『第35回寬仁親王牌・世界選手権記念トーナメント(GI)レポート』 最終日編

配信日:10月12日

 弥彦競輪場を舞台に開催された「第35回寬仁親王牌・世界選手権記念トーナメント(GI)」は、10月12日に最終日が行われた。S級S班3人をはじめ、GI連覇がかかる犬伏湧也らが勝ち上がった決勝は、激しいスピードバトルが展開された。主導権を奪った犬伏後位から番手まくりを打った石原颯が、通算2回目のGIファイナルでGI初制覇。優勝賞金4790万円(副賞含む)を獲得して、いわき平で年末に行われる「KEIRINグランプリ2026(GP)」の出場権も手に入れた。

決勝戦 レース経過

 号砲と同時に郡司浩平、吉田拓矢、松本貴治の3車が飛び出したが、吉田が誘導員を追う。木村皆斗-吉田の茨城勢が前受けで、単騎の荒井崇博がこの後ろから。中団は犬伏湧也-石原颯-松本の四国勢。郡司-阿部拓真-阿部力也は後ろ攻め。
 郡司が上昇して青板バックで犬伏にフタをすると、犬伏は赤板ホームで後方に車を下げる。誘導と車間を切った木村が打鐘手前から踏み上げるが、2コーナーの下りを使って加速した犬伏が最終ホームで木村を叩く。石原颯は2コーナーで番手まくりを放ち、松本が追う。1センターで仕掛けた郡司、切り替えた吉田は3番手で併走となり、前の2人には届かない。直線は石原が松本の追撃を振り切ってV。松本が2着で、四国ワンツー。この後ろの併走は最終4コーナーまで続くも、内の吉田が制して3着。


<6R>

山田庸平選手
山田庸平選手
 朝倉智仁が、赤板1コーナーで押さえて出る。3番手で三谷竜生と併走になった守澤太志はさらに踏み込むが、朝倉は突っ張る。守澤が3番手に降りて打鐘。三谷が5番手に下げての一本棒。7番手に置かれた伊藤旭は、タイミングを取り最終ホーム手前で発進。伊藤のスピードが良く、最終2コーナー過ぎに出切る。山田庸平(写真)まで続くが、3番手の小川勇介は連結を外す。九州の2人を目標に三谷がまくり、山田がけん制。山田が番手から追い込んで1着。
 「(伊藤が)しっかり仕掛けてくれたんで、自分に展開が向きました。(伊藤の)踏み出したスピードが良かった。(後ろは小川がいなくて)その分すぐに三谷君が来たんで、自分は慌ててしまった。今シリーズは全部、余裕がなくて、それが最終日にも出てしまった」
 下がってきた守澤が3番手に降りて、三谷竜生はやむを得ず5番手で立て直す。そこから俊敏な立ち回りでまくって2着に入った。
 「朝倉君が思ったよりも、いいペースで踏んだ。それで(3番手は)遅れちゃいましたね。僕の引いたタイミングが遅くなって、(伊藤が来たところでは)まだ準備はできてなかった。けど、なんとか切り替えられたので良かった。直線は、もうちょっと伸びたかった。(3日目の車体故障で)前輪が壊れてしまったんで、昨日(3日目の失格で)帰った兄貴(将太)に借りて走りました。初日のアクシデントで膝を打って痛かったのがありますけど、問題ない程度でした」

<8R>

脇本雄太選手
脇本雄太選手
 後藤大輝が赤板1コーナーで脇本雄太(写真)を押さえて、そこを山崎歩夢が出る。松崎広太もすかさず仕掛けるが、それを察知した山崎も全開で踏み上げて打鐘。佐々木悠葵が連結を外して、松崎が主導権を奪取すると番手には山崎が入る。が、5番手にいた後藤が4コーナーから襲い掛かり、激しい先行争いで最終周回。脇本は、前団から大きく車間が空いた7番手。後藤に合わせて2コーナー手前で、山崎が番手から出る。嘉永泰斗も自力に転じるが、脇本がバックからまくり一気。後ろの2人を連れ込んで、脇本が勝ち切った。
 「ちょっと後藤君が車間を空けていることに気づかなくて、車間を空けてしまった。射程圏にとらえるので精いっぱいだった。本来なら(後藤と)一緒に仕掛けていかないといけないんですけど。(感覚は)全然、良くなかったですね。(前回から使っている新車は)いろいろと収穫はあったと思うんですけど、まだまだ煮詰めていかないとなって思っています」
 近畿で上位を独占。山田久徳は直線で外から詰めるが、脇本に4分の3車身差。
 「いつもの脇本君っていう感じでした。もう脇本君しか見ていなかった。抜ける感じはしなかったですね。初日と今日(最終日)以外は自力で走って、着は良くなかったですけど内容というか、感覚はかなり良かった。ここから感覚的に上がっていきそうだなって思います」

<9R>

山田英明選手
山田英明選手
 8番手から上昇した杉浦侑吾に合わせて、荒川達郎も5番手から動き出す。赤板過ぎに荒川が先頭に立ち、杉浦は下げる。前受けの山崎賢人は、脚力をロスすることなく4番手を手に入れる。6番手の河端朋之に動きはなく、打鐘を通過。先行態勢の荒川が、そのままペースを上げて駆ける。杉浦は、8番手で動けない。4番手で車間を空けて最終ホームを通過した山崎は、詰める勢いで2コーナー手前からまくり上げる。バック手前で山崎があっさりと逃げる荒川をとらえて、続いた山田英明(写真)と直線勝負。ゴール前で山田が差し切った。
 「もう(山崎)賢人にお任せでした。荒川君も気持ちの入ったレースをしていたんで、(栃木勢を)出さないだろうなと。ジャンで荒川君が駆けたんで、自分たちに展開が向いたかなと。(山崎が仕掛ける時に)踏み込む雰囲気とかはつかめている。(山崎は)めちゃくちゃ強かったし、交わせるとは思わなかったです。(1着で)自分が一番ビックリしています。あとはラインとして、賢人が先手を取ったらなにかできたらいいなって。ラインとしてのフィーリングをもっと煮詰めていけたらいいなと思っています」
 4番手からまくった山崎賢人は、シリーズの4走で3度の2着。準決をふまえて、こう振り返る。
 「(4番手で)考えた通りの間合いでしたね。なにもせず4番手が取れて、普通に先まくりを打っただけですね。あれで差されちゃったので、自分も伸びしろというか、(現状では)まだまだだなって思いました。(今シリーズは)初日以外はとくに問題なく、いい感覚だった。準決は対応ができなかった。(菊池岳仁との位置の取り合いを)もう少ししっかりと対応していれば、チャンスはあったと思う。レース中の対応力が足りないなって感じました」

<10R>

寺崎浩平選手
寺崎浩平選手
 菊池岳仁が上昇すると、前受けの寺崎浩平(写真)が菊池の動きを警戒。それでも菊池が赤板で強引に切ると、打鐘手前で取鳥雄吾が叩いて主導権。岡山勢の後ろに浅井康太、室井蓮太朗の単騎の両者が切り替える。5番手になった菊池が最終ホーム付近から仕掛けるも、進みは鈍い。浅井も仕掛けようとするが、岩津裕介のけん制で勢いが止まる。すると、1センター過ぎから仕掛けた寺崎が大外からすさまじい勢いで迫り、前団をまくり切った。
 「(菊池と)踏み合わずに、(赤板でレースの)ペースを上げていこうと思いました。道中は余裕があったけど、まくりに行くのが下手でした。後ろがつきづらくなってしまいました。思っていた感じではなかったですけど、踏んだ瞬間に1着を獲れる感触はありました。乗っている感じは初日の方が感触が良かったですね。(今回は)決勝に乗れていないですし、それが現状(の状態)ですね。残りのGIはあと1つなので、しっかりとやるだけです」
 寺崎後位の競りは、最終2コーナーで南修二がしのいだが、寺崎の加速に反応できず。取鳥の先行に乗った岩津裕介が、寺崎に合わせて踏んで2着。
 「取鳥君がいい感じで踏んでいたので、(別線に)まくりに来られる感じはなかったですね。寺崎君を後方に置いていい形にはなりました。(浅井を外に)もっていって、そこで寺崎君と(最終)3コーナーで合う形になってくれればよかった。(寺崎が来て)待っていても来るので、踏ませてもらいました。(今シリーズは)武藤(龍生)君にセッティングを見てもらって、3日目からだいぶ良くなりました」

<11R>

深谷知広選手
深谷知広選手
 脇本勇希が赤板過ぎに勢いよく前を切ると、前受けから下げた町田太我と、山口拳矢で4番手が併走となる。脇本は打鐘過ぎから次第にペースを上げて先行態勢に入る。4番手の併走は最終2コーナーでも決着がつかず、8番手で脚を溜めていた深谷知広(写真)がバック手前から一気にまくり上げる。古性はバック付近から踏み込んで応戦する。が、深谷が3コーナー過ぎに前団をとらえると、直線では吉澤純平の追撃を振り切った。
 「(中団がもつれていて)行けるタイミングはあったんですけど、見てしまったのでまくりになりました。(踏み込んだ感触は)悪くなかったと思います。(初日と2日目の)2日間が番手だったので、(体力的には)ギリギリでしたけどなんとか。(準決勝は4着で)力のなさを感じました。(グランプリの権利は競輪祭が)最後のチャンスになると思うので、一戦一戦が勝負になると思うので頑張ります」
 深谷マークの吉澤純平が2着。ラインでワンツーが決まった。
 「(初手で)後ろになるよりはと思って(スタートを)一か八かで出てみたんですけど、(近畿勢が)出なかったのでいい位置が取れた。深谷君はずっといける感じでタイミングを取っていたので、自分は(踏み出しの)そこだけ集中していました。離れないように必死でした。(今シリーズは)脚力的には悪くなかったですけど、あまり3番手の経験がなくて、もっとうまく走れたら突っ込めたと思う。ラインをつぶさずにもっとうまく走れるようにしたい」

<12R>

石原颯選手
石原颯選手
 “新時代の幕開けだ”。地元で大挙、4人を決勝に送り込んだ8月の松山オールスターで、犬伏湧也が初戴冠。四国勢から久々のタイトルホルダーが生まれると、その勢いを今シリーズにもつなげて石原颯(写真)がGI初制覇を遂げた。
 「(4日間)後ろにも、前にも助けられて優勝ができた。(初タイトルは)信じられないです」
 GI初優出だったオールスターでは、石原が4車ラインの先頭を務めた。破壊力のある石原の一撃が、番手の犬伏に栄冠をもたらした。そして迎えた今シリーズの決勝は、石原、犬伏、松本貴治とオールスターと同じ3人が顔をそろえた。「(四国から)1人でも多くグランプリに連れていきたい」との犬伏の思いから、今度は犬伏、石原、松本の並びができあがった。
 「すごくタイトルに近い位置を回らせていただいたので、やっぱり周りには感謝しかないです」
 タイトルに近い位置であると同時に、別線にとってはもっと魅力的なポジション。狙われる可能性もあった。
 「犬伏さんが踏み上げながら、カマして行ってくれた。付いていきやすかったですし、スピードの乗りもすごく良かった。(それで木村)皆斗君も粘れなさそうな感じで踏んでいたので、(ラインの)3人で出切れたと思いました」
 今シリーズの台風の目ともなった木村が踏み上げるが、犬伏が圧倒的なパワーで一気にのみ込む。松本まで出切ったのもつかの間、石原は迷うことなく番手まくりを放った。
 「後ろを気にしたりする余裕はなかった。(最終)バックで車間が詰まりそうになったので、そこでバック踏むよりはと。(犬伏に)行ってもらっているので、勝たないと犬伏さんに申し訳ない。後ろが松本さんっていうのもわかっていた」
 番手まくりで先頭に立ってから、あと半周。3番手で吉田拓矢と郡司浩平が重なり、直線は石原と松本での初タイトル争いに絞られた。
 「僕か松本さんのどちらかが、獲れればいいなと。昨日(準決)タレちゃった分、今日は結構、踏み直せたかなと。(ゴールした瞬間は)松本さんも良かったって言ってくれたので、ありがたかったです」
 ガッツポーズのないウィニングランの最初の半周だったが、バック付近で松本が石原の肩に手をやると、ようやく石原がファンに応えて手を挙げた。
 「(タイトルホルダーとして)意識される側になるので、意識されても勝てるような脚力を身につけたい。(自分が競輪選手を目指した動機になったグランプリの舞台に)まさか立てるとは思ってなかったので頑張らないと。(競輪祭では)僕は松本さんにとってほしいので、出し惜しみすることなく主導権を取れればいいなって思います」
 犬伏、石原と四国勢が続けてGIを制したストーリーは、ここがエンディングではない。今度は競輪祭で松本がV。タイトルホルダー3人でのグランプリ。その時こそ、本格的な四国時代の到来を告げる。
 最終ホーム手前では郡司にからまれかけた松本貴治が、四国3番手を守り石原を追走。番手まくりの石原との直線勝負に持ち込んだが、1輪差まで詰めたところがゴールだった。
 「(犬伏は)いいペースで仕掛けくれて、僕までしっかり出切ることができた。それぞれが役割を果たして、(ラインとして)最高の結果じゃないですか。(昨年の寬仁親王牌の決勝は2着だったが)実力じゃないですかね。(次のGIの競輪祭は)ここまで心強い味方がいるので、自分もしっかりと頑張りたい。(石原が番手から出た時は)一瞬、出が悪くて、大丈夫かなと思ったけど、そのあとはきれいに回していました。全然抜けなかったです」
 四国勢の強襲に、吉田拓矢は4番手切り替えが精いっぱい。郡司との併走をこらえて3着に入ったが、四国勢を崩すことはできなかった。
 「(木村が前で頑張って)もうちょっとなにかしたかったですね。犬伏君のスピードが違いました。(松本)貴治さんのところにいければ良かったですけど、かみ合わなかった。(今回は)優勝しないといけないと思っていました。弥彦のファンの方が温かくて、声援をくれて力になりました」

次回のグレードレースは、「ゴールドカップレース(GIII)」が10月17日~20日、京王閣競輪場で開催されます。

吉田拓矢、阿部拓真の2人のS級S班が参戦。さらには共同通信社杯で吉田との連係でビッグ初制覇を遂げた佐々木悠葵、昨年の当所3日制のGIIIを制したホームの鈴木竜士ら関東勢が、他地区を迎え撃ちます。佐藤慎太郎、守澤太志、岩本俊介、稲川翔、市田龍生都、取鳥雄吾、石原颯、山崎賢人らとネームバリューのある選手がそろい、ナイターシリーズで見ごたえのバトルが展開されます。

10月8日時点の出場予定選手データを分析した京王閣競輪「ゴールドカップレース(GIII)」の主力メンバー及び狙い目選手を紹介する「プロスポーツ号外版」は以下をクリックしてください。

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