『第10回ウィナーズカップ(GII)レポート』 最終日編

配信日:3月22日

 防府競輪場を舞台に開催された「第10回ウィナーズカップ(GII)」は、3月22日に最終日が行われた。地元の清水裕友もコマを進めた決勝は、吉田拓矢が先行策。6番手からまくった深谷知広が、番手発進の眞杉匠をとらえてV。23年9月の共同通信社杯以来、通算6度目のビッグ制覇で優勝賞金3090万円(副賞含む)を獲得した。また、9レースでは、126、128期による「第8回ガールズフレッシュクイーン」は、128期の北岡マリアが追い込んで一発勝負を制した。

決勝戦 レース経過

 号砲が鳴って、踏み出しで失敗した清水裕友を尻目に、古性優作、小原太樹、久米康平が一斉に飛び出すが、小原が正攻法の位置を取り切り、古性がぴったりと続く。これで並びは深谷知広-小原、古性、吉田拓矢-眞杉匠、菅田壱道、清水裕友-久米、山崎賢人となって周回を重ねる。
 青板前の3コーナーから清水が上昇を開始。清水は古性の動きを封じるように3番手の外まで上がったのち、バックで前団を押さえる。深谷は古性の後ろまで引く一方、吉田が3コーナーから一気にスパート。赤板前に吉田が先手を奪い、清水は関東勢を出して3番手、古性が5番手、深谷が6番手で一本棒になる。態勢変わらず最終ホーム手前に入ったところで古性がまくって出て、最後方から山崎も仕掛ける。迫る古性を引き付けた眞杉は2コーナーで車を外に持ち出してけん制。そこに深谷の豪快な一撃が炸裂。古性を合わせ切った眞杉を2センターで飲み込んで深谷が先頭に。小原は踏み出しで離れ、深谷を追う形になった山崎も遅れていく。完全に深谷の独走状態で、眞杉が離れながら追う。直線に入っても状況は変わらず、1着は深谷で、2着は眞杉。外にへばりつく古性をドカして地元の清水が3着に入った。










ガールズ フレッシュクイーン レース経過

 号砲で、大外枠から岡田優歩も飛び出すが、1番車の大浦彩瑛が正攻法の位置を確保。北岡マリア、中島瞳、半田水晶、高木萌那、豊田美香と続き、位置が取れなかった岡田は下げていって半田の外で並走する。その態勢のまま赤板を迎えたところで半田が1車下げて岡田が4番手の位置に入る。
 大浦が後続の仕掛けを警戒して徐々に誘導員との車間を空けていく中、2コーナーから半田が一気にスパート。前との車間を切ってタイミングを図っていた岡田だったが、やや反応が遅れ、半田のダッシュに高木も口が開いてしまう。2センターで出切った半田の後位には大浦がハマり込む。離れた高木は内に降りて北岡と絡むも、3番手の位置は北岡が譲らない。それでも高木は4番手に割り込んで最終ホームを通過。バックで大浦が2番手まくりに行くも、半田も踏み直して猛抵抗。並走状態からゴール前で大浦が踏み勝つが、その外を北岡、高木が一気に抜け出した。優勝は高木の追撃を僅かに振り切った北岡。










<4R>

中川誠一郎選手
中川誠一郎選手
 青板バック過ぎに前受けの小原佑太も突っ張るが、佐々木豪が強引に押さえる。一度は番手に入った小原が、赤板手前で仕掛けて先頭に立つ。しかしながら、中川誠一郎(写真)は付いていけない。そこに菊池岳仁が襲い掛かり、打鐘過ぎに主導権を奪う。小原が番手に飛び付いて橋本壮史と併走。7番手から自力に転じた中川が4コーナーから踏み込んで、最終ホーム手前で単騎の寺沼拓摩が4番手からまくる。菊池と寺沼の踏み合いを中川がまくり切って、渡邉豪大の追走。3番手以下は離れ、中川が渡邉を振り切った。
 「小原君のヤル気に、ちょっと緊張してました。(佐々木)豪も引く気がなさそうだった。出られたのがわかって、(小原は)もう一回立て直すかと思って待ったんですけど。また出ていったので、もう対応できなかったです。(連結を外して、ああなったら)豪よりも先に行かなきゃって、2日目に見て失敗した。今日(最終日)は、後ろも付いていたんで(仕掛けた)。(寺沼のまくりが目標になって)あそこで二呼吸くらい休憩できたんで良かったです。あんだけやり合って、展開を小原君に向かせてもらったんで感謝しています。(前回の)小田原よりは、調子はいいと思ったんですけど。(今シリーズの4日間を通しては)レベルが高くて、いまの僕じゃなかなか難しいですね」
 自力に転じた中川に付け切った渡邉豪大が流れ込んで九州ワンツー。
 「(小原は)前を取って全部、突っ張る感じだった。けど、佐々木君がうまく押さえてきた。(中川は)もう一回、仕掛けると思った。(最終)ホームの(中川の)加速が良かったけど、自分もバックでは余裕があった。(中川が行き切れなければ)降りようかと思ったんですけど、(中川)誠一郎さんは回していたんですね」

<7R>

篠田幸希選手
篠田幸希選手
 3車の関東勢が前団。鈴木竜士は上昇した和田真久留を阻んで、青板2センターから踏んだ西田優大を送り出す。西田が赤板で先頭に立ち、鈴木が3番手をキープ。山田英明が6番手で、隊列は一本棒。西田のペースを見極めた鈴木は、打鐘4コーナーで仕掛ける。最終1コーナーで鈴木が叩き切り、桑原大志、西田のブロックを乗り越えた篠田幸希(写真)が続く。芦澤大輔は付け切れず、桑原が切り替える。番手の篠田が、鈴木を差し切った。
 「(鈴木は)レースの全体が見えていたし、自分はそういうところが足りない。(鈴木が仕掛けて、自分は別線からブロックされたが)食らう分には問題ない。やりにはいかないけど、大丈夫かなって思っていました。(後ろに芦澤大輔がいないのは)わかっていました。(番手を回って)とても勉強になりました。自力選手として頑張りたいんで、次は(先頭を)任せてもらえるように。(ビッグは)強い選手ばっかりだし、全然練習不足だなって痛感しました」
 3番手に入りながらもすかさず叩きに出た鈴木竜士の内容の濃い走りが光った
 「基本的に(詰まったポイントで仕掛ける)ただそれだけを考えていました。西田が遅ければ突っ張りますし、出させていいところで来てくれた。あとは緩んだところでっていう感じだった。(仕掛けて)加速する時にうまいこと(スピードを)乗せられなかった。それでスタンディングしちゃって、脚にきちゃった感じがあった。その辺は練習しながら修正していきたい」

<9R>

北岡マリア選手
北岡マリア選手
 126期4人、128期3人による一発勝負は、赤板2コーナーで5番手から仕掛けた半田水晶が、打鐘2センターで主導権。2番手に入った大浦彩瑛が、車間を空けて最終ホームを迎える。周回中から大浦の後ろにいた北岡マリア(写真)が、3番手になり、4番手が高木萌那。5番手で豊田美香の内に包まれた岡田優歩にとっては苦しい流れ。車間が詰まった大浦が、2コーナーからまくる。逃げる半田もコーナーに入り抵抗。大浦と半田のサイドバイサイドの外に、北岡が持ち出して直線。まくり切った大浦をとらえた北岡が、さらに外を伸びた高木を退けて勝ち切った。
 「(優勝できて)素直にうれしいです。前々で戦おうと思っていました。(打鐘2センター付近での高木との併走は)譲らずにあの3番手の位置で見る形でした。(大浦が)早めにいくのもあるかなと。(最終)2センターから踏みました。最後は高木さんに差されたかと。(決定)放送で1着なのがわかりました。(デビューしてから)後半から自力を出せるようになって、優勝できたけど、今年に入ってからはうまくいかなかった。(今年はまだ優勝がなくて、決勝でも)2、3着どまりで悔しかった。今回、1着で良かったです」
 外を突き抜ける勢いだった高木萌那は、4分の1輪及ばずの2着。
 「北岡さんの追走を後ろから見ていましたけど上手でした。自分は外に差したり、(最終)3コーナーの登りで踏んだりしていた。(勝ち切れなかったのは)そういうところの差かなと。ジャンのところは(半田に)付いていこうかとも思った。けど、今後、GIでの勝ち上がりを見据えると、あそこは付いていかずに流れに乗ってあの形にした方が、勝ち上がる可能性が高くなるかなと」
 勝負どころで2番手の好ポジションを手に入れた大浦彩瑛は、逃げる半田をとらえるに脚を使った。
 「いい展開ではありましたけど。(仕掛けるタイミングを)少し引っ張っても良かったのかなって。結果的に狙うなら、もうちょっと遅くてもっていうのは終わってみればありました。迷いもありましたし、変に詰まってしまった。詰まったところで覚悟を決めていければ、スピードの乗りも良かったと。力不足でした。でも、強いメンバーのなかでどうやって戦っていくのかっていうのは、勉強にはなりました」

<10R>

阿部英斗選手
阿部英斗選手
 寺崎浩平も青板バック過ぎに踏み込むが、吉田有希が出る。茨栃ラインが主導権を握り、中団が寺崎と阿部拓真の併走で赤板。1センター過ぎから阿部拓が仕掛けて、吉田もペースを上げる。阿部拓は合わされて浮き、渡部幸訓が5番手に降りる。打鐘で7番手の寺崎の横まで追い上げていた阿部英斗(写真)は、寺崎に踏み勝って最終ホーム手前からまくりを打つ。逃げる吉田の番手から坂井洋が2コーナーで出るが、阿部英がスピードの違いでのみ込む。阿部英を目標にするようにまくった寺崎を、阿部英が振り切った。
 「僕は単騎の時はなにも想像せずにレースに挑むので、すべてが新発見ではないですけど、予想外の展開でした。自分は絶対にキメられるって、どこでも追い上げるつもりでいました。(打鐘で7番手を寺崎と併走した)あそこもビビらずにいけたっていうのが、僕の強みだと思います。(仕掛けたところは)詰まりましたし、寺崎さんもあそこは下げるしかないと思った。(寺崎が)下げている間に行こうと思いました。GIでこういうレースができるようにって心がけようと思っています。昨日(3日目)は半信半疑で仕掛けたけど、今日は自信をもって仕掛けた。(寺崎に)これで乗り越えられたら、ただ練習するだけと思っていたら、1着だったのですごくうれしかった」
 最終ホームでは8番手に置かれた寺崎浩平は、まくりで単騎の阿部英を追いかけたが2着が精いっぱい。
 「(吉田を)突っ張るか、ちょっと迷いました。中途半端でした。自分の状態が良くないので、自信をもって挑めてない。(阿部英との併走の)あそこもそうですし、道中、中途半端だった。昨日(3日目)は(シリーズの4日間で)まだマシだったけど、また今日は良くない方にいった。体も気持ちも全然ですね」

<11R>

河端朋之選手
河端朋之選手
 町田太我に合わせて動いた森田一郎が、青板3コーナー過ぎに郡司浩平を押さえる。その上を赤板で出た町田が、そのままペースを握る。郡司は5番手、山口拳矢は一本棒の8番手のままで打鐘を迎える。町田が駆けて、最終ホーム手前で郡司、山口が同じタイミングで仕掛ける。逃げる町田の掛かりが良く、郡司は中団で鈴木玄人を押し込めて内を進出。番手の河端朋之(写真)は、郡司に内から並ばれる前に3コーナー過ぎに踏み込む。直線で抜け出した河端が1着。
 「後ろになったら、(別線に)先切りをしてもらった方がラッキーだなって思っていました。(町田は)いいピッチで駆けてくれました。郡司君は外で止まっていたように見えましたし、森田君が来たので振りましたけど。振ると踏むのバランスが難しかった。(3日目の)落車の怪我は思ったよりも軽かったですけど、今日(最終日)に関しては町田君の頑張りに尽きますね」
 郡司浩平は、初対戦だった森田の動きに戸惑ったところもあった様子。仕掛けのタイミングを逸して、まくりにいつもの伸びが見られなかった。
 「森田君がどういうレースをするのかっていうのが、一緒に走るのが初めてだったのでわからなかったですね。迷いもあって、ジャン過ぎに行こうと思ったところで森田君が行きそうな素振りを見せた。それで待ったら結果的に行かなかった。変に詰まったところで行ってしまいましたし、出が悪かった。今回は流れに乗れていなかった。自力に関しては、前に出る脚も、仕掛ける脚も足りなかった。ダービー(日本選手権)に向けて上げていきたい」

<12R>

深谷知広選手
深谷知広選手
 乗れている茨栃コンビは、2日目の「毘沙門天賞」とは逆の並び。吉田拓矢が先頭を務めて、眞杉匠が番手。山崎賢人は単騎になり、深谷知広(写真)の先行1車に近いメンバー構成という“下馬評”もあった。が、深谷自身はあくまで冷静。周囲に惑わされることはなかった。
 「関東勢の積極策があると思っていた。(吉田が)流していれば(自分が叩いて)先行。(吉田が)駆けていけば、(自分が)まくりという判断で落ち着いてはいました」
 赤板で茨栃コンビが出ると、吉田はそのまま緩めることなく、ピッチを刻んで風を切る。地元の清水裕友が3番手に飛び付いて、単騎の古性優作が5番手。自力を備えた番手の眞杉、前々に攻める清水、古性を前に見る6番手は、前受けから引いた深谷にとっては、決して悪いポジションではなかった。
 「(スタートで)前を取れるとは思っていなかったんですけど、小原(太樹)さんが(スタートは)早いですし、そこはいつも任せている。前の方を取れればやりやすいかなと」
 打鐘では前の古性と車間を空けてタイミングを取った深谷は、単騎でも仕掛ける古性の動きを読み切ってその時を待った。
 「(古性は)最後まで仕掛けないという選手ではないですし、そこは少し頼って見ていました。(古性に)ピッタリ付いて行くよりは、自分の間合いを取って行けた」
 最終ホーム手前から古性が踏み出し、最後方から山崎も同じようなタイミングで反撃。深谷は、山崎にかぶる前のギリギリのポイントで踏み出した。
 「(後ろから単騎の山崎のまくりがきていたが)踏み出した時に(後ろで)音がしたんで来たなって。結果的にいいタイミングだった。(まくりの伸びは)自分でも信じられないくらい出ました」
 古性に合わせて満を持した眞杉が番手まくり。しかしながら、深谷の加速が断然。2人をあっさりと乗り越えて、3コーナー過ぎには決着がついていた。
 「(優勝の手ごたえは最終3コーナーを過ぎて)眞杉を越えられたところで、あとはゴールまでと」
 マーク小原は付け切れない。がむしゃらにゴールを駆け抜けた深谷は、気づけば2着の眞杉に3車身の差をつけていた。
 23年9月の共同通信社杯以来のビッグ制覇。昨年はウエートトレーニングで痛めたヒザ痛に泣かされたが、試行錯誤でようやくここまでたどり着いた。
 「まだウエートトレーニング自体はできないんですけど、(昨年痛めた)ヒザを気にせず自転車に乗ることができている。(ウエートトレーニングは)やれそうな手ごたえはあるんですけど、一度(ヒザを痛めて)失敗してるんでちょっと様子を見て、パワーアップもしていかなければって思います」
 2年半ぶりのGII優勝だが、タイトルは14年の寬仁親王牌から遠ざかっている。
 「もちろんこの先にGIがあるし、ここが最終目標ではない。最近は先行の壁というのも実感している。(戦法に)幅をもたせつつ、そのなかでしっかりと先行を見せたい」
 まくり一撃でのビッグ制覇。平成の怪物、深谷は令和になっても進化し、自身の変化をしっかりと受け止めている。
 吉田が積極的に駆けて、眞杉匠には絶好の流れ。番手まくりを打ったが、深谷のスピードが違った。
 「(吉田が)仕掛けて主導権を取ってくれたのに、(それに)応えられなくて悔しい。雨で(状況が)全然、見えなかったです。古性さんが来ていたのはわかって、横にいるのもわかったけど、それ以外はわからなかったです」
 3番手を確保した地元の清水裕友は、眞杉の番手まくりを追っての3着まで。
 「スタートはミスしました。でも、展開的には良かった。ちょっと絶好の位置が取れたんですけど。眞杉君も出る感じじゃなかったですし、その上を深谷さんに行かれてしまった。(地元で)すごい声援だったので、うれしかったんですけど、結果を出せず申し訳なかったです」

次回のグレードレースは、「ちぎり賞争奪戦」が3月28日~31日、豊橋競輪場において開催されます。

およそ2年半ぶりの開催となる豊橋記念に、S級班の眞杉匠、阿部拓真の2人に新山響平、渡部幸訓、杉浦侑吾、松井宏佑、山田久徳、三谷竜生、石原颯、北津留翼、山田英明ら、各地区のトップ選手たちが激突します。地元地区の中部勢は、ホームの岡本総をはじめ、志田龍星、谷口遼平、皿屋豊、山田諒ら機動力を備えた顔ぶれが多く、結束力を高め、総力を結集して大会を盛り上げます。

3月19日時点の出場予定選手データを分析した、豊橋競輪「ちぎり賞争奪戦(GIII)の主力メンバー及び狙い目選手を紹介する「プロスポーツ号外版」は以下をクリックしてください。

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