『第6回ウィナーズカップ(GII)レポート』 初日編

配信日:3月18日

 宇都宮競輪場を舞台に「第6回ウィナーズカップ(GII)」が、3月18日に幕を開けた。メインの特選では清水裕友、松浦悠士、井上昌己が勝ち星を挙げた。また、地元勢は坂井洋、隅田洋介、磯田旭、眞杉匠が4人が、1着で一次予選を突破。磯田が1着の6レースでは、3連単で100万円を超える配当が飛び出して、GIIの最高払い戻し記録が塗り替えられた。3月19日の2日目には初日特選を勝ち上がった9選手による「毘沙門天賞」が行われる。
 なお、宇都宮競輪場では「競輪・オートレースにおける新型コロナウイルス感染症感染拡大予防ガイドライン」に沿った開催となりますので、ご協力とご理解をお願いいたします。また、テレビ、インターネット中継などでの観戦もお楽しみください。

<1R>

岩本俊介選手
岩本俊介選手
 打鐘の3コーナーで末木浩二が押さえて出ると、岩本俊介(写真)が関東勢に続く。前受けの石原颯はすんなりと7番手まで下げて、隊列は一本棒で最終ホームを迎える。末木がペースを上げて風を切る。4番手を確保した岩本は、2コーナーからまくりを打って前団をとらえる。阿部大樹が踏み込んで、岩本後位に飛び付き松谷秀幸と併走。岩本が長い直線を踏ん張って1着。
 「石原君がはっきりしたレースをした。(石原が)全引きするとは思っていなくかった。石原君の動きを見てしっかり仕掛けられたと思います。(踏み込んだ感触は)雨でわかりにくかったですけど、いつもと同じ感じでしたね」
 岩本がまくり切ると、阿部との併走になった松谷秀幸が流れ込んで2着。
 「岩本君がうまく走ってくれましたね。石原君ラインの後ろからが良かった。前を取ってくれれば一番いいなって思っていました。阿部君が岩本君か自分のところに来ると思ったので、ツケマイで行こうと。3コーナーで脚を使ってしまったのは課題ですけど、前回から良くなってきています」

<2R>

山崎賢人選手
山崎賢人選手
 菊池岳仁がペースを握るが後続がもつれる。前受けから後方まで下げた山崎賢人(写真)は、最終ホームを通過して1センターから発進。スピードの違いで2コーナー過ぎに菊池をつかまえて、あとは後続を離してセーフティーリード。余裕をもってゴールを駆け抜けた。
 「(展開が)ああなったら菊池が前にいるんで、もう誰も動かないかなと。(中団で)競ってたのも自分にプラスでした。感触も良かったし、スピード差もあったんで余裕をもって走れた。ただ、(仕掛ける)タイミングが後ろに迷惑を掛けるような感じになってしまった。上位のレースになってくると、そこが(勝負の)分かれて道になるので、タイミングですね」
 山崎の“時間差攻撃”に踏み出しで遅れた小倉竜二は、菊池の後ろに入って小休止。三谷竜生をさばいて、4車身差の2着でラインで上位を独占した。
 「(山崎は)戦法的にあれしかないんで、たぶん8番手になると思ってました。1つ注文をつけるならバックだけは入れないようにと思ってたけど、そうなってしまった。流れに乗ってからだったら、付いていけてたと思う。リカバリーできたけど、単調なレースになると脚の差が出る。体調に関して大丈夫です」

<3R>

坂井洋選手
坂井洋選手
  中部コンビが押さえて出る。坂井洋(写真)はワンテンポ遅れ来た太田竜馬をけん制して、絶好のポジションをキープする。3番手で車間を空けた坂井は、最終2コーナー手前からのまくりで1着。地元のビッグで幸先のいいスタートを切った。
 「取れたら前からで、セオリー通り早めならカマそうと思っていました。(山田諒が)ゆっくりきたのでセンターなら突っ張らないといけないなって思ったんですけど。(太田が)付いてこなくてラッキーでした。一本棒になったので(別線が)先に来ることはないと思ったんですけど、(ラインの)3人でって考えたら、早めだと思うんで1センターくらいから行きました」
 浮いた太田竜馬は、7番手に引いて脚をためる。まくり追い込みで強襲も僅差の2着。
 「(山田諒の切る)スピードが良かったので遅れてしまいました。車間が空いてしまってフワッとされた。ああなった以上は落ち着こうと。伸び自体は、問題ないんで。もうちょっと反応良く動けるようにしたい」

<4R>

隅田洋介選手
隅田洋介選手
  打鐘を通過して、6番手の寺崎浩平が反撃のタイミングを取る。近藤隆司のペースも上がらず、2センターから寺崎が仕掛ける。後位の競りは東口善朋に押し込まれた佐々木龍がその後に芦澤大輔と接触して、芦澤が落車。寺崎、東口で出切り、遅れた三谷将太が千葉勢をさばいてドッキング。だが、落ち着いて前団の様子をうかがった隅田洋介(写真)が、まくり追い込みで突き抜けた。
 「(寺崎が)カマしてきた時に(隊列が)ほどけてましたよね。3車できれいに出切ってたし、どうかなと思った。(最終)2コーナー過ぎからは、いつでも行けるタイミングは取ってた。名古屋記念(の準決)で東口さんのブロックと前に踏まれたことがよぎったので、2センターでは並べるようにと思ってました。明日(2日目)、明後日が勝負だと思うし、自分の力がどれだけ通用するか試してみたい」
 寺崎の番手を守った東口善朋は、隅田、杉森輝大を止められずも3着。
 「(佐々木に)競られに来るってことは、甘くみられているところがある。負けられない気持ちで走りました。近畿で上で戦っていこうと思ったら、見せて勝たないと。結果、勝ちましたけど。そのあとさすがに隅田君をどうにかできなかった。気持ちも脚も仕上がってると思います」

<5R>

小松崎大地選手
小松崎大地選手
 打鐘の4コーナー手前で先頭に立った松井宏佑が、後続を一本棒にして駆ける。4番手の原口昌平が、最終2コーナー過ぎから仕掛けるが不発。後方に置かれた小松崎大地(写真)だったが、短くなった隊列を直線でのみ込んだ。
 「ほかのラインの出方次第でいろいろと考えていました。ちょっと立ち遅れてしまったので、一発で仕留めないとなって思っていました。悪くないと思います」
 駆けた松井の番手で好展開が訪れた鈴木裕が、直線で差し脚を伸ばすも2着。
 「(松井は)もうちょい落ち着いてもいいかなって思ったんですけど、無理やり叩きにいってくれた。原口君が止まってのは見えたんですけど、その外を小松崎さんが来てしまったので、なにもできなかった。あそこで振っても止められないし、もう少し(松井を)残し気味に踏めば良かったのかな。タラレバですけど…」

<6R>

磯田旭選手
磯田旭選手
 中団の島川将貴が先に切って、中部勢、単騎の高橋陽介まで受けて4番手。人気の吉田有希は、7番手からの巻き返しを強いられる。最終ホームで外に持ち出した吉田は、自転車がなかなか進まない。吉田ライン3番手の磯田旭(写真)は、最終バックを通過しても9番手。吉田が不発で共倒れかに思われたが、2セターからインを突いて直線で中のコースを突き抜けた。3連単は100万円超の配当を演出した磯田が、地元で通算200勝を飾った。
 「吉田が先行してくれる作戦だったと思います。(9番手でしたけど)ギリギリまで待って走りました。(そこから最終2センターくらいで踏んでいって)そうですね、届いて良かった。ラインのおかげです。(通算200勝を地元でっていう思いは)とくになにも考えてなかった。頑張ろうと思ってやってます」
 単騎の高橋陽介は、思惑通り中部勢の3番手からレースを運ぶ。直線で柴崎淳の外を追い込んだ。
 「イメージ通りの展開でした。竹内(雄作)が絶対に先行すると思った。その3番手から勝負しようと思ってました。(初日を走るまでは)正直、不安しかなかった。前回(西武園)復帰したばかりで調子も良くなくて、ビッグも(20年10月の寛仁親王牌以来)1年半ぶりくらいですから。これで不安が消えて、気持ちの余裕が出てきました」

<7R>

深谷知広選手
深谷知広選手
 打鐘の4コーナーから深谷知広(写真)がスパートするが、高橋晋也も合わせて逃げる。浮いた深谷は、最終1センター過ぎに5番手に入り立て直す。脚を使わされた深谷だったが、3コーナー過ぎから外を踏み込む。4番手の野田源一も持ち出して、あおりもあった深谷だがゴールできっちり届いた。
 「(高橋)晋也君がすごい踏み出しだった。そこで負けてしまって、和田(真久留)君に入れてもらえて、チャンスをもらえました。自分のデキが良くなくて、踏み出しも反応もイメージとズレがありました。位置を取ってくれたので、なんとか立て直せました。もっと早く行くべきでしたけど、立て直すのに時間がかかってしまいました」
 阿部力也は、後続との間合いを計って追い込むも2着。
 「高橋君がすごくいいレースをしてくれました。しっかり深谷君を出させないように。もし出られたら自分がなんとかしようとは思っていたんですけど、ダッシュが良くて深谷君を合わせていましたし強かったですね。もう少し早くまくりに来てくれれば、なんとかできたかもしれない。脚の状態はいいと思います」

<8R>

眞杉匠選手
眞杉匠選手
 打鐘の2センターで坂本周作が主導権を握るが、眞杉匠(写真)もすかさず巻き返す。坂本がアクセル全開で眞杉にとっては厳しい流れになったが、最終バック手前でまくり切って1着。
 「引いて(最終)ホームでカマすって感じだったんですけど。全然、要所、要所で遅れちゃった。同期(上田尭弥)とは走りたくないですね。いつもと違うレースになっちゃうじゃないですか。今日(初日)は緊張のせいなのか体がフワフワして力が入らなかった。レースになれば大丈夫と思ったんですけど。(練習は)バイクで引いてもらったりして、ここに入る1週間前くらいでいい感じに仕上がっちゃった。早すぎたかなと。ただ、今日でアタリがついたんで大丈夫だと思う」
 最終ホームで中本匠栄のけん制もあった神山拓弥だったが、眞杉との連結を外すことなく地元のワンツー。
 「(眞杉も)相当苦しかったんじゃないですか。頑張ってくれました。自分はいままでの人生で5番目くらいに緊張した(笑)。危なかった。(地元のビッグで)気にしないようにはしてたんですけど。もう(最終)バックくらいでいっぱいでした。キツかった」

<9R>

脇本雄太選手
脇本雄太選手
 打鐘手前で動き出した岩谷拓磨だったが、脇本雄太(写真)も前でペースを上げる。しかしながら、最終ホーム手前からダッシュを利かせた岩谷が1センターで出切り、脇本は4番手。脇本が空いた車間を詰めて一気のまくりで人気に応えた。
 「前を取らされる形になったので、早めに車間を切ってレースを早く動かそうと思っていました。ジャンがなった時点で突っ張ろうと思ったんですけど、改めて競りって後ろが見えないなって痛感しました。自分の失敗ですね。競りで形態が短くなったので、落ち着いて詰まったところで行こうと思っていました。踏んだ感じから仕上がっていないなっていうのがあって、今節中にその心配をとるのは難しいので、できる限りカバーできるように」
 永澤剛との競りになった浅井康太は、最終2コーナー手前で脇本後位を明け渡したもののシャープに伸びた。
 「脇本君が(打鐘の)4コーナーから踏み込んでいくと思ったんですけどね。バックを踏んでからの対応が失敗でした。(最終)ホームではもう出させないと思っていた。半分突っ込む感じで立て直しに遅れました。絶対絶命というか厳しい展開になりましたけど、人気には結果で応えられたのかなって思います」

<10R>

清水裕友選手
清水裕友選手
 打鐘の2センターで新田祐大が切ったかに見えたが、内から北津留翼が盛り返す。両者で踏み合ったところをタイミング良く取鳥雄吾が踏んで主導権。中四国ラインで出切り、4番手が北津留と新田で併走になる。外併走から新田がまくると、清水裕友(写真)が最終バック過ぎから番手まくりで勝ち切った。
 「(取鳥)雄吾も新田さん、北津留さんの踏み合いの上を行ったんで、脚を使ったのかなと。自分は新田さんを合わせることができたんで、状態は悪くないと思います。悪かったら新田さんに行かれてたと。本当に雄吾のおかげです。(この1着が)キッカケになればいいけど」
 中四国3番手の門田凌は、清水に流れ込んで2着。ラインの力を強調して、2人に感謝しきり。
 「本当に僕は付いてただけなんで。(取鳥、清水の)前で頑張れるくらいの脚は付けたい。2人のおかげ。雄吾の男気ですね。そのおかげで自分は明日(2日目)につながった。一瞬、新田さんが来た時はかぶるかと思ったけど、やっぱり(清水は)強かった。自分は出だしにちぎれかけたけど、2着なんで文句ないです」
 単騎の郡司浩平は最終ホームで8番手。追走した福島コンビが不発になると、冷静に内に入り3着に入った。
 「もうちょっといい位置にいなきゃいけないんですけど、なにもしないであの位置になったんでレースが見えてなかった。新田さんが行き切っちゃえば、そこに付いていこうと。清水が合わせたんで、切り替える準備をしていた。そこら辺は余裕があった。前々に動くことができなかったんで、そこが悔やまれます。(状態は)いい意味で変わらず。ちょっと重たさがあるけど、良くなるような、抜けてくるような感じがあります」

<11R>

松浦悠士選手
松浦悠士選手
 松本秀之介、長島大介の順番で切ったところを中近勢が叩いて主導権。松浦悠士(写真)が素早く反応して、4番手に追い上げる。逃げる中西大の後ろで古性優作は後続との間合いを取る。松浦は車間を詰めながらまくり追い込みで踏み合いを制した。
 「あの辺(4番手に追い上げた)はスイッチできるスピードとタイミングだった。長島さんと併走になったら外併走でもいいと思った。アップの初めはフワフワしていたんですけど、終わりの方に仕上がった。緊張はしましたけど、スタートしてからは軽かった。古性君の上を行けているので悪くないと思います。もしかしたら名古屋よりもいいかもしれないですね」
 引きつけた古性優作だったが、松浦の加速力に2着。
 「(中西の)追走に集中していました。すごいいいレースをしてくれたんですけど、松浦君がうまかったですね。(最終)3コーナーまでに来てくれればやりやすかったんですけど、直線で来られてしまったのでどうしようもなかったす」
 地元の長島大介は最終2コーナーで原田研太朗を弾いて松浦後位を確保。3着に入り、2日目の「毘沙門天賞」進出を決めた。
 「近畿勢の後ろから行こうと思っていたので、一番いい形になりました。松浦さんに入られてしまったのは失敗ですけど。予想はそれで宿口(陽一)さんとって思っていました。(状態面は)全然、問題ないですね。あとはレース勘だけだと思っていました」

<12R>

井上昌己選手
井上昌己選手
 周回中で5番手に位置した町田太我は、思惑通り岡崎智哉が切った上を出て先行策。落ち着いたペース配分で掛かりも良く、最終バックを過ぎても別線は動けない。番手の井上昌己(写真)が好展開をモノにした。
 「(町田が)強かったです。ワンツーなんで言うことないです。(最終)バックで誰か来ると思ったけど、誰も来なくて町田君のペースでした。(自分の状態は)悪くないと思います」
 関東のSSコンビ、新山響平らをシャットアウトした町田太我は、笑顔で振り返る。
 「理想の展開でした。岡崎さんが切ってくれたところに乗って、あとは新山さんが来るかどうかだった。(新山が)来なかったので、自分のペースで駆けられました。自分では寒いのが得意な方だと思っている。だから前でしっかりと駆けたら、いいことになるんじゃないかと思ってたんで良かったです。感じもすごく良かった」
 5番手の吉田拓矢は外を伸びるも仕掛けが遅く3着。
 「なるべく前は取りたくなかったんですけど、(別線が)出る気配がなかったんで仕方なくでした。展開も読めなくて難しかった。自分にもうちょっと(仕掛けて)行く勇気があれば…。町田君の掛かりが良かったし、僕の出も悪かった。部品を換えてたところがあったんですけど、マッチしなかったので(2日目は)戻して走りたい」