『第40回読売新聞社杯全日本選抜競輪(GI)レポート』 3日目編

配信日:2月23日

 25年のGI戦線が開幕。豊橋競輪場で開催されている大阪・関西万博協賛「第40回読売新聞社杯・全日本選抜競輪(GI)」は、2月23日に3日目を迎えた。ファイナルのキップを巡り、熱戦が繰り広げられた準決では、近畿勢が大挙6人が勝ち上がった。昨年のMVP古性優作も、二次予選から連勝で決勝に弾みをつけた。今年最初のGIは早くも大詰め。厳しいコンディションを勝ち抜いた9人による決勝で優勝が争われる。
 GIシリーズは最終日の2月24日も、様々なイベントでみなさまのご来場をお待ちしております。公営競技の女子レーサーによるトークショー、「チアドラ」のパフォーマンスショー、吉川太鼓「鼓流」の演奏ステージ、選手会愛知支部ステージ、キッチンカーの出店、豊競予想劇場、オリジナル手袋(500人)の先着入場サービスなどが予定されています。また、テレビ、インターネット中継などでの観戦もお楽しみください。

準決勝10Rゴール
準決勝10Rゴール
10R1着、寺崎浩平選手
10R1着、寺崎浩平選手
準決勝11Rゴール
準決勝11Rゴール
11R1着、眞杉匠選手
11R1着、眞杉匠選手
準決勝12Rゴール
準決勝12Rゴール
12R1着、古性優作選手
12R1着、古性優作選手

<4R>

小林泰正選手
小林泰正選手
 後方から上昇した後藤大輝に合わせて、4番手の佐々木悠葵が動いて赤板1コーナーで切って出る。佐々木は九州勢を受けて、後藤の主導権。取鳥雄吾は7番手に下げて、一本棒で打鐘を迎える。後藤がそのままペースを上げて先行。4番手の佐々木が2コーナー手前からまくりを打ち、バックであっさり逃げる後藤をとらえる。合わせて踏んだ荒井崇博も内にいたが、小林泰正(写真)が落ち着いて差し切った。
 「すんなり中団が取れれば、佐々木の得意なまくりになるし、理想の展開でした。(佐々木は)仕掛けのタイミングもすごく良かった。自分は脚の状態的には、後ろに付いていて良かった。あとはなるべく佐々木とワンツーが決まるようにと。しっかり差し切れたんで、状態はいいと思います。二次予選に関しては、まだまだレースの組み立てで勝負ができたところもあったと思うんで、そういうところは課題ですね」
 九州ラインを射程圏に入れた佐々木悠葵は、4番手確保からのまくりで仕留めた。
 「(取鳥に)突っ張られても、そこで勝負しようと思っていた。風も強かったんで外併走になっても、まくれたかなって思います。後藤君もキツそうで、自分も車間を空けようかと思ったけど、荒井さん、井上(昌己)さんもバックを踏んでいる感じだったので空けられなかった。昨日(二次予選)は自在に臨機応変に動いた方が、勝ち上がれたかなっていうはあります」

<6R>

松井宏佑選手
松井宏佑選手
 北津留翼が切った上を赤板2コーナー手前で森田優弥が押さえる。単騎の志智俊夫が4番手に続いて、北津留は5番手に収まる。前受けから引いた松井宏佑(写真)は、7番手に構える。先行態勢の森田が、打鐘4コーナー付近からペースアップ。北津留は前団と大きく車間が空いて、最終周回。松井は2コーナーでまくる。抜群のスピードで前団に迫った松井が、直線で抜け出して1着。
 「今日(3日目)は絶対に勝たないといけないし、力勝負もしたかったけどああいう形になりました。森田君は(フタをして)僕と併走するのかと思ってたんで、そこは意外でした。あとは北津留さんのこの車間はなんなんだろうって、仕掛けたかったけどそれで見ちゃいました。初日、2日目はあんまりいい競走ができなかったので、今日は自分らしいレースができました。持ち味が出せました。オーバーワークみたいな感じで疲労がすごくて、それがだんだんと抜けてきた。調整ミスですね」
 松井の加速に食らいついた山崎芳仁が2着で、ラインのワンツー決着。
 「松井は一発が得意なんで、前が取れたん時点でカマシかまくりでいいんじゃないかと。自分はただ付いていっただけですね。でも、(シリーズ中に)試行錯誤してセッティングを煮詰めた。初日ももうちょっと進めば、成田(和也)さんにもそこまで迷惑を掛けないですんだかと。ハンドルまわりとかを煮詰めて良くなりました」

<8R>

山田英明選手
山田英明選手
 小原佑太を8番手に置いて、5番手の松岡辰泰は赤板2コーナー過ぎに踏み込む。松岡が先頭に出て主導権も、すかさず小原佑が反撃。小原佑が最終ホームで叩き切って、渡部幸訓が続く。松岡が3番手に飛び付いて、後ろの山田英明(写真)は車間をとって別線の反撃に備える。6番手の長島大介、8番手の佐々木眞也は仕掛けられない。松岡の余力を確かめた山田が、まくり追い込みで前団をとらえて1着。
 「小原(佑)君が最終的に主導権を取るレースになるだろうし、できるだけいい位置を取るには(松岡は)脚を使わないといけないだろうと。(松岡は)あの風のなかで飛び付いてからの仕掛けはキツくなるから、できるだけけん制してと思っていました。(松岡が)キツそうだったし、(小川)勇介も付いているんで踏んでいきました。前がいての自力だったけど、以前に比べて車の進みが良くなった。それで自信をもって走れました」
 九州3番手を固めてソツなく山田を追走した小川勇介は、直線で外を踏んで2着に流れ込んだ。
 「自分は3番手だったんで内を空けないようにして、追走に集中していました。(最終2センターの)あの辺は向かい風を食らうので、後ろが詰めてくるから締めていた。自分は前があってですけど、進んでいる感じはした。チャンスがあれば、戦える感じはあります」

<10R>

寺崎浩平選手
寺崎浩平選手
 中釜章成がスタートを飛び出して、4車の近畿勢が前団を占める。誘導との車間を大きく空けた中釜は、郡司浩平を出させることなく、そのままペースを上げて駆ける。5番手は山崎賢人がキープして、郡司は7番手に戻り打鐘を通過。逃げる中釜はハイペース。最終2コーナー手前から郡司はインを進出。番手の寺崎浩平(写真)は、中釜のスピードを計り、別線の反撃を待つことなく自力に転じる。寺崎に三谷将太、村田雅一で、4番手が山崎と郡司浩平でもつれる。直線で村田が外を伸びるが、番手まくりの寺崎が押し切った。
 「前受けからの突っ張りっていう感じだった。あとは郡司さんとか(山崎)賢人さんがどこら辺から来るかでした。(中釜は)すごくいいピッチで行ってくれた。僕も余裕があったんで、様子を見ていました。行くところは良くなかったけど、踏み切れました。バックが向かい風だったんで、伸びは良くなかった。でも、タレ幅もそんなにないから、(感じは)悪くないと思います」
 4、3着で予選を勝ち上がった村田雅一は、ゴール前で三谷将太を交わしてGI初ファイナル。デビュー20年目の90期が、目を細めて振り返る。
 「ガマ(中釜)がスタートが早いので助かりました。ペースが結構、緩んでいた。後ろが郡司君だと思っていたので、油断できないと内を締めて回っていた。バックを踏んだりで自分は余裕がなかった。けど、後ろを確認しながら、外だなと思って踏みました。(GI初優出で)20年やってようやくです。自分が乗れると思わなくて、前の後輩のおかげで乗れてうれしい。最近はいい状態を保つことができていると思います」
 近畿勢で上位を独占。寺崎マークで直線はいっぱいの三谷将太だったが、3着でGI初優出を果たした。
 「(中釜は)しっかり郡司君のことを見て駆けてくれた。(自分の感触は)悪くないと思います。体調が悪いなりに戦えているかなと。(GI初優出は)素直にうれしい」

<11R>

眞杉匠選手
眞杉匠選手
 赤板過ぎのダッシュ勝負で、内の福永大智が犬伏湧也を突っ張り、主導権は渡さない。5番手で打鐘を通過した眞杉匠(写真)は、4コーナーから仕掛ける。それに反応した番手の窓場千加頼が、最終ホーム手前から出る。眞杉は近畿3番手の脇本雄太をキメて、窓場を追いかける。4番手で立て直した脇本が2コーナー過ぎからまくり、後方から犬伏も巻き返す。しかしながら、眞杉は冷静に3コーナーから踏み上げて、まくり追い込みで窓場をとらえる。脚を使った脇本のスピードはいまひとつで、眞杉が1着。
 「(近畿が)4人並んだので、ああなるかなって考えて走りました。あれ(脇本をさばく)か、そのまま叩き切るかっていう感じだった。前(の窓場)も(福永の番手から)出ていくと思ったので、1回落ち着いて見ていた。でも、ラインが3人だったので、早めに行こうと思っていました。日に日に良くなっている感じですね。久々に感じ良くレースに臨めていると思います」
 眞杉が脇本をキメにいくところで間合いを詰めすぎた吉田拓矢だったが、そこからはスピードを合わせて追走した。
 「近畿勢がスタートを取ると思ったので、松浦(悠士)さんに負けないようにスタートは出ました。鎖骨骨折明けなので、スタートは不安だったんですけど良かったです。眞杉君もとっさの判断であそこ(脇本の横)にいったと思う。そこで外に差しちゃったけど、落ち着いていけた。(最後は)脇本さんが外に見えたんですけど、内に誰か来られないように気をつけていた。眞杉君が強くて差せなかった」
 眞杉に窓場後位を明け渡した脇本雄太は、立て直して3着。このレースで近畿勢ただ一人の優出では、納得の結果ではないだろう。
 「福永君が前で頑張っていたので、僕たちは(ラインを)固めることを意識しました。ジャンからどこかで(眞杉が)来るかなって思ってはいた。油断していたわけじゃないですけど、無我夢中でした。(最終)2コーナーでは1車でも追い上げて、窓場君に迷惑を掛けないようにと思ったけど。満足できる結果ではないですね」

<12R>

古性優作選手
古性優作選手
 前受けから突っ張る新山響平と叩きに出た山田久徳が、赤板過ぎから壮絶な踏み合い。新山が突っ張り切るが、7番手の深谷知広が打鐘手前から反撃に出る。深谷の踏み出しに遅れ気味の和田真久留を、菅田壱道がブロック。この影響で松谷秀幸が落車。叩き切った深谷が最終ホーム手前で主導権を奪取して、番手には新山が入る。菅田の内をすくった古性優作(写真)が3番手に続く。この隊列のままバックを通過して、新山が逃げる深谷との車間を詰めて襲い掛かるが、深谷は合わせる。2センターから2人の外を踏んだ古性が、突き抜けた。
 「(周回中は)いいところが取れたと思います。(深谷は)来るならここかなっていうところで来た。菅田さんのけん制があって、前で菅田さんが消えた。外をう回するんだったら、前に踏んでそこで合ったところで勝負かなと。前(深谷と新山)はハイレベルな戦いだった。モニターを見て、仕掛けてくる選手を確認して、それでいった。僕が行けなくても、南さんが内から突き抜けてくれるかなと。今日(3日目)のアップでは、すごくいい感じだった。ある選手のローラーでピンときて、それをやってみた。いいところも悪いところもあったので、このあとローラーに乗ってそこをすり合わせていきたい」
 和田がブロックされて、松谷は落車。ラインの2人を失った深谷知広だったが、新山を合わせて2着に逃げ粘った。
 「(自分の仕掛けは)想定していたなかの1つでした。(後ろが)誰かっていう意識はなかったけど、アクシデントがあったのには気づいた。そこからは自分のペースでした。(番手に入った新山が仕掛けてきて)余力はなかったけど、気合が入って振り絞った。連日、声援をもらって、それがすごい力になっている」
 直線の入り口では中に進路を取るかに見えた南修二だったが、結果的には古性をなぞるようにして3着。近畿6人目のファイナリストになった。
 「(古性に)ちぎれないようにでした。(最後は)ミスしないように。(コースを)間違わないようにと。自分の状態はいいと思います。今日(3日目)が一番良かったんで、明日も大丈夫だと思います」