『令和6年能登半島復興支援・第8回ウィナーズカップ(GII)レポート』 最終日編

配信日:3月24日

 取手競輪場で開催された令和6年能登半島地震復興支援競輪「第8回ウィナーズカップ(GII)」は、3月24日に最終日が行われた。決勝は、近畿勢が主導権。北井佑季との併走になった脇本雄太が、単騎でまくった伊藤颯馬へのスイッチから追い込んで優勝。昨年4月の武雄記念以来のVで、優勝賞金2800万円(副賞含む)を獲得。ビッグ(グランプリを含む)通算10回目の制覇を遂げた。また、「ガールズケイリンコレクション2024取手ステージ」では、坂口楓華が初めてビッグレースを制した。

ガールズケイリンコレクション2024 取手ステージ出場選手特別紹介
ガールズケイリンコレクション2024 取手ステージ出場選手特別紹介
決勝競争出場選手特別紹介
決勝競争出場選手特別紹介
ガールズケイリンコレクション1番車 児玉碧衣選手
ガールズケイリンコレクション1番車 児玉碧衣選手
ガールズケイリンコレクション2番車 坂口楓華選手
ガールズケイリンコレクション2番車 坂口楓華選手
ガールズケイリンコレクション3番車 久米詩選手
ガールズケイリンコレクション3番車 久米詩選手
ガールズケイリンコレクション4番車 吉川美穂選手
ガールズケイリンコレクション4番車 吉川美穂選手
ガールズケイリンコレクション5番車 石井寛子選手
ガールズケイリンコレクション5番車 石井寛子選手
ガールズケイリンコレクション6番車 山原さくら選手
ガールズケイリンコレクション6番車 山原さくら選手
ガールズケイリンコレクション7番車 柳原真緒選手
ガールズケイリンコレクション7番車 柳原真緒選手
決勝1番車 脇本雄太選手
決勝1番車 脇本雄太選手
決勝2番車 清水裕友選手
決勝2番車 清水裕友選手
決勝3番車 深谷知広選手
決勝3番車 深谷知広選手
決勝4番車 伊藤颯馬選手
決勝4番車 伊藤颯馬選手
決勝5番車 坂井洋選手
決勝5番車 坂井洋選手
決勝6番車 河端朋之選手
決勝6番車 河端朋之選手
決勝7番車 古性優作選手
決勝7番車 古性優作選手
決勝8番車 窓場千加頼選手
決勝8番車 窓場千加頼選手
決勝9番車 北井佑季選手
決勝9番車 北井佑季選手

決勝戦 レース経過

 号砲が鳴ると外から古性優作が飛び出して誘導員の後ろに付き、窓場千加頼-脇本雄太-古性の近畿勢が前を固めた。中団は清水裕友-河端朋之の中国勢。北井佑季-深谷知広の南関勢は6番手、7番手。伊藤颯馬、坂井洋の単騎両者はこの後ろ。
 赤板でも大きな動きはなく、誘導員との車間を空けた窓場が1センターから一気にスパート。これに合わせて後方から北井も前へと踏み上げる。北井は打鐘過ぎに2番手アウトまで迫るも前を叩けず、この南関勢に続いていた伊藤が最終ホームで仕掛ける。2コーナーで伊藤が先頭に立つとこの後ろに脇本、北井が併走のまま続く。バックから清水もまくり上げるが、2センターで古性が外を踏ん張る北井と迫る清水をまとめてけん制。それと同時に脇本が4コーナーで外を踏んで、直線で一気に抜け出してのV。2着には古性が続き、清水がけん制を受けながらも3着に入った。


ガールズケイリンコレクション2024 取手ステージ レース経過

 号砲が鳴っても誰も前に出ず、ゆっくりしたスタートから久米詩が誘導員を追う。初手は久米、石井寛子、坂口楓華、吉川美穂、児玉碧衣、柳原真緒、山原さくらで隊列が落ち着く。
 赤板を過ぎても動きはなく、久米が誘導員との車間を空けて後方の動きを警戒。打鐘の4コーナーで山原、児玉が仕掛けようとするも、久米が前から突っ張って応戦。児玉は3番手アウトで堪えるがそれ以上前には進めず、最終バックで石井がまくりを開始。石井は2センターでようやく久米を捕らえるも、石井に続いていた坂口が車を外に持ち出す。4コーナー出口で石井を捕らえた坂口が直線で後続を振り切ってのV。坂口後位を回っていた吉川が2着。先まくりを打った石井が3着に入った。


<1R>

佐藤礼文選手
佐藤礼文選手
 最終日のオープニングは、2着が同着ながらも地元勢のワンツー。打鐘手前で先頭に出た橋本壮史が先行態勢も、大石剣士との3番手外併走から竹内雄作が仕掛ける。不破将登は佐藤礼文(写真)にさばかれて、叩き切った竹内の後ろには橋本が入る。4番手の大石は車間が空いて、最終バックではまだ仕掛けない。番手から詰める勢いで橋本が竹内を交わして、佐藤の追走で直線。佐藤がゴール前でわずかに前に出て、橋本を差し切って1着。ビッグ初勝利で地元シリーズを締めた。
 「すごかった。これが特別競輪(GII)かっていう感じだった。もっと力をつけないと。(最終)ホームのところもとにかく(竹内)1人にして、橋本を入れてやらないとっていうのがありました。竹内さんが無理くり来てくれて苦しかったけど、あれが自分の仕事なんで。最後も内しか見てなかった。でも、空きそうもなかったので、ダメでもとって思って外にいった。(地元でのビッグ初勝利で)1着を取ることができてうれしい」
 竹内には叩かれた橋本壮史だったが、番手から早めの追い込みでねじ伏せた。
 「最初から理想の位置になりました。(大石が阿部将大を)突っ張りそうな感じもあったんで、そこをしっかりと行けて、自分らしさを出せたかなと。(竹内を)突っ張りたかったけど、佐藤さんがさばいてくれて1車だった。正直、(最終)バックではいっぱい、いっぱいだったけど、佐藤さんのコースをつくらないとっていうのはあった。地元ラインで決められたのはうれしい」
 好位確保も脚力を消耗して追い込みになった大石剣士が、橋本と同着の2着。
 「(阿部を)出させてしまうと、7番手に戻っちゃうしそこは1回突っ張った。あとは(橋本が)竹内さんとモガき合ってくれればラッキーでした。(最終)バックで仕掛けたかったけど、突っ張ったり、飛び付いたりで脚をつかっていた。それで仕掛けられなかった。日に日に脚の状態が、悪くなっていった。ただ、今日(最終日)はシューズを戻して、乗り方を見直して、ちょっと良くなった」

<6R>

南修二選手
南修二選手
 前受けの野口裕史が、赤板で小松崎大地の上昇を阻み突っ張る。小松崎が後退してペースを落ち着いた2コーナー手前で、3番手の福永大智がスパート。福永が打鐘手前で主導権、大阪3車が出切る。福永がスピードに乗せて駆けて、4番手の野口は車間が空いて最終周回へ。小松崎の反撃は渡邉雄太の横まで。野口はなかなか大阪勢を詰められない。渡邉の内を突いた佐々木悠葵が2センターでからんで、4車が落車するアクシデント。逃げる福永の番手から南修二(写真)が追い込んだ。
 「(福永は)すごい脚力があるなって感じました。(大阪3車で出たあとは別線が)ちょっとバラバラになっている感じがあった。(別線が来たら)スピード差があるんで、そこは対処しなきゃいけないと思ってました。(今シリーズ3回連係した福永の成長には)思うところもあるし、切磋琢磨していければと思っています。(前回途中欠場した左ヒザの)影響は感じなかった」
 大阪勢で上位を独占。南に流れ込んで2着の稲川翔が、シリーズの4日間をこう振り返る。
 「(福永は)すごいダッシュ良くいってくれた。気持ちが前に前にいってくれた。僕もプレッシャーを感じながら付いていったけど、出脚でも離れちゃいました。(シリーズを通しても)反省するところが全部ですね。対応できてないし、これを受け止めてやっていかないと仕方ない」

<9R>

坂口楓華選手
坂口楓華選手
 最後のコレクションで坂口楓華(写真)が、初めてビッグレースのタイトルを手に入れた。
 「率直な気持ちはやっと獲れたかっていう感じです。走る前の方が泣きそうだったんで、獲ったら絶対に泣くだろうな思ってたんですけど。案外、泣かなくて良かったです」と、笑顔でのV会見だった。
 周回中は思惑通りの好位、3番手からレースを運んだ。打鐘手前で5番手から動いた児玉碧衣が、坂口の横でフタをするように止まって併せ込む。その併走を確認した久米詩が、前からそのまま最終ホームでペースを上げて駆ける。坂口は内に閉じ込められたが、2番手の石井寛子が2コーナー過ぎからまくって出る。そこに続いた坂口は、児玉が後退した3コーナー過ぎに視界が開ける。あとはもう前に踏み込むだけだった。坂口が直線で抜け出して、先頭でゴールを駆け抜けた。
 「最後まであきらめずに、冷静に走れたんで良かったです。(レースの組み立ては)Sは絶対にないなって。Sを取ったら勝てないから、そこだけは注意していた。ただ、中団は絶対にほしかった。中団がしっかりと取れたんで、そこでは覚悟を決めていた。私の横に(児玉が)並んでからは、そこから行くには早いしと思っていたら包まれてしまった。あとは絶対に自分にはチャンスが向くって信じていた。そこだけ信じて最後は踏みました。石井さんが(まくって)進んだ時点で、イケるって思っていた。脚も全然、余っていたし、そこの辺りで(優勝を)確信はしました。1年間、今年は本格的に自力をしっかりと出しだした。1年たってまだレース内容とかには全然、納得してない。一番大外をまくって勝ったら本当にうれしいと思う。そこを目指して、もっと力をつけていきたいです。1周を行けるくらいの脚力をつけて、物おじせずに駆けたい。(今後の目標は)まずはしっかり自力でタイトルを獲りたいっていうのが1つと、グランプリを優勝するっていう夢があるので、そのためにもっともっと強くなれるように頑張ります」
 周回中から坂口の後ろの4番手にいた吉川美穂は、最終2コーナー手前から柳原真緒にかぶったままでじっと我慢。坂口に付け切って直線勝負に持ち込んだが、1車身差の2着。
 「(坂口の後ろで)あとは付いていって差すだけだと思っていました。(最終)バックで道(コース)がなかったのが良くなかったですね。坂口さんのまくりに付いていったんですけど、全然、届かなかったですね。またマーク、賞金は上積みできたんですけど…。(昨年のガールズケイリンフェスティバル、オールガールズクラシックと準優勝で)私、シルバーコレクターなんですよ。(昨年の11月の競輪祭前に体調を崩してしまい)まだ戻り切っていないですね」
 前受けの久米が逃げて、2番手の石井寛子は外の児玉らとの間合いを取りまくったが3着。
 「前は誰もいらなかったんでしょうね。(初手は)中団かなと(スタートは)見合っていました。展開が良すぎましたけど、(最終)ホームで誰かしらくるだろうとか、2コーナーでも誰かしらくるだろうと思っていて、かぶるのはもっと嫌だなと。出たけど、力んでスピードに乗れなかったです。絶好なだけに、いろいろ考えてチグハグになってしまいました」

<10R>

山田久徳選手
山田久徳選手
 北日本勢を連れて志田龍星が、赤板2コーナーで鈴木庸之を押さえて出る。すかさず青野将大も反撃に出るが、志田がペースを上げて合わせて逃げる。寺崎浩平はそこを逃すことなく、短くなった前団に襲い掛かる。最終ホームは志田が先頭で通過するが、佐藤慎太郎のブロックを乗り越えた寺崎が3コーナーでまくり切る。付けた山田久徳(写真)が、佐藤の中割りを阻んで寺崎を差し切った。
 「(寺崎の踏み出しは)強烈でしたね。どこで行くかもわからなかった。かなりピッチが上がっていた。(最終1センターで付け直したが)寺崎君が止まりそうだったので、コースを見つけないとなって思ったんですけど。まだ頑張っていた。(佐藤のけん制もあったが)その辺は対応できました。寺崎君がタレてきて、外も見えたんですけど。内は空けないようにと。(寺崎と)ワンツーが決まって良かったです」
 逃げる志田の掛かりも良く、佐藤のブロックでスピードが鈍った寺崎浩平だったが、再度加速してまくり切った。
 「先行基本にいけるようにって考えていました。あのメンバーでも先手を取れる組み立てを考えていた。昨日(3日目)とその前と不甲斐なかったので、最終日は気持ちで前々にって。ちょっと(最終)ホームで踏み過ぎてペダリングが乱れてしまった。スピードに乗り切らなくて(佐藤)慎太郎さんに合わされる感じになってしまって、うまいことブロックされた。でも、併走になってからは耐えて、志田君がタレて来るのを待って踏みました。最後はいっぱいでしたけど、山田さんと決められて良かったです」

<11R>

新山響平選手
新山響平選手
 赤板過ぎに松井宏佑が飛び出して、その上を南潤が押さえて出る。中近勢が主導権を握り、松井は4番手。単騎の諸橋愛が内から進出して、松井の番手の松谷秀幸と併走になる。新山響平(写真)は後方に構えて、南のペースで最終周回へ。2コーナー手前から松井がまくり、新山も踏み出す。前団をのみ込んだ松井を、さらに新山がとらえて1着。
 「突っ張りたかったですけど、誘導との車間にビビッてスピードを上げ切れなかった。切りにきた松井さんがうまかったですね。南君にとっては思惑通りの走りになったかなと。(下げてからは)行けるところから行こうと。諸橋さんが(松谷と)併走になって行きやすくなった。(まくりは)思ったよりも出ましたし、(最終)3コーナーくらいでは(前を)抜けると確信しました。今回は調子がイマイチでリズムも合わなくて、やりたい突っ張りや、押さえ先行ではなくて、いろいろな戦法になった。セッティングは2日目で落ち着いたので、乗り方をうまく乗れれば、いいダッシュができると思う。(このあとは)もう1回、戦法を見つめ直して、突っ張り先行を基本にやっていきたい」
 8番手まくりになった新山のスピードに対応した竹内智彦が、流れ込んで2着。
 「(新山は)突っ張りだと思っていましたけどね。(まくりになって)あとは自分が付いていけるかどうか。久しぶりの連係でしたけど、安心して付いていけました。(新山のまくりに)口も空かずに付いていけたし、そこそこやっていけるかなって思います」

<12R>

脇本雄太選手
脇本雄太選手
 一昨年のグランプリ制覇以来のビッグVを脇本雄太(写真)が遂げた。自身が1番車ながらも、古性優作がスタートで飛び出した。3車の近畿勢が前団に構えると、先頭を務めた窓場千加頼が迷いなく風を切った。
 「窓場君が頑張ってくれたし、古性君にスタートを取ってもらった。僕自身、後輩に支えられてうれしく思います」
 ラインの力でもぎ取った久々の優勝に、脇本が後輩に感謝した。ただ、すべてがスムーズにいったわけではなかった。叩き切れなかった北井と打鐘3コーナーから併走。そこを単騎の伊藤颯馬がまくって、併走のまま切り替える。最終3コーナーでようやく北井との併走にケリをつけた脇本が、直線で伸びて優勝した。
 「(北井に)かぶった段階で、しっかりと動きを見せないといけないと思っていた。焦りながらですけど、しっかりと動けたのかなと思います。今年は1、2月が不調だったので、ここで少しでもばん回できればと思っていた。この調子で(4月30日からの)ダービーを頑張れたらと思います」
 古性優作は、脇本の後ろで大立ち回り。最終2センターで北井を弾いて大きな波をつくると、返す刀で内のコースをシャットアウトして流れ込んだ。
 「脇本さんと北井さんで有利、不利になるのが交互にあって、後ろに付いていてどうなるかなって。そうしたら後ろから(清水)裕友がきていて、北井さんをもっていったら、その上も飛ぶかなって。その瞬間に脇本さんが踏んですごい勢いで加速した。脇本さんはゴールに向かって伸びていきましたね。真剣勝負ですし、思いっきり内から踏んだんですけど、脚力の差が出ました」
 併走の上を最終バックからまくった清水裕友だったが、古性のブロックを受けた北井に弾かれて立て直しを余儀なくされて3着まで。
 「どのラインが前でも中団と考えていました。北井さんが出られなかったらハコいくのも考えていた。その対応を見ながら、単騎の伊藤君が行って、整えて、脇本さんが(北井とからんで)ほどける前に乗り越えられたらでした。けど、ほどけたがのが見えて、(最終)3コーナーであおりもあって浮いた。精いっぱいでしたね。2、3着ではなく、あそこを仕掛けないと優勝はない。ちょっとのところですけど、だいぶ脚力差があるなと」

次回のグレードレースは、第8回大阪・関西万博協賛競輪(GIII)が3月28日~31日の日程で武雄競輪場にて開催されます。
SS班こそ不在ながら、浅井康太、山田庸平、町田太我らビッグレースで存在感を示している強豪がそろい、熾烈なV争いが繰り広げられるのは間違いありません。
令和5年度最後のGIIIを手中に収めるのは誰か?大注目の一戦です。

3月16日時点の出場予定選手データを分析した、第8回大阪・関西万博協賛競輪(GIII)の主力メンバー及び狙い目選手を紹介する「プロスポーツ号外版」は以下をクリックしてください。

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