『第9回ウィナーズカップ(GII)レポート』 最終日編

配信日:3月23日

 伊東温泉競輪場で開催された大阪・関西万博協賛「第9回ウィナーズカップ(GII)」は、3月23日に最終日が行われた。地元から優出した深谷知広ら強豪がそろった決勝は、目標の寺崎浩平が不発も、鋭く伸びた古性優作が突き抜けてV奪取。古性はGII初制覇で、優勝賞金2890万円(副賞含む)を獲得。昨年のグランプリ王者が、通算9回目のビッグ制覇を果たした。また、一発勝負の「第7回フレッシュクイーン(リンカイカップ)」は、124期の熊谷芽緯が逃げ切った。

フレッシュクイーン出場選手特別紹介
フレッシュクイーン出場選手特別紹介
フレッシュクイーン1番車、仲澤春香選手
フレッシュクイーン1番車、仲澤春香選手
フレッシュクイーン2番車、竹野百香選手
フレッシュクイーン2番車、竹野百香選手
フレッシュクイーン3番車、熊谷芽偉選手
フレッシュクイーン3番車、熊谷芽緯選手
フレッシュクイーン4番車、松井優佳選手
フレッシュクイーン4番車、松井優佳選手
フレッシュクイーン5番車、宇野紅音選手
フレッシュクイーン5番車、宇野紅音選手
フレッシュクイーン6番車、大浦彩瑛選手
フレッシュクイーン6番車、大浦彩瑛選手
フレッシュクイーン7番車、中島瞳選手
フレッシュクイーン7番車、中島瞳選手
決勝競走出場選手特別紹介
決勝競走出場選手特別紹介
決勝1番車、古性優作選手
決勝1番車、古性優作選手
決勝2番車、郡司浩平選手
決勝2番車、郡司浩平選手
決勝3番車、新山響平選手
決勝3番車、新山響平選手
決勝4番車、深谷知広選手
決勝4番車、深谷知広選手
決勝5番車、寺崎浩平選手
決勝5番車、寺崎浩平選手
決勝6番車、村田雅一選手
決勝6番車、村田雅一選手
決勝7番車、眞杉匠選手
決勝7番車、眞杉匠選手
決勝8番車、浅井康太選手
決勝8番車、浅井康太選手
決勝9番車、岩本俊介選手
決勝9番車、岩本俊介選手

決勝戦 レース経過

 号砲が鳴ると最内枠を生かして古性優作が誘導員を追い、寺崎浩平-古性-村田雅一の近畿勢が前を固める。郡司浩平-深谷知広-岩本俊介の南関勢が中団で、単騎の眞杉匠がこの後ろ。新山響平-浅井康太は後攻め。
 青板周回に入ると寺崎が誘導員との車間を空けて後方を警戒するが、2コーナー出口から新山が一気に上昇し、赤板周回のホームで先頭に出切る。そこですかさず郡司が仕掛けるも、バック手前から3番手に入っていた寺崎も合わせて踏み込む。寺崎は打鐘2センターすぎに浅井のけん制を受けながらもまくり上げていくが、先行する新山のカカリがいい。後方となっていた眞杉がスピード良くまくるも、3コーナー手前で古性がけん制し、そのままタテに踏んで直線で逃げる新山を交わしてV。古性のけん制を受けながらもまくり上げた眞杉が2着。先行した新山が3着。


ガールズフレッシュクイーン レース経過

 号砲で熊谷芽緯が踏み上げて正攻法の位置を確保する。熊谷、竹野百香、松井優佳で前団を形成。仲澤春香が4番手で、以下は宇野紅音、大浦彩瑛、中島瞳の態勢となるが、中島が位置を求めて上がっていって仲澤を下げさせて4番手の位置に入る。
 その後は動きがなく、赤板を過ぎて熊谷、仲澤が前との車間を空けて仕掛けるタイミングを窺う。だが、仕掛けはなく、打鐘を迎えて誘導は退避。押し出されたそのまま熊谷が主導権を握っていく。2センターあたりから仲澤が一気にスパート。この動きを確認した熊谷が合わせてペースを上げる。仲澤はどんどん上げてきたが、最終1センターあたりで2番手の竹野の外でスピードが合って勢いが止まってしまう。熊谷が力強く逃げ、竹野が外の仲澤をドカしながら踏み出そうとするが、仲澤も盛り返してくる。熊谷の後ろで竹野、仲澤の車体を合わしての踏み合いが続いたまま3コーナーを通過。2センターでは空いた竹野の内を松井がすくってくる。これで竹野は僅かに踏み遅れ、外の仲澤が熊谷を捕まえにいくが、熊谷が力強く逃げ切った。仲澤は2着で、3着はゴール前でもう一度伸びた竹野。


<3R>

後藤大輝選手
後藤大輝選手
 前受けの坂本貴史は誘導を残したまま早めに引いて、青板2コーナーで後藤大輝(写真)が誘導の後ろに入る。後藤は高久保雄介の上昇を阻み、そのまま突っ張って先行態勢を取る。3番手を坂本が確保。高久保は浮いたまま赤板を迎えるが、再度踏み込んで3番手に追い上げる。ペースを握った後藤が、リズム良く駆けて最終周回へ。単騎の山口多聞が後方からまくるが、あおりもあって3番手付近まで。3番手を踏み勝った坂本だがそこまで。後藤が隅田洋介を振り切って1着。区切りの100勝を遂げた2日目に次ぐシリーズ2勝目も、逃げ切りと内容のある勝ち方だった。
 「できれば中団からスタートしたかったんですけど、車番も悪かった。風は3コーナーから4コーナーにかけて向かい風と横風だった。それは周回中に確認できていた。落ち着いて2つのラインと山口君も視野に入れて駆けました。(隅田洋介とは)初連係だったんで、ワンツーが決まってうれしいですね」
 3番手がもつれて流れは隅田洋介に向いたが、1輪差での2着で後藤に先着を許した。
 「(後藤とは初連係だったが)以前から連係したいって言われていた。(地区は違っても)頑張っている後輩ですし、全部止めてやろうと思って付いていました。でも、おんぶにだっこでしたね。(後藤が)強かったです。ペースもうまいですし、最後もためてしっかり踏み直していた」

<6R>

山田庸平選手
山田庸平選手
 北日本勢が、前団に構える。青板バック過ぎに小川真太郎を出させず先頭に立った菅田壱道は、赤板手前から再び仕掛けた小川を合わせてペースを上げる。菅田がそのまま腹を固めて先行策。タイミングをうかがっていた6番手の伊藤颯馬が、打鐘から反撃に出る。しかしながら、逃げる菅田の掛かりが良く、伊藤は3番手の外に浮いて失速。山田庸平(写真)は、自力に転じて2コーナーまくり。北日本勢をとらえた山田は、8秒9の上がりタイムを叩き出し、新田祐大のもつバンクレコードを約11年ぶりに塗り替えた。
 「(伊藤)颯馬の出もいつもより出てなかった気がしました。(伊藤が止まって)あとは内に行く、外に行くかでした。一瞬、待ってかぶらないようにでした。昨日(準決)が良くなくて、セッティングを見直して今日が一番感覚が良かった。でも、昨日は今日の感覚があっても3着には入れていないと思う。力の差を感じたし、帰って練習をし直します」
 積極策の菅田を利した渡部幸訓は、山田は阻めずも追い込んで2着。
 「(菅田)壱道が気持ちの入ったレースをしてくれた。1回(小川を)突っ張ったあとの判断も良かった。(伊藤も)自分の横までも来なかった。あらためて壱道のポテンシャルは高いなって感じました。(山田)庸平はタテ脚があって、さすがだなと。遠すぎて止められなかった。自分は(前々回の)全日本選抜と比べると全然いい。あの時は最悪だったんで、落車しなければあれ以下はないと思います」

<9R>

熊谷芽緯選手
熊谷芽緯選手
 5番手で打鐘を通過した仲澤春香が、4コーナーから仕掛ける。慌てることなく引きつけた先頭の熊谷芽緯(写真)も、それを察知してペースを一気に上げる。2番手にいた竹野百香と仲澤の併走で最終2コーナーに入る。竹野も外に持ち出すが、熊谷がうまいペースでピッチを刻む。仲澤も外にへばりつきバックを通過。今度は竹野の内を松井優佳が進出して、2番手は3車の併走。直線で踏み直す熊谷は、ゴール前ではさすがに仲澤に詰め寄られたものの半車身、退けて1着。仲澤の連勝を止めて、フレッシュクイーンを制した。
 「すごくうれしいです。逃げ切れたので。(最終ホーム前に)仲澤さんが見えたので、来たなって思って頑張って踏みました。33バンクなので、短い距離だった。いつも以上に頑張れました。(逃げ切れたかどうかは)必死すぎてわからなかった。もっとガッツポーズをすれば良かったです。お客さんがおめでとうって声をかけてくれて、もしかしたらって感じでした。いま(引き揚げてきてレースVTRで)確認してめちゃくちゃうれしいです。Sは頑張って取ろうと思っていて、自分のプラン通りに走れました。直前の練習でいいタイムも出せていたので、自信をもって臨めました。まずはGIとか大きいレースに確実に出ることを目標にしているので日々頑張ります。強い人がいるレースの方が気持ちが楽というか、強い選手がいっぱいいるって思った方が(自分)らしく走れるのかなって。そこ(自分らしく走ること)に集中できる。結果もついてきてうれしいです」
 熊谷に合わされ、2番手の竹野と併走になった仲澤春香は、底力で2着には届いたが連勝は23でストップ。
 「プレッシャーはなかったです。熊谷さんを意識して走ったけど、結果的に対応できなかった。誘導員が退避したところで仕掛ければ良かった。イメージ通りの展開になったけど、仕掛けが遅れた。(ネイションズカップでの海外遠征の)疲れは言い訳になりますし、競技の先輩たちは厳しい日程のなかでも結果を出している。どんな展開でも押し切れる力をつけたい」
 周回中から熊谷の後ろ、2番手にいた竹野百香は、最後は狭いコースを踏まされて3着。
 「熊谷さんの後ろが取れたらいいなって考えていたので、その通りになりました。思ったレース展開にはなったけど…。絶好の展開だったのに結果を出せなくて悔しい。次はこういうことがないようにしたい」

<10R>

取鳥雄吾選手
取鳥雄吾選手
 単騎の取鳥雄吾(写真)が、スタートを出て前で構える。早めに動き出した関東勢を受けた取鳥は4番手。伊藤旭が内を進出して5番手に入り、松井宏佑は6番手で赤板を迎える。中野慎詞が一本棒の9番手でレースは流れる。先行態勢の坂井洋が、そのまま打鐘手前からペースを上げて駆ける。4番手で車間を空けた取鳥が2コーナー手前からまくり、それとほぼ同じタイミングで松井も仕掛ける。関東勢をスピードの違いでのみ込んだ取鳥の上を松井も踏み上げるが、取鳥が合わせる。中野は外を襲い掛かるが、前の2人は遠く、取鳥が1着。
 「(単騎なので)後ろからいっても難しいし、それだったら前に行って1個(のラインをいれて)下げてと。(坂井が早めに動いて)あのおかげで良かった。(坂井が駆けなければ)自分が内から先行しようと。あとは詰まったら行こうと思っていた。(3日目、最終日をまくり連勝で)あんまりまくれる方じゃないんですけど、たまたまですね。でも、しっかりと1着が取れた。(今シリーズは)苦しかったけど、日に日に良くなっていく感じだった」
 中野が9番手にいただけにやりづらさもあった松井宏佑は、仕掛け遅れを反省する。
 「単騎の取鳥君が前を取ると思わなくて、難しかったですね。坂井もあんなに早くフタをしてくるとは。予想外の展開になって、自分が未熟でした。もっと早めに仕掛けるべきでした。松谷(秀幸)さんと和田(健太郎)さんが付いてくれたのに、自分だけになってしまった。(2日目から換えた自転車は)流れたし、踏み切れた。まだセッティングをいじるところもあるし、それでもっと良くなると思います」

<11R>

脇本雄太選手
脇本雄太選手
 青板2センターで青野将大が、太田海也を押さえて出る。ワンテンポ置いて小林泰正が4番手に追い上げて、太田は6番手で態勢を立て直して打鐘。脇本雄太(写真)は、8番手に下げて構える。4コーナーで小林が仕掛けるが、佐々木眞也が止める。関東勢に乗った太田は、最終2コーナー手前からまくり上げて、佐々木も番手から出る。前団の隊列が短くなったところを、脇本がバック手前から襲い掛かる。岩津裕介は太田に付け切れない。バック過ぎにのみ込んだ太田を脇本が直線でとらえた。
 「(青野の)スピードが良かったので、僕のところで止まられることはないなって見ていました。ちょっとジャンで吉澤(純平)さんと太田君が接触して音がした。それでどうするのかなって見ていたら、(仕掛ける)タイミングを逃してしまいました。(小林が)踏んだタイミングで踏めましたし、反応はできたのかなって。岩津さんが遅れ気味だったので、早めに外に持ち出さないと届かないと思いました。僕自身、悩みもありましたけど、なんとかこの開催はしのげたのかなって思います」
 6番手まくりの太田海也は、さらに後ろの脇本に屈して2着。
 「(青野の)ピッチが良かったんで、ああ(下げる)するしかないなって。(小林には入られたのは)ミスですね。もう2車前なら違ったと思う。(脇本には)力負けですね。体の状態は悪くないと思っていたんですけど、33バンクのここでうまく走れなかった」

<12R>

古性優作選手
古性優作選手
 近畿ラインが前団に構える。青板バック過ぎに誘導を降ろした寺崎浩平も踏み上げるが、そこを叩いた新山響平が赤板で主導権を握る。6番手の郡司浩平がすかさず反撃に出るも、3番手で立て直した寺崎も2コーナーで合わせて出る。2人を合わせた新山が突っ張って逃げて、大外の郡司は後退。寺崎は番手の浅井康太とからみながら最終周回。単騎で脚をためていた眞杉匠は、後方からホーム過ぎに仕掛ける。眞杉が抜群のスピードでまくるが。古性優作(写真)が3コーナーでドンピシャのブロック。逃げる新山に合わされた寺崎はいっぱいで、直線で追い込んだ古性が突き抜けて優勝。
 「寺崎君がすごいレースでしたね。(新山を)突っ張るのか、出させるのか、どっちなんだろうって見ていました。浅井(康太)さんのところをさばいて、寺崎君を入れるかすごく迷った。(寺崎の)タイミングがズレるとおもったので、そこは冷静にでした。あとは(まくってくる選手が)後ろから来たらしっかりと対処しないといけないなと。そこの間合いを取って、(眞杉のまくりを)しっかりとブロックしたかった。寺崎君も僕を頼って大阪に練習に来てくれる。できる範囲のことを教えられればと。それでお互いに切磋琢磨してと思っています。前で頑張ってくれた寺崎君と、チャンスをくれた村田(雅一)さんのおかげで優勝ができました」
 単騎の眞杉匠は、打鐘でも前団のやり合いを見て前との距離が空いた9番手。最終ホーム手前から車間を詰めて、ロングまくりを打つ。一人だけスピードが違ったが、古性のブロックで急失速。再度、踏み込むも2着まで。
 「(古性が)うますぎ…。完全にやられました。見てんのかよって…。ペースが速くてちぎれていました。(打鐘過ぎに)岩本(俊介)さんが降りる前に入るか、もうワンテンポ早く行っていれば、古性さんと早めに並べて、行けたと思うんですけど。今日(最終日)は(自転車が)出てました。めちゃくちゃ悔しい…。これでいけないんじゃ弱いですよね」
 寺崎の抵抗で踏まされながらも、新山響平が先頭に出て主導権。南関勢、寺崎は合わせたが、古性、眞杉に直線で交わされて3着。しかしながら、シリーズを通してデキの良さが光っていた。
 「(スタートは)取れなかったので、突っ張られたら突っ張られたで考えようと思っていました。けど、踏んでいったら出させてくれる感じだった。あの並びだったんで、そのあと(郡司は)来るよなって。微妙に少し踏んで出させるか、合ったところで踏んでと思ったんですけど。ずっと引っ掛かっている感じだった。ずっと影が見えていたけど、見えなくなった。それでもしかしたらって思ったんですけど、最後はいかれちゃいました」

次回のグレードレースは、桜花爛漫!まえばし春風賞GIIIが3月27日~30日の日程で、前橋競輪場において開催されます。
ウィナーズカップ直後のためトップクラスは少なく実力横一線のメンバーがそろい、優勝のゆくえは混とんとしています。スピード豊かな和田真久留が人気を集めそうですが、大ベテラン荒井崇博、そして佐々木豪、高橋晋也、福永大智ら各地区に強力自力型がいて一筋縄ではいきそうにありません。大混戦を制するのは誰でしょうか。

3月18日時点の出場予定選手データを分析した、桜花爛漫!まえばし春風賞GIIIの主力メンバー及び狙い目選手を紹介する「プロスポーツ号外版」は以下をクリックしてください

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