『第6回ウィナーズカップ(GII)レポート』 最終日編

配信日:3月21日

 宇都宮競輪場で開催された「第6回ウィナーズカップ(GII)」は、3月21日に最終日が行われた。決勝は太田竜馬がハイペースで飛ばして主導権。中四国ライン3番手の清水裕友が、番手まくりの松浦悠士を差し切りV。昨年のウィナーズカップ以来、通算4度目のビッグ制覇で連覇を飾り、優勝賞金2279万円(副賞含む)を獲得した。また、「ガールズケイリンコレクション2022宇都宮ステージ」は、石井寛子が2番手からの追い込みで制した。

決勝戦 レース経過

 号砲で古性優作、深谷知広、成田和也が飛び出し深谷が誘導員の後ろを占めた。深谷-成田の即席ラインが前を固め、その後ろは脇本雄太-古性-浅井康太の中近勢。太田竜馬-松浦悠士-清水裕友の中四国勢が後ろ攻めとなり、単騎の神山拓弥が最後方。
 打鐘前の2コーナーあたりから脇本が前との車間を徐々に空けはじめると、太田はバックで踏み上げて主導権を奪いに出た。3番手の脇本、正攻法の深谷も抵抗せず、太田はジャンの2センターで先頭に躍り出ると、松浦-清水に単騎の神山も続く。深谷は5番手まで車を下げ、脇本は7番手となって最終ホームを通過する。太田はハイピッチでブンブン飛ばしたため、5番手の深谷は前と3車身、脇本は前と5車身ほど車間が空いた7番手。太田はまったく緩めずに駆けたので後続は仕掛けられずにいたが、最終バック線あたりから松浦が番手まくりを敢行。相変わらず深谷、脇本は動けない。松浦-清水、神山で直線に入ると、番手の清水が松浦を楽に交わして昨年に続きウィナーズカップ連覇を達成した。松浦が2着に粘り、ゴール前で神山を交わした深谷が3着に入った。






ガールズケイリンコレクション2022 宇都宮ステージ レース経過

 初周のバックですんなり尾方真生、石井寛子、梅川風子、佐藤水菜、児玉碧衣、小林優香、高木真備の一本棒となり、しばらくは動きがなく周回が続く。
 ジャン前からゆっくりと高木が踏み上げ、佐藤の後ろがイン児玉、アウト高木で併走となった。残り1周で誘導員が退避したが、誰もアクションは起こさない。相変わらず佐藤の後ろはイン児玉、アウト高木で併走のまま。後続の出方を窺っていた尾方は、1センターで腹をくくり猛ダッシュ、一気にペースが上がる。石井がぴったり続き、3、4車身空いて梅川、佐藤、イン児玉、アウト高木、小林の態勢でバックを通過。ようやく2センターで梅川と佐藤が踏み込むが、逃げた尾方の掛かりがいい。2番手の石井が展開有利に抜け出してV。佐藤は直線で鋭く伸びるも8分の1輪及ばす2着。梅川は伸び一息で、3コーナーから踏み上げていた小林が佐藤に追い上げマークの形となり3着に入った。児玉は内に詰まったままでまったく力を出せずに終わった。





<6R>

山崎賢人選手
山崎賢人選手
 打鐘過ぎに岡崎智哉を町田太我が突っ張るが、岡崎が再度踏み込むと町田は下げて岡崎が主導権を奪う。最終ホーム過ぎに新山響平が、俊敏に3番手にスイッチ。前団の様子をうかがいタイミングを取っていた山崎賢人(写真)は、8番手から1センターでまくり上げる。新山も合わせて出て、スピードバトルに園田匠、飯野祐太は置いていかれる。サイドバイサイドで直線を迎えた両者の勝負は、山崎に軍配が上がった。
 「全部、見えてました。新山が追い上げたのも見えてたし、それで自分だけ脚を使ってなかった。(単騎の阿部大樹が)もうちょっと詰めていくのかと思って、自分はフワッとしちゃいました。ただ、ここで行かないと行くところがないと思って行きました。(感触は)もうちょっとですね。半車身、1車身くらいは(新山より前に)出られるかと思った。ちょっとバタバタしている感じがある。自転車は問題ないので、自分の体だと思います」
 小気味いい立ち回りを見せた新山響平は、山崎には屈したもののまくり合戦は見ごたえたっぷりだった。
 「岡崎さんが前に踏んでくれた。あそこで自分と併走になったら、山崎さんのカマシごろになっちゃうんで。(3番手に追い上げて)間がなかったので、整ってなかった。でも、(山崎が)見えたんで、無理やり行きました。力負けです。昨日(準決)に関しても、もうちょっとうまくできたかなと。踏みしろみたいのがないですね」

<8R>

伊藤颯馬選手
伊藤颯馬選手
 主導権を握った寺崎浩平に最終ホーム手前から菊池岳仁が襲い掛かり、同期の2人で叩き合い。前団を射程圏に入れた郡司浩平が、2コーナー手前からまくって出る。内に包まれていた伊藤颯馬(写真)は、松谷秀幸を外に張って、郡司のまくりを追いかける。まくり切った郡司を伊藤がとらえて1着。
 「1回切ってから、同期(寺崎と菊池)でモガき合わせてっていう感じだったんで作戦通りでした。あとは郡司さんが構えてくれたら。まさか番手にいけるとは思ってなかった。とっさに体が動きました。ああいうのはレースでは初めてだと思います。踏みながらペースも上がってたけど、それでも少しは自在に動ける自信もついたかな」
 格上の立ち回りを見せた郡司浩平は、未勝利に終わったシリーズの4日間を振り返る。
 「若い子たちが動くだろうし、隙があったらどこかで行きたいなと。(まくりにいって)出るところまでは良かったけど、出てからは長く感じた。初日、2日目。昨日(準決)も不発だった。たいした自力を出せなくて、それで(最終日に)末脚を欠いたのかなと。終わったあとになんのために練習をしてきているんだろうって。せっかく計画通り練習をしてきたのに…。気持ちの問題だと思います。今日から気持ちを切り替えて、4月はG1がないんで一息置きたいところだけど、地元の2開催(平塚記念、川崎記念)を入れてもらったんで、期待に応えたい」

<9R>

石井寛子選手
石井寛子選手
 周回中、誘導後位に入った尾方真生が、最終1コーナー過ぎからペースを上げてそのまま先行策。2番手に続いた石井寛子(写真)が続き、車間が空いた3番手に梅川風子。4番手の佐藤水菜の後位で高木真備、児玉碧衣と併走。風を切る尾方の掛かりも良く、後方の選手にとっては苦しい流れ。車間を詰める梅川、その外を佐藤が強襲して、ゴール線では、内に石井、外に佐藤の2人に優勝は絞られた。8分の1輪差で石井が佐藤を退けた。
 「前を取るか、後ろから付いていくか、ギリギリまで悩んだんですけど。前に出てみて、(尾方)真生ちゃんも出てどうするかなって。出なければSも考えていました。グランプリのときに後ろからすごいスピードで行かれているので、実は後ろを確認していないんですよ。真生ちゃんの踏み出しも良くて離れそうでしたけど、落ち着いてレースはできた。最後はあんまり進まなかったんです。1着6番って言われるまではわからなかったです」
 4番手からシャープに伸びた佐藤水菜は、惜しくも届かず。
 「まだ長いし(最終)バックでは踏みたくなかった。結果、もうワンテンポ早く踏まなきゃいけなかったですね。選手紹介からモヤモヤした感じがあって、それがそのままレースに出てしまいました」
 児玉、高木の併走を前に見る7番手の小林優香は、最終バック手前から踏み出して佐藤を追った。
 「500バンクなんでまくり合戦になるかなと思いました。前の2人(児玉碧衣、高木真備)が併走だったんでどうなるのかなと。もう少し早く動いていれば、佐藤さんの横くらいにはいけたと思う。でも、負けたのは仕方ないですね。コンディションを合わせ切れなかったのもあるけど、これがいまのベストです」

<10R>

佐藤慎太郎選手
佐藤慎太郎選手
 打鐘の4コーナーで新田祐大が、先頭に立ってペースを握る。そこを吉澤純平が仕掛けて茨城勢が主導権を奪い、単騎の三谷竜生がワンテンポ遅れて茨城勢を追いかける。最終2コーナー手前で、新田は三谷を張りながらまくりを打つ。佐藤慎太郎(写真)は、三谷をさばいて新田に続く。新田が吉澤をとらえて、福島両者のゴール勝負。佐藤が新田を差し切った。
 「新田の1つ1つのアクションがすごい。新田の動きで脚を削られて、ゴール前は残ってなかった。(最後は)気力で踏みました。(新田が踏み出して、自分は外の三谷をさばいた)あそこはキツかった。油断すると離れちゃうんで、うまく対応できた。この年になると長い期間ガッツリ練習をやっても上積みが少ない。まったくないと言ってもいいかもしれない。年をとったなって感じます。(配分の間隔が)短い方がいろいろな部分を走りながら磨いていけるんじゃないかと」
 茨城コンビを受けた新田祐大が、3番手から抜かりなく仕掛けてラインでワンツー。
 「積極的に勝負したいってことは、(佐藤)慎太郎さん、守澤(太志)には伝えていた。予想通りの動きになったけど、吉澤さんの巻き返しが早かった。三谷が来て、吉澤さんが踏み上げていたら、僕のところには到達できなかったんじゃないかと。けど、吉澤さんがあんまり踏んでなかったので、1回けん制してからでした。(感触としては)完ぺきではないなって感じです」

<11R>

平原康多選手
平原康多選手
 宿口陽一-平原康多(写真)の埼玉SSコンビを連れた長島大介が、最終ホーム入り口から島川将貴の巻き返しに合わせて中団からスパート。小松崎大地を叩いて主導権を握った長島は島川は出させなかったが、息を入れる間もなく単騎の和田真久留が後方まくりで飛んでくる。3コーナーで長島が和田にねじ伏せられると、宿口がその後位にスイッチ。長い直線に和田は粘り切れず、宿口が抜け出すその外を平原が一気に突き抜けた。
 「自分は島川君のタイミングをちょっとでもずらそうとできることをやろうと思って閃きで動きました。宿口君が接触したのを見ながらだったのでちょっと遅れ気味なったんですけど。でもすかさず切り替えていってくれたので、自分は外を踏んでどうかなって感じだったんですけど。気持ちを切らさずに戦えていると思うんで。脇本(雄太)君ともいろいろ話をしてまた課題も見つかってきたので頑張りたい」
 スピードが違った和田のまくりは止められなかった宿口陽一だが、その後位に切り替えるソツのない運びで埼玉ワンツーを演出した。
 「長島君の番手を任せてもらったので。緊張はしましたけど頑張ろうと。でもゴール前の脚力差があり過ぎましたね。内の小松崎さん、外の中本(匠栄)さんって気にすることが多くて、接触もしたときに和田君がきてワンテンポずれてしまってんですけど切り替えてって感じでした」

<12R>

清水裕友選手
清水裕友選手
 不調に苦しんでいた清水裕友(写真)が復活のVを遂げた。前受けの深谷知広、3番手の脇本雄太に対し、初手で6番手に位置した太田竜馬は打鐘と同時にスパート。脇本は動かず、3コーナーで主導権を握った中四国勢と単騎の神山拓弥を出させた深谷がすんなり中団に入る。太田は緩めることなく飛ばしていき、深谷、脇本はそれぞれ前との車間が大きく空いてタテ長の隊形となって最終バックへ。こうなると中四国勢には絶好の流れで、3コーナー手前で松浦悠士が番手まくり。松浦の後位で脚を溜めていた清水がゴール前で鋭く抜け出した。
 「太田君が気風良く行ってくれたおかげっすね。2日目に3番手で連結を外していたのでしっかりついて行こうと思っていました。前の2人の強さに尽きると思います。まさか優勝できるとは。ああいう態勢になりましたけど、連日、脇本さんのスピードが凄かったので飛んでくるんじゃないかなって。ゴール前で1着ってわかったけどまさかっすね」
 最後は清水の逆転を許した松浦悠士は、僚友の復活劇を祝福しながらも悔しさをにじませる。
 「僕もきつかったですけど、あそこででないと(脇本に)行かれてしまうと思ったので。昨日のデキなら抜かれないかと思ったんですけどね。僕自身、仕上がっていましたし、名古屋から上積みを感じていたので。でも出力が出すぎて体へのダメージがありますね。自転車に乗る分には大丈夫ですけど、フォームがバシッと決まっている中で踏み過ぎてしまっている感じですね」
 最終4コーナーでようやく前の車間を詰め切った深谷知広は直線猛襲も、神山との踏み合いを制しての3着までがいっぱいだった。
 「(最終)ホームで想定外の車間が空いてしまった。そこで脚を使ってしまった。もっと楽に回れていれば。成田(和也)さんが自分(深谷)が獲れるようにって言ってくれたのに、獲れなかったんで申し訳なかった。今回(4日間)は内容が伴ってなくて、最低限ですかね」

次回のグレードレースは、玉野競輪開設71周年記念「瀬戸の王子杯争奪戦」が、3月26日~29日の日程で開催されます。
施設改修工事後最初の記念開催となる本開催は、S級S班から松浦悠士、吉田拓矢、佐藤慎太郎の3名が出場予定です。地元岡山県からは、岩津裕介、柏野智典、片岡迪之、川端朋之、取鳥雄吾ら総勢10名が参戦予定です。
岡山勢は取鳥や佐伯亮輔、晝田宗一郎、畝木聖、山根将太といった若手先行型の層が厚くSS班や脇本雄太といったトップクラスの相手にどうやって挑むのか注目です。

3月14日時点の出場予定選手データを分析した、「玉野記念GIII 瀬戸の王子杯争奪戦」の主力メンバー及び狙い目選手を紹介する「プロスポーツ号外版」は以下をクリックしてください。

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