『全日本プロ選手権自転車競技大会記念競輪レポート』 初日編

配信日:5月27日

 富山競輪場で「全日本プロ選手権自転車競技大会記念競輪」が、5月27日に幕を開けた。選考順位上位27人によって争われた初日のメイン、優秀の3個レースでは、浅井康太、古性優作、脇本雄太が勝ち星を挙げた。5月28日の最終日は、大挙5人が勝ち上がった近畿勢をはじめ、豪華メンバーによる「スーパープロピストレーサー賞」が行われる。
 シリーズ最終日は、先着1000人に「しろえび小判」の入場プレゼント。オリジナルグッズが当たる三角くじを1000人に配布。「富山んまいもん物産展」、WINTICKETプロデュース「予想会イベント」、佐々木昭彦さんによるレジェンド予想会、「パークマンサー&さだありさ」のトークショー、「ヒラヤマン」のトークショーなどが予定されています。ぜひ、富山競輪場へ足をお運びください。また、テレビ、インターネット中継などでの観戦もお楽しみください。

優秀10Rゴール
優秀10Rゴール
優秀10R1着 浅井康太選手
優秀10R1着 浅井康太選手
優秀11Rゴール
優秀11Rゴール
優秀11R1着 古性優作選手
優秀11R1着 古性優作選手
優秀12Rゴール
優秀12Rゴール
優秀12R1着 脇本雄太選手
優秀12R1着 脇本雄太選手

<1R>

久米康平選手
久米康平選手
 赤板手前で出た青野将大が先行態勢を取るが、すかさず小森貴大が襲い掛かる。両者の踏み合いで打鐘を通過する。流れが向いた佐々木豪は、隊列が短くなったところで最終ホームから踏み込む。が、自力に転じた神田紘輔が合わせて出る。佐々木が失速して、付けた久米康平(写真)が直線で追い込んだ。
 「(佐々木は)出だしで行けるかなって思ったけど、(神田が)合わせて出て行った。(最終)2センター付近は苦しそうだなって思って、前に踏ませてもらった。前回よりいいですね。前の2場所は練習が刺激不足だったので、今回は全プロに向けてしっかりやってきた」
 中四国3番手の黒田淳が、外から久米に迫り2着。ラインでのワンツーも、好配当になった。
 「(佐々木が)脚を使ってから仕掛けてくれたおかげ。番手は久米君ですし、いざとなれば出ていってくれるかなって。9車立てでこのメンバーですし、ずっと流れるようなレースでしたね」

<2R>

太田竜馬選手
太田竜馬選手
 松本秀之介が切って出て、中近ラインを受ける。順番で赤板手前で外に持ち出しかけた太田竜馬(写真)だったが結局、7番手に構える。竹内雄作の先行でレースは流れ、隊列は一本棒。5番手の坂本貴史が最終ホーム手前から仕掛けて、佐藤和也は遅れる。3番手の松本、椎木尾拓哉も番手から踏み込んでまくり合戦。2コーナー手前から踏み込んだ太田が、前団をのみ込んで1着。
 「作戦では(周回中は)前から2番目(のライン)で、(竹内ラインに)付いていこうと思ったんですけど。ペースが早くて付いていけなかった。(7番手に構えてからは)ペースがキツかったけど、(最終)ホーム辺りに一発で行こうと。坂本さんが行ってくれて、行きやすくなった。ただ、行かなくても自分で行くつもりでした。(まくった感じは)あんまりスピードは良くなかった。体が思い通りに動いてない」
 太田の加速に懸命に食らいついた高原仁志が2着で徳島ワンツー。
 「ライン3人やし、一番後方にはならないようにっていうのがあった。結果、後方になったけど、ラインで決まったんで良かった。太田はそこら辺はわかっていると思います。自分は(太田を)抜ければ良かったけど、ベストの太田じゃないにしろ付いていけてるんで良かった」

<3R>

根田空史選手
根田空史選手
 3番手の内に包まれた根田空史(写真)は、青板2センターでインを突くも結果的には岡崎智哉に封じ込まれて後方になる。島川将貴の先行で打鐘を迎える。4番手を確保した岡崎が最終2コーナーからまくって、ほぼ同じタイミングで6番手の根田も仕掛ける。岡崎は桑原大志に阻まれ、そのあおりを受けた根田だったが直線半ばでまくり切った。
 「島川君ならフタをしてくる展開もあると思った。内が空いたから行ったけど、誘導が残っていたので行き切れなかった。(岡崎とは)仕掛けるタイミングが一緒になったけど、外を伸びているんで状態はいいですね。前回からフレームを以前のにモノに戻して、踏み出しは重いけど、こういう展開でも膨らまずに行き切れている。ただ、競輪はラインだし、ラインで決められていないのでスッキリしない」
 内藤宣彦は最終4コーナーでの落車のアクシデントの影響もあって、根田に続けない。逃げた島川を利した桑原大志が2着に入った。
 「島川君がハイピッチでしんどそうだったけど、岡崎君が止まっていたんで残せるかなっていうのはありました。そうしたら、根田君が外を来た。今日(初日)の2着は恵まれただけで、自分は技量不足。(落車後も)初速とか踏むタイミングは対応できているので、だいぶ良くなってきた。ただ、長い距離になるとしんどい。心肺機能が戻ってくれば、もっと良くなると思う」

<4R>

阿部将大選手
阿部将大選手
 赤板で上田尭弥が飛び出して、九州ライン3車が出切る。4番手に末木浩二が続いて、単騎の山賀雅仁は6番手。上田がハイペースで駆けて、7番手の取鳥雄吾は打鐘4コーナーから巻き返す。逃げる上田との車間を空けた松岡辰泰は、取鳥のスピードを計り引きつける。取鳥に合わせて松岡が、番手まくりを打つ。松岡を追走した阿部将大(写真)がゴール前で差し切った。
 「(3番手を回るのは)これで2回目ですかね、S級では初めてだと思います。自分ももっと援護をしたかったけど、技術が未熟でした。内も注意しておかないとっていうのもあった。松ちゃん(松岡)が早めに仕掛けてくれたんで、自分にもチャンスがあった。(3番手だったんで)今日は楽でした」
 番手で落ち着きはらった立ち回りを見せた松岡辰泰が、車間を詰めながら取鳥に合わせて最終3コーナーから出て九州ワンツー。
 「(末木は)飛び付き狙いかと思ってたんですけど。(ライン3人で出られて上田)尭弥のペース先行でと思ったけど。相手も(取鳥)雄吾さんもいるし、オーバーペースでしたね。尭弥はいつも先行してくれるんで、できるだけ引きつけてと思ってた。練習の感じはあんまり良くなかった。尭弥の頑張りのおかげです」

<5R>

菊池岳仁選手
菊池岳仁選手
 志田龍星が押さえたところを、菊池岳仁(写真)が敢然と叩いて打鐘3コーナーで主導権を奪う。番手に飛び付いた志田をキメて、柿澤大貴が続く。最終1センターで志田は3番手で立て直しにかかるが、西村光太が切り替えて踏み上げる。まくった松本貴治は、西村に合わせされて不発。中割りで橋本強が追い込むも、菊池が後続を退けて逃げ切りで今年2勝目を挙げた。
 「久々の1着なんでうれしいです。今年の立川記念以来なので。タイミング的に行きやすくなって良かった。出てからは余裕をもって、ペースで駆けることができたし、最後も踏み直せた。(2月に)奈良で落車してから良くなかったけど、最近は昨年くらいのタイムには戻ってきた」
 目標の松本は、まくりを合わされていっぱい。最終3コーナー過ぎから内よりのコースを探した橋本強は、長野コンビの間を踏んだ。
 「(松本の車が)全然出なくて、(最終)3コーナーで止まってしまうと思った。それでコースを探しました。空いたところを踏んで行けましたね。脚の感じは良かったです。今回から新車でずっと回りを見られるような感じもあった。乗った感じが大丈夫だったので、修正しないでこのままいきます」

<6R>

阿竹智史選手
阿竹智史選手
 スタートで福島武士、阿竹智史(写真)が出て、中四国勢が前団に構える。6番手の橋本瑠偉は早めに上昇を始めて、青板で町田太我に併せ込む。しかしながら、町田も誘導との車間を空けて、バック過ぎに橋本を突っ張る。町田が主導権を握り、橋本は7番手に下げて赤板を通過する。4番手でタイミングを取った菅田壱道は、最終ホームで仕掛ける。菅田のまくりを止めた阿竹が、抜け出した。
 「(突っ張りは)町田君は普段やっているんで、その辺の判断も任せていました。風が強いし、(町田の掛かりは)どうなのかなと。菅田君も余裕があったけど、(最終3コーナーは)ちょうど町田君も踏み直したところだった。自分の状態はそんなに変わりないですね」
 中四国ライン3番手の福島武士は、直線で町田と阿竹の間の狭いコースを伸びた。
 「前の2人が全部やってくれた。あとは内だけ空けないでと。空けたら誰か入ってくるだろうと。(最終)2コーナーのところは、(阿竹が外にけん制して)前がいなくなったんでキツかったです。あとは突っ込むところがあるかなっていう感じだったけど、菅田君が外にいたんで」

<7R>

松井宏佑選手
松井宏佑選手
 赤板目がけて踏み込んだ松井宏佑(写真)に合わせて佐々木悠葵も動く。松井が主導権を握り、松谷秀幸まで出るが、佐々木は3番手に飛び付いて鈴木裕と併走で打鐘。佐々木が3番手を取り切り、後位には野田源一が割り込む。ラインの連結は崩れたが、一本棒のまま最終バックを迎える。3番手の佐々木は4コーナーで外に持ち出し、その後ろの野田も強襲する。が、松井が二の足で振り切った。
 「無理やり行くよりも1回、後ろに戻って、佐々木君に後ろがからまれないように行った。出切ってからは後ろの状況はわからずに踏みました。誰が来ても反応はできるようにしていたし、最後まで踏み直しもできた。今回の前に体調を崩したけど、2日間はしっかりした練習ができていたので問題なかった」
 鈴木から3番手を奪取した佐々木悠葵が、追い込みで2着。
 「最近は、徹底先行の人と対戦になるので、どうやって戦っていくかですね。松谷さんのところで勝負と思ったけど、後ろの鈴木さんのところが空いていたのでそこでと。周回中から重く感じました。(前回の)宇都宮記念の時よりも良くないと思う」

<8R>

岩津裕介選手
岩津裕介選手
 前受けの犬伏湧也が和田真久留の上昇を阻んで、そのままレースを支配する。雨谷一樹が4番手をキープして、犬伏は打鐘から徐々にペースを上げていく。別線は動けず、最終バックは一本棒の隊列で通過。3コーナーから4番手の雨谷が踏み上げるが、番手で流れが向いた岩津裕介(写真)がゴール前できっちり犬伏を差し切った。
 「雨谷君がスタートが早いんで、(後ろからに)なるだろうと。そしたら柏野(智典)さんがうまく(前を)取りにいってくれて、自分たちにすごく流れが向いた。(犬伏は)掛かり自体はそこまでというか、本来の力だと短い距離で勝負できるんで。でも、スピードを出すというより、ラインを引き連れてペースで行ってくれた。自分は(前回の)宇都宮から自転車をそのまま送ったんですけど、(前検日の指定練習は)500バンクと33バンクで同じ感覚で乗れてない感じがした。それで(前検日に)サドルをバラしてきれいにしたら、良くなりましたね」
 2周半を駆けて別線に反撃の隙を与えなかった犬伏湧也は、機動パワーの違いを見せて2着に残った。
 「一番の理想は前受けから突っ張るのがいいのかなと。(和田が)様子を見ながら来てたから、ほぼ脚を使わずに(突っ張れた)。ジャンからは徐々に上げていって、まくらせないようにと。そこは良かったんですけど、風が強かったんで末脚を欠いた。今年初めての33バンクでどうなるかと思ったけど、主導権を取って岩津さんとワンツーなら悪くないと思います」

<9R>

小川勇介選手
小川勇介選手
 赤板でスムーズに出た吉田有希に神奈川勢が続く。小松崎大地が中団に下げて、7番手に置かれた嘉永泰斗だったが、2コーナー手前から早くも反撃に出る。内藤秀久のけん制を乗り越えた嘉永が、最終ホームで主導権を奪う。嘉永のスピードをもらって続いた小川勇介(写真)が、番手から差し切って1着。
 「(嘉永は)九州で一番強い自力選手。7番手になっても仕掛けるし、後ろには園田(匠)さんもいる。付いていくことだけを考えていたけど、交わせてビックリした。前回から新車にしてアタリがでました」
 勝負どころを逃さないさすがの仕掛けを披露した嘉永泰斗は、近況の成績通り乗れている。
 「打鐘前で緩むなと思ったので、そこで行けば(最終)ホームで出切れると思った。出切ったところで脚にはきていて、(最終)3コーナーの踏みたかったところで後輪がドリフトしてしまうような感じが気になった。前回(函館記念)は自信になったけど、自分はいつも通りのレースをするだけ。ここに来る前も忙しかったので、まとまった練習ができていなくて、脚の貯金がなくなってきている」

<10R>

浅井康太選手
浅井康太選手
 三谷竜生が切った上を山田庸平が出て先行態勢に入る。九州勢を追った山口拳矢がすかさず叩きに出るが、山田もペースを上げる。両者で踏み合いになり、新田祐大が最終2コーナーでのみ込む。が、思いのほか山田の抵抗にあって、新田も脚力を消耗。山口が力尽き後退して、浅井康太(写真)は瞬時の判断で福島勢にスイッチ。外併走からの追い込みで、鮮やかに抜け出した。
 「流れにしっかりと乗れたっていうのと、(山口)拳矢君が頑張ってくれたっていうのが大きいですね。(最終3コーナーからは)ツケマイでいってたんですけど、自分のなかではもうワンテンポ早く踏んだ方が良かった。中本(匠栄)君に当たられてたかもしれないし、そこは反省です。それでもしっかりと脚が回っているし、落ち着いてレースができている」
 最終2コーナー手前で内に進路を取った三谷を見て、まくりに転じた東口善朋が2着。
 「目まぐるしい展開になりました。最終1センターで(三谷)竜生が内にいったんで、33バンクで勝負権っていうのが難しいかなと。それで踏ませてもらった。(浅井を)目標っていうまではいかなくても、行けるところまではと。こういうメンバーでなかなか、僕の脚では通用しないかなっていうのもあったんで2着までいけて良かった」
 打鐘手前で外に持ち出した新田祐大は、さすがの爆発的な力を見せたが3着。山田の成長を感じ、こう振り返る。
 「前で(山田と山口が)やり合うっていう想定はしてなかった。仕掛けるポイントで行けたのが良かった。ただ、前に出られそうだったんで、ペース配分を考えたら、(山田)庸平が思った以上に出させなかった。それで残り1周過ぎのところで踏みすぎた。結果的にそれで自分のペースが乱れた感じです」

<11R>

古性優作選手
古性優作選手
 青板3コーナー過ぎに切って出た松浦悠士に、すかさず南関勢が襲い掛かる。深谷知広が赤板手前で出切り、松浦は番手に飛び付いて岩本俊介をさばく。今度は2コーナーから眞杉匠が仕掛けて、深谷を叩き切る。吉澤純平は付け切れず、2番手以下をちぎった眞杉に最終2コーナからまくった古性優作(写真)が迫る。古性がスピードの違いで眞杉をとらえて、壮絶なバトルを制した。
 「(眞杉の仕掛けは)さすがでしたね。引いてすかさずに行った。吉澤さんが付いて行ってくれた方が仕掛けやすかったと思う。そこを見てからになってしまった。まくりに行っている時に眞杉が前に見えて、届かないと思った。正直、ダービー(日本選手権)より全然いい」
 最終2センターで外に持ち出した松浦悠士は、古性のまくりを追いかけて2着。
 「(昨年の)富山記念決勝のような感じでイン切りをしたら、深谷さんが来てくれて、スピードに乗っていた。引けないと思って粘らせてもらった。眞杉君を自分で追いかけられれば面白かったが、反応しきれなかった。昨日(前検日)セッティングをいじって、ストレスがなく乗れた。古性君のところになんとかスイッチできました。高いレベルで動いて2着なので、いいと思う」
 古性の加速にわずかに空いたスペースを松浦に突かれた稲川翔は3着。
 「苦しかった。自分もいっぱいはないが(古性)優作の加速が想像以上。松浦に持ち出されて空いてしまった。あれを付いていって交わすのが課題です。いまのままではダメですね。同じ失敗をしてしまっているし、次はないという気持ちで入れ直して頑張っていきたい」

<12R>

脇本雄太選手
脇本雄太選手
 周回中3番手にいた脇本雄太(写真)は、清水裕友に併せられると下げる。が、今度は5番手の内で新山響平と併走。新山は、外併走から仕掛けて赤板過ぎに主導権を握る。3番手に入った吉田拓矢は大きく車間が空いて打鐘を通過する。7番手の脇本は後方のままだが、5番手の清水が4コーナーから仕掛ける。隊列が縮まり、最終2コーナーで大外を脇本がまくる。スピードの違いは明らかで、あっさりと抜け出した。
 「新山君に多少でも脚を使わせての7番手ならいいなっていうのがありました。それがたまたまうまくいった。自分の脚力がどれくらいあるかを確かめる意味でも良かった。(現時点でのトレーニングは)純粋にいまの脚力を伸ばすっていうことですね。なにか特化した練習はしないで。その練習をしている段階です」
 脇本から1車身半、離れた2着に山田久徳が流れ込んだ。
 「正直、(脇本に)1車くらいは離れてたんで、どうかなっていう感じです。頑張った方かなと。ただ、前(脇本)が強すぎて、感触がどうのこうのもないですね」
 逃げた新山響平は、成田和也の援護もあって清水を不発に追いやる。脇本、山田には行かれたが、なんとか3着に踏ん張った。
 「だいたい予想通りの展開だった。ただ、脇本さんが引かなかったのはビックリした。(出てからは)ちょっと流しすぎた。成田さんが仕事をしてくれたんで、なんとか3着に残れました。(状態は)悪くない。ただ、そのデキでもあれだけ脇本さんに差をつけられたので悔しい」