、村田のブロックと近畿勢の抵抗にあった眞杉匠だったが、さすがのスピードを見せて宿口とのゴール勝負を演じた。
 「取れた位置からって考えてました。もっとフタも長いかと思ったけど、(中西は)赤板で行ってくれた。(打鐘過ぎは)あそこ休んでしまうと、後ろが付きにくいと思ったので行きました。(村田のけん制は)乗り越えられると思った。自分は余裕がなくて、全然回せなかった。1周(ずっと)踏んだ感じです。前回よりはいいかなと」

<11R>

中川誠一郎選手
中川誠一郎選手
 赤板2コーナーで主導権を握った新山響平に、8番手から巻き返した松本秀之介が襲い掛かる。前まで迫った松本だったが、出切れず力尽きる。中川誠一郎(写真)は、松本を追わずに中団で脚をためて、外併走から自力に転じてまくった。
 「(松本が仕掛けていって外に浮きそうになり)1回戻ってくるかなって思っていたら、もう1回行ってしまった。でも、行けるか行けないか半々くらいだったので、車間が空いたというか空けたというか…。守澤(太志)君のブロックは怖いので避けようと。今日(初日)は追走仕様にしていたので、まくるイメージはなかったのでキツかったですね」
 最終2コーナーから中川のまくりに続いた森田優弥が2着。
 「自分だけのレースになってしまったんですけど、たまたま展開が向いて良かった。内に守澤さんがいたので、ガムシャラに踏みました。気持ちは入っていた。先行も考えていましたし、なんとかしのげて良かったです」

<12R>

新田祐大選手
新田祐大選手
 吉田拓矢が押さえて出てペースを握るが、小原佑太は迷わずに踏み込んで打鐘で主導権を奪いそのまま駆ける。ハイスピードで仕掛けた北日本3車に古性優作がスイッチして4番手。後方の清水裕友は、最終ホーム手前から反撃に出る。清水に合わせるように古性が2コーナー手前からまくる。古性は佐藤慎太郎の横までで、新田祐大(写真)が番手まくりを打つ。さすがの加速力で合わせ切った新田が、久しぶりの勝ち星に汗をぬぐい後輩をねぎらう。
 「見てもらった通り、小原君の積極性のあるレースが、僕と(佐藤)慎太郎さんのワンツーにつながった。小原君がジャン前から仕掛けてくれて、ラインで出切って、古性君が4番手に追い上げてきた。勝負どころでS級S班はしっかりと仕掛けてくるっていうのがあったんで、小原君の気持ちもあったし、自分は前に踏み込みました。しっかりと踏み込めたし、ゴールまで力が抜けることなく踏み込めたのは良かったです」
 3番手の佐藤慎太郎は一瞬、小原の仕掛けに遅れかけたが、意地の追走で2着に流れ込んだ。
 「(小原が)仕掛けたところはキツかった。ナショナルチームの2人が前なんで、ちぎれる一歩手前だった。あそこで相当、脚が削られた。それで2着キープがいっぱいでした。新田は怪我する前と踏み出しはまったく変わらないんじゃないかと。踏み直しもだいぶ戻ってきている感じがありました。自分は付いていけているけど、余裕があって付いていけているわけじゃない。上積みが必要かなと」
 最終バックでは9番手の最後方。清水が不発になると松浦悠士は、平原康多をさばいて直線で猛襲した。
 「(最終)ホームのあのスピードのなかで、ここで仕掛けられるんだっていう(清水)裕友に驚きがあった。僕だったらなかなか行けないんじゃないかと。後ろで感じたなかで、裕友の調子はいいんじゃないかって思いました。いいところまで行ってくれたし、裕友の仕掛けがあったからこそ、古性君の仕掛けがあった。それで僕のコースもあった。スタートで脚を使ったわりには、かなり伸びている。(ゴールの)ハンドル投げも体が動いているので、かなり調子がいいかなっていうのがあります」