『第38回読売新聞社杯全日本選抜競輪(GI)レポート』 初日編

配信日:2月23日

 GI戦線の幕開け。高知競輪場で第38回読売新聞社杯「全日本選抜競輪(GI)」が、2月23日に始まった。初日のメイン、特選では、ラインの先頭を務めた眞杉匠、深谷知広、脇本雄太がそれぞれ勝ち星を挙げ、一次予選でも機動型の活躍が目を引いた。2月24日のシリーズ2日目は、初日特選を勝ち上がった9人による「スタールビー賞」が行われる。近畿3人を初めとした好メンバーによるスピードバトルは見逃せない。
 シリーズ開催中の毎日、先着500人に高知銘菓をプレゼント、また予想会、北海道物産展&旨いもんグルメブースなど。2月24日の2日目は、「レイリー&かおりっきぃ☆」のトークショー、ツーライスのお笑いステージなども予定されています。なお、高知競輪場では「競輪・オートレースにおける新型コロナウイルス感染症感染拡大予防ガイドライン」に沿った開催となりますので、ご協力とご理解をお願いいたします。テレビ、インターネット中継などでの観戦もお楽しみください。

<1R>

北井佑季選手
北井佑季選手
 赤板2コーナーから8番手の末木浩二が動いて切って出る。ワンテンポ置いて野田源一が関東勢を追いかけるが、北井佑季(写真)がこじ開けるように野田を弾いて前に踏んで、最終1コーナーで主導権を奪う。岩本俊介は連結を外して、末木が飛び付くが空いた車間がなかなか詰まらない。後方で態勢を立て直した岩本が、2コーナー手前からまくりを打つ。北井が1人で後続をちぎって、それ以外のひとかたまりの隊列を岩本がのみ込む。ゴール前で詰め寄られた北井だったが、逃げ切りでGI初勝利を挙げた。
 「まずは初めてのGIで、1レース1番車で1着を取れて良かったなって思います。(動き出しが)もしかしたら早かったのか、遅かったのかもしれないんですけど、ゴチャついてしまった。でも、行こうと思ったタイミングでは行けた。僕自身、併走になってしまっていたので、出切った時には(岩本が)いないとわかった。出切ってから1回待ってから、もう1回踏んでいく感じでした」
 最終ホーム手前で北井を見失った岩本俊介は、持ち前の機動力でカバー。まくりで後ろの岡村潤を連れ込んで、結果的には南関ラインで上位を独占した。
 「アンコになってしまいましたし、柏野(智典)さんにも降りられてしまった。落車するかもで付いていくのか、立て直して追い上げるのかの判断だったんですけど。普段自分で動いている分、巻き返せると思っちゃいました。なにがなんでも追い上げるつもりではいた。自転車は出ているのかなって思います。(久々のレースで)踏んだ感じも、思ったより悪くなかったですね」

<2R>

岩津裕介選手
岩津裕介選手
 周回中7番手にいた町田太我が赤板2コーナー辺りでアクションを起こすと、中団の坂本貴史も動いて佐々木悠葵を押さえる。町田は打鐘2センターからタイミング良く仕掛けて、最終1センターで出切る。町田、岩津裕介(写真)と出切るが、桑原大志がさばかれ坂本が3番手に入る。2コーナーから後方の佐々木がまくるも一息。町田の番手で好展開が巡った岩津が、直線で抜け出した。
 「(町田が仕掛けて)北日本もできたら、僕のところでスピードが合ったら来ようかなという雰囲気だった。だから、桑原さんのところで合っちゃうなと。(最終)バック前くらいに佐々木君がまくって来ているのがわかった。(坂本)貴史が後ろにいて外して来てたんで、けん制しながら(別の選手が)内にも来るだろうと。僕自身は体調も調子もいいかなと。最近のなかではいい感じだと思います」
 まくった佐々木のスピードが鈍ると、神山拓弥は最終2センターで内の永澤剛をキメにかかる。永澤とからみながらも、直線は町田と岩津の間を伸びた。
 「佐々木君も町田君が行ったあとに付いていってまくってくれた。それで自分も柴田(洋輔)さんも(勝ち上がれた)。無我夢中で最後は気づいたら2着だった」

<3R>

中本匠栄選手
中本匠栄選手
 打鐘過ぎに先頭に立った嘉永泰斗は、関東ラインを受けて4番手。ペースを握った菊池岳仁はそこまで上げず、最終ホーム手前で根田空史が7番手からスパート。菊池も抵抗するが、根田が2コーナー手前で出切る。後方になった嘉永だったが、構えることなくまくりを打つ。嘉永は根田マークの福田知也から再三のブロックを受けるが、直線でねじ伏せる。嘉永の外を中本匠栄(写真)が、余裕をもって突き抜けた。
 「まずはしっかりと(嘉永に)付いていくとこだけって感じでした。ちょっと初手が思っていたのと違ったので、嘉永君が動くタイミングを見ながらって感じでした。根田君の行き切った上を行ってしまったので、嘉永君が強かったですね。2センターはスライスしやすいと思うんですけど、よく我慢してくれました。自分はあの展開で抜けているので悪くないかなって思います」
 素早い反応で最終2コーナーから踏み出した嘉永泰斗が、まくりで根田を仕留めて2着。
 「前か中団が良かったんですけど、スタートでミスってしまった。1回押さえてから、あとは流れを見てって感じでした。ここ最近のなかでは一番良かったと思います。(最終)2センターは危なかったんですけどいいと思います。(今回から新車に乗り換えたが)重心を低くして最後まで踏めるかなっていう感じです」

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山田久徳選手
山田久徳選手
 打鐘の3コーナーで押さえて出た北日本勢に南関コンビが続いて、山田久徳(写真)も5番手に切り替える。前受けから後方まで下げた太田竜馬が、4コーナーから山降ろしで仕掛ける。太田がスピードに乗せて、最終2コーナー手前で先頭。8番手になった山田が、2コーナーから外に持ち出して仕掛ける。3コーナー過ぎに久米良のブロックを受けた山田だったが、直線の入口で太田をとらえて1着。
 「カマしたのが太田君だったので、ちょっとヤバいかなと。でも、あんまり脚を使って位置を取るより、あそこにいた方がいいかなと。嵯峨(昇喜郎)君も(太田を)合わせに行くと思ったんで、そこを(まくって)行こうかと。そしたら前がゴチャゴチャになった。踏んだ時に自転車が結構進んだんで感じは良かった。今日(初日)はあんまり脚を使ってないけど、スピードの乗りは良かった」
 近畿ワンツー。東口善朋は信頼を寄せる山田に危なげなく続いた。
 「(山田とは)前回も一緒だったし、調子も良さそうだった。(山田)久徳は前々に攻めてくれるし、どこからでも行きますよって感じだった。500バンクで仕掛けられるポイントもいくつもあると思って、安心して付いてました。(山田を)抜けたら良かった。僕も調子がいいけど、それ以上に久徳がいいんじゃないですか」

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渡邉雄太選手
渡邉雄太選手
 打鐘の2センターで伊藤颯馬が阿竹智史を押さえて、そこを渡邉雄太(写真)がすかさず叩いて出る。渡邉の先行で最終周回。南関勢を目標にするように菅田壱道も仕掛ける。菅田は小原太樹のブロックをしのいで、逃げる渡邉に並びかけるが渡邉が合わせる。菅田が力尽きて、山崎芳仁もいっぱい。別線も直線で迫るが、渡邉が二の足で押し切った。
 「菅田さんが引いてきたので、このままだと8番手になると。まだ前も駆けていなかったですし、チャンスかなって思った。そのあとはパッと横を見たら(菅田が)もういたのでヤバいと。流し過ぎました。行かれちゃったかなって思ったんですけど、合わせられたので良かったです」
 後続との間合いを計りながら差を詰めた小原太樹が2着。
 「早めの先行でしたし、(ラインが)2車だったのでなんとか決められればって思った。本当に強かったですね。(渡邉を)抜ければベストでしたけど、まだま調整できるのかなって思うので上向くように修正したい」

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稲川翔選手
稲川翔選手
 前団の様子をうかがいながら高橋晋也は、打鐘の3コーナーから踏み込む。高橋のスピードが中途半端で、結果的には前に出ていた松岡辰泰と踏み合い。谷口遼平がそこの勝負どころを逃さず、最終ホームを目がけてスパートする。中近ライン3車が2コーナーで出切る。切り替えた佐藤友和が4番手から外を踏み込むが、3番手の神田紘輔がけん制。番手で絶好の稲川翔(写真)が追い込んで1着。
 「谷口君の走りやすいように任せてました。(谷口の)出足が良くてちょっとピリッとなった感じがあった。出切ってからは、なんとかできるかなと思った。最後は神田に差されなくて良かった(笑)。1着ですし気持ちも乗ってくると思います。500バンクはみんな慣れないと思うので、僕も探りながら良くなるように」
 中近ライン3番手の神田紘輔は、直線でシャープに伸びて2着。
 「(自分たちのラインに)一番いい展開になりましたね。(谷口の)ダッシュが良かったので、出切ってしまえば3人で決まるかなと。コースを選びながらでしたけど、調子もいいのでしっかりと踏めていると思います」

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宿口陽一選手
宿口陽一選手
 渡邉一成、高久保雄介の順番で出て、前受けの吉田有希にも早めに仕掛けるポイントが巡ってくる。高久保も慌ててペースを上げるが、最終1コーナーで吉田が叩き切る。内に高久保を押し込んで番手を守った宿口陽一(写真)が、逃げる吉田を交わして1着。
 「吉田君がすべてやってくれたので良かったです。付いて行く分には余裕がありましたし、うまくしのげたと思います。(番手は)高久保君と吉田君のスピード差があったので、すんなり粘ってこられたわけじゃない。前回から練習もできていましたし、脚の感じはいいと思います」
 早めの巻き返しと力勝負で別線を踏み勝った吉田有希が、ラインを上位独占に導いた。
 「(前を取って引いてから)いいタイミングで行けたと思います。2角からしっかりと踏み上げていけた。あとは宿口さんと木暮(安由)さんが頑張ってくれたおかげです。前回がひどかったんですけど、(今回は)いいイメージで走れたと思います」

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犬伏湧也選手
犬伏湧也選手
 打鐘過ぎに大石剣士に押さえ込まれた犬伏湧也(写真)は、7番手に下げての巻き返し。藤井昭吾が先行態勢を取るが、4コーナーからダッシュを利かせて前団に襲い掛かるとスピードの違いは明らか。香川雄介も付け切れず、犬伏が1人で最終2コーナーで出切って、ロングまくりでそのまま押し切った。
 「前を取って突っ張る作戦だったんで、その通りにはいかなかった。山中(貴雄)さんに迷惑を掛けてしまった。引かざる得ない展開だったので、引かせてもらってすかさず行きました。(最終)ホームくらいは重たい感じだったけど、座ってからはすごい伸びていった。そこまで踏まずに出切れる感じがあったので、ゴール前もしっかりと踏み直しができました。感じはいいですけど、組み立てが悪い。明日(2日目)以降、もっとレベルが上がるんで、そこで自分の形をつくれるようにしたい」
 5番手で反撃の態勢を整えていた長島大介が、犬伏のまくりを追いかけて流れ込んだ。
 「犬伏君がすごく強いんで、なるべく後ろに置く展開をつくりたいなと。犬伏君の強さを見てるんで、(後ろが)離れてくるのも頭にはありました。犬伏君が来なかったら、(最終)ホーム過ぎに自分で行こうっていう気持ちがあったからこそだと思います。体は良くなっているんじゃないかと」

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山田英明選手
山田英明選手
 橋本優己が押さえて先頭に立つ。中団に山田英明(写真)が入り、松井宏佑は一本棒の7番手に下げて打鐘の2センターから仕掛ける。橋本も合わせてペースを上げて最終周回。逃げる橋本が空けたインを山田が1コーナーから進出する。内から先頭に出た山田が、外を巻き返す松井らを不発にして押し切った。
 「若い2人(橋本、松井)がレースをつくっていくと思ったので、落ち着いて仕掛けようと。(内へ行ったのは)松井君の仕掛けに立ち遅れないようにと思って踏んだんですけど、あそこの判断は良かったと思います。松井君に行かれたら番手か3番手にって考えていました。出させるよりも力勝負をした方がいいかなって。押し切れたのはたまたま。1月に体調を崩して奈良記念はダメだったので不安しかなかったんですけど。どうにかなるかなっていうのはつかめた」
 南関勢にかぶってコースが塞がれていた井上昌己は、少しだけ松井を弾いて踏み場を確保して2着。
 「(山田が内へ行って最終)1コーナーでは駆ける感じだったので。自分はずっと松井君が外で当たれない位置にいたんで、自分的には重かったですね」

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眞杉匠選手
眞杉匠選手
 切った山田庸平の上を眞杉匠(写真)が押さえて出ると、山田がインで粘る。眞杉がペースを落として、最終ホームで8番手から新田祐大が仕掛ける。福島コンビが出切って、うまくスピードを合わせながら眞杉は3番手を確保。後続との間合いを計って4コーナーから踏み込んだ眞杉が、最後のハンドル投げでとらえた。
 「初手は後ろを考えてなかったんで油断はしてました。そのまま自分の距離で(先行して)行こうと思ったら、(新田が)カマしてきたのが見えた。スピードが違いましたね。先行するつもりだったんですけど、合わせ切れない感じだったんで引いてからになりました。体の感じはいいですけど、3車(のライン)を生かし切れなかったのは反省点です。前より臨機応変にできているかなっていうのもあります」
 新田マークから差し脚を伸ばした佐藤慎太郎が、積極策の新田をねぎらう。
 「新田が思い切り良く行ってくれて、付け切れているんで自分の状態はいいのかなと。(自分の成績は)新田の仕掛けが一番ですね。500バンクの1コーナーで一番行きにくいところでもあるし、付きにくいところでもある。よく付いていけたなと。ただもうちょっと車間を切るなりしないといけなかった。新田の後ろなんで、付け切って安心したところもある」
 山田にからまれた吉澤純平だったが、眞杉後位を守り、直線は狭いコースを踏んで3着に入った。
 「(別線に)粘られるとは、ある程度思っていた。あのペースなら粘るだろうと準備はしていた。眞杉の踏み出しに集中してできたし、なんとかしのげているのでいいのかなと。(直線は)怖さもあったんで思い切りは踏めなかった。様子を見ながらでした。(佐藤)慎太郎さんに当たったら、狭くて落ちるかなと。当たったこともあんまりないし、半信半疑でした。外はもう間に合わないと思ったんで、イチかバチかでした」

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深谷知広選手
深谷知広選手
 打鐘の2センターで誘導を交わした小松崎大地と吉田拓矢で踏み合い。平原康多は吉田と息が合わず連結を外す。最終1コーナーで吉田が1人で出切る。しかしながら、ホーム過ぎから踏んでいた深谷知広(写真)が、吉田を楽にとらえて2コーナーで先頭に立つ。南関ラインを追いかけた古性優作は最終4コーナーから踏み込んで、郡司浩平が外に振る。古性は瞬時に内に進路を取って中を割るが、深谷が後続を振り切った。
 「(吉田と小松崎で踏み合いとなっていたが)決着を見極めて行こうと。落ち着いて踏めたと思います。きれいに出切れたので、あとは乱さないようにキープできるようにと。しっかりと踏み込めていたと思いますし、最低限(いまの状態を)キープしていってさらに上げていければ」
 最終ホームで平原と重なった古性優作だったが、そこをくぐり抜けて南関ラインを追いかける。4コーナーでは和田真久留をキメて、中を伸びた。
 「(深谷の外に追い上げたが)引かなかったらラッキーだなと。でも、引いたのでヤバいなって。(そのあとは)しっかり走れたと思います。進みは悪くなかったと思うんですけど、バンクの特性なのかちょっとあれでしたね。スピード負けしている感じだった。あそこ(郡司と深谷の間)を行くことは考えていなかったんですけど空いたので」
 最終4コーナーで外に振った郡司浩平は、結果的に中を古性に突かれて3着。
 「(深谷が)3車の強みを生かして行けるところから行ってくれると思っていた。いいタイミングで行ってくれました。余裕はあったので決まったかなって思ったんですけど、古性君が見えてムダに反応しすぎてしまった。それで隙を突かれてしまいました。自分の技量不足ですね。余計な動きはしちゃいけないって思ってはいたんですけど。踏み出しにも余裕をもってたし、出切ってからも感触は良かった。ただ、技量がなかったです」

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脇本雄太選手
脇本雄太選手
 打鐘過ぎに新山響平が3番手にいた脇本雄太(写真)に併せ込むように追い上げる。脇本は下げて、関東勢の後ろは新山。そのままスローペースで流れて、最終ホーム手前から清水裕友が5番手から踏み上げる。清水が主導権も、園田匠をさばいた坂井洋が番手に入る。5番手で脚をためた新山は2コーナーからまくり発進。逃げる清水をとらえるが、北日本勢をおいかけてその上をまくった脇本がゴール前できっちり抜け出した。
 「(周回中の3番手の位置から)ほかのラインの動き次第っていうところもあったんですけど。誰か押さえに来るかと思ったら、来なかった。それで正直、迷ったところはあります。(感触は)良くもなく悪くもないという感じですね。練習した感じ(腰に)痛みはなかったけど、レースを走って痛みが出ているなって感覚がある。1着を取れている以上は、現状維持でしっかり残りの3日間を頑張りたいなと」
 最終バックからの脇本の加速にも対応した三谷竜生が2着に入って、人気の2人で決着。
 「(脇本は)強いですし、付いている感じ離れるっていうのはなかった。最後までずっと伸びていたので、なかなか車が進まなかった。自分の調子はいいですし、脇本を抜けるように」
 思惑通り脇本を後方に置いてまくった新山響平だったが、近畿の2人にのみ込まれて、こう振り返る。
 「(自分の仕掛けは)タイミングも良く、踏み込みも悪くなかった。あれで(脇本に)行かれたら力負けですね。ただ、疲れも抜けているし、体も力が抜けていい感じです。あとはチェーンを換えたのが、自転車と合ってない感じがしたので調整をします」