『第9回東西王座戦(GII)レポート』 最終日編
 
配信日:2月21日


 今年で9度目開催となるG2・東西王座戦。玉野競輪場を舞台に東西のトップレーサーたちが熱い戦いを繰り広げた。10R西王座戦決勝、11R東王座戦決勝は甲乙付けがたい熱戦に…。西は近畿三番手から鋭く追い込んだ市田佳寿浩、東は平原康多の番手を利した武田豊樹が王座に就き、目前に迫ったダービーに向け大きな弾みを付けた。

東王座決定戦 レース経過

 勢いよく飛び出した武田豊樹が誘導後位をキープすると、平原康多が武田の前に入る。平原―武田―神山雄一郎の関東ゴールデントリオが前団で、中団に海老根恵太―兵藤一也の即席ライン。山崎芳仁―伏見俊昭―成田和也の福島勢に佐藤友和も加わり北日本は4車で連係し、後攻めとなった。
 赤板前に山崎が上昇し、平原を押さえ込むと平原は中団までスンナリ車を下げた。打鐘前に海老根が中団のアウトから仕掛けると、山崎は突っ張って海老根を出させない。海老根が車を下げて、山崎が一瞬流したスキを逃さず平原がカマシを打つ。武田は付け切るも、神山は離れながらの追走。それでも神山は懸命に踏み込み、三番手に飛び付いた山崎を最終バック手前でキメて三番手を死守。山崎から切り替えた伏見が三角過ぎにまくり追い込みを図るが、武田が番手から合わせて踏み出すと、一気に加速し、後続を振り切り快勝。伏見も外から伸びるが、伏見後位から俊敏に中コースを突いた成田が2着に入った。

ゴール
ゴール
表彰式
最終ホーム攻防
表彰式
最終ホーム攻防

西王座決定戦 レース経過

 村上博幸が号砲と同時に踏み込んで誘導員後位へ。兄義弘を受けると、市田佳寿浩―前田拓也が続き近畿4車が前団。単騎の山口幸二が中団で様子見、小川勇介―園田匠の不動会コンビに岩津裕介―吉永好宏の中国両者が続いた。
 青板過ぎのバックから早くも小川が上昇し、赤板前には正攻法の村上義にフタをする。村上義が引かないと見るや、打鐘前に小川は誘導員を交わしてハナに立つ。ここで村上がすんなり引くと、山口が切り替えて小川ラインの五番手をキープ。村上義は六番手に抜け出すと、車間を切って仕掛けるタイミングを計る。村上が引き切ったのを確認した小川が最終ホーム手前から全開で駆けるも、一瞬先に踏み出していた村上義があっという間に小川を飲み込み主導権を奪取。近畿4車がきれいに出切って最終バックを通過。小川を捨てた園田がバックでまくり上げるも、市田のアウトまでが精一杯。番手から村上博が抜け出すも、園田を牽制してから外を踏み込んだ市田が、ゴール前鋭く伸び切って西王座戦初Vに輝いた。村上博が2着、市田マークの前田が3着で、村上義の男気のカマシで近畿勢が上位独占を決めた。

ゴール
ゴール
表彰式
胴上げ
表彰式
胴上げ


<5R>
深谷知広選手
深谷知広選手
   ただの“前座”とは言わせない。ナショナルチームで切磋琢磨する脇本雄太、坂本貴史、深谷知広(写真)の3人が火花を散らしたS級決勝。最終的に主導権を握ったのはホームでカマした深谷だ。最後までスピードは衰えず、念願のS級初優勝を達成した。
 「今日は坂本さんがやる気だったし、脇本さんも先行を狙ってくるだろうから、やり合ったところを叩く作戦でした。今回は調整途中での参加でしたが、思ったよりも仕上がってましたね。このメンバーで優勝できるとは思ってなかったので、素直に嬉しいです。G2開催でSS班の選手が全員いる開催だったので、見ているだけでも楽しかったし、自分がまだ到底敵わないということもよく分かりました。この優勝で次のステップに進めたので、これからビッグレースで活躍できるよう練習するしかないですね」
 脇本雄太は「悔しいですね。深谷君にあっさり行かれてしまった。でも、この一戦は僕にとって大きかったですね。初めての決勝戦がこういうレースだったのは自信になると思います」と笑顔を見せる。


<6R>
坂上樹大選手
坂上樹大選手
   坂上兄弟のワンツーで決着。先行した菅田壱道の番手から抜け出した坂上忠克と坂上樹大(写真)の踏み合いは、樹大に軍配が上がった。
 「昨日、情けないレースをしてしまったので、今日は僕が後ろになりましたけど、兄貴の走りをしっかりと見ることができました。内を締めて回ってたのでキツかったですけどね。補充だったけど、2走できたし最終日に勝てたことで収穫はありました」


<7R>
神山拓弥選手
神山拓弥選手
   出入りの激しい展開となったが、強引に位置をさばいた神山拓弥(写真)が抜け出して快勝。三日間を最高の形で締めくくった。
 「今回は疲れましたね。メンバーがメンバーだから、普段のS級シリーズと同じ3日なのに、全然違いましたよ。今日は被されちゃったので、ああするしかなかった。うまく差し込まれて、強引に(中井を)持って行くこともできませんでしたからね。次走もまた頑張るだけです」


<8R>
坂本亮馬選手
坂本亮馬選手
   中団から得意のまくりで勝ち星を仕留めた坂本亮馬(写真)にようやく笑顔が戻った。
 「今日になってやっとまともな競輪ができた感じ。初日、二日目は二段駆け、三段駆けでタテもヨコもの競走でしたからね。今日はメンバーを見た時点でやりやすいと思いました。レースも持ち味を生かせる展開になりました。出足はちょっと出なかったけど、ブロックもうまくしのげました」
 2着に続いた佐藤慎太郎は「坂本君は強いね。踏み出しの時点できつかった」と脱帽する。


<9R>
小野大介選手
小野大介選手
   4車そろった中部勢に人気は集中。だが栗田雅也が分断策に出たことで展開は大きく乱れた。最終的には浅井康太が自力に転じ、これを追った小野大介(写真)がSS班勢を相手に金星を挙げる。
 「今日は前を取って粘ることも考えていたんですけど、下げて様子を見た方が良いと判断を変えました。2コーナーぐらいで行こうと思ったんですけど、前が仕掛ける雰囲気もあったので、待ってからですね。勝てたのはタマタマですけど、僕にとってこの1着は大きいですよ」
 浅井康太は「前が入られたのが見えたので、外して見ていたらグンと詰まってしまったので、そのまま踏んでいった感じ。永井さんが駆けているので気にしながらになってしまったのが…」と振り返った。


<10R>
村上義弘選手
村上義弘選手
園田匠選手 園田匠選手
   いよいよ西の決勝戦。九州勢を強引に叩いて村上義弘が先制すると、近畿4車がきれいに出切った。いち早く抜け出した市田佳寿浩がV。村上博幸は悔しい2着。「何も言うことはない。脚不足です」と唇を噛みしめた。
 先行した村上義弘(写真)も悔しさを隠せない。
 「僕に脚がなかっただけのこと。博幸も僕も。今のままでは勝てないね。でも勝負できる手応えはあるので、もっと練習するだけです」
 園田匠(写真)も自ら踏んで見せ場を作った。
 「作戦は小川に任せていたので、あとは自分が勝てるように走ったつもりです。もう少し待てば面白かったかな。ビックの決勝を経験したことは僕にとっても大きな財産になったと思うし、また上を目指して常に1着を狙う競走を心がけます」
 地元の岩津裕介は「自分のできることは全てやったし、これが今の力だから仕方ない」。


<11R>
平原康多選手
平原康多選手
山崎芳仁選手
山崎芳仁選手
成田和也選手
成田和也選手
   最終レースは東王座戦の決勝。SS班7名を筆頭に覇を競うハイレベルな戦いとなったが、平原康多の先行を利した武田豊樹が快勝した。勝利に貢献した平原康多(写真)は「今日は気持ちの良いレースでした。山崎さんと力勝負できましたからね。でも今日は着に残るのは厳しいな。打鐘から全開ですからね。でも、これで勝負できるように練習するだけです。このままダービーに向けて頑張りたいですね」と笑顔で競輪場を後にした。
 山崎芳仁(写真)は海老根恵太の仕掛けを突っ張ったが、ホームで平原に叩かれて万事休す…。
 「海老根さんを出させたら、平原がカマしちゃうだけ。それじゃどうしようもないから突っ張りました。感じは悪くなかったし、叩かれてもう一回踏もうとしたんですけどね。でも仕方ない。次は苦手な松戸なので、何とかできるよう頑張りますよ」
 成田和也(写真)は直線で内のコースを抜けて連にからんだ。
 「良く伸びたと思うし、何とか勝ちたかったけど。向日町記念の時はどうなるかって感じの状態だったけど、よく立て直せました」
 最終的には自分で仕掛けた伏見俊昭。難しい判断を迫られた。
 「山崎君を入れてからだと、僕も間に合わなかったでしょうね。グランプリと同じような展開になったので、ちょっとそれが頭をよぎりましたけどね。4コーナーから外にスライスしてしまったのが痛かったな」

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情報提供:日刊プロスポーツ新聞社
写真撮影:日刊プロスポーツ新聞社 Takuto Nakamura
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