『第21回サマーナイトフェスティバル(GII)レポート』 最終日編

配信日:7月22日

 玉野競輪場でナイターで開催された「第21回サマーナイトフェスティバル(GII)」は、7月21日に4日制の最終日が行われた。地元の太田海也も勝ち上がった決勝は、4車で結束した関東勢が主導権。太田に出られたものの、切り替えた眞杉匠が追い込んでV。3日制の昨年に続いてサマーナイトフェスティバルを連覇。通算5度目のビッグ制覇で優勝賞金3100万円(副賞含む)を獲得した。

決勝戦 レース経過

 号砲で眞杉匠、清水裕友、郡司浩平の内枠3人が一斉に飛び出すが、車番の通り眞杉が正攻法の位置を確保。これで佐々木悠葵-眞杉-吉田拓矢-坂井洋の長い関東勢が前受けし、中団に太田海也-清水の中国コンビで、郡司-松谷秀幸-和田圭のラインが後攻めで初手の隊列が固まる。
 青板1センターで郡司が上がってバックで佐々木の横に並び掛けるが、佐々木は突っ張る気で下げる気配はない。中団も中国勢が譲らず郡司は諦めて元の7番手に戻る。赤板1コーナーで誘導が退避し、そのまま関東ペースのレースになる中、空けた車間を詰めて、赤板2センター5番手から太田がアタック。太田は猛烈なスピードで関東勢に襲い掛かり、最終ホームあたりからの眞杉の強烈ブロックを乗り越えて2コーナーで佐々木をまくり切る。だが、清水は前のあおりで遅れてしまい、吉田にダメ押しでさばかれて後退。出切った太田の後ろには眞杉-吉田-佐々木でスイッチしてくる。郡司は不発に終わり太田を先頭に直線に戻るが、太田はいっぱい。眞杉、そしてその後ろから吉田が伸びて両者横並びのゴールとなって写真判定に持ち込まれたが、眞杉が微差勝っていてサマーナイトフェスティバル連覇を果たした。3着も直線で内のコースを突いた松谷が坂井を微差退けて確保。






<4R>

小松崎大地選手
小松崎大地選手
 赤板1コーナーで伊藤颯馬が、和田真久留を押さえる。ペースも上がらず、そこをじわりと先頭に立った小松崎大地(写真)が主導権。北日本勢に単騎の神田紘輔が続いて、伊藤が5番手で打鐘を迎える。7番手の和田が2センターで外に持ち出すと、伊藤も合わせて仕掛ける。先行態勢の小松崎もペースを上げて逃げる。最終ホームで新山将史がけん制して、伊藤は不発。4番手の神田が2コーナー手前でまくるも、3番手の内藤宣彦のところまで。その外を踏んだ和田も伸びず、北日本ラインの勝負。追い込む新山を退けて、小松崎が逃げ切った。
 「使い物にならない自力選手を好きに走らせてもらって、(3人で上位独占ができて)ラインの力ってすごいなって思います。(別線との)力関係的に自分も含めてミスなく各々がやって、どうにか勝負ができるのかなっていうのがあった。(今シリーズ4走をして)正直、いいかなって思うところが1つもない。それでもプラスの部分も多少あるんで、そこを増やしていければ。できるかどうかではなく、そこをやっていかないといけない」
 今シリーズが約2カ月ぶりの実戦だった新山将史は、徐々に感覚を取り戻していった。
 「自分は前と後ろのおかげです。内藤さんもいたんで、最後は交わせなくて申し訳ない。自分は2カ月、離れてたんで、レース勘も脚力も落ちている。4日間、違う展開で思い出しつつでした。初日に比べたら(最終日は)良くなっていて、レース脚も戻っている。次にはつながるかなと。練習では普通にモガけているんで、あとはレースを重ねていけばっていう感じです」

<6R>

渡部哲男選手
渡部哲男選手
 前受けの伊藤旭が、河端朋之を突っ張りペースを握る。浮いた河端は7番手に戻り、タイミングをうかがい打鐘手前から踏み込む。河端がスピードに乗せて主導権を奪い、最終ホームで中四国の3人が出切る。中四国勢を追った飯野祐太だが、6番手の柳詰正宏の外でなかなか進まない。4番手の伊藤がバック手前からまくり、佐藤慎太郎はインを押し上げる。伊藤のまくりを渡部哲男(写真)が止めて、直線で抜け出した。
 「河端君は一撃で決めるっていう感じだった。踏み出しがいい選手なんで、(付け切れるか)自信がなかったですね。(河端の)掛かりが良かったんで、(最終)バックでは(別線は)来られないと思った。(けど、まくりに来た伊藤旭をブロックして)河端君はしんどそうだった。自分は年齢的にも点数的にも、ビッグでは1着が遠いかなと。負け戦とはいえ、1着だったんで収穫はありました」
 目標の飯野が不発で、佐藤慎太郎は最終バックで8番手。内を進出した佐藤は、直線でコースをこじ開けて追い込んだ。
 「(飯野)祐太が止まっているように見えた。自分も流れに乗っていったわけではないけど、踏み上げていったわりには伸びた。調子はいいんじゃないかと。コースも迷いながらだった。外は難しいし、どこもなかった。もうワンテンポ早く柳詰(正宏)のところをしゃくっていけば、アタマまでの勝負ができたかなと。(今シリーズは)だいぶ思った通りに体が反応して、手ごたえもあった」

<7R>

山田庸平選手
山田庸平選手
 川口公太朗を突っ張った大西貴晃を、櫻井祐太郎が赤板2コーナーで押さえて先行態勢を取る。北日本の2人が出て、3番手が大西と単騎の恩田淳平の併走で打鐘。川口公太朗が7番手で、そのままレースは流れて最終周回へ。3番手の決着がつかないまま、山田庸平(写真)が自力に転じて2コーナでまくりを打つ。逃げる櫻井を直線の入口でとらえた山田が1着。
 「突っ張ろうとして突っ張れなかったのは、大西君の脚力と経験不足だとは思う。けど、出られてしまってからは、合ったところで1車でも前で勝負してくれました。早めにさばけば付いていってと思ったんですけど、時間が掛かっていた。脚力的には余裕があったんですけど、2日目、3日目と良くなかった。もうちょっと(最終)4コーナーを回ってから伸びて欲しいなっていう感じもしました」
 坂本健太郎は、山田に1車身半遅れての2着流れ込み。
 「僕的には(山田に)早めに行って欲しかったんですけどね。タイミング的に山崎(芳仁)さんにからまれる可能性があった。負け戦と言えどもGIIで2連対できたので、そこは良かったかなって。今年中にもう少し勝ち星を稼いで、来年(通算)500勝ができるように」

<9R>

深谷知広選手
深谷知広選手
 赤板2コーナー手前で石原颯が先頭に立ち、7番手の寺崎浩平が仕掛ける。打鐘4コーナーで寺崎が叩き切って駆ける。近畿3番手の中井太祐も遅れながら続いて、石原が4番手になる。6番手の嘉永泰斗が、最終2コーナー手前から踏み込む。石原もバックから合わせて出る。後方の深谷知広(写真)は、石原、嘉永のさらに上をまくり追い込んで突き抜けた。
 「いつもなら行けるタイミングはあったと思うんですけど、ここ最近の自信のなさが出てしまった。(最終)ホームで内を差してしまいましたし、それも良くなかったです。3コーナーからは昨日(3日目)の反省を生かせて行けたので、そこだけは良かったです」
 積極策の寺崎を利した村田雅一が追い込んで2着。
 「(別線が)切り合いになったので、(寺崎は)そこをついていくのかなって思ったんですけどためた。結果的に(寺崎は駆ける)距離が長くなりましたね。1周半のフルモガキみたいになった。自分は余裕はなかったですけど、なんとか付いていけた。自分は車間を空けるとタイミングが狂うんで、(別線が)来たところで止めようと思っていた。(最終2)センターぐらいで(寺崎が)タレてきた。深谷君は見えなかったですね」

<10R>

岩本俊介選手
岩本俊介選手
 山田諒に突っ張られた松本貴治が3番手に降りて、車間を空けた6番手に松井宏佑、8番手が中野慎詞になる。赤板2コーナー過ぎに中野が仕掛けて、松井もそれに合わせてフルダッシュ。合わせ切った松井が、打鐘4コーナーで主導権。岩本俊介(写真)が続き、中野は南関勢を追って3番手で最終ホームを通過する。松井の掛かりが良く、5番手以下は車間が空いて、バックを迎える。3コーナーで持ち出した中野を外に張りながら、岩本が追い込んで抜け出した。
 「(松井)宏佑のすごさが目立ったレースだった。自分に余裕があって、もっとフォローしてあげられれば、ラインで決められたかなと。たぶん山田は飛び付けなくて、(3番手には中野が)ハマったんじゃないかって注意していました。ちょっと焦ってしまった。それでラインで決めることができなかった。脚の状態がすごく良かったので、練習が実を結んできている」
 松井に合わされた中野慎詞は、主導権は握れずも3番手で立て直して2着に入った。
 「(松井に合わされたところは)もうちょっとうまく駆けられたら主導権が取れたのかなって思います。そこは反省点ですけど、そのあとは落ち着いていた。松井さんが全開でいったら、(別線が)飛び付くのはキツいだろうと。それで空いた3番手に走って勝負しようと。理想はあれで新田(祐大)さんとワンツーができれば良かった。今回の4走はいままでのグレード(ビッグ)と違って、力を出し切れた。いいレースができて、いままでのなかで一番いい4日間だった」

<12R>

眞杉匠選手
眞杉匠選手
 4日制にリニューアルされた今年も頂点に立ったのは眞杉匠(写真)だった。3日制にピリオドを打った昨年からのサマーナイトフェスティバル連覇を遂げた。
 「(優勝が)だいぶ遠のいていたし、記念でも情けないレースばかりだった。今年たぶん(記念で)決勝にも2回しか上がっていない。(優勝は)久しぶり。ラインのおかげなんですけど、すごいうれしいです」
 全日本選抜、日本選手権のGIにウィナーズカップと今年3度のビッグ決勝進出を果たしていたが、今年はここまで記念も含めて優勝がゼロ。日本選手権、ウィナーズカップがともに準Vで獲得賞金を上積みしていたものの、胸のつかえがあったのも事実だろう。だからこそ、眞杉はラインに感謝して、開口一番こう振り返った。
 レースは、1番車の眞杉がスタートを制して、4車の関東勢が前団に構える。先頭を務めた佐々木悠葵が、郡司浩平の上昇を阻んで主導権を渡さない。佐々木はそのまま別線の反撃を待つことなく果敢に風を切って逃げた。しかしながら、5番手でタイミングをうかがっていた地元の太田海也が、打鐘2センターから反撃。ナショナルチームで磨かれたスピードには、最終ホームで外に張った眞杉も止めることはできなかった。
 「(組み立ては)基本はそれ(突っ張り)で、いかれたら、その時に考えてだった。佐々木さんもすごい掛かってたけど、直線でその上をすごい勢いで来られちゃって止め切れなかったですね。あれ(太田を外に張る)があって(清水裕友が)遅れたので、そこの隙を突いてなんとかだった」
 眞杉がつくった波に清水が遅れて、最終1センター過ぎに出切った太田にスイッチ。あうんの呼吸で清水をさばいた吉田拓矢が続いてバックを通過。郡司のまくりも進まずに、勝負は前団に絞られた。
 「(太田が)ずっと掛かっていた感じだった。1回止め切れなくて、切り替えるので脚を使った。(番手には入ったが)すぐにはいけなかった。(吉田とのゴール勝負は)手応えは完全に抜かれたなっていう感じでした」
 直線の入口で太田に並んだ眞杉が抜け出すと、吉田が迫って並んだところがゴール。勢いでは吉田に分があったが、微差で眞杉がしのいでいた。
 「(気持ちを)切り替えて後半戦に頑張っていきたい。もちろん自分が獲るつもりで毎回、挑んでいく。内容的にはやっぱり、ここ1年良くない。後半はもっと内容重視で、結果がついてくれば」
 今年の賞金も1億円を超えて、獲得賞金ランクも3位までジャンプアップ。3年連続のグランプリ出場も安全圏内に入ったが、GIタイトルは一昨年11月の競輪祭から遠ざかっている。
 「(競輪祭を優勝した)あの時の方が積極的だったと自分でも思う。やれていたことがやれなくなったということはないと思うので、徐々に戻していきたい。次の京王閣に関しても、終わってからのオールスターに関しても期間は短いんですけど、そのなかでもしっかり自分を追い込んで。内容にこだわって、いいレースができるように頑張ります」
 ラインの結束力で勝ち取った今年の初優勝。サマーナイトフェスティバル連覇を足がかりに眞杉が、本来の姿を取り戻し関東勢をリードしていく。
 眞杉が太田にスイッチすると、吉田拓矢は遅れ気味の清水にダメ押しのサポート。直線勝負に持ち込んで微差の2着。
 「佐々木君も2周から行っていたんで、(最終)ホームでちょっと落ち着いたところで来られちゃいました。自分がもっとうまくできれば良かったんですけど。(眞杉が太田に切り替えてからは)スピード域的に誰も来られないだろうなって感じでした。ちょっと坂井(洋)さんのコースをつくれなかったですね。(松谷秀幸が入ってきていて)内も気になっていました。(眞杉を)抜いたかなって思ったんですけど」
 7番手からの立て直しを余儀なくされた郡司は、コースに迷いもあったのか進みはいまひとつ。松谷秀幸は最終3コーナーからインを突いて、直線も眞杉の内を伸びた。
 「(赤板のところは)郡司もどうするのかなって。ジャンのところもキツかったですね。(最終バック付近は)郡司君が迷っている感じだった。申し訳なかったんですけど、自分は内に行きました。最後まであきらめずに走れたんでそこは良かったと思う」

次回のグレードレースは京王閣競輪「東京オーヴァルカップレース」が7月26日~28日の日程で実施されます。

今シリーズは2層制で、S級戦は9車立7R3日制、A級戦は7車立5R3日制となっています。普段のGレースに比べるとS級選手の参加人数は少ないものの、眞杉匠、清水裕友のSS班をはじめ吉田拓矢、寺崎浩平、新田祐大、荒井崇博ら実力者が数多く参戦。3日間の短期決戦を制すのは誰でしょうか?

7月14日時点の出場予定選手データを分析した、京王閣「東京オーヴァルカップレース」の主力メンバー及び狙い目選手を紹介する「プロスポーツ号外版」は以下をクリックしてください。

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