『第31回読売新聞社杯全日本選抜競輪(GI)レポート』  初日編

配信日:2月11日
 第31回読売新聞社杯全日本選抜競輪(G1)が快晴の久留米競輪場で今日11日に開幕した。2016年のG1シリーズ開幕戦はオープニングレースから白熱したが、特選では優勝候補の一人、平原康多がまさかの失格。また落車も相次ぎ波乱のスタートとなった。12日の2日目は優秀「スタールビー賞」をメーンに、二次予選6個レースで準決勝への勝ち上がりを争う。
 明日も芝生広場特設ステージでは選手会イベントやキッズコーナーを実施。中野浩一氏、佐々木昭彦氏による予想会(2R発売中)や久留米競輪名物トリオの予想会(8R、12R発売中)など様々なイベントが予定されています。明日もぜひ久留米競輪場へご来場ください。
国歌斉唱で幕を開ける
国歌斉唱で幕を開ける
敢闘宣言をする吉本卓仁選手
敢闘宣言をする吉本卓仁選手
スピーチーズ ライブ
スピーチーズ ライブ
中野浩一、玉袋筋太郎、紗綾 全日本選抜応援団トークショー
中野浩一、玉袋筋太郎、紗綾
全日本選抜応援団トークショー
R&B ユニット COOL M.B ライブ
R&B ユニット COOL M.B ライブ
クールポコ。 お笑いライブ
クールポコ。 お笑いライブ
<1R>
飯野祐太選手
飯野祐太選手
 オープニングレースを制したのは打鐘過ぎから果敢に先行した飯野祐太(写真)だ。
 「思い切って力を出し切るレースをしようと考えていたし、4着に入れればと思っていたので、まさか押し切れるとは考えてもいなかった」と本人も結果に驚きを隠せない様子。「初めて久留米を走った感覚は丸いバンクだなと。これで全場制覇です」と、二次予選に向けバンクは攻略したか。
 紺野哲也がピタリと続いてワンツーを決めた。
 「スタートで中団を取れたのが大きかったね。内外から来られたが、自分の仕事はこなせたと思う」
 武井大介は最終バックから内に切り込んで3着に食い込んだ。
 「郡司君は鐘4角で仕掛けてくれると思って構えていたが(苦笑)。今回は特別競輪だし、もしダメなら自分で踏もうと考えていた。ああいうレースで選手をやっているので巧くいった」
 圧倒的な人気を背負っていた郡司浩平は4着でギリギリの勝ち上がり。「いつもなら仕掛けているところで行けなかった。単純に失敗レースでした」と、気合を入れ直し二次予選に挑む。

<2R>
渡部哲男選手
渡部哲男選手
 細切れ戦らしく隊列が激しく入れ替わる中、最終的に打鐘で根田空史が山田英明を叩いて主導権。根田は後方の動きを警戒しつつ最終ホーム前からスパート。別線の自力型の仕掛けも遅く、南関ワンツーかと思われたが、直線で中割りを狙った菅田壱道と番手の渡邉晴智が接触し落車のアクシデント。これに大槻寛徳、三谷将太も乗り上げる。最後は赤板で南関勢の3番手に切り替えていた渡部哲男(写真)が落車を避け、突き抜けた。
 「1着取れてよかったです。前回の千葉の最終日の1着も3カ月ぶりくらいでしたし。位置取りは(南関勢が)後ろにならなければ先手になるかなと思って。スタートの並びもそういう感じだったので。今日は脚の感じもよかったですね。明日以降にもつながってくれればいいですね。冷静に見れたしよかったです」
 先行した根田空史は逃げ粘り2着。検車場に引き揚げてくるなり「良かったです。巻き込まれなくて」とホッとした表情。
 「ワンツーだと思ったんですけどね。(渡邉)晴智さんは残念でしたけど。レースは落ち着いていけましたね。細切れだったし落ち着いて仕掛けることができました。とりあえず勝ち上がれてよかったです」
 3着には直線外を伸びた山田英明が入った。
 「恵まれましたね、落車の影響もなくいけました。中団を取れたんですけど脚が整わない感じで、何とかって感じですね」

<3R>
中村浩士選手
中村浩士選手
 柴崎淳が赤板で上昇すると中団の天田裕輝にフタをする。前受けを選択した岩本俊介が後ろの動向を見すえながら徐々にペースを上げて先行態勢に入る。打鐘4角、7番手から巻き返しを狙った天田だが、柴崎が合わせて踏み込んで一気にスパート。逃げる岩本をまくり切るも、中村浩士(写真)が柴崎に巧く切り替えて直線一気に抜け出した。
 「岩本君が先行してくれたお陰。カカりも良かった」と笑顔で検車場へと引き揚げてきた中村浩士。
 「柴崎君は僕に持ってこられないように調整しながらまくってきましたね。うまかった。これで299勝。今回のどこかで300勝できたら嬉しいですね」
 「必死すぎて最後は覚えてない」と2着に突っ込んだ中村淳は目を見開いてレースを振り返る。
 「前がダメだと思ってどこを踏もうか考えたけど、(中村)浩士君に付いていこうかなと。そこ思ってからは必死で。でも最近は車の伸びも良いし、何とか凌げました」
 岩本をまくり切るも4着(同着)に失速してしまった柴崎淳。それでも天田に合わせて強引に踏み込んだ割りには車の出も良く、動き自体は光っていた。
 「かぶる前に仕掛けようと。タイミングもなにもなかった。来たのが分かって慌てて踏んだ。バンク自体は軽く感じたけどそこまでに脚を使っていたから最後はタレました」

<4R>
松岡貴久選手
松岡貴久選手
 打鐘前から踏み上げた吉田敏洋の上昇に合わせて動いた松岡貴久(写真)は、吉田ひとりを出させてイン粘り。
 「とりあえず踏んでと思ってたら、吉田さんが思い切り流したんで引くに引けなくなった」と、松岡は成り行きでの番手勝負を強調してニヤリ。最終1コーナーで林巨人に競り勝つと、後続との間合いを図り早めの追い込みで逃げる吉田を交わして1着。
 「何も考えてなかったし、流れでと思っていた。林さんも遅れていたんで、あとは近藤(隆司)さんが来るかだけでした。調子の方も悪くない」
 前団の併走の様子をうかがいながら、永澤剛は最終2コーナーからまくり発進。じわじわと前に迫り、しぶとく伸びて2着に入った。
 「もっと競りが長引いてくれればと思ってたんですけど…、そうならなかった。もうヤバいと思って、出ないまくりを打ちました。自分の脚がなさすぎだし、精いっぱいだった。やった方でしょう」
 松岡マークの合志正臣は、永澤に踏み負けての3着を冷静に明解する。
 「8番(永澤)がまくってきた時にもっていきたかったけど、空けたら伊藤(保文)さんにしゃくられると思った。それで(松岡)貴久が張り気味に出た時に自分は締めてたんで、(直線は)貴久に当たらないといけなくなって。それで1回(車輪を)抜いてから踏んだんで8番にいかれた。(調子は)全然悪くない

<5R>
佐川翔吾選手
佐川翔吾選手
 スタートけん制があり石井秀治が前を取らされる形となり、巧く中団を取ったのは佐川翔吾(写真)。後ろ攻めの高橋陽介が赤板でフタをした形から打鐘で斬って流すと、最終ホーム前から迷わず踏み込んで、南修二の追撃を振り切り会心の押し切りで場内を沸かせた。
 「年末の久留米で結果を残せたし、ここに向けて良い練習ができていた。高橋さんが流していたし、出切ってからは石井さんのまくりに合わせられるようにペースで踏めました。G1の初日1着は松戸オールスターであります」
 巧追走して2着に流れ込んだ南修二はゴール後に落車のアクシデント。「ケガは大したことないし、ラインで勝ち上がれて良かった」と体調面は問題なさそうだ。
 3着には7番手まくりの石井秀治が入った。
 「誘導のペースが早かったのと、体の反応がワンテンポ遅れ全てズレてしまった。佐川君の駆けやすい流れだった」

<6R>
村上博幸選手
村上博幸選手
 北津留翼に警戒され、7番手に置かれた川村晃司だったが、打鐘過ぎ2センターから早めの巻き返し。鈴木裕の抵抗を力でねじ伏せると、番手の村上博幸(写真)が好展開をモノにした。
 「僕は晃司さんに任せてるし、そのなかで自分の役割を果たせればと思ってた。余裕もありましたね。晃司さんを4着までに残さなと思ってたのでよかった。状態は悪くない。あとは微調整というか、しっかり力を伝えることですね」
 バック最後方に置かれた小川勇介だったが、中バンクを鋭く伸びて3着に突っ込んだ。
 「展開が早かったし、翼も(打鐘で)入るか叩くかの判断が難しかったと思う。最後は位置も悪かったし、遠かったです。でも、伸びましたね。直前しっかり(師匠の吉岡稔真に)稽古をつけてもらったんで」
 川村晃司は4着で二次予選進出を決めた。
 「大きいですね。鈴木君に抵抗されて、出るのにだいぶ脚を使いました。感じはだんだんよくなってきたんで、勝ち上がれてよかったです」

<7R>
佐藤友和選手
佐藤友和選手
 打鐘から飛び出した小松崎大地が別線を完封する逃走劇。当所は冬季移動先で準地元の佐藤友和(写真)が内、外仕事をして直線でキッチリ交わした。
 「誰か(自分の位置を狙いに)来るんじゃないかなって思ってたので冷静に対処できましたね。前のカカリも凄く良かったんで。(バンクは)軽くなかったけど楽でした」
 打鐘で山田久徳を叩き、最終ホームから巻き返しを狙った服部克久もピタリと合わせる逃走劇。最後の最後まで脚をタメていた桐山敬太郎のまくりも封じる圧巻のレースを披露しながらも小松崎大地は至って冷静にコメント。
 「自分の持ち味を出し切れればいいレースができると思っていたので。山田君も踏んでいなかったしあそこ(打鐘)は冷静でしたね。服部さんかは分からなかったけど誰か来ると思って(最終ホームで)踏みました。友和君にもアドバイスを貰っていたし、前半のレースをみていてまくりはでないと思って組み立てました」
 3着に入ったのは山田久徳。小松崎に叩かれて万事休すかに、飛び付き気味に踏んで北日本の3番手を確保して流れ込んだ。
 「小松崎さんのピッチ的にも引いたらマズイと思ってあそこで勝負しました。駆け方も巧かったししんどかった」

<8R>
吉澤純平選手
吉澤純平選手
 三谷竜生が押さえて出た打鐘の3コーナーですかさず巻き返した吉澤純平(写真)だったが、小埜正義と松岡健介がもつれたあおりを受けると最終ホームで空いた三谷の番手へ。逃げる三谷後位で態勢を整えた吉澤が、再発進の番手まくりで初G1でいきなり勝利を飾った。
 「ちょっと松岡さんが飛んできて、自分も構えてしまった。それでスピードが死んでしまった。1回立て直してからと思いました。三谷君の踏み直しもあったし、キツかったです。(1着は)展開なんで、後ろに迷惑を掛けてしまった」
 援護を失った三谷竜生は、吉澤のまくりには屈したものの2着に粘り込んだ。
 「結果的にラインで決められなかったし、内容が良くないです。ゴチャつく前に仕掛けないとダメだった。自分で苦しいレースにしてしまいました」
 吉澤の動きで急な減速を余儀なくされた木暮安由は、小埜にからまれながらも何とか3着で入線した。
 「(吉澤が)ホームで入ると思わなくて…。そのまま行っていれば、(ラインの)3車で行けていたと思う。(感じは)悪くないし、(審議があっての3着だったので)よかったです」

<9R>
吉本卓仁選手
吉本卓仁選手
 誰も前受けをしたがらず、スタートけん制により再発走。2度目のスタートでは地元の吉本卓仁(写真)が腹を決めて前受けを選択。後方に陣取った関東の先頭を駆る城幸弘が打鐘で古性優作を叩くと案の定、九州勢は後方に追いやられる。まくりが効かぬバンクで最悪の展開だったが、仕上がりの良さで吉本が1着をもぎ取った。
 「やってはいけない走りでファンと小岩(大介)君に迷惑をかけてしまった。はっきり言って負けパターン。志智さんが離れていなかったらどうだったか。(再発走となったが)脚は仕上がっているので全く問題なかった。気持ちが最高に盛り上がっているし、プレッシャーも楽しめている」
 逃げた城を目標に2着に食い込んだ牛山貴広は「城君が強くて最終ホームでは口が空いた。もっと巧くやれれば城君も残せたかもしれない。脚の状態は日に日に上がってくるでしょう」とレースを振り返る。
 吉本マークの井上昌己は3着に。
 「2コーナーで前を見たら前団は凄く遠くて、届くのか?と思っていた(苦笑)。直前にギックリ腰になっていたので、体のケアをして二次予選も集中して戦いたい」

<10R>
村上義弘選手
村上義弘選手
 青板4コーナーから上昇した早坂秀悟が赤板1センターで前受けの深谷知広を押さえて先制。稲垣裕之も早坂ラインに続いて3番手を確保。深谷は6番手で中川誠一郎の内に包まれてしまう。早坂は打鐘4コーナーからスパートしたが、稲垣が最終2コーナーからまくると、番手から出た神山雄一郎を乗り越え3コーナーで出切る。最後は番手から村上義弘(写真)がきっちりと差し切った。
 「良かったです。稲垣のまくりを抜いているんで状態は悪くないと思います。今日は相手も強かったし、挑戦者の立場で、胸を借りるつもりで走りました」
 好まくりを見せた稲垣裕之は村上には交わされたが京都ワンツーを決めた。
 「先行か、中団かそこは冷静にいけました。うまく3番手を確保していけたんで。それでも深谷君のプレッシャーは感じていましたね。その中で最後までスピードに乗れていけましたね。良い緊張感の中で走れていますし、ワンツー決まる走りを今まで以上に心掛けています。それがG1の初戦で決まったんでよかったです」
 初手から近畿勢後位を選択した諸橋愛が3着に流れ込んだ。
 「深谷が前にいったんで稲垣が先行だろうと。仮に逃げなくてもどこかでいくだろうとは思ってました。恵まれましたね。最後はちょっといっぱいでした。いらん脚を使って最後は伸びなかったです。そのなかで外だけは行かれないようにとは思ってました」

<11R>
山崎芳仁選手
山崎芳仁選手
 後ろ攻めを選択した原田研太朗が赤板から上昇し始めるも、打鐘で渡邉一成が突っ張って逃げる形に。中団をキメた小倉竜二が原田を迎え入れようとするが、平原康多が俊敏に徳島コンビの間をすり抜けて潜り込む。そのまま平原は北日本ラインの3番手を回っていた菊地圭尚をさばいて最終バックからまくり上げて1着入線したが、鐘過ぎに橋本強を内側から追い抜いたため失格に。平原にまくられながらも踏み続けた渡邉に乗って抜け出した山崎芳仁(写真)が繰り上がり、逃げた渡邉と福島ワンツーを決めた。
 「平原君は凄いスピードだったけど、1車だったから切り替えずに渡邉君をそのまま追いました。余裕はあったし新車の感じも悪くない」
 「突っ張り先行と決めていたわけではなくタイミングですね」と話すは渡邉一成。「久々の競走だったけど感じ良く走れたしいいスタートが切れました。優秀戦は初日とは違った形で脚に刺激を入れたい」と早くも2日目以降を見すえている。
 3着に入った原田研太朗だが表情は暗い。
 「後ろに迷惑をかけてしまった。(渡邉の)突っ張り先行も頭には入っていたけど失敗してしまった。デキは悪くないけどその辺の甘さをなくさないといけない」

<12R>
浅井康太選手
浅井康太選手
 赤板前から脇本雄太が上昇を始めると、この動きに続いた竹内雄作が打鐘前2コーナーから誘導員を下ろして主導権を握る。打鐘で脇本をすくって5番手を確保した新田祐大だったがまくり不発。竹内マークの浅井康太(写真)が直線で鋭く抜け出した。
 「雄作がうまく駆けてくれた。でも雄作の踏み直しがどれぐらいか分からなくて。サマーナイトで金子(貴志)さんが抜けてなかったり踏み直しがすごいイメージでしょ。踏んだらシューッと出て(抜くのが)早かったと後悔した。ちょっとビビッてましたね」
 単騎の岩津裕介は周回中から中部3番手に付けると、2着で「スタールビー賞」進出を決めた。
 「よかったです。(竹内は)ホームからすごいスピード出てたし、後ろで気配はなかったんで。でも後ろも強いんでどんだけのスピードで来るんだろうとは思った。あとは浅井の動きと。まあ、あんな感じですね」
 逃げた竹内雄作は3着に粘った。力強いレース内容とは裏腹に表情は不満げ。
 「思うような自分のイメージどおり踏めてないんでちょっと…。末脚も思ったより甘かったですね。やっぱりレースと練習は違う。レースをやってかないと戻らないですね。ただ出し切れてはいるんで、そこはプラスに考えます」
 まくり不発に終わった新田後位からうちに切り込んだ佐藤慎太郎の伸びもよかったが、いかんせん前が遠かった。
 「伸びましたか? 僕はそんな感じしなかったけど。でも流れに乗れてる感じはあります。新田にある程度ついていってから下りてればもっとビュンと出たんでしょうね」
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