『第34回寬仁親王牌・世界選手権記念トーナメント(GI)レポート』 前検日編

配信日:10月22日

 今年の舞台はドームの前橋競輪場。「第34回寬仁親王牌・世界選手権記念トーナメント(GI)」は、10月23日に熱戦の火ぶたが切って落とされる。5月に行われた全プロ競技大会の成績上位選手がシードされ、初日の理事長杯、特選などにはニューフェイスの参戦もあって興味深い。S級S班9人も勢ぞろいして、高速バトルが初日から激化すること間違いない。見ごたえのあるバトルが4日間にわたり繰り広げられる。10月22日の前検日は、短走路のバンクの感触を確かめる選手も多く、それぞれが入念に調整を行った。
 GIシリーズは開催中の毎日、オリジナルクオカードなどが当たるスピードくじを先着で配布、七福神あられの来場先着ファンサービスなども予定されています。また、10月23日の初日には、「後閑信一・平原康多」のトークショー、「河内桜雪・千葉捺美」のガールズケイリントークショー、「前橋ウィッチーズ」のステージショー、「鈴木誠・平原康多」のレース展望などもあります。前橋競輪場では、みなさまのご来場をお待ちしております。テレビ、インターネット中継などでの観戦もお楽しみください。

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小倉竜二選手
小倉竜二選手
 小倉竜二(写真)は、前回の京王閣記念では、準決で即席連係の新田祐大を差し切って、健在ぶりを示して決勝に勝ち上がった。今回の初日は、勢いある石原颯に前を託す。
 「(前回は)反応とかは良かったと思うけど、脚的にはこんなもんかなって感じでした。決勝は(落車を)避けて、確定板まで乗れれば良かったけど。練習をしようと思ったけど、ギックリヒジと、ギックリ股関節になって、思ったような練習はできなかった。競輪場も使えなかったし、室内で、とにかく短い時間で練習しました。(石原は)出だしがものすごく良い。離れたこともあるんで、集中していく」
 今年はGI初優出に、記念初制覇など、ブレイクを果たした末木浩二。前回の松阪記念では、初日に通算200勝を達成し、上々の動きを見せていた。
 「GIの決勝や、記念の優勝などを経験させてもらって成長はできていると思います。地元ではないけど、(上甲信越地区で)他の競輪場に比べて違う準地元のような気持ちはあります。短走路ですし、ダッシュ練習をやってきました。状態は悪くない」

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佐藤慎太郎選手
佐藤慎太郎選手
 度重なる落車から徐々に復活し、本来の動きに近づいていた佐藤慎太郎(写真)だったが、共同通信社杯の2日目にまたもや落車。今回は1カ月以上休んでの復帰戦。意外にも本人の口ぶりは明るかった。
 「思ったよりもダメージがあったんですけど、いまは落車する前の状態に戻っています。膝が腫れて曲がらなくなって、思ったよりも時間がかかった。ただ、練習は十分できた。やるべきことというか、できることをやるしかないんで。(状態としては)100プラス1。自転車は全損したから新車です。練習では乗ってたし、寸法も同じなんで問題ない」
 佐々木豪は、前回の奈良での向日町記念で準V。決勝は犬伏湧也のカマシに食らい付いてのワンツーだった。
 「あのカマシを抜けるヤツっているんですかね(笑)。自分も待ってから抜きにいったけど、あんなの抜けないです。前回は番組さんが目標を用意してくれていたっていうのもあるけど、自分ももう30歳になるんで自力の時も戦法の幅を広げていきたい」

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成田和也選手
成田和也選手
 成田和也(写真)は、前回の10月弥彦FIで今年3度目の優勝をゲット。決勝は、目の前でおきた落車を回避して、最後は決め脚を発揮した。いい流れでGIへと参加する。
 「(落車を)かわせただけでも良かったけど、(優勝できて)ツイてました。ものすごいいい感覚ではなかったんですけど、日に日になじんできた感じです。地区プロを挟んだので、そこまでではないけど、やれる練習はやってきました」
 取鳥雄吾は、前回の松阪記念の二次予選で9着。それ以外はオール連対と、地力の違いを見せつけたが、気になるのは本人の状態面だ。
 「松阪が終わってから、いったん全部ゼロにしました。練習も、やったはやったけど、追い込むとかはしていない。楽しみながら練習したって感じです。でも、疲れはあるんですよね。まあ、僕の場合は、気合を入れてやってきても全然だめな時があるし、あまり気負わずに」

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和田健太郎選手
和田健太郎選手
 和田健太郎(写真)は、前回の京王閣記念で優出しており、
安定感ある成績を残し続けている。自己評価としては、復調途上のようだが、今シリーズも侮れない存在だ。
 「(状態は)ボチボチですね。成績は前の自力選手の頑張りに尽きるし、いい時に比べればまだまだ。悪い展開の時に、突っ込めるかってところはまだまだだと思う。いつも通りコンスタントに練習して、体調もとくに問題ないです」
 浅井康太は、前回の地元松阪記念で2勝を挙げて決勝進出。現在は賞金ランキング10位に付けており、大事な大会に向けて仕上げてきた。
 「深谷(知広)君が四日市に練習に来て一緒にやりましたけど、めっちゃ強かった。一緒に練習して参考になった部分があるし、その後にコンディションも調整してきました。いい方向性の感覚を見つけたので、あとは展開と、自分の力を出し切るだけ」

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小林泰正選手
小林泰正選手
 地元の小林泰正(写真)は、前回の宇都宮FIで今年初優勝を飾った。3年振りに前橋で開催される当大会には、万全の状態に仕上げられたようで、いつもの笑顔でインタビューに応えた。
 「(前回は)ラインのおかげで勝ち上がれて優勝できたと思ってます。ここに向けて練習して、体も仕上がっているので楽しみです。前回が終わってからは、練習は追い込まずに調整だけしてきました。バンクに入ったのは1日だけですけど、いい感じだと思います」
 守澤太志は、前回の京王閣記念を一次予選5着で辛くも勝ち上がると、その後は修正を果たして結果的に決勝進出。日ごとに状態を上げていった。
 「(前回は)初日が良くなくて、そこから修正していけました。(修正したのは)体と、セッティングですね。体の使い方を思い出したり、アドバイスをもらったりして、少し良くなりました。地区プロがあって、競技に向けた練習をやっていました。カーボンで長距離の練習をやっていたんで、走ってみてですね」

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武藤龍生選手
武藤龍生選手
 共同通信社杯で落車した武藤龍生(写真)は、欠場を挟まず2場所走って今開催に挑む。徐々に手応えをつかんで、GIに備えてきたようだ。
 「前々回はすごい悪かったんですけど、前回はだいぶ変わったので、開催毎に上がってるなって感覚ですね。走るごとに状態は良くなっています。(前回は)セッティングを試せた部分があるし、収穫のある開催でした。前回のままのセッティングでいきます。(練習より)ケアの方が多かったけど、やれることはやってきました」
 山田英明は、前回の10月武雄FIで惜しくも準V。別線勝負となった中川誠一郎に破れ、地元場所連覇とはならなかった。直前には、10月別府GIIIを弟の庸平が制しており、おおいに刺激を受けた。
 「(前回の決勝は)本当は九州で並びたかったけど、自分は初日にしょうもないレースをしたし、わがままは言えなかった。結果的に単騎にはならなかったけど、やりづらさはありました。それでも、自分のなかでは攻めたレースをしたつもりです。終わってからは練習を普通にやりました。ここに向けてやってきたので、それがハマれば。庸平が別府を勝ったし、次は僕の番ですね」

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村田雅一選手
村田雅一選手
 村田雅一(写真)は、全日本選抜でGI初優出を決め、ウィナーズカップでビッグレース連続優出と、今年の前半戦は勢いに乗っていた。そこから一息入った感じはあるが、前回の松阪記念で手応えをつかんだようだ。
 「(前回は)合宿に行って、そのまま行ったんで、疲れはあった。でも、2日目以降は疲れが抜けて、久々に感じが良くて勝負できるなって感覚があった。高松宮記念杯で落車して、そこからずっと悪くて、練習しながらセッティングを変えてみたりの繰り返しだった。(直前の)乗った感じは、良かった時の感覚だった。松阪記念の前からここに向けて計画通りにできました。(コースを)突っ込めるのが自分の持ち味だと思うんで、後方になってもあきらめずに勝負したい」
 佐々木悠葵は、9月大宮FIで優勝。地元GIに向けて、成績を上げてきた。
 「2カ月前からバンクが使えなかったので、固定のやつしか乗っていなかったけど、10月から使えるようになって自転車とマッチした感じがあります。自転車は硬くて進むやつです。今回は地元ですし、ここに向けて備えてきました」

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嘉永泰斗選手
嘉永泰斗選手
 前回の共同通信社杯を2534着で決勝進出。一昨年の共同通信社杯以来、通算3度目のビッグ優出を果たした嘉永泰斗(写真)は、そこから1カ月以上空いて今シリーズを迎える。
 「福井(共同通信社杯)に関しては、体の状態はそんなにっていう感じだった。その前の岐阜の方が良かった。(そのあと)練習もしっかりできたんで問題ない。悪くないと思います。(自転車は)期間も空いたんで、もっと良くなるかなと思っていじった。今回、走ってみてですね」
 共同通信社杯のあとはFIを3場所走り、9走で7度の確定板入り。安定した戦績を残した佐々木龍の仕上がりはどうか。
 「(初日連係する塩島嵩一朗は)練習では(郡司)浩平がまいったって言うぐらいですよ。本当に強いと思うので、集中して付いていきたい。地区プロもあったけど、前回の大宮は地区プロのあとの開催だったので、競輪の感触を確かめられた。いつも通りの練習ができたので、いい状態だと思います」

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南修二選手
南修二選手
 前々回の共同通信社杯でビッグ初制覇を遂げた南修二(写真)は、続く青森記念を6113着。2勝をマークして、決勝にコマを進めた。
 「(青森のあとの京王閣記念の欠場は)少し腰痛が出たので、大事をとって休みました。いまは(腰痛は)大丈夫です。しっかりと練習もできました」
 昨年8月のオールスターがGI初出場だった後藤大輝は、そこから着実に大舞台での経験を積んでいる。現状では今シリーズが今年最後のGIになりそうで、気持ちを込める。
 「昨年のオールスターからGIに出られるようになって、着々と成長できていると思います。前橋は初めてなので走ってみないとですね。でも、小倉もドームですし、スピードが出るバンクは好きです。競輪祭が(現状では補欠で)ダメだったんで、その分も頑張りたい。前回の大宮の決勝は根田(空史)さんを合わせられなかったし、課題がみえました」

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寺崎浩平選手
寺崎浩平選手
 寺崎浩平(写真)は、前々回のオールスターで初戴冠。グランプリ初出場を決めたあとも、続く地元、福井の共同通信社杯を2322着で準Vとレベルの高い走りを披露した。
 「(共同通信社杯は)自分がしたい走りができましたし、主導権を取れているので良かったと思います。(そのあとは)予定通りしっかり練習をできました。(感じも)悪くないです。あとは、ちょっと競走が空いているんで1走してみないとって感じです。けど、脚の出力的には問題ないですね」
 前回の京王閣記念はまさかの二次予選敗退の清水裕友だったが、3日目、最終日を連勝。そこから2週間以上、空いての今シリーズにも、トーンは上がらない。
 「(二次予選敗退の京王閣記念は)いまの実力だなって感じですね。調子は悪くないんですけど、イマイチかみ合わない感じはあります。(前回のあとは)しっかり上積みができるように、体調を整えてしっかり練習はできたと思います。(自転車に関しては)いろいろ、レースに行く度に違う自転車乗ってる感じなんですけど、だいぶ固まってはいるかなと」
 前回の玉野FIをオール2着の松井宏佑は、状態も悪くなさそうだ。5月の日本選手権に次いで、今年2度目のGI優出から初タイトルも視界に入れたい。
 「(前回は)自分らしい走りができた。1着は取れなかったんですけど、最後までいい走りと言うか、走り切れたかなと思います。(そのあとは)途中、背中をギックリとか痛めたりとかはあったんですけど、それをしっかりケアしながらキツめの練習もできた。調子は悪くないと思います」

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山口拳矢選手
山口拳矢選手
 松阪、富山とFIを連続Vの山口拳矢(写真)は、前回の富山初日に落車に見舞われた。それだけに10日以上空いた、今シリーズの仕上がりはどうか。
 「富山の落車もあったんで、体を戻したりとか、部品も試したりしたかったんでって感じですね。(落車で自転車は)後輪がつぶれたくらいです。怪我はほぼなかったです。ちょっとフレームを換えたりして部品をいろいろやりながら、それも正解が出たかなって感じです。(手応えは)悪くないですね」
 前回の函館FIで今年5回目の優勝を遂げた深谷知広。決勝は青野将大を目標に番手まくりでチャンスをモノにした。
 「(前回の函館の状態は)まあまあぐらいの感じですね。(そのあとは)比較的、順調に(練習は)やれたと思いますし、2日間ここ(前橋)で練習もできたので、そこは良かったですね。練習で乗れたのは大きいです」
 犬伏湧也は、前々回の奈良の向日町記念でS級S班になって初優勝を遂げたものの、続く前回の松阪記念では2日目を当日欠場の憂き目。
 「(前回の当日欠場は)ちょっと症状的にしんどかったんで、欠場させてもらいました。(ここまでの練習は)1週間前後くらいはしっかり治す時間もありましたし、そこは問題なくやれたかなと。自分自身でしっかり動いていって、主導権を取れれば結果として付いて来るかなと思ってる。(優勝した)奈良なんかは短走路だったし、今回も短走路なんで自分のやれることをしっかりやりたいなと思ってます」

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眞杉匠選手
眞杉匠選手
 前回の京王閣記念では決勝で2位入線も失格を喫した眞杉匠(写真)は、シリーズを通して納得のデキにはなかった様子。そこから2週間以上空いての地元地区でのGIシリーズだけに、上積みがほしいところだろう。
 「(前回は)感じは悪かったですね。(いまは)だいぶ良くなった。体の部分もあるだろうし、マッチしてなかった部分もありますね。(前回のあとは)練習はやってきた。(感じは)前回よりはいいかなって思うんですけど、まあ走ってみないとわからないです」
 脇本雄太は、前回の京王閣記念で6月の高松宮記念杯以来のV奪取。落車のアクシデントを避けて、圧巻のまくりで前団をのみ込んだ。
 「(前回は)良くもなくっていう感じでした。(決勝は)前が踏み合ってくれた部分もあったので、それで届いたのかなって思っています。(踏んだ感触は)とくに良くはなかったです。(それはシリーズ)全体を通してですね。(持病の腰痛の具合は)どんどん気温が下がってきて、痛みが出るようになってきてる。その辺は気をつけながらですけど。(直前の練習は)今月から福井競輪場が使えなくなって、しばらくちょっとトレーニングの幅が狭まるので窮屈な感じはある。それでもできる限りのことはやってきた」
 前回の松阪記念は、酒井雄多の番手から今年初優勝を遂げた新山響平は、勢いをつけて今シリーズを迎えるが、初日の理事長杯は単騎になった。
 「(前回は)体も脚の感触も疲れてたわりに動いたので、結構、感じは良かったです。(前回の前には練習で)追い込んでいった。ここに向けて少し追い込んでた時期ではあったので疲れましたけど、今回は少し調整しながら来ました。地区プロもあって、いい練習になったような感じでした。(前回と比べて)脚の感じの疲れとかはないんですけど、気持ち的にちょっとドンヨリしてるので上げていけるように。スイッチ入れていきたいと思います。短走路ですし、(初日は)このメンバーなので仕掛けどころは少ないと思う。しっかり仕掛けていけるところで仕掛けていきます」