『令和6年能登半島復興支援・第8回ウィナーズカップ(GII)レポート』 3日目編

配信日:3月23日

 取手競輪場で開催されている令和6年能登半島地震復興支援競輪「第8回ウィナーズカップ(GII)」は、3月23日に3日目を迎えた。どのレースも激戦区と言っていいほどの豪華なメンバーによる準決では、脇本雄太、窓場千加頼、清水裕友の3人が1着で優出。S級S班は4人が決勝に進み、伊藤颯馬がビッグ初のファイナルのキップをつかんだ。シリーズも大詰め、3月24日の最終日には熾烈なシリーズを勝ち上がった9人による決勝と最後のガールズケイリンコレクションが行われる。
 ウィナーズカップの最終日も、取手競輪場はさまざまイベントでみなさまのご来場をお待ちしております。いばらき大使の「鈴木奈々」のトークショー、先着500人にオリジナルボールペンのプレゼント、「高木真備」トークショー、選手会ブースでのグッズ販売、茨城の特産品が当たる未確定車券抽選会、専門解説者によるレース予想会などが予定されています。また、テレビ、インターネット中継などでの観戦もお楽しみください。

準決勝10Rゴール
準決勝10Rゴール
10R 1着、清水裕友選手
10R 1着、清水裕友選手
準決勝11Rゴール
準決勝11Rゴール
11R 1着、窓場千加頼選手
11R 1着、窓場千加頼選手
準決勝12Rゴール
準決勝12Rゴール
12R 1着、脇本雄太選手
12R 1着、脇本雄太選手

<3R>

大森慶一選手
大森慶一選手
 赤板2コーナー過ぎに吉田有希が、松本秀之介を押さえて先頭に立つ。4番手に竹内雄作が続くが、内から盛り返した松本と重なる。もつれたところを2センターで竹内が仕掛ける。志智俊夫は連結が外れて、最終1コーナー過ぎに竹内が1人で出切り、吉田が追いかける。後方からまくった大石剣士は不発。5番手の松本は3コーナー過ぎから踏み出し、吉田も車間を詰める勢いで追い込む。吉田後位の恩田淳平も外を踏んで、中のコースを大森慶一(写真)が突き抜けた。
 「やっと競走に参加できた感じです。(吉田が)積極的に行ってくれて、(そのあとに竹内が)1車で行ったけど、落ち着いてレースができた。(最後のコース取りは)外に気持ちがいってたけど、(最終)4コーナーで間が空いた。連日、すごい(感じが)悪くて、最近はずっと悪い。練習は100パーセントでできているんですけど、レースになると良さが出ない。今日(3日目)の1着で少しは良くなるかなと。着も展開も悪かったんで、気持ち的にもキツかった。復帰してから全然、良くなくて、これが現状ですね」
 大外を伸びた松本秀之介は、吉田、恩田はとらえたが大森には半車輪、届かなかった。
 「(打鐘過ぎのところは)あそこは重くて遅れてしまったんでミスですね。入られないようにして、竹内さんのカマシにスイッチできれば良かったんですけど。内を踏んだ分、整うのが遅れて、(最終)2コーナーでは行けなかった。連日、風が吹いていたんで3コーナーくらいで詰まると思って踏んだ。気温も下がっているし、雨も降っているんで(自分に感覚が)いいとは言えないですね」

<5R>

佐々木悠葵選手
佐々木悠葵選手
 赤板1センターで松岡篤哉が押さえて、中部勢に続いた佐々木悠葵(写真)は3番手。ペースが落ち着いて、2コーナーから佐藤一伸が仕掛ける。主導権を握った佐藤に山崎芳仁、新山将史まで出切り、松岡は4番手に収まる。佐藤が果敢に飛ばして最終周回へ。6番手の佐々木が、2コーナー手前から踏み込む。山崎がバックから合わせて出て、佐々木とのまくり合戦。山崎に踏み勝った佐々木が、3日目にしてシリーズ初勝利。
 「レースの流れを見て詰まったところから行きました。昨日(2日目)までは練習の疲れがあったけど、昨日の夜にそれがなくなった。(連続優勝で)勢いに乗ってウエートトレーニングをしすぎたんです。それで背中に痛みがあった」
 北日本ライン3番手の新山と併走で3コーナーに入った中田健太が、佐々木のまくりに食らいついて2着。
 「想定内の展開ではありました。(佐々木と)1番人気になっていたので、新山君にからまれないように集中して付いていきました。応えられて良かったです。最近は調子が平行線だったけど、前回の立川だけは悪かったんです。(その時は)中3日で調整が難しかった。そういうところを直していきたい」

<9R>

寺崎浩平選手
寺崎浩平選手
 金ヶ江勇気が赤板過ぎに押さえて出ると、前受けの寺崎浩平(写真)はちゅうちょすることなく7番手まで下げる。3番手に山岸佳太、5番手に渡邉雄太で打鐘を迎える。3コーナーで寺崎も踏み込むが、先行態勢の金ヶ江も全開で踏み上げる。寺崎は7番手に戻り最終ホームを通過する。1コーナーで渡邉が仕掛けて、山岸も合わせるがともに進みは一息。寺崎は2コーナーから大外をまくり、前団をひとのみ。中近ラインがごっそり出切り、直線は3人の勝負。山本伸一、西村光太を振り切った寺崎が1着。
 「ジャンで仕掛けようと思って、隠れながら行った。けど、金ヶ江君がいいスピードで駆けたんで、1、2車出たあとスピードが合ってしまった。それで落ち着いて1回、ニュートラルに入れました。(仕掛けが)遅めになってしまったんで良くなかった。落ち着いて外をまくれたのは良かったけど、内容は良くない。ラインで決まってホッとしました。昨日(2日目)はあんまり感触が良くなくて、(セッティングを)いじって今日はローラーから良かった。まくりも出たし、今日が一番感じが良かった」
 2度目の仕掛けになった寺崎の踏み出しにも対応した山本伸一が2着。
 「(寺崎は)ジャンで握って踏み込んだんですけど、前もピッチが上がっていた。あそこで強引に行っても合ってしまってたと思う。あれで自分は抜くとあのスピード差にやられるから、ニュートラルに入れずに3、4速に入れていた。(寺崎を)抜けると、もう1つ上のステージに上がれる。後ろでの抜き方とかを(南)修二さんに言われて、カントを使ってとかを教えてもらっています」

<10R>

清水裕友選手
清水裕友選手
 赤板1センターで先に押さえて出た坂井洋が、中四国勢を受ける。犬伏湧也が主導権を握り、坂井が3番手を確保して、松井宏佑は5番手。単騎の南潤、北津留翼は一本棒の8、9番手で打鐘を通過する。3コーナーから松井が叩きに出るが、最終ホームで清水裕友(写真)が外に張る。松井のスピードが鈍り、深谷知広が自力に転じる。ギリギリまで引きつけた清水だったが、バック過ぎに合わせて出る。深谷を合わせ切った清水が1着。
 「坂井君が先に切ってくれたので、形的にはやりやすくなりましたね。松井さんの巻き返しが早かったのでそこだけでしたね。でも、自分の横で止まってくれたので、本来なら(ラインで)決まったかなって思うんですけど。松井君の後ろが深谷さんだった。(最終)バック過ぎに半分出られてしまったので、前に踏まないとなって。基本的に出たくはなかったんですけど。坂井君も3番手から来る感じじゃなかったですし、どんだけ引き付けられるかなって感じでしたけど。自分も番手まくりに出たからには、1着を取らないとなって気持ちになりました」
 坂井洋は、中四国コンビの後ろでじっと我慢。南関勢にかぶって動けなかったこともあり、清水に流れ込んでの2着になった。
 「(レースの組み立てとしては)前々で、しっかり仕掛けられるところをいくって感じでいました。脚を使っても1回、切ってと思っていた。犬伏君が掛かっていたので、冷静に判断してっていう感じです。行く場所というか一瞬迷ってしまった。(最終)3コーナーの登りだったので、行きづらい感じでしたね。日に日に良くはなっていると思うので頑張りたい」
 不発になった松井の余力を見極めて、深谷知広がまくりを打つ。番手発進の清水に合わせられる苦しい流れをなんとか踏ん張った。
 「犬伏君が踏んでいるところを無理やり行ったので、松井君も苦しかったと思います。松井君も頑張っていたので、難しい判断だった。けど、(踏み込んだところは)そこかなっていうタイミングでした」

<11R>

窓場千加頼選手
窓場千加頼選手
 北日本勢が前団に構える。赤板過ぎから新山響平がペースを上げるが、それでも藤井侑吾が踏み込む。打鐘3コーナーで藤井が叩いて、新山は番手に飛び付いて皿屋豊と併走。もつれたところを森田優弥が仕掛けるが、眞杉匠は付いていけない。森田を目標にするように窓場千加頼(写真)が、最終ホーム過ぎから仕掛ける。外から窓場が出かけたところで、森田に接触した藤井が落車。眞杉、皿屋が巻き込まれる。大きく外に避けた北日本勢は圏外。窓場、古性優作で出切り、それを車間が空いた河端朋之が追いかける。直線で猛追の古性を窓場が振り切っての近畿ワンツー。3連勝でビッグ初優出を遂げた。
 「いろいろ想定していたけど、新山君の先行で藤井君とモガき合いになって森田君がどうで出るかを見定めてから踏んだ。落車にからまれることなく、出切ってからゴールまで踏めば、古性さんが残してくれると思った。けど、まさか1着を取れるとは。3連勝で力を出し切れていると思います」
 後ろの河端と間合いを取った古性優作は、直線勝負の2着。
 「(窓場)千加頼が強かったです。僕はいっぱい、いっぱいでした。河端さんに対応をしようと思って、ミスをして迷惑を掛けてしまった。(窓場は)タレなかったです。今日(3日目)は良くなかったですね」
 単騎の河端朋之は、最終ホームで最後方。近畿勢を追いかけながらも、危険を察知したのかアクシデントを大外に避けて3着。昨年10月の寬仁親王牌に続いて、2度目のビッグ決勝にコマを進めた。
 「どのラインも2車ずつで、みんな責任感のある先行選手が仕掛けて隊列が短くなると思って、最後に仕掛けるところまで待とうと思った。みんな責任感があるし、他の先行選手が仕掛けると信じていました。(打鐘)2センターで森田君が行くのが見えて、窓場君もそれを目がけて行って、(最終)1コーナーでは危ないと思って避ける準備をしながらでした。(前が)遠かったけど、窓場君の掛かりもすごくて、抜ける感じではなかった」

<12R>

脇本雄太選手
脇本雄太選手
 新田康仁がスタートを制して、3車の南関勢が前団に構える。6番手の佐々木豪、8番手の脇本雄太(写真)もアクションを起こさずに赤板を通過する。北井佑季は、打鐘手前で誘導を降ろして、そのまま先行態勢に入る。北井は後続を一本棒にして風を切り、脇本は車間が空いた8番手のまま。4番手の伊藤颯馬が、最終2コーナー手前からまくりを打つ。さらに佐々木が襲い掛かる。前団の隊列が短くなったところを、脇本がまくり追い込む。佐々木は不発で、伊藤は松谷秀幸にブロックされるがこらえて直線へ。佐々木、松浦悠士の落車もあったが、脇本が外を突き抜けた。
 「初手が後方だったので、前の日の毘沙門天賞の犬伏(湧也)君みたいに、隙があったらカマしていこうと思った。けど、隙がなかったですね。(別線の)動きもなかったですし、ジャンのスピードだったら、上がる必要もなく自分のタイミングを取るだけかなと。(仕掛けてからは)あおりもあったけど、そこはしっかりと我慢するべきだった。自分のなかでは良くはない感じがある。ただ、着的にはそこそこ悪くないかなと」
 別線の仕掛けを待たずに北井佑季は、自身の脚力を信じて打鐘手前からスパート。2着に逃げ粘って全日本選抜に続くビッグ優出。
 「(2月の全日本選抜に続いての優出で)去年はあと一歩、二歩ってところで(ビッグの)決勝に乗れなくてなかなか結果が残せなかった。(ビッグ連続優出は)どういうレース運びをしたらいいかって考えた結果なのかと。(準決は)前受けになった時点で、(残り)2周の段階でゴールまでを逆算した。結果的に脇本さんに行かれてしまってますし、松谷さんの援護があっての自分の2着だと思う。今日(3日目)は考えたなかでの精いっぱいのペースだった」
 周回中に4番手を手に入れた伊藤颯馬は、逃げる北井をまくり切れずも松谷のけん制を持ちこたえて3着。
 「(ビッグ初優出は)うれしいです。(周回中は)一番いい位置で、(スタートを取ってくれた山田)英明さんに感謝です。誰か来るようなら一緒に前に踏むつもりだった。結果、誰も来なくて、自分で行った。北井さんが強いんで気持ち早めでもと思ったけど、(最終)3コーナーに入ったんでキツかった。けん制もあったけど、北井さんの横まで行けたんで、仕上がりは悪くない」

<最終日9Rガールズケイリンコレクション>

石井寛子選手
石井寛子選手
 1月の岐阜で通算600勝を達成した石井寛子(写真)。得意の冬場の重いバンクコンディションを味方に、地元地区でのコレクション制覇にまい進する。
 「1、2、3月は毎年結構好きで、寒くて進まない方が得意ですね。1年間で言ったら同じ1、2、3月を過ごしてます。(前回のあと9日間空いて)気合を入れて練習したんですけど、どこまでできているかっていうのが明日(最終日)にわかるんですけど。(いいときと比べて)練習はそんなに強くなくて、イメージが良ければいいかなて感じなんですけど。3月のコレクションでこんなに寒いのは久しぶりな気がする。(取手は)暖かいイメージがあったんですけど。(練習では)京王閣で練習していても強風が風が吹くので、逆にその風があった方が勝ちやすいのかなと」
 1カ月以上の欠場からの復帰場所だった前回の別府を226着。まさかのシリーズ未勝利となった児玉碧衣だが、そのポテンシャルからは軽視はできない。
 「(1月岐阜のあとに)2月に2回連続で胃腸炎が続いて、そこからちょっと練習もずっとやってなかった。本当はここにぶつけてきたかったんですけど、まあレース勘とかもいろいろあったんで、(前回の)別府、無理やり走ったみたいな感じもありました。思った以上にすごく悪かったんで、今回までに練習は本当にやってきたつもりです。けど、走ってみないとなんとも言えない状況です。最後のコレクションなんで優勝目指して頑張りたいなとは思っています。(直前の練習の手応え的には)別府よりは良くなってるとは思うんですけど、いいときに比べると全然良くはないのかなというのが正直な感想です」
 ナショナルチームとの練習で力をつけてきた久米詩は、昨年5月のダービーシリーズのコレクションを優勝。7月にはガールズケイリンフェスティバルも制してブレイクを果たした。
 「(今年も成績は安定しているが)グランプリの前に1回体調を崩してそこからグランプリ前の本調子に戻ってきたのが3月くらいからかなという感じです。それ以降は比較的、思い切り走れてるかなと思います。(直近2場所は完全優勝で)自力を出してとか展開、レースの流れに乗ってしっかり出し切れてるかなと思う。状態的には、すごいいいかなと思います。(直前の手応えは)感覚的にはすごい良くて、体の状態も疲れも全然ないのでいいかなと思います」