『第5回ウィナーズカップ(GII)レポート』 最終日編

配信日:3月28日

 松阪競輪場で開催された「第5回ウィナーズカップ(GII)」は、3月28日に最終日が行われた。S級S班4人が勝ち上がった決勝では、松浦悠士のまくりを追い込んだ清水裕友がV。昨年7月のサマーナイトフェスティバル以来、3度目のビッグ制覇で優勝賞金2170万円(副賞含む)を獲得した。また、「ガールズケイリンコレクション2021松阪ステージ」は、児玉碧衣がカマシ気味にまくって通算100回目の優勝で賞金215万円(副賞含む)を手にした。

決勝戦 レース経過

 号砲で郡司浩平が勢い良く飛び出し、深谷知広との南関勢が前受け。深谷-郡司、松浦悠士-清水裕友、山田英明、高橋晋也-守澤太志、古性優作-稲川翔の並びがすんなり決まって周回を重ねていく。青板2コーナーで古性が動く。3コーナーで前団に並び掛けた大阪コンビに、北勢も切り替えていく。2列併走の隊形から赤板を迎えたところで古性が誘導を切って前に出る。深谷は引く一方、すかさず高橋が古性を押さえて1センターから主導権を奪取。古性が3番手で、松浦が5番手、山田は7番手、深谷は8番手に。打鐘が鳴って松浦が一気に仕掛ける。察知した高橋もペースアップ。しかし、守澤は踏み出しで口が空き、松浦は4コーナーで高橋の番手に割り込む。遅れた守澤は清水と並走し、その後位に山田、さらに古性となって深谷は依然8番手で最終ホーム。2コーナーに入ると、敵の反撃を待たずに松浦は番手まくりを敢行する。山田、古性は直線勝負となり、深谷は不発で郡司は3コーナーからインへ切り込む。そのまま松浦を先頭に直線に戻ってきて、好追の清水が抜け出してV。山田の内のコースを突いて伸びた古性が2着に入った。松浦はゴール前で失速して3着。







ガールズケイリンコレクション2021 松阪ステージ レース経過

 やや見合ったスタートから佐藤水菜が出て行く。以下は坂口楓華、梅川風子、石井貴子、児玉碧衣、鈴木美教、高木真備で隊列はすぐに整い周回を重ねる。打鐘手前で高木が動いて児玉に並び掛けると、児玉は高木を前に入れて6番手に下げる。この態勢で3コーナーに入ったところで誘導が外れ、押し出される格好で佐藤が主導権を握る。まだ各車けん制し合うなか、最終ホーム入り口から児玉がスパート。合わせて佐藤も一気にペースを上げる。前団に上がってくる児玉には鈴木が続くが、石井が飛び付きに来て、内の梅川も含めて児玉後位が3車併走となった最終1コーナーでアクシデントが発生。梅川が落車して高木も乗り上げる。落車を避けた石井、鈴木も児玉に離れ、2コーナーでまくり切った児玉には、逃げる佐藤の2番手から坂口がスイッチ。児玉が抜け出し、その後位が坂口と内で抵抗する佐藤で併走して直線へ。佐藤を振り切った坂口が児玉に詰め寄るが、児玉が余裕を持って押し切った。





<4R>

山田久徳選手
山田久徳選手
 黒沢征治を宮本隼輔が突っ張り、打鐘から両者の踏み合い。7番手の稲毛健太が4コーナーから反撃に出る。黒沢との連結を外した阿部力也だったが、山田久徳(写真)をさばいて稲毛に切り替える。張られた山田だったが、阿部後位に入り態勢を立て直して直線で突き抜けた。
 「(阿部に張られたところは)スピードが合ってしまって、僕の技術じゃ対応できなかった。連係を外してしまったんで、反省ですね。初日から感触は良かったし、あとはもうちょっとなにか足りない。ちょっとした判断とかも。ただ、いい材料も見つかったし、自分にとってはいい開催でした」
 山田を張って稲毛にスイッチした阿部力也は、山田に伸び負けして2着。
 「黒沢が頑張ってくれたんだけど、(宮本に)突っ張られるとは思ってなかった。黒沢もキツそうだったんで、そこからは体が反応した。自分の感じとしては、日に日に良くなっていった」

<7R>

渡邉一成選手
渡邉一成選手
 赤板の1コーナーで出た上田尭弥を寺崎浩平が最終ホームで叩いて逃げる。寺崎のスピードはすさまじく、踏み出しで口が空いた吉田敏洋は懸命に追いかける。中団を確保していた渡邉一成(写真)は、最終2コーナーから車間を詰める勢いで猛追。4コーナーから中近両者を一気に抜き去った。
 「(寺崎が行った時は)いっぱいで、横を通過していきましたね。(吉田が)降りてこないでと思いながら、あとは園田(匠)さんに合わないように、吉田さんに合わないようようにでした。あんだけ(寺崎が)ダッシュ良かったら、みんなキツかったと思う。今回は練習をしすぎたのと、花粉症がひどかった。練習はしてきたし、それがこの次とその先のダービーに向けて出れば」
 芦澤辰弘は渡邉のまくりに離れながらも懸命に追いかけて2着をキープした。
「(渡邉に付いて)いい経験をさせてもらいました。半車身ずっと離れていたし、やっぱりすごい」

<9R>

児玉碧衣選手
児玉碧衣選手
 打鐘過ぎでスローペースになると、4コーナーの下りを使って児玉碧衣(写真)が一気のスパート。児玉を追った鈴木美教は踏み出しで口が空き、最終1センターで石井貴子、梅川風子が重なり梅川が落車。高木真備も避け切れずに乗り上げる。2コーナー付近で逃げる佐藤をとらえた児玉が、そのまま力強く押し切った。
 「ホッとしました。風もあんまり感じず、バンクも軽かったので走りやすかった。雨が降ってた時点で、もう自分で1周行くつもりだった。誰がコケたかわからずにそのままゴールまで踏み続けた。ゴール前で5番車(坂口楓華)が見えたんで、楓華だったんだと。(通算100回目の優勝は)知らなかった。数字だけを見れば、いい成績ばっかり出してるんだなって感じです。まずは大きいレースを取ったので少し気持ちに余裕が出て、いろいろレースで試す余裕もあるのかと」
 坂口楓華は、児玉の後ろにスイッチしてから抜けなかったことの敗因を分析した。
 「いい展開になったけど、最後に気持ちで勝てなかった。脚に余裕もあったし、抜けると思ったんですけど。自分の力を信じてなかったのが残念でした。メンタルが脚に追いついていない。メンタルとのギャップが激しくて、そこにやられました。これからも(ビッグレースに)出続けられるように頑張りたい。勝ちにいきたい」
 先行した佐藤水菜だが、思い描いていた展開とはいかなかったようだ。
 「前受けをする準備はしてきました。2番車(児玉)が見えたので、来るかなって準備していて、出そうと思っている間に5番車(坂口)がいたと思って、どうすることもできなかった。(児玉の)番手にはまろうと思っていましたね。脚を溜めるの得意なのでそこからと」


<10R>

諸橋愛選手
諸橋愛選手
 前受けの取鳥雄吾は、赤板過ぎから絶妙にペースを上げて先行態勢を取る。それでも野口裕史が仕掛けてくるが、合わせ切った取鳥が主導権をキープする。山口拳矢は内に詰まり、単騎でまくりを打った山本伸一に乗るように、吉澤純平もその上をまくり上げる。吉澤後位から追い込んだ諸橋愛(写真)が1着。
 「昨日(3日目)の朝は体が重かったんですけど、今日はアップしてても違うぞって感じでイケる感じだった。どんな展開でもっていうのがあって、ゾーンに入っていた。たまにあるんですよね、20回走って1回くらいかな、こんなことが。(吉澤)純平が押さえに行かない時点でどうかなっていうのもあったけど、展開にも恵まれた」
 シンガリに沈んだ取鳥雄吾だが、野口との主導権争いを制して、先行選手としての意地を見せた。
 「山口君が先切りにきたんで、それならみんなまとめて自分がっていう思いでした。自分は初日に情けなかったし、(山田)庸平さんにも迷惑を掛けてしまったこともある。あとはあれで3着までに入れるようにならないと」

<11R>

新山響平選手
新山響平選手
 1位入線の平原康多は打鐘で松本貴治を押圧して失格。打鐘先行で2位入線の新山響平(写真)が、繰り上がりで1着となった。
 「(繰り上がりで)1着だけど、平原さんは(シューズの)サンが割れているような感じだったので、抜かれて悔しい。隙をつくってしまいましたね。平原さんを後方にしたかったので、追走させないように行きたかった。(佐々木)雄一さんに、競輪祭より(追走が)キツくなっていると言われたので、(新車は)もうちょっといじってみたいですね。今回も先行した感じは悪くなかった。GIの決勝はまだ1回しかないし、これからはもっと乗れるようになっていきたい」

<12R>

清水裕友選手
清水裕友選手
 後ろ攻めから切った古性優作を高橋晋也が赤板の2コーナーで押さえて主導権を取る。5番手となった松浦悠士が打鐘の3コーナーから早めの反撃に出ると、高橋の番手に追い上げる形からまくって最終バックを先頭で通過。続いた清水裕友(写真)が直線で鋭く追い込んだ。
 「めちゃくちゃうれしい。今までで一番うれしい。(去年のダメな時は)気持ちが抜けてました。いろいろ試行錯誤をして、なかなか我慢できずに投げ出して、うまく自分の形にできなかった。それが今年になって身になって結果が出だした。悪い時は悪い時でこんなもんっていうのもあったけど、いま思うと苦しかった。こうして結果が出るとうれしい。内に守澤(太志)さんがいたのが気になって、あたられても対処できるように回ってた。松浦さんを残すとか余裕がなく、遠慮なく行かせてもらった」
 2着には直線で内のコースを伸びた古性優作が入る。
 「初手が失敗して想定外。(高橋が)どんどん駆けて行くと思って車間を切れなかった。ミスをしたし、稲川(翔)さんに申しわけない。松浦が来るのは、さすが過ぎる。想定よりもツーテンポ早かった。(最終)バックからは外を踏んでも伸びなかったので、もう1回3コーナーで態勢を立て直して内に行くしかないと今日(最終日)が一番感触は良かったので、次につながる」
 打鐘から迫力ある攻めで大立ち回りを披露した松浦悠士が3着に粘り込む。
 「深谷(知広)さんが行く前に叩くつもりで行った。守澤さんが空いて入ったけど、(最終)バックは取ろうと思っていた。脚はたまってなかったけど、待ち過ぎたら行かれてしまう。(決勝では)体重が戻っていつも通りの走りができた。今回の状態で確定板に乗れたのは自信になる。(清水と)2人で確定板に乗れたのはうれしい」

次回のグレードレースは、四日市競輪GIII「ベイサイドナイトドリーム」が4月3日~6日の日程で行われます。 S級S班の和田健太郎、松浦悠士、平原康多、守澤太志の4名が参戦する豪華メンバーに加え、浅井康太、柴崎淳、皿屋豊らの地元勢にも注目です。
ガールズは3R4日制で行われ、3月の宇都宮を制した石井寛子に注目です。
3月21日時点の出場予定選手データを分析した、四日市競輪GIII「ベイサイドナイトドリーム」の主力メンバー及び狙い目選手を紹介する「プロスポーツ号外版」は以下をクリックしてください。

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