『第41回読売新聞社杯全日本選抜競輪(GI)レポート』 最終日編

配信日:2月23日

 熊本競輪場で開催された「第41回読売新聞社杯・全日本選抜競輪(GI)」は、2月23日に最終日が行われた。S級S班4人を含むトップ選手が顔をそろえた決勝は、近畿勢の先頭を務めた寺崎浩平が別線を出させずに突っ張り先行策。番手まくりを打った脇本雄太が、古性優作とのゴール勝負を制して優勝。昨年6月の高松宮記念杯以来、通算11回目のGI制覇を遂げて、優勝賞金4490万円(副賞含む)を獲得。年末に平で行われる「KEIRINグランプリ2026(GP)」の出場権を一番に手に入れた。

決勝戦 レース経過

 号砲と同時に大外枠の古性優作が飛び出して誘導員を追う。寺崎浩平-脇本雄太-古性-三谷将太の近畿勢が前を固める。郡司浩平-荒井崇博が中団で、単騎の山口拳矢はこの後ろ。犬伏湧也-松浦悠士の中四国勢が後ろ攻めで周回を重ねる。
 寺崎は青板バック過ぎから誘導との車間を切って、後方の動きをしきりに警戒する。2センターで犬伏が動き出すが、寺崎が赤板過ぎに突っ張り、犬伏は再び8番手に戻る。寺崎は2コーナーからペースを上げていき、隊列は一本棒のまま最終ホームを通過。逃げる寺崎の掛かりが良く、後続からの仕掛けはない。脇本は後続の動きを警戒しながら、バック手前で番手まくりを放つ。古性が脇本の仕掛けにピタリと続いて両者でのマッチレースとなるも、脇本のスピードは鈍ることなく押し切って大会連覇となるV。古性が2着。三谷は古性との車間が空いて懸命に追いかけるも、2センターで郡司とからみながら4コーナーを回る。直線では三谷、郡司は伸び切れず、郡司ラインを追いかけた山口がイエローライン付近を伸びて3着。








<5R>

山崎賢人選手
山崎賢人選手
 山崎賢人(写真)が皿屋豊を押さえて、赤板1コーナーで先頭に立つ。4番手で皿屋と鈴木竜士が併走になり、単騎の小原佑太は最後方で打鐘を迎える。主導権を握った山崎は、中団のもつれを確認しながらペース駆けに持ち込む。4番手は最終ホームで鈴木が確保して、9番手の小原も仕掛ける。小原に合わせて、鈴木も踏み上げる。しかしながら、逃げる山崎の掛かりが良く、鈴木、小原は3番手まで。山崎ライン3番手の山形一気は、田尾駿介が外した内を突く。直線で山形も詰めるが、山崎が押し切った。
 「悪くなかったと思います。今日(最終日)が一番、感触が良かったですね。サドルまわりをいじって良くなりました。(今シリーズは)自分がやりたい競走が、なかなかやらせてもらえなかった。それでも9着したり負けたりするのは良くないんですけど。もっと脚力を上げたいですね」
 外に鈴木がいてコースがなかった山形一気は、空いた内から差し脚を伸ばした。
 「前に出てからは山崎君が駆ける感じになったので、内だけ締めてと思っていた。鈴木君がすんなりになったので、うまいことタイミングをズラせればと。(最終3コーナーで)ちょっと鈴木君が内に入ってきそうで、田尾君もちょっとオーバーに張っていた。あそこは外線を外して欲しくなかったんですけど。もうちょっと待ちたかったんですけど、バックを踏めずに入った感じです」

<6R>

岡崎智哉選手
岡崎智哉選手
 3車の九州勢が押さえて出て、4番手に岡崎智哉(写真)が切り替える。前受けの吉田有希は、6番手まで下げて和田真久留と併走になる。林大悟が先行態勢。打鐘2センターから和田が叩きに出るが、林もペースを上げて駆ける。和田が前団に迫るが、簗田一輝は車間が空く。最終ホームで和田にスイッチした岡崎は、和田が出切るとすぐさま2コーナー過ぎにまくりを打つ。簗田ともつれた村田雅一は連結を外して、3コーナーで出切った岡崎が1着。
 「いまの競輪はスタートが大事なんで、取れるように練習はしています。僕の脚だと、あの位置(4番手)を確保しないと勝負権がない。(和田)真久留と重なるかと思ったけど。(和田の仕掛けに切り替えて)あれは良かったです、反応できました。この4日間で感じることが多すぎて、反省点をふまえて修正した。それが今日(最終日)は良くなっていた。4日間がプラスになりました。今日(最終日)は正直、手ごたえがあった。それ以外は苦しまぎれだった。できることが1個か2個かしかないので、そこに全集中していました」
 8番手まくりの吉田は、最終3コーナー過ぎに失速。武藤龍生が直線で中のコースを伸びて2着に届いた。
 「(吉田は)引くのか、引かないのか中途半端でしたね。でも、(吉田)有希も連日、脚を使っているなかで頑張ってくれた。自分は2日目までは、なにからなにまで、調整を失敗した。セッティングを(3日目から)変えて、着が悪かったけど(3日目も)感覚は良かった。(前々回の)大宮記念の落車のままで乗っていたけど、そのセッティングでは(落車の影響もあって)乗れなくなっていた。(ダメージが)思っている以上にありました」

<9R>

成田和也選手
成田和也選手
 中石湊が赤板1コーナーで中釜章成を押さえて、単騎の橋本強が北日本勢に続く。その上を北津留翼が叩きにいくが、中石がペースを上げて主導権をキープ。打鐘3コーナーで塚本大樹が浮いた北津留を迎え入れようとするが、後退した北津留は鈴木玄人と接触して落車。4番手は中釜がキープして最終ホームを通過する。2コーナーからまくった中釜を成田和也(写真)が阻む。ゴールまで成田がきっちりと中石を差し切った。
 「(中石は)好きなようにやってもらえればいいと思っていました。自分の感覚のままやって、あそこで(北津留を)出してしまうと、鈴木(玄人)もいるんでね。北津留、中釜、鈴木っているなかで全部、突っ張って逃げて2着ですからね。自分は(中釜が)いいスピードで来たんで、昨日(3日目)の反省をふまえてやりました。道中はいい感じだけど、最後の追い込みが進んでない。そこが出てくれば、外でも内でも展開に応じてできるかなと」
 別線をシャットアウトした中石湊が、2着に逃げ残った。
 「北津留さんは先行しても、まくっても強いので、思い通りにはさせないようにと思っていました。(北津留が)踏んできていたのもわかったので、自分もしっかりと踏んだ。この4日間、いろいろ先輩の方々に教えていただいて修正した。甘いところはあるけど、自分が頭で思っていることを少しずつ体で動いて実行できているかなと。勝ち上がりではなかったけど、最後の2日間(3日目、最終日)はいい走りができたと思います」

<10R>

南修二選手
南修二選手
 4車の北日本勢が、前団を占める。中野慎詞が伊藤旭を突っ張り、赤板1センターで新田祐大がう回して3番手に付け直す。深谷知広もすかさず踏み込んで、打鐘過ぎには中野と深谷で重なるが、深谷知広の勢いがいい。中野が番手に飛び付くが、南修二(写真)がしっかりと守る。最終2コーナーでは、深谷に南、稲川翔の3車で出切る。切り替えた阿部拓真が踏み込むも一息。南がゴール前で抜け出した。
 「(深谷との連係は)走る前も楽しみでしたし、すかさずの仕掛けは、感動するぐらいの走りだなと思った。出切りそうな感じはあったので、(連結を)外さないように集中して走った。(中野は)脚があるので、(内から)復活するかもしれないので、そこは警戒しながら回していった。離れそうになるぐらいの踏み直しでしたが、なんとか付いていけた。応援してくれる人がいるなかで期待に応えられる走りをしていきたい思いつつも、自分でやるレースで動けば動くほど(周りとの)実力差も感じた。(今後の課題としては)脚がないことです」
 ライン3番手の稲川翔は、深谷と南の間を追い込んで2着。深谷も3着に粘り、ラインで上位を独占した。
 「(深谷の仕掛けは)とにかく集中して、踏み出しで出切るスピードだと思った。(自分が)隙を与えてしまったら、飛び付かれることも警戒しながら付いていった。(最後は)(佐藤)慎太郎さんの気配も感じたので(直線のコースは)最善の判断だった」

<11R>

菅田壱道選手
菅田壱道選手
 前受けの太田海也は、赤板過ぎに新山響平を送り出す。北日本4車が出て、新山がペースを握る。太田は5番手で車間を空けて、眞杉匠は7番手になり打鐘を迎える。太田は眞杉の動きを警戒して、車間を詰めない。4コーナーから新山が踏み上げて駆ける。5番手で前と大きく空いた太田は、2コーナー過ぎから詰める。太田がまくりで迫るが、逃げる新山の番手の菅田壱道(写真)が、落ち着いて追い込んだ。
 「新山君がいつダッシュするかわからないので、後ろはわからなかった。けど、新山君が上がったりしていたので、併走はないのかなって思っていました。(最終)2コーナーまで(別線が)来なかったので、車間を空けて残せるかなって思ったんですけど。最後に太田君がすごいスピードできた。ブロックしても止まらないと思って、後ろに先輩も後輩もいたので踏ませてもらいました」
 眞杉マークの吉田拓矢は、最終バックで8番手。眞杉は不発も直線でコースを探した吉田が、強襲して2着に届いた。
 「せめて中団、中団は回るのかなって思っていたので、今日(最終日)はちょっと眞杉君らしくなかったですね。新山君が行ったところを付いていけば太田君は下げたと思う。最後は余裕があったので、待って我慢して、あそこしかないっていうところを踏めました」

<12R>

脇本雄太選手
脇本雄太選手
 S級S班9人のうち、4人を占める近畿勢。南修二は二次予選で敗退したが、一次予選を繰り上がったツキを持ち込んだ三谷将太が、準決で寺崎浩平とのワンツーで優出。S級S班3人プラス三谷の強力な近畿の布陣が、できあがっていた。
 「なによりも近畿のみんなに助けられた優勝だったと思います」
 昨年の全日本選抜で史上初めてとなるグランプリを含む、全7冠制覇のグランプリスラムを達成。そこから一年、連覇の脇本雄太(写真)が、仲間たちに感謝した。昨年10月に負った大怪我は、「(左ヒジは)まだ10%にも満たないぐらいの回復度です」と、現在のコンディションを前検日に語っていた。しかしながら、シリーズが始まってみれば、初日特選を異次元の8番手まくりで快勝。上々のスタートを切ったものの、2日目「スタールビー賞」では、寺崎浩平の番手で“落とし穴”にハマって8着。自身の連勝も8でストップした。
 「(スタールビー賞は)お互い失敗したところもあったので、(寺崎は決勝で)それをふまえたレースをしてくれた。本当にうれしかったです」
 郡司浩平にカマされたスタールビー賞は、脇本が寺崎を3番手に迎え入れたが、寺崎はまくれず共倒れ。古性優作が勝ち切って、ラインでの総崩れは免れたが、脇本、寺崎には悔いの残る内容だった。
 「(2日目と同じ失敗をしないという寺崎の気持ちは)僕は赤板の1コーナー過ぎくらいで、察知していました。僕もそれに対して失敗しないように、早めから車間を切っていた。なるべく後ろから来られないようにしようと」
 寺崎に突っ張られた犬伏湧也が、8番手に戻り、脚力を消耗。しかしながら、5番手をキープしていた郡司、単騎の山口拳矢はロスすることなく脚力温存していたが、仕掛けることはできなかった。
 「(近畿勢は)ラインで決めたいっていう意識がお互いに見えたので、それが実現できて良かった。最後は古性(優作)君とゴール勝負ができて良かった」
 一本棒の隊列が崩れることなく寺崎が逃げて、脇本は最終2コーナーで番手まくり。言葉を交わすことはなくても、後輩の背中を見て下した脇本の決断だった。
 「(寺崎とは)お互いにタイトルを獲らせてもらったりっていう関係のなかで、お互いにできることをやろうって。寺崎君もこれだけ頑張ってくれた上で近畿のみんなも。その辺は理解してのレースだった」
 寺崎がGI初優出を果たした22年8月のオールスターから、一昨年11月の競輪祭、昨年2月の全日本選抜、6月の高松宮記念杯、そして今シリーズ。脇本が直近で獲った5個のGIはすべて寺崎の番手でのもの。その間に昨年8月のオールスターでは、寺崎の戴冠に貢献する先行策も披露していた。
 「次のGIも近畿勢が獲れるように、僕自身も一生懸命頑張ります。(今年もグランプリの出場権を得たが)去年失敗したぶんも踏まえて、より近畿の層を厚くしてグランプリに臨みたい」
 昨年末のグランプリでは、眞杉匠に寺崎の番手を奪われてシンガリに沈んだ。その悔しい思いが、原動力にもなっている。それだけに自身がグランプリの権利を獲得しても、まだ始まったばかりの今年のGIロードに終わりはない。
 脇本が別線の仕掛けを待つことなく最終2コーナーで番手発進。脇本後位が今シリーズだけで3度目となる古性優作が、ピタリと続き直線勝負で2着。
 「(寺崎は)すごい掛かりでした。とんでもなかったですね。前の2人が強すぎた。(脇本が番手から出ていった時)すごかったです。とんでもなく伸びていった。自分は踏み込みもきれいに回していたんですけど。脇本さんの番手まくりに付いていったなかでは、いままで一番感覚は良かったです」
 単騎の山口拳矢は、ロングラインの近畿勢、郡司ラインを前に見る7番手からレースを運ぶ。最終3コーナー過ぎから三谷と郡司がもつれて、2センターで大外に持ち出した山口が、近畿ワンツーから6車身離れた3着に入った。
 「内をどこかいけるところまでと思っていたけど、空かなかったです。寺崎さんは早めに駆けていきましたよね。我慢をして仕掛けようと思っていましたけど、仕掛けてから前と離れているのが見えて、そこで負けてしまいました。ほぼ、流れ込みなので、なんとも言えないですね。(感触は最終日の)今日が一番でしたし、勝負にいけば良かった。寺崎さんが強かったですね。GIは優勝してこそですし、次、頑張ります」

次回のグレードレースは、「開設73周年記念 水都大垣杯」が2月28日~3月3日、大垣競輪場において開催されます。

SS班は郡司浩平、古性優作、嘉永泰斗の3名が参戦予定です。地元からは山口拳矢、志田龍星、中国勢は清水裕友、町田太我、河端朋之ら自力型がずらりとそろった大会で勝ち上がり戦から熾烈なスピードバトル繰り広げられるのは間違いありません。ファン必見の4日間です。

2月18日時点の出場予定選手データを分析した、大垣競輪「開設73周年記念 水都大垣杯」(GIII)の主力メンバー及び狙い目選手を紹介する「プロスポーツ号外版」は以下をクリックしてください。

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