競輪のナイター開催は1998年(平成10年)函館競輪場で初めて行われた。競輪界初の試みということで、選手の協力を得て何度も試走を繰り返し、特に公正安全な競走を実施することが絶対の条件であるため、照明については細心の注意が払われた。真夏の日差しを避け、照明が照らすカクテル光線の下白熱のレースが展開され、仕事帰りのお客様を中心に多数のファンが夜の競輪場に集い人気を博した。その後平塚・小倉・川崎・松戸・京王閣・四日市と相次いで開催され、現在では夏の風物詩として競輪ファンに親しまれている。
ナイター開催がファンの間で浸透するにつれ、「ナイター競輪でグレードレースが見たい!」というファンからの要望が強まっていった。競輪界ではそのファンの声に応えるため、平成17年(2005年)に「サマーナイトフェスティバル【GII】」として競輪界初となるグレードレースを新設した。選考基準は、その年の1月から4月までの間に開催されるGI、GII及びGIIIの優勝者に加え、FIについても優勝回数上位者から出場する権利が与えられる。だから例え前年のグランプリ出場者であっても選考期間中に優勝しなければ出場できず、逆に選考期間中に優勝しさえすればGIIレースに出場できるチャンスが与えられることになる。また、勝ち上がり方法も非常に特殊だ。初日に行われる9個レースは、全レース1着のみが決勝戦に勝ち上がることができる予選となっていて、他の開催のように特別選抜競走はなく、その意味では出場選手全てに平等に決勝戦に進出できるチャンスがある。
優勝した選手らが出場する大会であり、この大会でチャンピオンの中のチャンピオンが決まることになる。いわば輪界上半期のグランプリ。トップレーサーがただひたすら1着だけを求め激突し、場内もライトアップされお祭りの雰囲気を盛り上げる。「サマーナイトフェスティバル」は、競輪界が贈る真夏の夜の夢の祭典だ。 |