『令和6年能登半島地震復興支援競輪 第39回読売新聞社杯全日本選抜競輪(GI)レポート』 2日目編

配信日:2月10日

 24年のGI戦線がスタート。岐阜競輪場で開催されている令和6年能登半島地震復興支援競輪・第39回読売新聞社杯「全日本選抜競輪(GI)」は、2月10日に2日目が行われた。メインの「スタールビー賞」は、4車で固い結束力を誇った近畿勢がワンツー。3番手の東口善朋がスタールビー賞を制した。また、激しい戦いが繰り広げられた二次予選では、川口公太朗の途中欠場でただ一人の地元となった山口拳矢が3着も準決にコマを進めた。早くもシリーズは勝負どころ、2月11日の3日目には、今年最初のGIのファイナルをかけて準決が行われる。
 GIシリーズは開催中の毎日、1000人様に岐阜競輪オリジナルパッケージの「カニチップ」を先着でプレゼント。ケータリングカーによる「食の全日本選抜」、KEIRIN4D体験などが予定されています。また、2月11日の3日目には、「競輪とオートレースの補助事業」の事業紹介ブース、「NO BRAKES」のライブショー、「岐阜信長公おもてなし集団響縁」の甲冑体験なども行われます。岐阜競輪場では、みなさまのご来場をお待ちしております。また、テレビ、インターネット中継などでの観戦もお楽しみください。

スタールビー賞出場選手特別紹介
スタールビー賞出場選手特別紹介
スタールビー賞1番車、稲川翔選手
スタールビー賞1番車、稲川翔選手
スタールビー賞2番車、清水裕友選手
スタールビー賞2番車、清水裕友選手
スタールビー賞3番車、新田祐大選手
スタールビー賞3番車、新田祐大選手
スタールビー賞4番車、東口善朋選手
スタールビー賞4番車、東口善朋選手
スタールビー賞5番車、深谷知広選手
スタールビー賞5番車、深谷知広選手
スタールビー賞6番車、村上博幸選手
スタールビー賞6番車、村上博幸選手
スタールビー賞7番車、松谷秀幸選手
スタールビー賞7番車、松谷秀幸選手
スタールビー賞8番車、山田英明選手
スタールビー賞8番車、山田英明選手
スタールビー賞9番車、南修二選手
スタールビー賞9番車、南修二選手

スタールビー賞 レース経過

 号砲で山田英明が出て、清水裕友を受ける。清水-山田、稲川翔-南修二-東口善朋-村上博幸、新田祐大、深谷知広-松谷秀幸で周回。
 赤板を前に後方から南関コンビが上昇。清水は無理せず2車を出させるが、長い近畿ラインが南関コンビに切り替えて続いてきて3番手以下が併走となる。しかし、2コーナーに入ると稲川はためらうことなく外併走から前団を叩きに出る。これを深谷が突っ張って両者でモガき合いに。さすがに稲川は出切れずに打鐘4コーナーで力尽きるも、南が機敏に内に降りて3番手以下を近畿3人が占める。そこを最後方で脚を溜めた新田が強烈な巻き返しで襲い掛かる。スピードに乗った新田は最終2コーナーで深谷を飲み込んでしまう。新田を追ってすかさず南も仕掛ける。一時は後続を千切った新田だったが、南が猛然と迫って逆転して直線へ。最後は東口が南を差し切ってスタールビー賞を勝利。3コーナーから外に踏み出した清水は村上を交わして3着がいっぱいだった。


<6R>

松井宏佑選手
松井宏佑選手
 山崎芳仁、岡崎智哉の順番で切って、松井宏佑(写真)は5番手のインで山口拳矢に閉じ込められる。打鐘過ぎから引き始めた松井は、8番手になって4コーナーでスパート。山口が合わせて仕掛けて、松井は山口、皿屋豊に続く。岡崎智哉の逃げを山口がとらえるが、最終2コーナー過ぎから松井もまくる。和田健太郎が離れ気味で、圧巻のスピードで後続を置き去りにした松井が1着。
 「レース内容はそんなに良くなかったけど、(和田と)ワンツーが決められて良かったです。ホッとしています。脚を回した感じも昨日(初日)よりも良くて、(セッティングを)いじって一体感が出てきました。(セッティングを変えたのは)サドルとかハンドルとか全部ですね。(山口との併走で)そこをこだわってもと。引いて行けるところから、行った方がいいかなと。自分が行ったタイミングで、山口君がカマしてくれた。それに乗っかりました。落ち着いていけました」
 松井の加速に置いていかれた和田健太郎は、松井から5車身遅れてのゴール。2着は確保して、松井に脱帽する。
 「(松井は)頼もしすぎます。柴崎(淳)君のところにスポンッてハマった感じだったけど、そのあとはもう一発で決めちゃおうっていう感じだった。僕は力がなかった。(松井)宏佑はやることやっているんで、同じ2着でもちゃんと付いていければ良かった」

<7R>

脇本雄太選手
脇本雄太選手
 赤板1コーナーで坂本貴史が脇本雄太(写真)を押さえて、坂井洋が3番手に切り替える。5番手まで引いた脇本の外から根田空史が打鐘で仕掛ける。2センターで内を進出した坂井を根田がのみ込む。後方になった脇本は、最終ホーム手前から反撃に出る。3車で出切った南関ラインが主導権。番手の岩本俊介が外に振るが、脇本のまくりは止められない。追い込む岩本を直線半ばで脇本がとらえた。
 「いつもだったら誘導と車間を空けて下げて構えるって感じですけど、誘導を切らせるところは自分のなかでもトリッキーな動きだったなって思います。相変わらず良くはないですね。仕掛ける時の踏み込んだ感じも良くなかったですし、まだ満足はしないでおきます。しっかりとやることをやって備えたいと思います」
 あおりもありながら脇本のまくりをソツなくマークした浅井康太は、1車輪まで詰め寄ったところがゴール。
 「脇本君はいつも通りのレースの組み立てをしてくれましたね。想定外だったのは、坂井君が(打鐘)2センターで内にいったので展開が向きましたね。坂本君が引く前に脇本君が仕掛けたのも、いい判断だったんじゃないかなって思います。(連係した感じは)いつもの脇本君だったなって。自分もしっかりと付け切れたので、昨日(初日)よりも感触だったりイメージは良かった」

<8R>

犬伏湧也選手
犬伏湧也選手
 中四国勢が前団に構えて、7番手の新山響平は赤板を迎えても動かない。1センター過ぎに外に持ち出した新山は、一気にスピードに乗せて打鐘で主導権を奪う。北日本3車が出切り、犬伏湧也(写真)は4番手に入る。追い上げた小林泰正と犬伏が4コーナーでからんで、犬伏はコースをこじ開けて最終ホームから仕掛ける。小倉竜二は反応できず、守澤太志のけん制を警戒しながら外を踏んだ犬伏が1人でまくり切る。後続は脅かすことはできず、犬伏が力を誇示して1着。
 「後ろにおっても(新山に)突っ張られるだけなんで、(周回中は)前でしっかりと新山さんと力勝負ができたらと。(新山が赤板で来なかったので)焦って踏みすぎてもダメかなと。隊列が長すぎて後ろの状況も確認できなくて、新山さんを合わせられなかった。接触があって危なかったけど、ああなった以上は中団は取らないと話にならない。新山さんもペースに入れてたんで、行ってみたけど重かった。バックの追い風に乗った感じです。1周半、先行するつもりでいかないと、隅田(洋介)さんが(前を)取ってくれた意味がない。反省ですね。僕が前でああいう展開はなかなかないので、勉強になりました」
 7番手からのカマシで先行策に出た新山響平は、犬伏にはまくられたものの、ラインのサポートもあり2着に粘り込んだ。
 「(スタートが)取れなかったんで、後ろから攻めようと思ってました。犬伏が勢い良く前を取ったんで突っ張りかなと。それで間合いを外すような仕掛けをしようと思ってた。犬伏に気づかれないようにいけたし、あんまり脚を使わずに出られた。(小林)泰正が追い上げて来るかなと思ったんで、それに期待した。そしたら犬伏が来たのが見えたんで全開で踏んだけど、犬伏が強かったです。力を出し切って、後ろの援護もあって2着に入れた」

<9R>

古性優作選手
古性優作選手
 森田優弥、松本貴治の順番で切って、そこを打鐘で出た北津留翼が先行策。寺崎浩平は7番手に置かれたが、5番手の森田が2センターから仕掛けたことで流れも好転。前団の隊列が短くなったところを、寺崎が最終1センターからまくり上げる。逃げる北津留翼の後ろがもつれて松本が奪う。寺崎がスピードの違いで前団をあっさりと仕留めて、古性優作(写真)も余裕をもって差し切った。
 「寺崎君がモガき合いのなかで無理やり行ってくれたので、ハプニングがあっても対応できるようにっていう感じで(最終)1センター、2コーナーと付いていけたと思います。(初日に関しては)タイミングがズレたのもありますけど、シンプルに弱かったですね。脚がないですね。(全日本選抜)3連覇しようと思ってもなかなかできないことだと思いますし、力を出し切ってその結果、優勝できればと」
 危なげのない近畿ワンツーに見えたが、寺崎浩平自身はこう振り返る。
 「(周回中は)できれば前以外が良かった。しっかりと先行したかったので。北津留さんが出ていったところで見てしまった。早めにまくりに行きましたけど、あおりもあったんでヒヤヒヤしていました。ちょっと(最終)ホームで森田君が仕掛けたのを見たんですけど止まったように見えて、それを冷静に見て行った感じです。出脚は良かったんですけど、スピードを殺されてしまった。落ち着いて立て直して回していけたんですけど、直線でバタついてしまった。そこは修正しないとですね」

<10R>

眞杉匠選手
眞杉匠選手
 赤板過ぎに福永大智が、佐々木豪を突っ張ってペースを握る。眞杉匠(写真)は3番手を確保。打鐘を迎えても福永のペースは上がらず、8番手から伊藤旭が巻き返す。伊藤が最終ホーム手前で叩き切り逃げる。5番手になった眞杉は、1センターから踏み出す。福永も合わせてまくるが、眞杉のスピードが一枚上。逃げる伊藤をとらえて、ラインを上位独占に導いた眞杉が1着。
 「もっと仕掛けどころはあったし、行きたいところがあったけど、気持ちだけで体が全然(動かなかった)。伊藤君より先に仕掛けなきゃいけないところですね。グランプリから(自転車とかセッティングは)変えてない。体が合ってないので、それで変えるとおかしくなるんで、いまは自転車に合わせて行く感じです。踏んだ感じが全然、微妙でした。(競走が終わって帰ってきてから)長島(大介)さんとかにも、乗り方がいつもと違うねって言われた。自分でも乗り方がすごく変だし、(怪我したところを)かばいながらだった」
 二次予選では唯一のS級S班のタッグとなった佐藤慎太郎は、今期初場所の眞杉に太鼓判を押す。
 「眞杉が強かったです。眞杉は自信をもってたし、怪我の影響がないのかもしれないですね」

<11R>

北井佑季選手
北井佑季選手
 北井佑季(写真)が赤板過ぎに嘉永泰斗を突っ張ってから緩めたところを、取鳥雄吾が猛然とアタック。打鐘手前で飛び出した取鳥の主導権。3番手に北井が収まり、佐々木悠葵がインから5番手をダッシュして、嘉永は6番手。取鳥が風を切り、最終周回へ。3番手で整えた北井は、2コーナー手前からまくる。北井は難なく松浦悠士を乗り越えて、逃げる取鳥をとらえる。松浦にからまれた郡司浩平を振り切って、北井の1着で神奈川ワンツー。
 「車番が良くなかったのでとにかく前々にって思ってました。前が取れたので切り方を見て突っ張るかって感じでした。(嘉永は)うまい切り方してきたんですけど、うまく突っ張れて良かったです。そのあとは1回3番手に入って落ち着けた。松浦さんが車間を空けていたので、郡司さんと出切れるように踏みました」
 最終3コーナーで松浦に外に張られた郡司浩平は、連結を外すことなく松浦をキメて直線勝負に持ち込んだ。
 「(北井は)前を取れたら突っ張るっていう感じで、あとはすかさず(ほかのラインが)来るならそこを突っ張るか出させるかっていう感じだった。距離が長ければ出させても、自信があるなら突っ張ってもって。北井さんが落ち着いていましたね。僕の方がソワソワしていた。松浦君も見てから踏むと思ったので、かぶる前に北井さんが持ち出せればいい勝負ができると思っていた。(最終)3コーナーで松浦君に寄せられてしまったので、その時点で(北井を抜くことは)厳しくはなりました」

<12R>

東口善朋選手
東口善朋選手
 赤板1コーナーで南関コンビが出て、3番手が清水裕友と稲川翔で重なる。外併走から稲川が叩きに出て、先行態勢の深谷知広も合わせて打鐘は両者の叩き合い。深谷が合わせ切り主導権。稲川は後退して、南修二が3番手を確保する。清水はズルズルと下げて、そこを単騎の新田祐大が最終ホーム手前から敢然と踏み込む。強烈なダッシュで、新田が深谷をのみ込む。車間が空きながらも南が、新田を追いかける。詰めながら直線の入り口で新田に並んだ南がまくり切り、東口善朋(写真)が外から差し切った。
 「(近畿4人で結束して)それぞれの色を出していこうっていうことでした。最終ホームでは(南は稲川)翔を入れる形を取ってましたけど。翔ももう行ってくれっていう(気配が)出ていて、(南)修二がすかさず新田(祐大)にスイッチして、シビれる走りをしてくれた。(村上)博幸もいたし、お互いのコースをと思って外をいきました」
 4車で結束の近畿勢。先頭の稲川は不発に終わったが、“二の矢”でまくった南修二の脚力も光った。
 「後ろに付いてくれているんで仕掛けたいなって。(新田と)たまたまタイミングが合ったけど。(最終ホーム過ぎ付近では別線が)来ていなくても、踏み込もうと思っていた。3コーナーくらいでは新田を抜けるかなっていう感触はあった。けど、強いんでわからなかったです。自分なりにはいいかなっていう感じです」
 最終ホーム過ぎには結局8番手になった清水裕友。単騎の新田が仕掛けた時には、まだ追いかけられる態勢にもなく、3コーナーからのまくり追い込みで3着。清水は反省の振り返りだった。
 「ジャンからの判断が中途半端になりました。なんとか(3着)に届いた感じです。周りが消耗していた分だと思います。(仕上がりは)あんまり良くないですね」